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口腔内のステロイド軟膏:その効果や副作用、作用機序と使用上の注意

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2026年1月25日

口腔内のステロイド軟膏:その効果や副作用、作用機序と使用上の注意

(院長の徒然コラム)

はじめに

口腔内に生じる痛みや不快感は、私たちの日常生活に大きな影響を与えます。

痛みで食事の楽しみが半減したり、会話が億劫になったり、口内炎一つで気分が落ち込むことも少なくありません。

そんな口腔内の炎症や潰瘍の治療に、古くから広く用いられてきたのが「ステロイド軟膏」です。

しかし、「ステロイド」という言葉から漠然とした不安を感じる方や、その正確な効果や使用方法について、疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回のコラムでは、口腔内ステロイド軟膏の詳しい作用メカニズム、その効果を最大限に引き出すための軟膏基剤の重要性、そして何よりも「どのような疾患に、どのように使えば良いのか」という実践的な情報、副作用や注意事項などを、分かりやすく丁寧に解説していきます。

口腔粘膜炎とは? そのつらさとステロイド軟膏の役割

「口内炎」と一言で言っても、その種類や原因は多岐にわたります。

最も一般的な「アフタ性口内炎」のように、明確な原因なく突然現れるものもあれば、義歯や矯正装置による慢性的な刺激、誤って噛んでしまったことによる外傷、さらにはがん治療(化学療法や放射線治療)の副作用として発生する重度の「口腔粘膜炎」まで様々です。

これらの口腔病変は、ただ痛いだけでなく、時に発熱や倦怠感を伴い、食事や水分摂取を困難にし、最終的には生活の質(QOL)を著しく低下させることがあります。

このような口腔内の炎症性疾患に対し、ステロイド(副腎皮質ホルモン)は非常に強力な味方となります。

ステロイドには、炎症を抑え、免疫反応を調整する作用があり、痛みを和らげ、患部の治癒を促進する効果が期待できます。

特に、局所の塗布は全身への影響を最小限に抑えながら、炎症が起きている部分に直接作用させることができる「軟膏」や「ゲル」といった局所外用薬は、口腔内の口内炎治療において第一選択薬となることが多いのです。

なぜ効くの? ステロイドの抗炎症作用メカニズムの科学的根拠

それでは医療従事者向けに作用機序を細かく解説していきます。

ステロイドは、単に「炎症を抑える」だけでなく、非常に複雑かつ精緻なメカニズムでその効果を発揮します。

細胞レベルで見ると、ステロイドは細胞の内部に存在する特定のセンサー、細胞質にあるグルココルチコイド受容体(GR)と結合します。

このステロイドとGRの結合体が細胞の核内に入り込み、遺伝子の働きに直接作用することで、炎症の連鎖反応を断ち切るのです。

具体的には、以下の二つの主要な経路を通じて炎症を鎮めます。

①炎症を引き起こす遺伝子の抑制

炎症反応の引き金となる物質として、シクロオキシゲナーゼ-2 (COX-2)や腫瘍壊死因子-α (TNF-α)などがあります。

これらは、炎症性サイトカイン(細胞間の情報伝達物質)と呼ばれ、痛みや腫れ、発熱などを引き起こす「炎症の元」となるタンパク質の産生を促します。

ステロイドは、COX-2やTNF-αの遺伝子発現を抑制することで、これらの炎症を惹起する物質の産生を根本から断ち切ります。

2021年に九州歯科大学から発表されたラット研究では、トリアムシノロンアセトニド(Tmc)を配合した軟膏が、口腔粘膜炎の炎症性疼痛の原因となるプロスタグランジンE2 (PGE2) の産生を抑制し、実際にCOX-2およびTNF-αの遺伝子(mRNA)発現量を減少させることが明確に示されています。

これは、軟膏に含まれるステロイドが、まさに炎症の「スイッチ」をオフにするように作用していることを意味します。

②炎症を抑える遺伝子の活性化

同時に、ステロイドは炎症を抑制する働きを持つ遺伝子たちの発現を促します。

これらには、GILZ(グルココルチコイド誘導性ロイシンジッパー)、IRAK-M(インターロイキン-1受容体関連キナーゼ3)、MKP1(マイトジェン活性化プロテインキナーゼホスファターゼ1)などがあります。

