2024年10月25日
(院長の徒然ブログ)
選手…いえ、義歯の種類の紹介
こんばんは、今日も仕事終わりにブログ書いております。
まずは一稿目。
皆さん、入れ歯にはいろんな種類があることはご存知ですか?
今日は「部分入歯」にも保険診療と自費診療で色んな種類があり、その特性があるということを説明していきます。どうぞお付き合いください。
比べる入れ歯は、「自費のノンクラスプデンチャー」、「自費のゴム製デンチャー(ピタットン)」、「自費の金属床義歯」、そして我らが「保険義歯」の全部で4種類です。
それぞれの階級…もとい条件を合わせるために、上の左右両方の奥歯の部分入れ歯で比べてみますね。
赤コーナー:ノンクラスプデンチャー
ノンクラスプデンチャーは、特に審美性を重視した入れ歯で、表から金属の部分が全く見えません。
入れ歯を歯に固定するバネ(クラスプ)が樹脂製で出来ており、他の追随を許さぬ審美性を持つのです。
以下に利点を書きます。
⚫︎利点
①圧倒的な審美性
金属のクラスプを使用せず、歯茎の色に近い弾性素材で作られているため、見た目が自然で入れ歯をつけてるとわからないほどです。
②装着感がいい
金属のクラスプがないので、口の中の段差が保険の入れ歯よりは軽微です。
また、柔らかい樹脂使用しているため、歯茎に優しいです。
③取り外しがしやすい。
ノンクラスプデンチャーは、樹脂のバネの弾性で固定されているので、取り外しが容易です。
④自費診療なので形のカスタマイズが容易
入れ歯を作る際は、保険診療のルールに縛られないため、自由度が高い。
⑤軽い!
保険義歯や金属床に比べ、とても軽いのが特性です。
⚫︎1番の欠点!
それは「壊れやすい」ことです。
1番入れ歯で負担がかかるのが、歯にかけるクラスプの部分なのですが、毎日の着脱で負担がかかり、ボキッと折れてしまいます。
しかも「修理が中々難しい」んです。
最近は、柔軟性のある樹脂に繊維を混ぜることによって、大分改善はしてきていますが、この欠点は他の入れ歯に比べたら、目立つ欠点でしょう。
青コーナー:ゴム製義歯
二番手はゴム製義歯です。その場の通り歯の部分以外がゴムでできており、フィット感を得ることができます。
こちらも利点欠点を書いてみましょう。
⚫︎利点
①すごく痛みが出にくい。
そもそもの材質がゴムなので、粘膜に当たる部分が柔らかく痛みが出にくいです。
②フィット感
ゴム製のため、柔らかくてフィット感が良好です。
口の中の動きに合わせて形が変形します。
③軽い
保険義歯の樹脂や金属に比べて軽いため、装着時の負担が少ないです。
④腐食しにくい。汚れにくい
耐水性があるため吸水せず、腐食しにくいです。
⚫︎1番の欠点!
ゴミ自体の「耐久性が低い」ことです。
ゴムってどうしても長期間だと材質劣化を起こすので、削れたり変形したりなどが起こります。
また、劣化により色も変わってくることがあります。しかも傷が入ると汚れも溜まりますし、直すことも困難です。
また、ゴムアレルギーの人は当然使用不可です。
黄コーナー:金属床義歯
金属床義歯とは、床部分が金属で出来た自費診療の入れ歯です。
チタン床の登場で、かなり軽い入れ歯になりました。
⚫︎利点
①驚異的な耐久性
4つの中で断トツで眼鏡で、長持ちします。
適切にメンテナンスを行えば、10年以上使ってる人も結構います。
②違和感が少ない。
金属床は薄く作ることができるため、口の中での違和感が少ない上に、熱も金属が伝えてくれるおかげで、食事上の違和感も少ない。
③適合性
金属床は粘膜への適合性がよく、安定性がある。
頑丈な構造を持っているため、義歯が動きにくく、咬合時に安定する。
④使えるクラスプの種類が多い
保険診療では認められてない形状のクラスプも、自費診療ならば使うことができます。
歯への負担が少ないクラスプもありましよ。
⚫︎欠点のうち大事なの2個!
①めちゃくちゃ高い
他の自費義歯に比べても高い。
②修理が難しい
金属床義歯は前述の通り適合が素晴らしいのですが、1度合わなくなると修理が困難です。
緑コーナー:保険診療で使える入れ歯
さて、ついに保険診療の入れ歯の番です。
まずは欠点から言ってみましょう。
⚫︎欠点
①見た目が悪い
金属のクラスプを使用するので、見た目は最下位です。
②選べるクラスプの種類が少ない
クラスプの材質の自由は多少あるものの、形状の制限がとても多いです。
③異物感が強い
どうしても分厚くなってしまう上に、金属クラスプを装着しているため、違和感は強くなります。
④汚れやすい
樹脂部分は水を吸ってしまうので、とても汚れやすいです。
着色も自分では中々落とせませんし、一度表面がガサガサになれば、デンチャープラーク(入れ歯につくばい菌由来の汚れ)もつきやすくなります。
⑤適合が悪くなりやすい
樹脂は水を吸って変形するし、温度変化で樹脂は変形しやすいです。
経年劣化も起こします。
そのため粘膜に合わなくなりやすいです。
⚫︎利点
実は保険の入れ歯には恐るべき利点が多いのです。
①修理しやすい!!!
とても大きな利点です。
樹脂でできているため、歯医者さんの中でも簡単な修理はすぐできちゃいます。
入れ歯が割れたとしても、直ったりします。
床が合わなくなっても、樹脂を盛って床を合わせ直したり出来ますし、材料自体が手に入りやすいんです。
②安い!
大事な利点です。
金属床義歯の1/10以下の負担でつくれたりします。
終わりに…
いかがでしたか?
意外に保険の入れ歯が健闘してることに驚かれたかもしれません。
ご覧の通り、保険の入れ歯は汎用性があるんです。
自費診療だから良い。保険診療だから悪い…ではなく、それぞれの特性を活かして診療していくのが大事ですね。