そうだ緑茶を飲もう!緑茶と口腔健康:着色のリスクがあっても飲む理由|広島市中区立町の歯医者(紙屋町、八丁堀、袋町からすぐ)|ブランデンタルクリニック|土曜日、日曜日、祝日診療

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そうだ緑茶を飲もう!緑茶と口腔健康:着色のリスクがあっても飲む理由

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2026年2月16日

そうだ緑茶を飲もう!緑茶と口腔健康:着色のリスクがあっても飲む理由

(院長の徒然コラム)

はじめに

古くから「お茶」は、日本の文化に深く根ざし、日々の生活に安らぎを与えてきました。

特に緑茶は、その豊かな風味だけでなく、多岐にわたる健康効果が科学的に解明されるにつれて、世界中で「機能性食品」として再評価されています。

私たちの健康を支える緑茶の力は、全身だけでなく、口腔内の健康においてもプラスになる効果を発揮することが、明らかになっています。

今回は、緑茶がどのように虫歯、歯周病、口臭といった口腔内の問題にアプローチし、私たちの口を健康に保つのかを、より詳細かつ深く掘り下げて解説します。

緑茶が持つ「力」の源:その主要成分と作用メカニズム

緑茶が口腔健康に寄与する秘密は、その豊富な生理活性成分にあります。特に注目すべきは、以下の成分とその特異な作用メカニズムです。

①カテキン(特にエピガロカテキン-3-ガレート、EGCG)

緑茶の渋み成分であるカテキンは、ポリフェノールの一種であり、その中でもEGCGは最も強力な生理活性を持つとされています。

EGCGは、特定の細菌の細胞壁を破壊したり、細菌の増殖に必要な酵素の働きを阻害したりすることで、抗菌作用を発揮します。

また、炎症反応を引き起こすサイトカインの産生を抑制し、抗炎症作用を持つことが確認されています。

さらに、強力な抗酸化作用により、口腔内のフリーラジカルを中和し、組織の損傷を防ぐ役割も果たします。

すごいぞカテキン!

②その他のポリフェノール

緑茶にはEGCG以外にも様々な種類のカテキンやその他のポリフェノールが豊富に含まれています。

これらの化合物は、単独で作用するだけでなく、相乗的に作用することで抗菌、抗炎症、抗酸化といった緑茶全体の健康効果を高めています。

例えば、タンニン類はタンパク質と結合する性質があり、細菌の酵素活性を阻害したり、細胞への付着を防いだりする可能性があります。

③フッ化物

緑茶の葉には、土壌から吸収された微量のフッ化物が含まれています。

このフッ化物は、歯のエナメル質の構造に取り込まれ、歯質を強化することで酸への抵抗力を高め、虫歯予防に貢献します。

これらの成分が複雑に連携し、口腔内で以下のような多角的なアプローチで健康維持に貢献しているのです。

虫歯との闘い:ミュータンス菌VS緑茶の戦い

虫歯は、主に「ミュータンス菌(Streptococcus mutans)」と呼ばれる細菌が、糖分を分解して酸を生成し、その酸が歯のエナメル質を溶かすことで発生します。

緑茶は、この虫歯の発生メカニズムの複数の段階に介入し、その進行を抑制する効果が期待されています。

①ミュータンス菌の増殖抑制と殺菌効果

EGCGがミュータンス菌の増殖を効果的に抑制し、さらには殺菌効果を持つことが示されています。

例えば、ある研究では、EGCG抽出液が特定の濃度でミュータンス菌に対して有意な発育阻止帯を形成することが報告されています。

⚫︎100 µg/mL: 28.67 mmの発育阻止帯形成

⚫︎75 µg/mL: 15.33 mmの発育阻止帯形成

⚫︎50 µg/mL: 10.33 mmの発育阻止帯形成

※25 µg/mL以下の濃度では発育阻止帯は形成されませんでした。

これは、EGCGが細菌の細胞膜に作用したり、代謝経路を阻害したりすることによるものと考えられます。

②プラーク形成の阻害

ミュータンス菌は、歯の表面に付着して「プラーク(歯垢)」と呼ばれるバイオフィルムを形成します。

このプラークが形成される過程において、細菌はグルカンと呼ばれる粘着性の多糖体を産生します。

緑茶のカテキン、特にEGCGは、このグルカンの合成に関わる酵素(グルコシルトランスフェラーゼ)の働きを阻害することで、細菌の歯面への付着とプラーク形成を妨げることが示唆されています。