これらの遺伝子が活性化されることで、炎症反応をさらに多角的に抑制し、組織の回復をサポートします。

九州歯科大学の論文では、Tmc含有軟膏がこれらの抗炎症性遺伝子の発現を増加させることも確認されており、ステロイドの作用が炎症の抑制と鎮静化に向けて包括的に働くことが裏付けられています。

このように、ステロイド軟膏は炎症反応の様々な段階に深く介入し、その原因を根本から抑え込むことで、つらい症状を和らげるのです。

どんな時に使う? 口腔内ステロイド軟膏が適用される主な疾患例

口腔内ステロイド軟膏は、その強力な抗炎症作用から、多岐にわたる口腔粘膜疾患の治療に用いられます。

しかし、全ての口腔病変に有効なわけではなく、原因疾患によって治療法が異なります。

自己判断ではなく、必ず歯科医師や口腔外科医の診断に基づき使用することが重要です。

ここでは、ステロイド軟膏がよく処方される代表的な疾患例をいくつかご紹介します。

①再発性アフタ性口内炎(Recurrent Aphthous Stomatitis:RAS)

⚫︎特徴

口腔内の頬や唇の裏側、舌、歯ぐきなどに、円形または楕円形の白っぽい潰瘍ができ、強い痛みを伴います。数日から2週間程度で自然に治癒することが多いですが、頻繁に再発するのが特徴です。

⚫︎使用目的

潰瘍の治癒促進、痛みの緩和、再発間隔の延長。

ステロイドの抗炎症作用が、アフタ形成のメカニズムに関わる炎症反応を抑制します。

②口腔粘膜炎(Oral Mucositis)

⚫︎特徴

広義の口内炎で、原因は多岐にわたります。

例えば機械的刺激によるものでは、義歯(入れ歯)や補綴物、矯正装置が粘膜に擦れてできる潰瘍や炎症がよく見られます。

また、がん治療である化学療法・放射線治療の副作用として、口腔粘膜に広範囲にわたる強い炎症や潰瘍が生じることがあります。

これは非常に強い痛みを伴い、食事摂取を著しく困難にします。

⚫︎使用目的

炎症の抑制、痛みの緩和、治癒促進を目的とします。

特にがん治療に伴う口腔粘膜炎では、症状の緩和と生活の質の維持に不可欠な役割を果たします。

③口腔扁平苔癬(Oral Lichen Planus:OLP)

⚫︎特徴

頬粘膜などにレース状の白い線(ウィッカム線条)や紅斑、びらん、潰瘍などが現れる慢性炎症性疾患です。

自己免疫の関与が示唆されており、病変部ががんに進行する可能性も指摘されています。(前癌病変のコラムで紹介しました。)特にびらんや潰瘍を伴う場合は強い痛みを伴います。

⚫︎使用目的

炎症の抑制、痛みの緩和、びらん・潰瘍の治癒促進の点は同じです。慢性疾患のため、症状のコントロールが主な目的となります。

④水疱性類天疱瘡・尋常性天疱瘡(Bullous Pemphigoid / Pemphigus Vulgaris)

⚫︎特徴

自己免疫疾患の一種で、口腔粘膜に水疱やびらん、潰瘍が多発します。

全身症状の一部として口腔に現れることが多く、比較的重篤な疾患です。

⚫︎使用目的

炎症の抑制、水疱・びらんの治癒促進を目的とします。

通常、ステロイドの全身投与と併用して局所療法が行われることが多く、専門的な治療計画が必要です。

⑤その他の炎症性疾患

口腔ジスキネジア(口や顔の筋肉が自分の意志に反して不規則な筋肉運動をしてしまいます。例として口唇が引き攣る、舌の出し入れ、口を開閉する動作など)やシェーグレン症候群に伴う二次的な炎症、特定のウイルス感染「後」に残る炎症性病変などにも、症状緩和のために一時的に使用されることがあります。

