2024年11月06日
(院長の徒然ブログ)
セプトカイン配合注とは?
厚生労働省から2024年9月24日付けで、「セプトカイン配合注カートリッジ」が製造販売承認されました(麻酔成分の一般名はアルチカイン)。
この薬品は、海外では普通に使われていました(そもそもアメリカでは使用される歯科局所麻酔薬の40%がアルチカイン)が、今まで日本では認可されずに(問題があったわけではない)いました。
今回、岡山大学の宮脇卓也教授の多大なる尽力のおかげで、無事に認可されました。
日本で使う歯科麻酔薬は、この20年間全く変わってなかったのですが、ようやく新風が来たというところです。
今の歯科局所麻酔薬のおさらい
①リドカイン(Lidocaine)
日本で最も多く使用される局所麻酔薬です。商品名でオーラ注やキシロカインというのはこの麻酔薬ですね。
麻酔効果がすぐに効き、効果時間も1から2時間であり、アドレナリンを添加して効果を高めているものも商品化されています。
麻酔薬自体にはアレルギー反応も少ないため、安全性と信頼性が高いですね。
②ブピバカイン(Bupivacaine)
医療系学生にとっては覚えるときに舌を噛みそうになる麻酔薬です。
効果が持続する時間が長くて2から4時間麻酔が持続します。
汎用性が高く、長時間の神経節ブロックや、硬膜外麻酔、脊髄麻酔など、幅広く使用されます。
顎骨切り手術や抜歯など、長時間の麻酔が必要な場合に使用されることがあります。
③メピバカイン(Mepivacaine)
スキャンドネストの商品名で知られています。
効果の持続時間は約1〜2時間とやや短い傾向にあります。
血管収縮剤を含まない上に、防腐剤が入っていないので、他が使用できない患者さんに使います。防腐剤アレルギーとか)
④プリロカイン(プロピトカイン)(Prilocaine)
シタネストの商品名で知られています。
血管収縮剤アドレナリンが添加されていないので、不整脈リスクを避けたい方にフェリプレシン入りのシタネスト使うことがあります。
セプトカイン配合注(麻酔薬アルチカイン)の特性
アートカインとも呼ばれるので、どっちが定着するでしょうね?
それはさておき、特性をお伝えします。
①効果時間は1から2時間
使い慣れているオーラ中に比べてちょっと短いです。
ただ、セプトカイン配合注にはアドレナリンも添加できるので、伸びますね。
②他薬品添加している
1.7mlカートリッジに、アルチカイン塩酸塩68mg、アドレナリン酒石酸水素塩0.031mg、ピロ亜硫酸ナトリウム0.85mg、塩化ナトリウム2.72mgを含みます。
③汎用性が高い
一般診療はもちろん、外科手術、骨髄内麻酔にも使用できます。
④浸透圧が1(生理食塩水に対して)
従来通り、出来るだけ痛くない麻酔のために、浸透圧は調整してあります。
⑤体内に蓄積しにくい
分解速度が早く、体内に蓄積しにくいため、臓器への負担が少ないです。
高齢者や肝障害の方に有効の使用できそうです。
終わりに
いかがでしたか?
確かに日本の歯科医料は先進国からすれば、遅れていますが、今も新しい風を吹かせようと努力している医療従事者がいます。
我々開業医も、可能な限りそれを取り入れて、日本の医療の底上げをして参りますのでよろしくお願いいたします。