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銀歯(金属の詰め物)って外したほうがいいの?

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2024年11月03日

銀歯(金属の詰め物)って外したほうがいいの?

(院長の徒然コラム)

脱メタルって何?

金属(主に金銀パラジウム合金、ニッケル、コバルト、クロム)は、歯科治療において長い間使用されてきた修復材料ですが、最近ではその使用が減少しています。

訳あってメタルを使った治療を控えて口腔内の金属補綴物を非金属に置き換えることを、「脱メタル」「メタルフリー」と呼んだりします。

脱金属の理由

①欧米に合わせて白い歯を求める意識が高まった

現代は口腔内の修復物や歯列そのものの見た目を重視する傾向が強く、金属補綴物は金属色により目立ってしまうため、前歯はもちろん下の奥歯でさえ、入っていれば目立ってしまいます。

保険で白い歯が認められてきた昨今、CADCAM補綴物(セラミックやハイブリッドセラミックやコンポジットレジン)などの審美的な補綴物が選ばれ利用になったことが原因です。

②CADCAM技術の向上により、精密性が鋳造しなくても追求できるようになった。

今まで樹脂系の材料は、固まる時に寸法は変わってしまい(重合収縮)、なかなか精密な寸法の補綴物作成は技術を要しました。
-しかし、CAD/CAM技術の発展により、既に硬化したブロックを精密に削り出しだけで作成できるようになりました。

それにより適合性や耐久性が向上し、金属補綴物の必要性が減少しています。

③金属アレルギーへの懸念

金属が原因でアレルギー性接触皮膚炎となり、お口の中に症状が出る患者さんが時折いらっしゃいます。

粘膜にかゆみかぶれなどの症状が起こり、今発症していなくても、今後金属に触れていることで突然発症することもあるのです。

そもそも金属というのは、お口のそのままでいてくれればいいのですが、金属イオンが徐々に溶け出し様々な弊害を生みます。

金属アレルギーの場合は体内のタンパク質と結合し、アレルゲン(アレルギー原因物質)になりうるのです。

④金属色が歯茎にうつる

先ほど金属イオンが溶け出してしまうと言いましたが、その弊害の中にメタルタトゥーとブラックマージンがあります。
メタルタトゥーとは、金属の補綴物の周囲に溶け出した金属イオンが、歯茎に沈着して黒くなってしまうことです。

ブラックマージンは同様に金属補綴物から金属イオンが溶け出し、歯冠や歯根部に黒い色素が沈着し、歯茎が下がることで隠れていたその色が助鉄物の下部に出てきてしまうことです。

どちらも歯や歯の周囲組織に金属イオンが溶け出してしまうことで起こる弊害です。

⑤ガルバニー電流

皆さんは小学校の頃、電池を作る化学実験をしたことはありますか?

唾液というのは水溶液なので、電動性が高く、ちょうどお口の中に入れている金属は電極となり得るのです。(歯科金属はいろんな種類の金属を含む合金のため)

そのため、時折お口の中で電池と同じ現象が起こり、田中が流れることがあります。

これをガルバニー電流といいます。

この電流が脳に流れたりすると、脳が誤作動し、ホルモンバランスが崩れたり、痛みや強張りなどを感じたりすることがあります。

⑥電磁波過敏症の人に注意しなくてはいけない

科学的根拠がまだ確率はされていないのですが、電磁波過敏症の方には、金属補綴物は注意が必要です。

電磁波過敏症は、電磁波に対して過敏に反応する状態を指します。

この症状を訴える人々は、携帯電話、Wi-Fi、電気機器などから発生する電磁波にさらされると、頭痛、疲労感、めまい、皮膚のかゆみなどの不快な症状を感じることがあります。

金属補綴物はこの電磁波のアンテナになってしまい、電磁波を受け取り安くなってしまうのです。

金属補綴物の保険診療CADCAMと比べたメリット

さて、ここまでけちょんけちょんにメタルを言ってきましたが、実際保険のCADCAM補綴物と比べた時どうなんでしょうか。

メリットをみていきましょう。

①耐久性
これは圧倒的に金属補綴物が優位です。

メタルは非常に強く、咀嚼力に耐えることができるため、特に噛み合わせで反対の歯と隙間が十分に取れない時や、奥歯などで負荷がかかとやすい時、さらには歯ぎしり癖があって、ハイブリッドセラミックでは破折の危険性が高い時は、耐久性の高いメタルの需要はまだあるでしょう。

②補綴物自体の経時寸法安定性
保険のハイブリッドセラミックは、あくまでも樹脂を含むため、水を吸ってしまい、膨張してしまう恐れがあります。

しかしメタルの場合は、吸収しないので、寸法自体は安定しているのです。

③耐摩耗性
金属補綴物は、ハイブリッドセラミックに比べ、すり減りが少ないです。

ですので、歯ぎしりする方でも中々破損せずに使用できます。(とはいえ歯よりは柔らかいので、穴が開くことはあります。)

金属補綴物の保険診療CADCAMと比べたデメリット

①審美性が悪い
金属色のせいで、保険のCADCAM補綴物に比べても、見た目で大きく劣ります。

特に前歯でレジン前装冠(金属に白い樹脂を貼り付ける補綴物)にしても、正直透明感が全くないので、見た目は悪いです。

②熱伝導性、熱膨張系数が高い

金属はハイブリッドセラミックより熱を伝導しやすく、加えて寸法が熱によって変化しやすいため、様々な弊害があります。

まず、熱膨張と収縮の幅が大きいため、接着に使っているセメントがそれについていけず、壊れやすいということです。

そのため接着面から虫歯になりやすかったり、経年劣化で外れてきます。

また、熱伝導率が高いせいで、冷温刺激を伝えやすいのも大きな問題です。

お口の中は0℃から60℃くらいのものを入れるため、熱伝導率が高いことは問題なのです。

③アレルギーのリスク
前述の通り、歯科で使用する金属に対してアレルギー反応を示す患者がいるため、使用に注意が必要です。

④今後値段が上がり続ける恐れがある。
しかも使用する金属は、原価が高い金属が多いです。

しかし近年金属が不足し、価格は高騰してしまっています。

そのため、今後保険点数は上がってくる可能性があるため、治療費が保険診療であっても高額になる可能性が高いです。

⑤歯科技工士さんの腕に左右されやすい

正直なところ、金属補綴物は歯科技工士さんの腕に左右される部分も多々あり、作る人によって良し悪しが決まりやすいです。

CADCAMは比較的安定した制度を保てるという特徴があります。

終わりに

メタルインレーは日本ではその耐久性や適合性から長い間使用されてきましたが、審美性や患者の健康意識の高まり、技術の進歩により、他の材料が選ばれることが増えています。

患者のニーズ、そして時代の流れに応じて、最適な治療法を選ぶことが重要です。

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