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口腔内の前癌病変について

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2024年12月03日

口腔内の前癌病変について

(院長の徒然ブログ)

前癌病変とは

皆さんは前癌病変という言葉を聞いたことはありますか?

前癌病変とは、今はまだ癌ではないが、すでに組織に細胞のなんらかの異常が出ており、今後癌になっていくリスクが高い病変のことです。

より専門的にいうと「形態的にみて正常な状態に比べて癌が発生しやすい状態に変化した組織」そのもののことです。

故に、口腔内の前癌病変は、早期発見と適切な管理が重要です。

これらの病変は、無症状なことも多いため、定期的な歯科検診が不可欠です。

今回にコラムでは、口腔内の前癌病変の種類、原因、診断方法、治療法、予防策について詳しく解説します。

前癌病変の定義

前癌病変とは、がんに進展する可能性がある異常な細胞の変化を指します。

口腔内では、これらの病変が発生する部位として、舌、頬粘膜、歯肉、口蓋などの組織から上顎骨や下顎骨といった骨の中にできることもあります。

前癌病変は、病理診断すると細胞の異常な増殖や形態の変化を伴ってみられます。

主な前癌病変の種類

口腔内の前癌病変には、以下のようなものがあります。

白板症(Leukoplakia)

白色の斑点や斑状の病変で、通常は無痛です。

喫煙やアルコール摂取の化学的刺激や、噛んだり常に歯が当たったりなどの機械的刺激がリスク要因とされています。

前癌病変の中では比較的癌化リスクが高く、癌化率は、5%程度と言われています。

特に紅斑混合型と言われるものはリスクが高いです。病変の経過年数が長いほど癌化するリスクは高くなります。

別の研究では10年間での癌化リスクは約30%とも言われているのです。

紅板症(Erythroplakia)

赤色の斑点で、白板症よりも悪性度が高いとされています。故に早期の診断が重要です。

癌化率は非常に高く40~50%とも報告されています。

舌、軟口蓋、口底に好発し、鮮紅色ビロード状の限局性紅斑として現れます。

前癌病変には珍しく初発症状からと刺激痛が認められることが多いため、その際に歯科医院で見つかるケースが多いです。

高齢者に好発し、50歳代以上の高齢者が全体の80%を占めています。

白板症と同様に、喫煙やアルコール摂取の化学的刺激や、噛んだり常に歯が当たったりなどの機械的刺激がリスク要因とされています。

前癌病変の原因や要因

口腔内の前癌病変の原因は多岐にわたりますが、主なリスク要因には以下が含まれます。

喫煙

タバコの煙に含まれる有害物質が、口腔内の細胞にダメージを与え、前癌病変を引き起こすことがあります。

アルコール摂取

大量のアルコール摂取は、口腔内の粘膜に化学的刺激を与え、病変のリスクを高めます。

ウイルス感染

ヒトパピローマウイルス(HPV)やヘルペスウイルスなどの感染が、前癌病変の発生に関与していることもあります。

栄養不足

ビタミンAやビタミンCなどの栄養素が不足すると、口腔内の健康が損なわれアフタなどもできやすくなり、それがトリガーとなって前癌病変が発生しやすくなります。

診断方法

前癌病変の診断は、以下の方法で行われます。

視診歯科医師が口腔内を視覚的に検査し、異常な病変を確認します。

白色の状態(色が均一かどうかなど)や、紅斑の比率なども確認します。

生検

疑わしい病変から組織を採取し、病理学的に検査します。これにより、組織の異形成の状態を確認し、良性か悪性かを判断します。

画像診断

状況に応じて口腔内写真をとったり、必要に応じて、骨などの硬い組織への影響もみるためにX線やCTスキャンなどの画像診断が行われることがあります。

前癌病変への対応•治療法

前癌病変の治療は、病変の種類や進行度に応じて異なります。

経過観察

軽度の病変の場合、定期的な観察が推奨されることがあります。

定期検診にて、変化が見られれば以下の方法を選択することもあります。

外科的切除

悪性の可能性がある病変や進行した病変は、外科的に切除されることがあります。

基本的に癌化するリスクが上がると言われているため、レーザーによる切除は行いません。

薬物療法

一部の病変には、局所的な薬物療法が適用されることがあります。

ビタミンA酸や5%5-FU 軟膏、0.5%ブレオマイシン軟膏、0.1%retinoid軟膏などが投与されることがあります。

前癌病変の予防策

口腔内の前癌病変を予防するためには、以下の対策が有効です。

定期的な歯科検診

早期発見のために、定期的に歯科医師の診察を受けることが重要です。

また、機械的な刺激が常にあるような口腔内の状況を改善することも大事です。

また、経過観察になった場合は、継続的な検診時にチェックしていく必要があります。

健康的な食生活

ビタミンやミネラルを豊富に含む食事を心がけ、免疫力を高めることも大切です。

口腔衛生の徹底

毎日の歯磨きやデンタルフロスの使用を習慣化し、口腔内の清潔を保つことも予防の一つです。

生活習慣の改善

喫煙やアルコール摂取を控え、化学的刺激を抑えることも大事です。

終わりに

口腔内の前癌病変は、早期発見と適切な管理が重要です。

定期的な歯科検診や健康的な生活習慣を心がけることで、リスクを低減することができます。

異常を感じた場合は、早めに歯科医院を受診されてください。口腔内の健康を守るために、歯科定期検診を是非活用してくださいね。

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