歯石の形成メカニズムとその関与因子|広島市中区立町の歯医者(紙屋町、八丁堀、袋町からすぐ)|ブランデンタルクリニック|土曜日、日曜日、祝日診療

〒730-0032 広島県広島市中区立町2-1 立町中央ビル4F

082-258-6411

ネット予約はこちらから
受付

歯石の形成メカニズムとその関与因子

歯石の形成メカニズムとその関与因子|広島市中区立町の歯医者(紙屋町、八丁堀、袋町からすぐ)|ブランデンタルクリニック|土曜日、日曜日、祝日診療

2026年1月17日

歯石の形成メカニズムとその関与因子

(院長の徒然コラム)

はじめに

歯石は口腔内の健康において非常に重要な要素であり、歯周病や虫歯の足がかりになることがあります。

このため、歯石の形成メカニズムを理解し、その予防に努めることが非常に大切です。

実際、歯石はプラークが硬化したものであり、プラークが除去されることがなければ、時間の経過とともに形成され、見えない場所でさまざまな影響を及ぼすことがあります。

本コラムでは、歯石がどのように形成されるのか、そのプロセスや関連する要素について詳しく解説していきます。

唾液の役割や微生物の関与、そして口腔内で歯石が生成される口腔環境といった重要な要素について掘り下げてみます。

これを通して、読者の皆様には自分自身の口腔の健康を維持するための知識を深めていただければと考えています。

歯石の基本概念

①歯石の定義

歯石は、歯に付着したプラークが硬化して形成された石灰化物質であり、歯肉上(歯肉縁上歯石)または歯肉下(歯肉縁下歯石)に存在します。

歯石は、その主成分としてカルシウム、リン酸塩、炭酸カルシウムなどが含まれ、さらに細菌やプラークの残留物が含まれています。

②プラークの形成とその経過

プラークは、食後の数時間内に形成され、その後数日内で石灰化が進む可能性が高まります。

形成過程は以下のように進みます。

1. 初期プラーク形成

食後、細菌が歯牙の表面に付着し、バイオフィルム形成を開始します。主にStreptococcus属などのグラム陽性のレンサ球菌などが最初に集まり定着していきます。

2. プラークの成熟

時間が経つと、プラーク内の細菌の多様性が増し、グラム陰性細菌が増加することで、さらに複雑なバイオフィルムを形成します。

この成熟した層には、歯周病菌などの悪玉菌も多くなってしまいます。

唾液の役割

唾液は、歯石形成において非常に重要な役割を果たします。

というより、歯石は実は唾液が作っているのです。

①成分の供給

唾液中のカルシウムとリンは、プラーク内に浸透し、プラーク自体を石灰化してしまいます。

これにより、プラークは固められて数日以内に、歯石が形成されます。

②抗菌作用

唾液に含まれるリゾチームや免疫グロブリンは、細菌の活動を抑制し、口腔内の細菌数を抑制します。

しかしながら、唾液の分泌が不十分である場合、抗菌作用があまり発揮されない結果、プラークが溜まりやすくなり、それだけ歯石も増えるリスクがあります。

アルカリフォスファターゼ(ALP)の役割

ALPは、歯石形成における重要な酵素であり、以下のような役割を果たします。

①リン酸エステルの加水分解

ALPは、本来歯の再石灰化プロセスにおいて、リン酸化合物を加水分解し、反応生成物としてカルシウムの沈着を促します。

そしてリン酸とカルシウムの結合を助けます。

②再石灰化の促進

 歯の組織における再石灰化過程において、ALPがカルシウムの沈着を促進することで、効率的な石灰化が行われます。

③病理学的側面

ALPの活性が異常である場合、骨の疾患や歯周病が疑われることがあります。

(重度歯周病は骨の破壊などが起こるため、異常が見られるケースがあります。)

ALPは体内でのミネラルバランスを調整する重要な酵素です。

低フォスファターゼ症などは、歯医者が最初に気づくことが多い疾患なのです。

このように、アルカリフォスファターゼは再石灰化に非常に関与する酵素ではあるのですが、唾液のpHがアルカリ性に傾くと歯石ができやすい傾向があることもわかっています。

ALPと直接的な歯石の形成メカニズムにはまだ研究が必要ですが、今後正確なメカニズムがわかってくるかもしれません。

(関与に有意性は見られないという研究もあります。)

歯石の種類

①歯肉縁上歯石

歯肉上に存在し、一般に視認しやすい。

プラークが硬化して形成され、色が灰色、黄白色から茶色になることがある。

②歯肉縁下歯石

歯肉縁下歯石は、歯肉の下部分に形成され、視認しにくいのが特徴です。

このタイプの歯石は特に歯周病の進行に関連しており、診断が遅れる可能性があります。

色は黒褐色や黒色です。

歯石形成に影響を与えるリスク因子

歯石が形成されるリスクは多くの要因によって影響を受けます。

①食生活

高糖質や高酸性の食品は、プラークの形成を促進します。

特に、甘い飲み物や加工食品は、虫歯や歯石形成のリスクを高めます。

②口腔衛生の維持

定期的な歯磨きやフロスの使用が行われない場合、プラークが蓄積し、歯石形成が進みます。

適切な歯磨きを行うことはは歯石予防に重要です。

③唾液の分泌量

唾液の分泌が減少すると、口腔内の自浄作用が低下し、プラークの貯留が起こりやすくなり、歯石形成しやすくなります。ストレスや脱水、特定の薬剤などが唾液分泌に影響を与えることがあります。

