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バクテリアセラピーの歯科応用有効性を論文から見てみましょう

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2025年2月13日

バクテリアセラピーの歯科応用有効性を論文から見てみましょう

(院長の徒然ブログ)

はじめに

皆さんは「バクテリアセラピー」という言葉を耳にしたことはありますか?

当院では、乳酸菌(ラクトバチルス)であるロイテリ菌を含有したタブレットを用いて、口腔内の悪い菌を良い菌を用いて抑制し、口腔内の環境改善に取り組んでいます。

こういった菌を持って菌を制す治療を「バクテリアセラピー」と呼びます。

当院では、バイオガイア社製のタブレットを用いて治療に取り組んでいますが、どういった効果があり当院がお勧めしているのかを説明するために、2021年に発表された「The use of Lactobacillus reuteri DSM 17938 and ATCC PTA 5289 on oral health indexes in a school population: A pilot randomized clinical trial」という論文を基に、ロイテリ菌の口腔健康への影響をしっかり解説していこうと思います。

近年、口腔健康における生きた菌(プロバイオティクスと言います)の役割が注目されています。

特に、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)(乳酸菌に属するロイテリ菌という意味)は、口腔内の微生物バランスを整える可能性があるとされ、さまざまな研究が行われています。

今回は、前述の論文からラクトバチルス・ロイテリの口腔健康への影響について詳しく解説します。最後までお付き合いください。

研究の目的と理由

口腔内の健康は、全身の健康に大きな影響を与えることが知られています。

特に、虫歯や歯周病は、口腔内の細菌の塊(バイオフィルム)の形成や微生物の不均衡によって引き起こされることが多いです。

プロバイオティクスは、腸内だけでなく口腔内の微生物環境にも良い影響を与える可能性があり、特にラクトバチルス・ロイテリはその中でも注目されています。

この論文の研究は、ラクトバチルス・ロイテリであるDSM 17938およびATCC PTA 5289(アルファベットと数字は菌の株名です)の使用が、学校に通う子供たちの口腔健康に与える影響を評価することを目的としたパイロットランダム化比較試験です。

(簡単にいうと、研究の対象者を2つ以上のグループにランダムに分け、治療法などの効果を検証する試験であり、実験結果の評価のバイアス(偏り)を避け、客観的に治療効果を評価することができます。

実験対象をランダム化することにより検証項目以外の要因がバランスよく分かれるため、公平に比較することができる試験です。)

この研究の方法

この研究では、特定の学校に通う子供たちを対象に、ランダムに2つのグループに分けました。

一方のグループにはラクトバチルス・ロイテリを含むプロバイオティクスを与え、もう一方のグループには偽薬(要するに本人たちには知らせず偽の薬を渡す)を与えました。

試験期間は数週間で、期間中の口腔健康指標として、

①虫歯の有無

②歯肉の健康状態

③口腔内のバイオフィルムの量

などを定期的に評価しました。

この研究の結果

この研究の結果、ラクトバチルス・ロイテリを摂取したグループでは、偽薬グループに比べていくつかの口腔健康指標が改善されることが確認されました。

具体的には、

①虫歯の発生率が低下

②歯肉の炎症が軽減

③口腔内のバイオフィルムの量も減少

という結果が得られました。

これらの結果は、ラクトバチルス・ロイテリが口腔内の微生物バランスを改善し、口腔健康を向上させる可能性があることを示唆しているのです。

研究結果から言えるロイテリ菌の影響とは?

ラクトバチルス・ロイテリの摂取が口腔健康に与える影響は、いくつかのメカニズムによって説明できます。

①悪玉菌の増殖抑制

ラクトバチルス・ロイテリは、口腔内の有害な細菌の増殖を抑制する作用があります。

特に唾液中のミュータンス菌の増加は明らかに抑制されます。

これにより、虫歯や歯周病の原因となる細菌の数が減少し、口腔内の健康が保たれます。

②口腔内免疫機能の活性化

ラクトバチルス・ロイテリは、免疫系を活性化する作用も持っています。

口腔内の免疫機能が向上することで、感染症に対する抵抗力が高まり、口腔健康が維持されやすくなります。

③口腔内の酸の影響の軽減

プロバイオティクスは、口腔内のpHを調整する働きもあります。

虫歯の原因となるミュータンス菌などは、糖を分解して酸を産生し、それが歯を溶かす原因となります。

しかしラクトバチルス・ロイテリは口腔内のpHが適切に保つことに一役買い、虫歯の原因となる酸の生成が抑えられ、健康な口腔環境が維持されます。

終わりに

今回解説した論文では、ラクトバチルス・ロイテリ(DSM 17938およびATCC PTA 5289)が学校に通う子供たちの口腔健康に良い影響を与えた可能性があることを示唆してくれました。

特に、虫歯の発生率の低下や歯肉の健康状態の改善が確認され、プロバイオティクスの口腔内での利用が有望であることが示唆されました。

今後も大規模な試験や長期的な効果の評価が必要ですが、ラクトバチルス・ロイテリを含むプロバイオティクスは、口腔健康を維持するための新たなアプローチとして期待されます。

特に、子供たちの口腔健康を守るために、日常的なプロバイオティクスの摂取は有効ですので。是非皆さんもその可能性を認識し、バクテリアセラピーを受けることを検討してみてください。

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