いずれの疾患においても、ステロイド軟膏は症状をコントロールし、患者さんの不快感を軽減することを目的として処方されます。

しかし、後ほど紹介する副作用のために、ウイルス性口内炎(ヘルペスなど)や真菌性口内炎(カンジダ症など)には禁忌となる場合があります。

ステロイド軟膏の種類と選び方:成分と軟膏基剤

口腔内ステロイド軟膏は、その薬効成分の強さによって分類されます。

皮膚に塗布するステロイドと異なり、口腔粘膜は吸収性が高いため、通常は比較的弱めから中程度の強さのものが選択されます。

《代表的なステロイド成分》

①トリアムシノロンアセトニド (Triamcinolone Acetonide: Tmc)

中程度の強さを持つ合成グルココルチコイドです。口腔粘膜炎やアフタ性口内炎の治療に広く用いられます。炎症を抑え、痛みを和らげる効果に優れています。

②デキサメタゾン (Dexamethasone)

Tmcと同様に十分な抗炎症作用を持つステロイドです。前述の九州歯科大学の論文でも、Tmcと同様の基剤に配合されたデキサメタゾンが自発痛に効果を示すことが示唆されています。

③ヒドロコルチゾン (Hydrocortisone)

比較的弱いステロイドで、軽度な炎症に適しています。

《効果を最大化する鍵:軟膏基剤(ベース)の重要性》

はい、またマニアックな解説です。

ステロイド軟膏の効果は、単に有効成分の種類だけでなく、その「運び手」である軟膏基剤の性能によって大きく左右されます。

口腔内は、唾液の分泌、食事、会話、嚥下など、常に物理的な動きと湿潤環境にさらされており、塗布した軟膏が患部に留まり続けることは容易ではありません。

研究では、よくある従来のワセリンやプラスチベースといった基剤と、トラフル®の基剤(およびトラフル®クイック基剤)の物理的特性と口腔内での残留性が比較されました。

その結果、トラフル®基剤は、ワセリンやプラスチベースに比べて「付着性」「硬度」「粘度」が格段に高く、口腔内でより長時間患部に留まり続けることが示されました。

(別に私は第一三共の回しもんじゃないですよ)

この残留性の違いは、治療効果に直接影響します。

Tmcをプラスチベースに配合した場合、その短い残留時間のために十分な効果が得られないケースもあるに対し、トラフル®基剤に配合したTmcは、優れた抗炎症作用と鎮痛作用を発揮します。

つまり、口腔内でステロイド軟膏を使う際には、有効成分が患部にしっかりと密着し、長時間作用し続けることができる「持続性の高い軟膏基剤」が極めて重要であることが分かります。

これは、軟膏が単なる「薬の入れ物」ではなく、「効果的な薬物送達システム(ドラッグデリバリーシステム)」として機能することを示しているのです。

口内炎の2種類の痛みとステロイドの作用メカニズム:より深く理解しよう!

はい、ここから更に街の歯医者さんが知らない世界に突入します。

口腔粘膜炎に伴う痛みには、大きく分けて二つの性質があるとされています。

①自発的な炎症による痛み(COX依存性疼痛)

これは、炎症によってプロスタグランジンなどの痛みを引き起こす物質が過剰に産生されることで生じる、うずくような、ヒリヒリするような痛みです。

ステロイドは、前述の通りCOX-2の発現を抑制することで、この種の痛みの原因となる物質の産生を抑え、結果として自発痛を和らげます。

②触るだけで痛む過敏な痛み(COX非依存性機械的アロディニア)

これは、通常は痛みを感じないはずの、わずかな接触や圧力などの機械的刺激でも痛みを感じてしまう状態です。

食事や歯磨き、会話の際に特に顕著に現れ、患者さんのQOLを著しく低下させます。

この種の痛みは、COX経路とは異なるメカニズムで生じると考えられています。

(要するにこの痛みはNSAIDsなどでも抑えられんということです。)

研究ではTmc含有トラフル®軟膏が、この機械的アロディニアをも改善することが示されていますが、そのメカニズムとして、TRPA1チャネル(Transient Receptor Potential Ankyrin 1)という神経のセンサーの感受性をステロイドが抑制することが挙げられています。

TRPA1チャネルは、温度や特定の化学物質、そして機械的刺激によって活性化され、痛みの信号を脳に送る役割を担っています。

(実はワサビとかの痛みもこれ…ということはステロイドの副作用で味覚が…)

