2024年12月03日
お口の中には、実は数百種類もの細菌が存在しています。その中には、私たちの健康を守ってくれる細菌もいれば、むし歯や歯周病の原因になる「悪い細菌」もいます。今回は、口腔内で悪さをする代表的な細菌と、それが引き起こすトラブルについて分かりやすく解説します。
むし歯の原因菌:ミュータンス菌
ミュータンス菌は、むし歯の大きな原因となる細菌です。
• 特徴
ミュータンス菌は、食べ物や飲み物に含まれる糖分をエサにして酸を作り出します。この酸が歯のエナメル質を溶かし、むし歯を引き起こします。特に歯垢(プラーク)の中で増殖しやすく、ケアが行き届いていない部分に潜みがちです。
• どんな問題を引き起こすの?
初期のむし歯では歯の表面が白く濁り、進行すると痛みを伴う穴が開きます。放置すると、歯の内部にある神経まで達してしまうこともあります。
• 対策
糖分を摂りすぎないように注意し、フッ素入り歯磨き粉でのケアや定期的な歯科検診を心がけましょう。
歯周病の原因菌:ポルフィロモナス・ジンジバリス菌
歯周病の主な原因菌の一つが「ポルフィロモナス・ジンジバリス菌」です。
• 特徴
この菌は、歯周ポケット(歯と歯茎の間の隙間)に住みつき、毒素を放出して歯茎に炎症を引き起こします。進行すると歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしてしまいます。
• どんな問題を引き起こすの?
初期段階では歯茎が赤く腫れたり出血したりしますが、進行すると歯がグラグラしたり、最悪の場合は抜け落ちてしまうことも。さらに、歯周病菌は糖尿病や心疾患など全身の病気とも関係があるとされています。
• 対策
歯周病予防には、歯と歯茎の境目をしっかり磨くことが重要です。歯科医院での定期的なクリーニングも効果的です。
口臭の原因菌:嫌気性菌(フソバクテリウムなど)
口臭の原因となる細菌には、嫌気性菌(酸素を嫌う菌)があります。
• 特徴
嫌気性菌は歯周ポケットや舌の表面、食べ物のカスが溜まった部分で増殖します。これらの菌が出すガス(硫化水素やメチルメルカプタンなど)が口臭の原因になります。
• どんな問題を引き起こすの?
口臭は、他人とのコミュニケーションに影響を与えるだけでなく、歯周病やむし歯のサインでもあります。
• 対策
舌専用のブラシで舌苔(舌の汚れ)を取り除いたり、マウスウォッシュを使用したりすると効果的です。また、歯科医院での専門的なケアもおすすめです。
カンジダ菌:免疫力が低下したときに悪さをする菌
カンジダ菌は通常、健康な口腔内でも見られる常在菌ですが、免疫力が低下したときに増殖し、問題を引き起こします。
• 特徴
カンジダ菌は真菌(カビの一種)で、口の中に白い膜や痛みを伴う症状を引き起こすことがあります。特に、高齢者や抗生物質を服用している方に多く見られます。
• どんな問題を引き起こすの?
口腔カンジダ症(口の中のカビ感染)を引き起こし、痛みや食事のしづらさを感じることがあります。
• 対策
免疫力を維持するためにバランスの取れた食事や十分な睡眠を心がけ、症状が出た場合は早めに歯科医院や医療機関を受診しましょう。
まとめ:細菌と上手に付き合うために
口腔内には多くの細菌が存在しますが、適切なケアを行うことで「悪い細菌」が悪さをするのを防ぐことができます。
• 毎日の丁寧な歯磨きとフロス・歯間ブラシの使用
• バランスの良い食生活
• 定期的な歯科検診
これらを習慣にして、細菌トラブルを予防しましょう。当院では、お口の中の細菌検査やケア方法のアドバイスも行っています。気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください!