2026年1月19日

(院長の徒然コラム)

はじめに
皆さんはマウスウォッシュを普段使用されていますか?
毎日の歯みがきに加えて、マウスウォッシュを上手に使うと、お口の健康をより効果的に守ることができます。
本コラムでは、マウスウォッシュの働きや主な成分、それぞれの目的に合った選び方、正しい使い方と注意点をわかりやすくご説明します。
「自分にはどれが合うのか」「どう使えばいいのか」をわかる内容にしておりますので、是非読んでみてください。
そして安全で効果的なセルフケアに役立てましょう。
マウスウォッシュの主な役割
①口腔内の細菌の減少
口の中の悪い菌を減らし、むし歯や歯周病のリスクを下げる手助けをします。
②口臭の改善
においの元となる物質を減らしたり、香りで一時的にマスキングして消したりします。
③フッ素補填
フッ化物が含まれる製品は歯磨きのうがい後に使用することで歯の再石灰化を助け、むし歯予防に役立ちます。
④保湿や炎症の軽減
ドライマウスの改善や歯肉炎の症状を和らげる製品もあります。
マウスウォッシュに含まれ得る成分の詳細
◾️薬用成分(有効成分)
①クロルヘキシジングルコン酸塩液(CHG)
⚫︎役割
広範囲の細菌に対する強い抗菌作用を示します。歯周病や術後感染予防など、実際の消毒にも使われることがあります。
⚫︎作用機序
細菌の細胞膜に結合してイオン透過性を妨害して細菌の増殖を抑えます。
⚫︎注意点
濃度にもよりますが、長期使用で歯や舌の着色、味覚変化、口腔粘膜の刺激が出ることがあります。
②グリチルリチン酸アンモニウム / グリチルリチン酸ジカリウム(GK2)
⚫︎役割
抗炎症・鎮静作用をもち、歯肉の炎症や刺激を和らげる目的で配合されます。
⚫︎作用機序
炎症の原因となる物質の放出を抑えることで、腫れや痛みの緩和に寄与します。
⚫︎注意点
通常は安全ですが、アレルギーや過敏症がある場合は使用を中止してください。
③塩化セチルピリジニウム(CPC)/セチルピリジニウム塩化物水和物
⚫︎役割
界面活性により細菌膜を破壊する抗菌成分で、口臭改善やプラーク抑制に用いられます。ドラッグストアなどでよく売られているマウスウォッシュに多く使われます。
⚫︎作用機
陽イオン性界面活性剤として細菌表面に作用し、細菌を不活化します。
⚫︎注意点
味覚異常や舌の刺激が出ることがあり、まれに口内炎などを起こす場合があります。
④トラネキサム酸(TXA)
⚫︎役割
止血作用や粘膜の炎症抑制に使われることがあり、歯ぐきの出血を抑える目的で配合される場合があります。
⚫︎作用機序
フィブリン分解(プラスミン)を抑えることで出血を減らし炎症を抑えます。
⚫︎注意点
内服の既往や血栓症のリスクがある方は使用に注意が必要です。とはいえ局所使用では全身的な副作用は少ないです。
⑤塩化亜鉛
⚫︎役割
消臭(口臭抑制)や抗菌作用を持ち、口臭改善製品に配合されます。
⚫︎作用機序
揮発性硫黄化合物(口臭原因物質)と結合して中和します。
⚫︎注意点
マウスウォッシュ内の配合量は大したことありませんが、長期高濃度使用の影響には注意が必要で、製品表示に従ってください。
⑥イソプロピルメチルフェノール(IPMP)
⚫︎役割
抗菌作用をもつ保存・薬用成分として、歯周疾患や口臭対策に用いられます。
⚫︎注意点
刺激やアレルギーが出る人もいるため注意が必要です。
⑦1,8‑シネオール、チモール、サリチル酸メチル、ℓ‑メントール(エッセンシャルオイル系)
⚫︎役割
天然系の抗菌・消臭作用と爽快感を与える香味成分です。口臭を即時的に改善する効果があります。
⚫︎注意点
アルコールと組み合わせることが多く、口腔刺激や乾燥を感じることがあります。アレルギーにも注意が必要です。
⑧その他の薬用成分
⚫︎サリチル酸メチル
消炎・鎮痛補助の役割を果たす場合があります。
塩化亜鉛やその他微量薬用成分は、製品ごとに目的(消臭、抗菌、止血など)で配合比が異なります。
◾️溶剤・溶解補助剤
①エタノール(溶剤)
⚫︎役割
成分の溶解や香味成分の拡散を助け、殺菌効果の補助にも寄与します。
⚫︎注意点
アルコールに敏感な方は口腔の乾燥・刺激を感じることがあります。そういう方はアルコールフリー製品を選択しましょう。
②PG(プロピレングリコール)/ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等(溶解補助剤)
⚫︎役割
水に溶けにくい成分を均一に溶かすための補助剤です。粘度調整にも使われます。
⚫︎注意点
まれに刺激やアレルギー反応を起こす人がいます。
◾️湿潤剤・保湿成分
①グリセリン、濃グリセリン、ソルビット液、ソルビット液(湿潤剤)
⚫︎役割
製品の飲みやすさや口当たりをよくし、保湿効果でドライマウスの不快感を和らげます。
⚫︎注意点
糖アルコール系成分(ソルビット等)は多量だと下痢を起こすことがありますが、うがい程度の使用で問題になることは稀です。
◾️清掃剤・発酵物
①デキストリン、乳酸桿菌/コメ発酵物
⚫︎役割
軽度の着色除去や、最近の製品では善玉菌を助けたり口腔環境を整える目的で配合されることがあります。
⚫︎注意点
効果は穏やかで、頑固な着色や色素沈着は歯科でのクリーニングが必要です。
◾️香味剤・矯味剤・甘味料
①メントール、香料(クリアハーブミント、スプラッシュシトラスミント、ペパーミント等)
⚫︎役割
爽快感とマスキング効果(口臭の一時的覆い)を提供します。
⚫︎注意点
強い香味やアルコールと合わせると刺激が強く感じられることがあります。
②サッカリンNa、スクラロース、キシリット(キシリトール)
⚫︎役割
甘味付けで使用感を良くする。また、キシリトールはむし歯予防に役立つ成分として積極的に配合されます。
⚫︎注意点
人工甘味料に対する好みや過敏がある人は成分表示を確認してください。
◾️可溶化剤・界面活性剤
①POE硬化ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等
⚫︎役割
油溶性成分(香料やエッセンシャルオイル)を水層で安定させ、均一に配合するために用いられます。
⚫︎注意点
界面活性作用により泡立ちやしみる感じを生じることがあります。ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)など強い界面活性剤は刺激が強いので注意です。
◾️pH調整剤
①クエン酸Na、クエン酸、リン酸二水素Na/リン酸一水素Na、安息香酸ナトリウム
⚫︎役割
製品のpHを適切な範囲に保ち、成分の安定化や口腔への刺激を抑えるために使われます。pHは薬効の発現や保存性にも影響します。
⚫︎注意点
強い酸性やアルカリ性は歯や粘膜への刺激になるため、製品は適切に調整されていますが、製品使用時に違和感を感じる場合は直ちに使用を中止してください。
◾️保存剤(防腐剤)
①パラベン類(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン等)、安息香酸、安息香酸ナトリウム
⚫︎役割
微生物の増殖を防ぎ、製品の安全性と保存性を保ちます。
⚫︎注意点
まれに防腐剤に対するアレルギー反応が起こることがあります。過敏のある方はアルコールフリーやパラベンフリーの表示を確認してください。
◾️清涼・マスキング成分(矯味剤)
