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続・歯医者で気分が悪くなったとき!過換気症候群編

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2024年11月22日

続・歯医者で気分が悪くなったとき!過換気症候群編

(院長の徒然ブログ)

歯科偶発症の続き、過換気症候群とは

前回歯科偶発症の神経原性ショックをコラムにて掲載しました。

本日はその続きで、歯科偶発症の中でも過換気症候群についてお話ししたいと思います。

過換気症候群とは、心因性の反応の一つで、特に若い女性に多く起こります。

呼吸は数は、通常無意識な状況で1分間に約12から20回行われています。

呼吸が速いとは、1分間に25回以上行われる状況で、「頻呼吸」と言います。 「過呼吸」とは、呼吸回数に変化はないですが、1回の呼吸の換気量が増加した状態です。

病名にある「過換気」とは、呼吸数および一回換気量の両者が増加した状態です。

(特に呼吸数増加は観察しやすい。)

過換気症候群の症状は野菜ではありますが、いずれにしても歯科治療に対する不安、緊張、恐怖などにより誘発された過換気が本質で、そこから色んな症状が派生するのです。

歯科治療の不安、恐怖からくるストレス刺激により交感神経緊張が起こり、それが「動悸・頻脈や胸痛」に繋がります。

また、ストレス刺激から過換気となり、動脈血二酸化炭素分圧低下し、そうなることで脳血管収縮し、脳血流量が低下するのです。

その結果「意識消失」に繋がります。

また動脈血二酸化炭素分圧が低下するということは、呼吸性アルカローシスとなり、血中のCa2+イオンの減少を引き起こします。

そうなると、末梢に「しびれ感」や「テタニー様痙攣」「助産師の手」と呼ばれる筋肉強直がみられるようになるのです。

また過換気により、吸気困難感や空気飢餓感が患者さん自身に感じられ、「パニック症状」が起こりやすくなります。

更に過換気により空気を嚥下してしまい、「腹痛」「悪心」といった症状も出てくるのです。

こうした症状が一つでも起こってくれば、それはまたストレス刺激となり、他の症状も誘発される危険が高まるのです。

過換気症候群に対しての治療法

では、院内で起こった際の処置について説明致します。

処置としては、まず患者さんに「過換気」である今の状況を落ち着いて説明して、息ごらえやゆっくり呼吸をすることを指示して過換気を止めるように誘導することが大切です。

よく患者さんに異変が起きた場合の対応として酸素投与がありますが、すでに酸素投与が開始されていても投与を中止する必要はありません。

過換気により動脈血中酸素分圧は経度上昇していますがそれは問題とはなり得ません。

つまり酸素投与によって過換気症候群を悪化させることはなく、むしろ再呼吸を促すことを考えれば、酸素投与は継続した方がメリットがあります。

(理由は後述します。)

そもそも過換気症候群を惹起させている原因は、過換気による動脈二酸化炭素分圧の低下であり、酸素分圧の上昇ではないのです。

昔は、血中の二酸化炭素蓄積の目的で、紙袋による呼気の再吸入が行われていました。

少し古い医学書にはどれにも書いてある「ペーパーバック法」という方法で、基本的な対処法とされていました。
しかし、実行には注意を要し、かつてこの対処法により窒息死した事例もあるのです。

現在のところ、呼気再呼吸(ペーパーバック法)は発症時の第一選択ではなくなっており、前述した説明と呼吸法の誘導が推奨されています。
むしろ現在のところペーパーバック法は推奨されておらず、呼吸困難感や窒息への恐怖を抱いている患者さんに対して、いきなり袋で口と鼻を覆うのは、不快なだけでなく恐怖を感じてパニックを起こすことさえあります。

また、ペーパーバック法は十分な二酸化炭素分圧上昇が得られる前に低酸素症を起こすリスクがあることが臨床研究により示唆されています。

実際このペーパーバック法を過換気症候群の患者さんに行い、亡くなったケースは3例報告されており、いずれも重篤な低酸素症や心筋虚血を併発しています。

改善策の一つとしては、低流量の酸素を投与しながらペーパーバック法を行うことが推奨されています。

だからこそ、過換気症候群でも酸素投与を行うのは、呼気再吸入していただく場合は問題ないのです。

症状改善しないとき

症状が改善されない場合は、鎮静薬の投与も非常に有効です。

薬効により、ほとんどの症例で静脈内投与により速やかに回復します。
ドルミカムを0.06ng/kg程度静脈注射します。

過量になれば、ドルミカムによる意識消失、過度の呼吸抑制も発現するので注意が必要です。

患者さんがパニック状態や痙攣している際は、早期に鎮静薬の投与を選択肢に入れるのも良いでしょう。

終わりに

いかがでしたか?

今回も歯科偶発症について説明していきました。

まだまだ他もあるので、回数を分けて説明していきますね。

正しい知識を知っていれば、患者さんも術者も冷静に対処できます。

是非、今一度偶発症についても知ってみてください。

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