また、逆に唾液の分泌が過多であっても、唾液腺の開口部位の歯に、歯石ができやすくなってしまいます。

④喫煙

喫煙は口腔内の血流を減少させ、また唾液の質を変化させる要因となります。

これによりプラークと歯石が形成されやすく、さらに歯周病のリスクを高めることが知られています。

歯石付着を診断し、除去しましょう

歯石付着部位を見極め除去することは、歯周病治療において重要なプロセスです。

①歯石付着部位判断

⚫︎視診

顕著な歯肉縁上歯石は視覚的に確認できますが、歯肉縁下歯石は歯周ポケットの測定により特定します。

⚫︎レントゲン検査

歯肉嚥下歯石などの貯留が多い場合、レントゲン検査でも歯石が映ることがあります。

また、歯周病の骨の破壊度合いも診断可能です。

⚫︎歯周ポケットの測定

歯肉の健康を評価するために、プローブを使用して歯周ポケットの深さを測定します。

ポケットが深く炎症がある場合、歯石の蓄積が疑われます。

②治療法

⚫︎スケーリング

スケーリングは、歯石を物理的に除去する手技で、特に超音波スケーラーを使用することが一般的です。定期的なスケーリングは、歯石の蓄積を防ぎます。

⚫︎ルートプレーニング

スケーリング後、歯の根を滑らかにするための治療です。

これにより深い部分に付いている歯石を除去するとともに、汚染部も除去でき再度プラークが付着しにくくなります。

⚫︎薬物処方

術後、必要に応じて抗生物質や抗菌剤が処方されることがあります。

特に重度の歯周病の場合は、薬物投与が必要になるケースもあります。

歯石と全身健康の関連性

近年の研究では、口腔健康と全身疾患との関連が注目されています。

①心血管疾患との関連

歯周病が心疾患や脳卒中のリスクを高めることが示されています。

慢性的な炎症が血管の健康に悪影響を及ぼす可能性があるからです。

②糖尿病

糖尿病患者は、歯周病が進行しやすいことが知られています。

逆に、歯周病の存在が糖尿病の管理を難しくすることが示唆されています。

③呼吸器疾患

歯周病が呼吸器系の健康に影響を与えることも報告されています。

口腔内の細菌が呼吸器に感染するリスクを増加させる可能性があります。

特に高齢者の場合、肺炎全体の7割以上(70歳以上で70%以上、90歳以上で95%以上とも)を誤嚥性肺炎が占め、肺炎死亡の7割以上を占めています。

歯石形成予防のために正しい知識を!

口腔健康を維持するためには、患者さん自身が正しい知識を身につけることが重要です。

①正しい歯磨きの指導を受ける

効果的な歯磨きは、歯石形成を抑えるための基本です。できれば1日3回のブラッシングが推奨されており、歯ブラシはやわらかいものを選び、45度の角度で歯と歯茎の際を小刻みに動かすことが望ましいです。

②デンタルフロス、歯間ブラシの使用

最も忘れられがちな部分でもある歯間の清掃には、デンタルフロスが効果的です。

フロスや歯間ブラシによって、ブラシでは届かない部分のプラークや食物残渣を除去し、歯石の蓄積を防ぐことができます。

③定期的な歯科検診

定期的な歯科検診は、歯石貯留の早期発見と治療につながります。一般的には3か月ごとの受診が推奨されます。

④誤った知識の修正

時には、間違った情報が患者の口腔衛生習慣に悪影響を及ぼすことがあります。

例えば、「歯石は自然に除去できる」とか「歯ブラシを頑張れば歯石はつかない」とか「歯石がついても歯ブラシで取れる。」などの誤解を解くことが重要です。

歯石は自然に解消されず、プロフェッショナルな治療を必要とします。 

また、歯ブラシは歯茎の下までは十分に届かないため、歯肉縁下歯石はどんなに歯ブラシを頑張ってもある程度つきます。

ですので、歯科医院で定期的に取る必要があるのです。

注意喚起:自宅での歯石除去器具の使用について

近年、ドラッグストアなどで販売されている自宅用の歯石除去器具が注目を集めていますが、私たちはこれらの使用を推奨いたしません。

歯石は適切な技術と知識を持った専門家によって安全に除去した方が良いものです。

自宅での器具使用は誤った方法や力加減で行われることが多く、市販の器具は材質も歯が傷つきやすい素材のケースが多いです。

使用すれば以下のリスクが伴います。

①口内の傷や感染

不適切な器具の使用により、歯茎や他の口内組織を傷つけ、感染を引き起こす可能性があります。

しかも病院の器具と違い滅菌もしていません。

②歯の損傷

力をかけすぎることにより、歯の表面が傷ついたり、割れたりすることがあります。

③正確な状態の把握が難しい

歯科医師による定期的な診断がなければ、虫歯やその他の歯の問題を見逃してしまうリスクがあります。

歯石を取るつもりで、虫歯を抉った…なんてケースも実際にあります。

このように自宅での歯石除去器具の使用は、かえってお口の健康を損なう原因となります。

安全で効果的なアプローチを行うためにも、専門の歯科医師との相談をお勧めします。

終わりに

歯石の形成メカニズムは、プラークの形成から始まり、唾液の役割や口腔環境などが密接に関与しています。

情報を深く理解することで、適切な予防策が講じられ、歯周病や虫歯に対する抵抗力が向上します。

定期的な歯科診療と患者教育を通じて、全ての患者さんが健康な口腔環境を維持できるよう努めて参ります。

歯石形成のメカニズムを理解し、効果的な予防策を実行することで、長期的な口腔健康を実現していきましょう。

TOP