研究実験ではTmcを長期的に作用させた神経細胞において、TRPA1チャネルの活性化を示すCa2+応答が抑制されることが確認されました(セカンドメッセンジャーの抑制ということです)。

このTRPA1抑制効果は、短時間の作用では見られず、長時間の作用によってのみ発現したことから、ステロイドが遺伝子の働きを介して神経のセンサーの性質を変化させている可能性が示唆されています。

つまり、ステロイドは炎症を抑えるだけでなく、痛みの信号を伝える末梢神経自体の「過敏さ」を軽減させることで、痛みに苦しむ患者さんの症状を和らげているのです。

故に、口腔内ステロイド軟膏、特に有効成分が患部に長時間留まる製剤が、口腔粘膜炎による複雑な痛みに、炎症の抑制と神経の過敏性の低下という二重のメカニズムでアプローチしていることを明確に示しています。

安全な使用のために:知っておくべき副作用と創傷治癒への影響

ステロイド製剤は強力な効果を持つ反面、「副作用が心配」という声もよく聞かれます。

しかし、口腔内ステロイド軟膏の局所適用は、全身投与と比較して副作用のリスクが格段に低いことが特徴です。

①全身性副作用の軽減

ステロイドの「全身投与」では、高血糖(糖尿病の悪化)や免疫抑制による感染症のリスクなどが懸念されます。

しかし、口腔内に軟膏として局所的に塗布する場合、吸収されるステロイドの量はごく微量であるため、これらの全身性副作用が問題となることはほとんどありません。

実際実験でも、Tmc含有トラフル®軟膏を局所塗布しても、血糖値には変化が見られなかったことが示されており、全身への影響が少ないことが裏付けられています。

②局所的な副作用と創傷治癒への影響

⚫︎口腔カンジダ症

最も注意すべき局所的副作用の一つが、口腔カンジダ症の誘発です。

ステロイド軟膏は「局所の」免疫を抑制するため、口の中に常に存在する真菌(カンジダ菌)が異常増殖し、白いコケのような病変(偽膜)や発赤、痛みを生じさせることがあります。