プラークの形成が抑制されれば、虫歯の温床が減り、虫歯リスクが大幅に低減されます。

③酸産生の抑制と再石灰化の促進

ミュータンス菌が糖分を代謝する際に生成される酸が歯を脱灰させ、虫歯を引き起こします。

緑茶のカテキンは、細菌の糖代謝経路に影響を与え、酸の産生量を減少させる可能性があります。

さらに、フッ化物が含まれる緑茶を摂取することで、脱灰した歯の表面が再石灰化するのを助け、初期虫歯の進行を食い止める効果も期待できます。

これらの複合的な作用により、緑茶は虫歯予防の新たなアプローチとして大きな期待を集めています。

歯周病との戦い:炎症の制御と組織の保護

歯周病は、歯を支える組織(歯ぐき、歯槽骨など)に炎症が生じる疾患で、進行すると歯が抜け落ちる原因ともなります。

口腔内の特定の細菌(Porphyromonas gingivalisなど)が主な原因ですが、宿主の免疫反応や炎症反応が病態の進行に深く関与しています。

緑茶は、この歯周病の多因子的な病態に対して、包括的な保護作用を発揮します。

①抗炎症作用による歯肉炎の緩和

複数の臨床研究では緑茶の摂取や緑茶成分を含むマウスウォッシュの使用が、歯肉炎の主要な指標である「歯肉炎指数(GI)」、「プラーク指数(PI)」、「歯肉出血指数(GBI)」、「プロービング時の出血(BOP)」などの改善に寄与することが報告されています。

緑茶に含まれるカテキンは、炎症反応を引き起こすメディエーター(サイトカインなど)の産生を抑制し、炎症のシグナル伝達経路に介入することで、歯肉の炎症を鎮めます。

これにより、赤く腫れた歯肉の改善や出血の減少が期待できます。

②歯周組織破壊の抑制

歯周病が進行すると、歯周ポケットが深くなり、「臨床的アタッチメントロス(CAL)」や「プロービングポケット深さ(PPD)」が増加します。

これは、歯槽骨や歯根膜といった歯を支える組織が破壊されていることを意味します。

緑茶のカテキン、特にEGCGは、骨破壊に関わる特定の酵素(マトリックスメタロプロテイナーゼ-9など)の活性を阻害し、破骨細胞の形成を抑制する効果が研究でみられています。

これにより、緑茶は歯周組織の破壊を食い止め、歯周病の進行を遅らせる可能性を秘めているのです。

③抗酸化作用による組織保護

歯周病の炎症部位では、活性酸素種が過剰に産生され、酸化ストレスが増大します。

この酸化ストレスは、歯周組織の細胞にダメージを与え、炎症をさらに悪化させる要因となります。

緑茶の強力な抗酸化作用は、これらの活性酸素種を効率的に除去し、歯周組織を酸化ダメージから保護することで、病態の改善に貢献します。

口臭との戦い:商談には緑茶携帯

口臭は、口腔内の細菌がタンパク質やアミノ酸を分解する際に産生される揮発性硫黄化合物(VSC)が主な原因です。

緑茶は、この口臭の原因物質に対して直接的および間接的な効果を発揮し、口臭の改善に寄与することが示されています。

①VSCの直接的除去・中和

緑茶に含まれるカテキンやその他のポリフェノールは、VSCと結合して不活性化したり、VSCの産生を抑えることで、口臭を直接的に軽減する効果があると考えられています。

