2024年10月13日
(院長徒然ブログ)
⚫︎舌小帯強直症とは
今朝携帯を開くと日本大学の先生が「0歳からの歯科検診では、舌をみていく」と書いていらっしゃるトピックスが流れてきました。
その流れを組んで、本日は舌小帯強直症についてお話ししたいと思います。
そもそも歯医者って、歯だけを診ているわけではないんです。例えば歯並びを見る時、歯並びが悪く原因って歯以外にあることが多いんです。
そもそも顎の骨が小さかったり、唇だったり舌だったり、いろんな要因に影響します。
ですから歯が生えてない時期でも、唇や顎の骨の形、そして舌など診察すべきところは沢山あるのです。
今回はその中の舌小帯について説明します。
舌小帯は舌の下部から下顎のど真ん中の歯肉の内側に連続して伸びているひだのことを呼びます。
この舌小帯が短かったり、そのひだの付着部分が下顎の前面の歯肉部付近まで伸びている場合を舌小帯強直症と言います。
(他にも、舌強直症、舌小帯癒着症、舌癒着症などいろんな呼び方があります。)
舌小帯の異常としては1番多いものなんです。
症状に程度の差はありますが、多くのケースでひだによって、舌の先端と下顎の舌側歯肉の縁の部分が固定されて、満足に舌が挙上できない状態となっています。
⚫︎症状の程度
軽度のものであれば最大開口の状態で、舌の先を口の中で持ち上げた際、舌先の拳上量が開口量の半分以上以上となります。
最大開口量の半分から咬合平面(かみ合わせの面)までしか挙がらない場合を中等度、さらに、噛み合わせの面までにすら舌先が上がらない場合を重度と区分しています。
中〜重度の場合には、舌先を居城した時に舌がハート状にくびれる所見が診られます。
⚫︎どんな昨日障害を引き起こすの?
①哺乳障害
舌先が満足に動かないことで哺乳時に窄めることが難しくなってしまいます。
②構音障害
舌先を必要とするサ行タ行ラ行などの発音が著しく難しくなり、英語の歯茎音なども発音できなくなります。
特に発達の子音は5〜7歳頃発達するので、その頃に合わせて治療していくことが日本では多いです。
③舌の下の面の傷ができやすい
乳幼児期に舌が上がらないために下顎前歯によって、舌下面を擦ってしまい、潰瘍になってしまうことがあります。
④咀嚼嚥下障害を起こす。
人は咀嚼の際、舌を使って歯の上に食べ物を乗せるため、上手く食べ物を噛むことができず、咀嚼や飲み込みに支障をきたしたり、消化不良を起こすことがあります。
⑤歯並びが悪くなりやすい
歯列というのは頬や唇の圧力と、舌の圧力が釣り合った位置にあります。
舌が上がらないと、内側の圧力が足らずに歯並びがずれてくることがあります。
また、ひだ自体が下顎の歯肉部まで伸びていることもあり、下顎前歯の間に隙間が生じることがあります(正中離開)。
⚫︎治療について
前述の機能障害が認められた場合には、外科的治療を行い、舌を上がるようにしてあげる場合があります。
メスやハサミなどでひだを切ってあげ、切開創を縫合(舌小帯切断伸展術やVーY法)してあげたり、レーザーなどで焼いてあげた後に訓練し(レーザーの場合は特に後戻りしやすいので、後の訓練が大事)、舌が十分に挙上できる状態で傷が治るようにしてあげるのです。
もし、お子様のこういったお悩みなどございましたら、ぜひご相談ください。