もし、このような症状が現れた場合は、すぐに軟膏の使用を中止し、歯科医師の診察を受けてください。

⚫︎粘膜萎縮

長期間にわたって同じ部位にステロイド軟膏を使い続けると、塗布部位の粘膜が薄くなる「粘膜萎縮」が生じることがあります。

⚫︎創傷治癒への影響

ステロイドは、論文によっては細胞の増殖を抑える作用があるため、創傷治癒を遅らせる可能性が指摘されることがあります。

九州歯科大学の研究ではTmc含有トラフル®軟膏による治療が創傷治癒を遅らせることはなかったと報告されています。

むしろ、治療により炎症性細胞浸潤が抑制されたことが確認されています。

ただし、潰瘍自体のサイズが著しく縮小したわけではなく、ステロイドは炎症を鎮めることで痛みを和らげ、結果として自然治癒を助ける側面が大きいと考えられます。

一方で、TRPA1チャネルの抑制が皮膚再生を促進する可能性も他の研究で指摘されており、この点についてはさらなる研究が必要です。

重要なのは、ステロイド軟膏の適切な使用期間を守り、漫然とした長期使用を避けることです。

実践!口腔内ステロイド軟膏の正しい使い方と注意点

口腔内ステロイド軟膏は、正しく使用すれば非常に効果的な薬剤ですが、誤った使い方をすると効果が減弱したり、思わぬ副作用を招いたりすることもあります。

歯科医師の指示に従い、以下の点に注意して使用しましょう。

※使用前の重要な確認事項※

①歯科医師による正確な診断に従いましょう

よくある問い合わせが「昔処方してもらったステロイド軟膏を口内炎に使ったら悪化した。」というものです。

口腔内の病変は、口内炎に見えても、その裏にウイルス感染(ヘルペスなど)、細菌感染、真菌感染、または悪性腫瘍などが隠れている可能性があります。

ステロイドは、これらの疾患の一部には禁忌であったり、症状を悪化させたりする恐れがあります。

自己判断でステロイド軟膏を使用せず、必ず歯科医師や口腔外科医の診察を受け、正確な診断と処方に基づいて使用してください。

②アレルギーの有無

軟膏の成分に対して、過去にアレルギー反応を起こしたことがないか確認しましょう。

※正しい塗布方法※

①口腔内を清潔に

軟膏を塗布する前に、歯磨きやうがいで口腔内を清潔に保ちましょう。

②患部を軽く乾燥させる

可能であれば、清潔なガーゼや綿棒で患部の唾液を軽く拭き取ると、軟膏の付着性が高まり、薬効成分が浸透しやすくなります。

③適量を薄く均一に塗布

清潔な指先、または綿棒の先端に、米粒大(約0.5g程度)の軟膏をとります。

これを、患部に薄く、優しくのせるように塗布します。擦り込む必要はありません。むしろ擦り込むと傷を刺激するのでやめてください。

薬剤が患部を覆うように塗るのがポイントです。

通常、1日2〜3回の塗布が推奨されますが、歯科医師の指示に従ってください。

④塗布後の飲食物制限

軟膏を塗布した直後、特に30分程度は、飲食を控えましょう。

これにより、軟膏が患部にしっかりと留まり、有効成分が十分に浸透し、薬効が持続しやすくなります。前述の通り、軟膏基剤が患部に留まる時間が重要なのです。

※使用上の特に重要な注意事項※

①使用期間の厳守

ステロイド軟膏は、症状が改善したら、使い続けるのではなく、歯科医師の指示に従って使用を中止しましょう。

通常、1週間程度の使用が目安とされます。

長期にわたる不適切な使用は、前述の口腔カンジダ症の誘発や粘膜萎縮、あるいは味覚異常などの問題を引き起こす可能性があります。

もし、指示された期間使用しても症状が改善しない場合や、悪化する場合は、すぐに歯科医師に再診してください。

②局所的な副作用への注意

前述の通り、口腔内に白いコケのようなものが現れたり、赤みや痛みが増したりした場合は、口腔カンジダ症の可能性があります。

直ちに使用を中止し、医療機関を受診してください。

また、まれに塗布部位に刺激感やかゆみ、違和感が生じることがあります。

③全身性疾患を持つ方

糖尿病や高血圧などの全身性疾患をお持ちの方は、局所使用であっても、必ずその旨を歯科医師に伝えてください。

通常は問題ありませんが、体質や病状によっては慎重な判断が必要な場合があります。

④小児、妊婦、授乳婦

小児に使用する場合は、大人よりも副作用が出やすいため、特に注意が必要です。

また、妊婦や授乳婦の方は、治療の必要性と安全性を考慮し、歯科医師とよく相談した上で使用するようにしましょう。

⑤他の薬剤との併用

現在、他の口腔内薬剤を使用している場合や、全身性の薬を服用している場合は、必ず歯科医師や薬剤師にその旨を伝え、飲み合わせや塗り合わせに問題がないか確認してください。

終わりに

口腔内ステロイド軟膏は、再発性アフタ性口内炎、口腔粘膜炎、口腔扁平苔癬など、様々な口腔内の炎症性疾患に対して、痛みや不快感を和らげ、患部の治癒を助ける強力な治療薬です。

特に、トリアムシノロンアセトニドのような有効成分が、患部に長時間密着し続けることができる「持続性の高い軟膏基剤」と組み合わせることで、炎症の抑制だけでなく、神経の過敏性を低下させるという二重のメカニズムで、つらい症状に多角的にアプローチします。

その上、局所適用であるため、全身性ステロイドのような重篤な副作用のリスクは極めて低いという大きな利点もあります。

しかし、その効果を安全かつ最大限に引き出すためには、歯科医師による正確な診断と、指示された使用方法、期間を厳守することが何よりも重要です。

口腔内の痛みや不快感は、見過ごされがちですが、生活の質を大きく左右する問題です。

もしお口の中に気になる症状がある場合は、我慢せずに早めに歯科医院を受診し、適切な診断と治療を受けることを強くお勧めします。

今回主軸とした論文は

2021年発表の九州歯科大学の

「Analgesic Mechanisms of Steroid Ointment against Oral Ulcerative Mucositis in a Rat Model」です。

是非、医療従事者の方も読んでみてください。

今回のコラムで、より安全に皆様がステロイド軟膏を使用していただけるようになることを願って、今日はこの辺で筆を置きます🖌️。

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