マウスウォッシュがない時、緑茶を使用することで、即時的な口臭抑制効果が期待できます。

②口臭原因菌の抑制

歯周病原菌を含む口腔内の特定の細菌は、VSCの主要な産生源です。

緑茶の抗菌作用により、これらの口臭原因菌の数を減らすことで、VSCの産生そのものを抑制し、口臭を根本的に改善する効果も期待できます。

全身の健康と口腔健康の密接な関連性

口腔健康は、単に口の中だけの問題ではなく、糖尿病、心臓病、脳卒中といった全身疾患と密接に関連していることが明らかになっています。

緑茶は、口腔内での直接的な効果に加え、血糖値のコントロール、コレステロール値の改善、血圧の安定化など、全身の健康に対する様々な良い影響が報告されています。

これらの全身作用が、間接的に口腔内の炎症を抑制し、歯周病の改善に繋がる可能性も考えられます。

例えば、緑茶が糖尿病の予防や管理に役立つことで、糖尿病と関連が深い歯周病の重症化を抑制する効果も期待できるでしょう。

既存治療との比較と緑茶の立ち位置:安全性と補助的役割

緑茶の口腔健康への効果は非常に有望ですが、その役割は既存の治療法を完全に置き換えるものではなく、主に補助的な習慣飲料としての位置づけが適切です。

例えば、口腔衛生のゴールドスタンダードとされる殺菌剤「クロルヘキシジン(CHX)」は、強力な抗菌作用を持ちますが、長期間の使用で歯の着色、味覚の変化、口腔内粘膜の刺激といった副作用が報告されています。

これに対し、緑茶は副作用が少なく、自然由来である点が大きな利点です。

(まあ茶渋は付きますが)

したがって、緑茶は、CHXのような強力な薬剤が適さない場合や、副作用が気になる患者にとって、あるいは日常的な予防ケアとして、非常に有用な選択肢となり得ます。

例えば、歯周病の初期治療(スケーリング・ルートプレーニング)の補助として緑茶抽出物を使用することで、病原菌の数をさらに減らし、治療効果を高めるという研究結果もあります。

また、日々の口腔ケアに緑茶成分を取り入れることで、口腔内の健康状態を維持し、より積極的な予防へと繋げることができます。

日常生活への緑茶の導入:実践的なヒント

これらの科学的見解を踏まえると、緑茶を日常生活の口腔ケアに取り入れることは、非常に有用であると言えるでしょう。

例1:食後の緑茶うがい

マウスウォッシュがない場合、食事後や間食後に、煎れたての緑茶(冷ましてから)で30秒から1分程度うがいをすることで、口腔内の細菌数を減らし、食べかすを除去する効果が期待できます。

特に歯ブラシが届きにくい部分にも緑茶成分を届かせることができます。

(ただし茶渋がつく可能性があります!)

例2:日常的な飲用

食事中や食後に温かいまたは冷たい緑茶を飲む習慣は、口腔内を清潔に保ち、全身の健康をサポートします。

カフェイン摂取を控えたい場合は、カフェインレスの緑茶を選ぶか、飲む量を調整しましょう。

例3:緑茶成分配合製品の活用

市販されている緑茶エキス配合の歯磨き粉やマウスウォッシュを日常のケアに取り入れることで、手軽に緑茶の恩恵を受けることができます。

製品を選ぶ際には、配合されている緑茶成分の種類や濃度を確認することも一つのポイントです。

※注意点

緑茶は優れた自然由来の素材ですが、あくまで補助的なものであることを忘れてはいけません。

毎日の丁寧な歯磨き(ブラッシング)、デンタルフロスや歯間ブラシの使用、そして定期的な歯科医院での健診とプロフェッショナルクリーニングは、口腔健康維持の基本であり、最も重要です。

また、緑茶による歯の着色が気になる場合は、歯科医院で相談し、適切なクリーニングを受けるようにしましょう。

終わりに:緑茶が拓く、新しい口腔健康の未来

緑茶は、その豊かなカテキン、ポリフェノール、フッ化物といった成分により、虫歯菌の抑制、プラーク形成の阻害、歯周組織の炎症軽減、口臭の改善、そして全身健康への寄与を通じて、私たちの口腔健康に多岐にわたる恩恵をもたらす可能性を秘めた「自然の恵み」です。

抗生物質耐性の問題や既存の抗菌薬の副作用が懸念される現代社会において、緑茶のような自然由来で、患者の身体にも環境にも優しい選択肢は、今後の歯科医療において有用性を増していくでしょう。

もちろん緑茶に関する科学的な研究はまだ発展途上にあり、さらなるエビデンスの蓄積が求められますが、今日から緑茶を日常生活に取り入れることは、あなたの口腔健康を守り、より豊かな生活を送るための一歩となるはずです。

美味しく、そして健康的な緑茶の恩恵を、ぜひ最大限に活用してみてください。

この一杯の緑茶が、あなたの口腔健康、ひいては全身の健康を守る強力なパートナーとなることを願っています。

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