2025年7月18日

スポーツを楽しむ上で大切な安全対策の一つに、スポーツマウスピースがあります。
特にコンタクトスポーツや激しい運動を伴うスポーツでは、歯や口腔内の保護に優れたマウスピースの装着が推奨されます。しかし、市販の製品や既製品、ハンドメイドのものなど多種多様な選択肢の中で、「ハードタイプ」と「ソフトタイプ」の違いを理解し、自分のスポーツやフェイスタイプに合ったマウスピースを選ぶのは意外と難しいものです。
本記事では、まずスポーツマウスピースの基本的な概要と、その種類と特徴、そしてそれぞれのメリット・デメリットについて、最新のエビデンスとともに詳しく解説します。
スポーツマウスピースとは?

スポーツマウスピースは、口腔内の歯や顎、舌、頬粘膜などを衝撃から保護するために設計された装置です。これらは口の中に装着し、衝撃吸収や分散を助ける役割を果たします。スポーツの種類や選手のプレイスタイルによって、カスタムメイド(歯科医院で作成されるもの)や市販品(プリフォームやフィッティング済みのもの)があります。
一般的に、スポーツマウスピースは次のような目的を持ちます。
歯の損傷や歯列の破損の防止
顎や顎関節への衝撃吸収
舌や頬粘膜の裂傷防止
脳振盪や脳震盪のリスク低減(研究途上)
ハードタイプとソフトタイプの分類
スポーツマウスピースは大きく「ハードタイプ」と「ソフトタイプ」に分類されます。それぞれの特徴を理解し、自分のスポーツや口腔の状態に適した製品を選ぶことが重要です。
ハードタイプのスポーツマウスピース
ハードタイプのマウスピースは、硬質な素材(通常はポリカーボネートや熱成形可能な樹脂)を使用しており、しっかりとした装着感と高い耐久性を持ちます。
特徴とメリット
安定感とフィット感が高い:硬い素材で歯列にぴったりフィットし、ずれにくいために衝撃を効果的に分散します。
高い衝撃吸収性能:研究によると、硬質マウスピースはソフトタイプに比べて、歯にかかる衝撃をより効果的に吸収・分散できることが示されています(Gordon et al., 2006; Faure et al., 2014)。
耐久性が高い:破損や摩耗に強く、長期間使用できる特性があります。
デメリット
装着時の違和感や不快感:硬い素材のため、慣れるまでに時間を要する場合があります。
着用の難しさ:初めて使うときには適合調整や慣れが必要です。特に市販のものはフィット感に個人差が大きいことも。
価格が高め:カスタムメイド品は価格設定も高めになることがあります。
ソフトタイプのスポーツマウスピース
ソフトタイプは、柔らかく弾力性のある材料(シリコンやビニール系の樹脂)を採用しており、快適性を重視しています。
特徴とメリット
優れた装着感・快適性:柔らかいため口の中にぴったりフィットし、長時間の使用でも気になりません。
使い始めやすい:硬さのあるタイプに比べて違和感が少なく、初心者や子供でも容易に使用可能。
手軽さとコスト効率:市販や簡易のカスタムタイプは比較的安価で、すぐに使用開始できる。
デメリット
衝撃吸収性がやや劣る:柔らかい素材であるため、硬いハードタイプと比べると耐衝撃性能に差があります(Faure et al., 2014)。
摩耗や変形のリスク:長期間の使用や激しい衝撃にさらされると変形しやすく、保護性能が低下する可能性も指摘されています。
耐久性の低さ:一度の衝撃や摩擦によって劣化しやすいため、頻繁な交換が必要となる場合があります。
それぞれの適合性と選び方
適切なマウスピースの選択は、スポーツの種類や個人の口腔状態によって変わります。
激しいコンタクトスポーツ(ラグビー、アメリカンフットボール、アイスホッケー、格闘技など)には、ハードタイプがおすすめです。衝撃吸収と耐久性が高いため、安全性を確保できます。
軽度・中程度のスポーツ(バスケットボール、サッカー、テニス、スケートなど)では、快適さや柔軟性を重視したソフトタイプも選択肢となります。
また、自分の口腔や歯の状態、そしてスポーツ場面の環境も重要です。歯科医師と相談し、必要に応じてカスタムメイドのマウスピースを作ることで、最も適した保護を実現できます。
まとめ
スポーツマウスピースには「ハードタイプ」と「ソフトタイプ」があり、それぞれに長所と短所があります。最新の研究により、ハードタイプは高い衝撃吸収と耐久性に優れ、一方でソフトタイプは快適性や手軽さが魅力とされています。安全性と快適性をバランスよく考慮し、自分のスポーツやニーズに合った選択をすることが大切です。
最終的には
激しいコンタクトスポーツや高い衝撃リスクが伴う競技にはハードタイプ
軽やかに楽しむスポーツや長時間の着用を考慮したい場合はソフトタイプ
歯科医師や専門家のアドバイスを参考にしながら、最適なマウスピースを選び、安全にスポーツを楽しんでください。