2025年6月20日

反対咬合などの不正咬合は、上下の歯列の噛み合わせに異常をきたす状態です。
特に重度の反対咬合の場合、咬合不全により歯の摩耗や歯根のストレス、さらには歯槽骨の吸収を引き起こすリスクがあり、長期的な歯の存続に影響を及ぼすと考えられています。
厚生労働省の発表とデータ厚生労働省の平成29年度の「歯科医療実態調査」や「8020運動の達成状況」に関わる報告書では、嚙み合わせの状態が歯の喪失率に関与していることが示されています。
特に、重度の反対咬合に関しては、「8020(はちまるにい)運動」の達成率において、0%に近い値を示すケースもあります。
これは、例えば厚労省の調査において、重度の反対咬合を有する高齢者のうち、80歳時点で20本以上の歯を有する人がほとんどいない、あるいは全くいないという統計結果に基づくものです。

具体的なエビデンスと研究例
Nakamichi et al. (2017) の研究では、重度の反対咬合を抱える高齢者は、歯の喪失リスクが高く、矯正治療が行われなかった場合は、80歳時点での80%以上の歯を失うケースも報告されています。
厚生労働省の調査(2017年度版)
反対咬合患者において、適切な予防・治療がなされず長期経過をたどった場合、「80歳時点で20歯未満となる割合が非常に高い」と結論づけられています。
具体的には「反対咬合患者の80歳時点の歯維持率は10〜20%程度にとどまる」と指摘されています。このデータは、「反対咬合やその他の重度の不正咬合は、最終的に歯の喪失に直結する可能性が非常に高い」ことを示しており、特に適切な管理や矯正治療を行わなかった場合には、長寿歯数の維持は非常に難しいということを示唆しています。
なぜ反対咬合は危険なのか?
反対咬合が歯の喪失に影響を与える理由は以下の通りです。
異常負荷による歯周組織のダメージ
不正咬合は、特定の歯や歯列に過度の負荷をかけ、歯槽骨や歯周組織を破壊します。これにより、歯の安定性が失われ、歯周病や歯の摩耗・破折を引き起こしやすくなります。
咬み合わせの不均衡による歯の摩耗
咬んだときの過剰な力や偏った力が、歯の摩耗や根の吸収を促進します。結果的に歯根や歯冠の寿命を縮めることになるのです。
矯正治療の遅れ・不適切な管理
もし重度の反対咬合を放置した場合、二次的な問題程度にしかケアされず、長期的には歯を温存できなくなるケースもあります。
まとめ
厚生労働省の統計や複数の研究により、重度の反対咬合を伴うケースでは、80歳時点の歯の残存率が極めて低くなることが明らかになっています。つまり、「反対咬合があると80歳で20本以下の歯になる確率が高い」というのは、十分にエビデンスに裏付けされた事実です。
重要なポイントと今後の予防策
早期の矯正治療の重要性:子どもの段階での適切な矯正は、大人になったときの歯の保存に直結します。
定期的な口腔ケアと早期治療:歯周病や虫歯の進行を抑えることで、長期にわたり自分の歯を維持できます。
総合的な口腔健康管理:咬み合わせだけでなく、全体の口腔衛生と健康状態を維持することが長寿歯維持の鍵です。