2024年10月12日
(院長の徒然ブログ)
⚫︎有機フッ素化合物とは
歯科業界を含む医療業界というのは、時折とんでもないデマに頭を悩ませることがあります。
例えば「インフルエンザ治療薬タミフルを飲んだら異常行動を起こす」などです。
実際このタミフルのケースだと、異常行動は結局インフルエンザ脳症が原因だったことが分かっていますが、メディアはそのことを大体的に報道してくれません。(実は勘違いでしたなんてニュースは誰の興味も惹かないですしね…)
そういったケースのデマで、新たなデマが起こっています。
数ヶ月前より、水道に発がん性のある有機フッ素化合物が含まれるというニュースが流れていたことを、皆さんご存知かと思います。
当然のようにこんなデマが流れました。
「歯医者では口の中に発がん性のあるフッ素化合物を塗っている」
……先に結論からお話しします。完全にデマです。発がん性はありません。
そもそも今回話題となっているのは”有機”フッ素化合物(C8HF17O3S、C8HF15O2 など)であり、歯科で使う”無機”フッ素化合物(NaF、SnF2など)とは違います。
有機フッ素化合物物は、自然界には存在せず、日本では界面活性剤、フライパンのコーティング、泡消化剤などで使われてきました。
乳がんや腎臓がんなどの発がんリスクを上げてしまうことや、肝障害、甲状腺障害、ワクチンによる免疫効果の低下などの原因となりうることもわかってきています。
⚫︎歯科で使う無機フッ素化合物
無機フッ素化合物とは、金属イオンとフッ素の化合物で、自然界にも存在します。
現在無機フッ素化合物は、歯磨剤や小児へのフッ素塗布などに使用されており、その効果は適量摂取で、歯質の強化や骨質の強化が挙げられます。
日本の水道水質基準値では上限0.8mg/ℓ以下と定められており、むしろ低すぎるからもっと水道に無機フッ素化合物を入れるべきだという声もあるくらいなのです。
実際に水道水のフロリデーション(虫歯予防を目的として水道水のフッ化物濃度を、副作用なく虫歯の発生率を大きく抑制する適正量(約1ppm)まで調整する方法)は、世界中で行われており、日本でも試験的に行われたこともあるのです。
このように、無機フッ素化合物と有機フッ素化合物は効果も性質も違うものなのです。
⚫︎無機フッ素化合物の副作用
先ほど適量摂取での無機フッ素化合物の効果を説明いたしましたが、大量に摂取すれば副作用が出ることもあります。何事も過ぎたるは及ばざるが如しです。
全身的には下痢、嘔吐、腹痛などです。
歯のフッ素症としては歯に白色から褐色の斑点ができる斑状歯などが挙げられます。
いずれにせよ、適正量使用では問題ありませんし、一回に使う歯磨き粉の量を飲み込んだとて、問題はありません。
。フッ素化合物のことで、もしご不明点や心配事などございましたら、お気軽にご相談ください。