2024年10月12日
(院長の徒然ブログ)
⚫︎八重歯とは
八重歯という言葉を皆さんはご存知ですか?
前から3番目の歯である犬歯が、他の歯並びから外れてはみ出してしまった状態のことです。犬歯は全部の歯の中で歯根の長さが1番長く、歯の噛み合わせ…特に顎を横に動かす運動(側方運動)の際、負担を肩代わりしてくれる大事な歯なのです。
そのため、別名鍵となる歯…キートゥース(key tooth)とも呼ばれています。
八重歯はこの犬歯が歯並びから外れているため、側方運動時に他の歯の負担が大きくなっってしまうのです。
⚫︎八重歯の原因は?
この八重歯ですが、発生率は10%程度で、日本では八重歯が可愛いという評価をされることがありますが、海外で八重歯だと矯正治療を行わずに放置していると評価されます。
この八重歯の原因としては以下のものが挙げられます。
①顎の大きさが歯の大きさに比べて小さく、不十分なため、横の歯の中では比較的遅く生える犬歯がスペースが無くて横から生えてくる。
②顎の成長が芳しくなく、顎のスペースが不足して、犬歯が横から生えてしまう。
③乳歯が適切な時期になっても抜けずに、永久歯が乳歯の根が邪魔で外側に向かって生えてくるため犬歯がはみ出る
代表的な原因は以上の3つです。
⚫︎不正咬合と歯の生存率
八重歯があるということは、側方運動時の他の歯の負担が過大になるということは、お伝えしたとおりですが、不正咬合である「開咬(前歯が外側に倒れていて、噛んだ状態で前歯が全く当たっていない噛み合わせ)」や、反対咬合(下の歯が上の歯よりも前に出ている噛み合わせ)」もまた、犬歯が機能していない噛み合わせです。
そういった不正咬合について興味深いデータがあります。
8020(80歳で20本残存)を達成した人たちの中で、こういった不正咬合の持ち主は1人もいなかったのです。
出典:「Dental Prescaleを用いた8020達成者の咬合調査」竹内史江、宮﨑晴代他 歯科学報 105(2)154-162,2005年
言い換えると、不正咬合の持ち主は8020達成が非常に困難であるとも言えます。
八重歯というのはそれだけで歯の清掃がしにくいですし、他の負担をあげてしまう。
ですので、しっかりと正常な咬合に戻してあげて、将来歯が残るようにしてあげる必要があるのです。
それを可能にするのが「矯正治療」です。
日本で矯正治療は、見た目を整えるために行うという認識が広まっています。
よもちろん審美も大切なのですが、機能としての歯の本来の役割を復旧させるという大事な意義もあるのです。
是非、将来の歯の保存という観点からも、矯正治療を治療の選択肢の一つとして考えてみてください。