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歯科で使われていたアマルガムは外すべき?

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2024年11月14日

歯科で使われていたアマルガムは外すべき?

(院長の徒然ブログ)

アマルガムに関する嘘と本当

アマルガムという金属をご存知でしょうか?

今では日本の歯科治療でほぼ使われることはないですが、20年前くらいは頻繁に保険治療で使われていた材料です。

今でこそ小さい虫歯は削った後に白い樹脂(コンポジットレジン)を詰めることが多いですが、昔はその場で金属をつめていたんです。

生成過程で水銀の粉を含ませるため、海洋汚染を理由に海外では使用禁止の国もあります。

日本では使用禁止にこそなっていないものの、2016年以降保険適用から外されています。

そのため現在の日本の歯科治療で新しいアマルガム充填が行われることはほぼありません。

金属アレルギーや後述の理由から外すことを推奨しているのですが、間違った知識を患者さんに説明する方もいらっしゃるので、今日はこの「アマルガム」について少しお話ししましょう。

アマルガムの組成

①無機水銀

アマルガムの主成分で、他の金属と混合することでペースト状になります。

だからこそ詰めやすいという特徴があります。

コンポジットレジンが登場するまでは、最小限に削った部分を詰めれる材料として非常に優秀でした。


②銀

流石に水銀だけだと脆いので、 強度と耐久性を向上させるために銀粉末を加えています。


③錫(すず)

アマルガムの流動性を調整し、硬化後の特性を向上させます。

柔らかい金属なので、合金に傷はつきやすくなるものの、割れにくくします。


④銅

合金に加えられ、耐食性や強度を向上させる効果があります。

水俣病の有機水銀ではない

私の経験で二回ほど歯科医師が間違った説明を出ているところに出くわしたことがあるのですが、「アマルガムには水俣病で有名な水銀が含まれているから、危険なんですよ」という説明をする方がいます。

これは間違いです。

水俣病で原因となった水銀は、有機水銀(メチル水銀)であり、工場廃水に垂れ流されたため水俣病が発生しました。

しかし歯科で使われているアマルガムに使用されている水銀は無機(金属)としての無機水銀であり、合金内では安定しています。

アマルガムは安全か

合金内では安定しているとお伝えしましたが、アマルガムが人体に悪い影響が全くないかと言われてしまうと、答えは「NO」となります。


確かに合金として、他の金属と混ざり合った状態では極めて安定しています。

しかし合金も混和前、混和中、アマルガム除去中、そして研究によれば強い咬合力がかかった瞬間に水銀が溶出しているのです。

溶出した水銀は、これまた研究結果で腎臓、脳、肝臓に蓄積しやすいことがわかっています。

溶出や蒸気化した水銀には細胞毒性があるので、人体への影響が懸念されているのです。

コンポジットレジンとの特性比較

①耐久性

アマルガムは金属なので耐久性は樹脂より高いです。咬合力にも耐えることができるため、奥歯の充填に積極的に使われていました。
②操作性

歯を削った後の形状に合わせて充填・成形しやすいので、操作性はいいと言えます。
③審美性

はっきり言って悪いです。銀色のため目立ちます。

さらに中の合金が黒色に変化していきます。

④適合性

CRのように吸水によって寸法変化はしませんが、歯と科学的にくっついてるわけでは無いので、虫歯にはなりやすいです。

終わりに…

先日10/24にイタリアのDr Enzo Attanasioの論文でも、アマルガムをハイブリッドセラミックに置き換える治療の発表をされていました。

海外でも、環境汚染とひび割れ(クラック)が起きやすいという懸念から、徐々に廃れていっています。

是非、金属アレルギーなどの観点からも、一度歯医者でお口の中を診察してもらい、メタルフリーにしていただくことをお勧めします。

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