2026年1月11日

(院長の徒然コラム)

はじめに
私たちの健康に影響を与える微生物の代表格として細菌、ウイルス、真菌の3つがあります。
(厳密にはこの中に「生物」の定義に当てはまらないものもいますが)
それぞれ異なる特徴や生態を持つこれらの微生物は、感染症の原因となることがあります。
今回のコラムでは、細菌、ウイルス、真菌の違いや、それらに対する治療法、患者さんが良く誤解している内容について詳しく説明します。
正しい知識を身に付けることで、より良い健康管理につなげていきましょう。
細菌について
①細菌とは何か
細菌は単細胞の微生物で、目に見えないほど小さく、主に顕微鏡で観察されます。
細菌は自然界に広く分布し、土壌や水中、生物の体内に存在しています。
多くは無害ですが、一部は感染症を引き起こすことがあります。
②細菌の構造
細菌は、細胞膜、細胞壁、細胞質、核様体(DNA)から成り立っています。
細胞壁はペプチドグリカンで構成されており、抗生物質のターゲットになることもあります。
③有効な薬
細菌感染には「抗生物質」が効果的です。
例えば、ペニシリンやセフェム系抗生物質が広く使われています。
ただし、耐性を持つ細菌が増えているため、適切な診断が重要です。
④病例の紹介
例えば歯周病菌、虫歯の原因となるミュータンス菌、肺炎の原因となる肺炎球菌は細菌感染の一例です。
細菌感染は高齢者や免疫力が低下した人々において重症化しやすく、早期発見と治療が患者の回復に不可欠です。
ウイルスについて
①ウイルスとは何か
ウイルスは細胞ではない微生物で、宿主細胞の内部でのみ増殖します。
ウイルスは遺伝物質(DNAまたはRNA)を持ち、周囲をタンパク質で包まれています。
要するにDNAなどの遺伝情報をタンパク質に囲まれた物体がウイルスなのであり、厳密に言うと生物ではないです。
②ウイルスの構造
ウイルスは非常に小さく、細菌の約100分の1の大きさです。
ウイルスは特有のスパイクと呼ばれる突起を持ち、宿主細胞に侵入します。
③有効な薬
ウイルス感染症には抗ウイルス薬が使用され、例えばインフルエンザウイルスにはオセルタミビル、単純ヘルペスウイルスにはアシクロビルなどが効果的ですが、ウイルスの種類によって治療法は異なります。
④病例の紹介
インフルエンザやCOVID-19はウイルス感染の代表的な例であり、季節性や流行性が特徴です。
ワクチン接種が予防において重要な役割を果たします。
一般的な風邪(流行性感冒)はウイルスが原因なことが多いです。
また、口腔領域では、口唇ヘルペスや帯状疱疹、ヘルパンギーナや手足口病などがあります。
真菌について
①真菌とは何か
真菌は多細胞または単細胞の微生物で、キチン質の細胞壁を持ちます。食物の腐敗や感染症の原因となることがあります。
②真菌の構造
真菌は細胞膜、細胞壁、細胞質から構成され、糸状体(菌糸)が形成されることがあります。これにより宿主から栄養分を吸収しやすくなります。
③有効な薬
真菌感染症には抗真菌薬が用いられ、ミコナゾール、ミカファンギンやアムホテリシンBが例として挙げられます。
感染の種類に応じた適切な薬剤の種類や形状の選択が重要です。
④病例の紹介
カンジダ感染症はあらゆる年齢層に影響を与え、特に免疫が抑制されている患者はリスクが高いです。
早期診断と適切な治療が求められます。
それぞれの病原体に対する誤解と注意点
①誤解の例
多くの人が細菌とウイルスの違いを理解していない場合があります。
例えば、風邪を細菌感染と誤解して抗生物質を求めることがあります。
しかし、風邪の原因はウイルスであるため、抗生物質は全く効果がありません。
(せいぜい二次感染の予防程度です。)
風邪の症状を和らげる治療や休息が重要であることを理解していただくことが必要です。
②それぞれの病原体の治療法の誤解
別の誤解の例として、真菌感染も抗生物質で治療できると誤って認識しているケースがあります。
抗生物質は細菌に対しては効果がありますが、真菌には無効です。
このため、真菌感染症には抗真菌薬が必要であることを理解することが重要です。
③予防の重要性
ウイルス性疾患、細菌性疾患、真菌性疾患の予防策はそれぞれ異なりますが、共通して重要なのは衛生管理です。
手洗いやマスク着用、ワクチン接種、健康的な生活習慣が感染を防ぐための基本です。
季節によって流行する病気にも注意を払い、適切な予防措置を講じることが重要です。
④医療従事者とのコミュニケーション
患者さんは、自身の症状を明確に医師に伝えることが大切です。
診断を受ける際には、具体的な症状やいつから始まったかを詳しく説明しましょう。
疑問や不安があれば、医療従事者に遠慮せず尋ねることが重要です。
そうすれば、より適切な診断と治療が受けられます。
終わりに
細菌、ウイルス、真菌はそれぞれ異なる性質を持ち、それに応じた治療法が必要です。
患者さんにとって、これらの違いを理解し、適切な情報を得ることが非常に大事なことです。正しい知識を持つことで、自己管理が促進され、健康を維持できるでしょう。
私たちの健康は、日常の小さな選択や行動から守られています。
知識を高め、疑問を解消することで、より豊かな生活を送っていただけることを願っています。