①緑茶抽出液(矯味剤)
⚫︎役割
渋みや苦みを抑え、同時に抗酸化・軽度の抗菌作用を期待して配合されることがあります。
⚫︎注意点
天然由来ですがアレルギー反応が出ることもあります。
◾️その他補助成分
デキストリンや微量の香味調整成分は、使用感や見た目(透明度)を向上させるために配合されます。
使い方
①必ずラベルの用法を確認しましょう。製品ごとに量や回数が違います。
②基本は歯磨きのあとに使うと効果的です(特にフッ素配合の場合)。
③10〜20mlを口に含み、30秒〜1分うがいしてから吐き出します。長時間すすぎ続ける必要はありません。
④飲み込まないでください。特に小さなお子さんは誤飲に注意が必要です。
⑤副作用(刺激、味の変化、歯の着色など)が出たら使用を中止し、歯科医に相談してください。
目的別の選び方
①むし歯予防
フッ化物入りを選んで、毎日の歯磨きのあとに使いましょう。子どもは飲み込まないように気をつけてください。
②歯周病・歯肉炎のケア:軽度の予防には
CPCや消炎作用の成分が入っているものを選びましょう。
③口臭対策
即効性を求めるならエッセンシャルオイルや香味の強いもの、原因菌を減らしたいなら抗菌成分入りがよいです。
ただし根本原因(歯周病や舌の汚れなど)があるなら治療が必要です。
④ドライマウス(口の乾き)
アルコールフリーで保湿成分が入ったものを選びます。刺激が少なく、就寝前の使用が楽です。
⑤小児・高齢者・妊婦
アルコールフリー・低刺激のものを選びましょう。予め医師や歯科医と相談すると安心です。
製品タイプ別の特徴
①市販のフッ化物入り
むし歯予防に手軽に使えます。毎日続けるのに向いています。
②市販の抗菌タイプ(CPCなど配合品)
口臭や軽い歯肉炎のセルフケアに適しています。アルコールの有無を確認しましょう。
③歯科医院処方(クロルヘキシジン)
強い抗菌効果があり、術後や重度の歯周炎の短期管理で使われます。長期間の使用は避けましょう。
④保湿タイプ:ドライマウスの方専用。アルコールが入っていないことが多く、低刺激で安心して使えます。
⑤ホワイトニング補助
着色を軽く落とす成分が含まれますが、専門的なホワイトニングと比べ効果は限定的です。刺激を感じる場合は中止してください。
注意点(安全に使うために)
①マウスウォッシュはあくまで「補助」です。正しい歯磨きと歯間清掃、定期的な歯科検診が基本です。
②クロルヘキシジンは着色や味覚変化が出ることがあります。長期連用は避けましょう。
③アルコール入りは口の乾きや刺激を招くことがあります。敏感な方やアルコールを避けたい方はアルコールフリーを選んでください。
④子どもが使う場合は誤飲に注意し、年齢制限を守りましょう。フッ素も過量摂取に注意が必要です。
⑤持病(糖尿病など)や妊娠中で心配な場合は、かかりつけの歯科医や主治医に相談してください。
よくある質問
Q1:毎日使っても大丈夫ですか?
A1:多くの市販フッ化物製品や抗菌タイプは1日1〜2回の使用で問題ありません。治療用CHXは短期使用が原則です。
Q2:うがいのあと水で口をゆすいでもいいですか?
A2:フッ素配合製品はゆすがない方が効果的です。製品の指示に従ってください。
おわりに
マウスウォッシュは正しく選び、正しく使えばお口の健康を守る強い味方です。
まずは目的(むし歯予防、口臭対策、ドライマウスなど)をはっきりさせ、それに合った成分やタイプを選びましょう。
症状が改善しない、または不安があるときは遠慮なく歯科医師に相談してください。
ご希望であれば患者さんのの年齢やお口の状態に合った具体的な製品の例や使い方を一緒に考えます。
是非ご相談くださいね。
