歯周病菌の最強悪玉菌!レッドコンプレックスとは?|広島市中区立町の歯医者(紙屋町、八丁堀、袋町からすぐ)|ブランデンタルクリニック|土曜日、日曜日、祝日診療

〒730-0032 広島県広島市中区立町2-1 立町中央ビル4F

082-258-6411

ネット予約はこちらから
受付

歯周病菌の最強悪玉菌!レッドコンプレックスとは?

歯周病菌の最強悪玉菌!レッドコンプレックスとは?|広島市中区立町の歯医者(紙屋町、八丁堀、袋町からすぐ)|ブランデンタルクリニック|土曜日、日曜日、祝日診療

2026年1月13日

歯周病菌の最強悪玉菌!レッドコンプレックスとは?

(院長の徒然コラム)

はじめに

歯周病は、歯と歯茎の周囲に存在する細菌によって引き起こされる炎症性疾患であり、進行すると歯を失う原因となります。

昔から歯周病は、特定の細菌群が病原性に大きく関与していることが明らかになっていました。

その中でも「レッドコンプレックス」と呼ばれる細菌群は特に危険度が高く注目されています。

今回のコラムでは、レッドコンプレックスの特徴、予防法などについて詳しく解説します。

レッドコンプレックスとは?

①定義と構成

レッドコンプレックスは、歯周病の根本的な原因となる細菌のグループであり、特に以下の三種の細菌から構成されています。

1. Porphyromonas gingivalis (P. gingivalis)

2. Tannerella forsythia (T. forsythia)

3. Treponema denticola (T. denticola)

これらの細菌は、歯周病の進行において、他の細菌と相互作用しながら強力な病原性を示します。

②主な特徴

レッドコンプレックスに属する細菌は、嫌気性でグラム陰性の桿菌であり、体の免疫系の応答を回避する能力に優れています。

それぞれの細菌は、毒素を産生し、宿主組織を破壊することによって、歯周病を引き起こす原因となります。

レッドコンプレックスが危険と言われてきた研究背景

①歯周病との関連性

数多くの研究が、レッドコンプレックスと歯周病の関連性を示しています。

ここではその一部を紹介いたします。

例1

Kornman氏らの研究では、P. gingivalisが特に重度の歯周病患者において高頻度で検出されることが示されました。

この研究は、レッドコンプレックスが歯周病の進行において重要な役割を果たすことを確認しています。

例2

Haffajee氏らの研究でも、T. forsythiaやT. denticolaが歯周病患者のプラーク中に多く認められることが報告されています。

②系統樹解析

最近の分子生物学的手法による系統樹解析(DNAやタンパク質配列などの情報(分子データ)を用いて、生物の進化の過程や種間の関係性(系統)を推定し、それを「系統樹」と呼ばれる木の図として表現する科学的手法)により、レッドコンプレックスが他の歯周病関連細菌よりも明確に区別されていることが示されています。

これにより、歯周病治療のターゲットとしての重要性が強調されています。

レッドコンプレックスの病原性

①毒素の産生

レッドコンプレックスの細菌は、それぞれ特有の毒素を産生することが知られています。

⚫︎P. gingivalisの場合

強力なタンパク質分解酵素ジンジパインと、免疫反応を引き起こし炎症を促進するリポ多糖(LPS)などを産生するなど、宿主の免疫応答を逃れるための多くの因子を持っており、IL-1βやTNF-αなどのサイトカインの産生を引き起こし、炎症を悪化させます。

⚫︎T. forsythiaの場合

トリプシン様酵素を産生し、タンパク質を分解して歯周組織を破壊することで、炎症を促進します。

⚫︎T. denticolaの場合

運動性が高く、歯周ポケット内において生存しやすい環境を作り出します。

また、デンチリシンなどを産生し、歯周組織のタンパク質や血清タンパク質など、宿主の様々なタンパク質を分解します。

②免疫応答の逃避

レッドコンプレックスの細菌は、宿主の免疫系から逃れるための巧妙な戦略を持っています。

特に、P. gingivalisはマクロファージや樹状細胞に対する抵抗性を示し、持続的な感染を引き起こします。

歯周病予防の重要性

①定期的な歯科受診

レッドコンプレックスにより引き起こされる歯周病を予防するためには、定期的な歯科検診が不可欠です。

専門な清掃や検査によって、歯周病の早期発見と適切な対策が可能になります。

②日常的な口腔ケア

口腔ケアは、レッドコンプレックスの細菌を抑える重要な要素です。以下ポイントを押さえていきましょう。

⚫︎正しいブラッシング

毎日の歯磨きは、プラークの蓄積を防ぎ、細菌の増殖を抑える効果があります。歯ブラシは柔らかめのものを選び、丁寧に細かく磨くことが重要です。

⚫︎フロッシング歯間ブラシの実施

歯ブラシだけでは取り除けない食べ残しやプラークをフロスを使ってしっかりと除去することで、細菌の繁殖を防ぎます。

⚫︎うがい薬、マウスウォッシュの使用

抗菌作用のあるうがい薬(マウスウォッシュ)を使用することで、口腔内の細菌数をさらに抑制することができます。

ただしマウスウォッシュだけでは十分な効果は期待できません。

レッドコンプレックスによる急性症状が出た場合の治療法

①抗生物質投与

レッドコンプレックスに対する抗生物質投与は、歯周病治療において急性症状を止める上で重要な役割を果たします。

特に、以下の抗生物質が効果的であることがいくつかの研究で示されています。

アジスロマイシン(商品名:ジスロマック)やアモキシシリン(商品名:サワシリン)などが、P. gingivalisやT. forsythiaに対して有効であることが知られています。

②プロバイオティクスの利用

⚫︎プロバイオティクスの役割

最近の研究では、プロバイオティクスが口腔内フローラを改善し、レッドコンプレックスの細菌を抑制する可能性があることが示唆されています。

ロイテリ菌などの善玉菌の導入をおこない、口腔内に有益な菌を導入することで、病原性細菌の抑制を目指すアプローチも行われています。

予防とレッドコンプレックスについての教育の重要性

歯周病とその原因についての患者教育は、予防の鍵となります。

特に、レッドコンプレックスが関与する歯周病の危険性を理解させることは、患者が自らの口腔ケアに対する責任を持つための重要なステップです。

歯科衛生士による衛生指導の際も、歯周病がどのように進行し、口腔内の健康にどのように影響するかを説明して危険性を理解してもらい、良好な口腔ケア習慣や、歯科医師による定期的な検診の重要性を強調し、習慣づけしてもらうことが大事です。

また、今でこそ少なくなりましたが、地域のコミュニティプログラムでの口腔衛生プログラムも、歯周病予防に寄与する重要な手段です。

定期的な衛生講座や無料の検診イベントを通じて、広く市民に口腔ケアの重要性を浸透させることが効果的です。

終わりに

レッドコンプレックスに属する細菌は、歯周病の主要な原因であり、その病原性は多様です。

定期的な歯科受診、日常的な口腔ケア、最新の治療法を取り入れることで、レッドコンプレックスによる歯周病を予防し、健康な口腔環境を維持することができます。

研究の進展に伴い、さらなる治療方法も期待されており、今後も歯周病予防に向けた取り組みが重要です。

TOP