2025年4月15日

はじめに
唾液腺マッサージは、口腔内の健康を維持するための重要な手法の一つです。
唾液は、消化、抗菌作用、口腔内の潤滑、そして歯の再石灰化に寄与する重要な役割を果たしています。
しかし、ストレス、脱水、特定の疾患、薬剤の副作用などにより、唾液の分泌が減少することがあります。このような状況下で、唾液腺マッサージは唾液の分泌を促進し、口腔内の健康を改善する手段として有効です。
本コラムでは、唾液腺マッサージの方法、効果、注意点について詳しく解説します。
主な唾液腺
唾液腺は主に三つの主要な腺から構成されています。
①耳下腺
耳の下に位置し、最も大きな唾液腺です。安静時に主に唾液の80%を分泌します。
②顎下腺
下顎の内側に位置し、食事などの活動時に唾液の約70%を分泌します。粘性の高い唾液を生成します。
③舌下腺
舌の下に位置し、少量の唾液を分泌しますが、主に粘液性の唾液を生成します。
これらの腺は、唾液を口腔内に供給するために重要な役割を果たしています。
唾液腺マッサージとは.・・・❓
唾液腺を刺激することで唾液の分泌を促すマッサージです。
口の中の乾燥を防ぎ、虫歯や口臭の予防、誤嚥の予防などに効果が期待できます
Point
耳下腺:耳の前(上の奥歯あたり)を人差し指で軽く圧迫するように置き、顎の骨に沿って下に向かって軽く押し、やさしく指で円を描くようにマッサージします。
これを1分程度続けます。
顎下腺:下顎の骨の内側のやわらかい部分に親指を当て、耳の下から顎の下まで顎の骨に沿って5ヶ所くらい上に向かって順番に優しく1~2秒押します。
これも1分程度行います。
舌下腺:両手の親指を揃え、舌を上に向けた状態で顎の真下から舌を突き上げるように押します。
指を前後に動かしながら、優しくマッサージします。これもまた1分程度行います。

唾液腺マッサージの効果
唾液腺マッサージには、以下のような効果があります。
①唾液分泌の促進
マッサージによって唾液腺が刺激され、唾液の分泌が促進されます。これにより、口腔内の乾燥感が軽減され、食事や会話が快適になります。
②口腔内の健康維持
唾液には抗菌作用があり、口腔内の細菌の増殖を抑える役割があります。唾液の分泌が増えることで、虫歯や歯周病のリスクが低下します。
③消化の助け
唾液は消化酵素を含んでおり、食物の消化を助けます。唾液分泌が促進されることで、消化機能が向上します。
④口腔内の潤滑
唾液は口腔内を潤滑し、食物の摂取や会話をスムーズにします。特に高齢者や薬剤の副作用で口腔乾燥が見られる方にとって、重要な効果です。
唾液腺マッサージはいつ行えばいいの?
唾液腺マッサージは、お食事前に行うと、唾液の分泌が促進され、お食事のための準備が整ったお口に近づきます!
唾液腺マッサージの注意点
唾液腺マッサージを行う際には、以下の注意点を考慮する必要があります。
①感染症時のリスク
口腔内に感染症がある場合、マッサージを行うことで感染が広がる可能性があります。感染症が疑われる場合は、マッサージを避けたほうがいいでしょう。
②痛みや不快感
マッサージ中に痛みや不快感を感じる場合は、無理に続けないようにしましょう。痛みの原因を特定し、必要に応じて歯科医院にて相談することが重要です。
③持病のある方
唾液腺に関連する持病(例:唾液腺腫瘍、唾石症、粘液嚢胞(ガマ腫など)、自己免疫疾患など)がある場合は、マッサージを行う前に歯科医師に相談することが推奨されます。
終わりに
唾液腺マッサージは、口腔内の健康を維持するための有効な手段です。
唾液の分泌を促進し、口腔内の潤滑や抗菌作用を高めることで、虫歯や歯周病のリスクを低下させることができます。
正しい方法で行うことが重要ですが、感染症や持病がある場合は注意が必要です。
きちんと唾液腺マッサージの重要性を理解し、口腔内の健康維持に意識を持つことが求められます。患者さんが自宅で簡単に実践できる方法として、唾液腺マッサージを正しく覚えてし、口腔ケアの一環として取り入れていきましょう。