2024年11月01日
(院長の徒然ブログ)
舌苔とは?
皆さんは舌苔(ぜったい)という言葉を聞いたことあるでしょうか?
舌苔は、舌の表面に白色(黄色がかっていることもある)の膜が形成される状態です。
これは、舌の表面に細菌やカビの仲間、食物残渣によるタンパク質、粘膜の細胞の残骸などの由来の物質が堆積することによって発生しています。
どうして舌につきやすいかと言うと、舌の表面には、味蕾や小さな突起(乳頭)があり、これらが食べ物の味を感じる役割を果たしています。
しかし、これらの突起に細菌や食べかすが蓄積すると、舌の表面が不均一になり、さらに細菌が繁殖しやすくなります。
これが舌苔の形成につながるのです。
また、舌苔があると、口臭の原因にもなることがあります。
まずは舌苔の原因と治療法について詳しく説明します。
舌苔の原因
①口腔内の清掃不良
歯磨きや舌磨きを怠ると、細菌や食べかすが舌に堆積して舌が白くなります。
②脱水
水分不足は唾液の分泌を減少させ、口腔内の清浄作用が低下します。
これにより、唾液の免疫グロブリンも減るので、細菌が繁殖しやすくなります。
③禁煙
タバコは口腔内の環境を変化させ、汚れも付着しやすくなる他、免疫も下がり、舌苔の形成を促進します。
④病気や感染
口腔内の感染症や全身疾患(糖尿病、免疫不全など免疫や唾液分泌が下がってしまう全身疾患)は、舌苔の原因となることがあります。
⑤食生活
高糖質や高タンパクの加工食品の摂取は、口腔内の細菌バランスを崩し、一定の菌の繁殖が爆発的に増えて舌苔を引き起こすことがあります。
⑥薬剤の影響
一部の薬剤(特に抗生物質や抗ヒスタミン薬)は、菌交代現象といって、口腔内の細菌バランスを変化させ、舌苔を引き起こすことがあります。
舌苔の改善策、治療法
①口腔清掃の徹底
毎日の歯磨きに加えて、舌を優しくブラシで磨くことが重要です。
専用の舌ブラシも効果的です。
注意としては、強く擦りすぎると舌乳頭を傷つけてしまい、痛みがでたりかえって悪化させてしまいますので、ご注意ください。
②水分補給、保湿剤使用
十分な水分を摂取することで、唾液の分泌を促進し、口腔内を清潔に保つことができます。
薬剤や加齢などで分泌が少なくなっている場合は、保湿剤の使用も効果的です。
③禁煙
喫煙は百害あって一利なしです。
喫煙をやめることで、口腔内の健康が改善され、舌苔の形成を抑えることができます。
④食生活改善
高糖質、高タンパクの加工食品に偏るのを避けて、野菜や果物などの繊維質を含む食事を心がけましょう。
⑤歯の定期検診に行く
定期的に歯科医院にて定期検診を受けることで、口腔内の健康状態をチェックし、セルフケアでは落とせない汚れも落とせ、必要な治療を受けることができます。
⑥舌をよく動かす
舌の動きが鈍いと、自浄作用も十分に受けられず、汚れが堆積しやすくなります。
普段からしっかり意識して動かしましょう。
舌苔と鑑別が必要な病態
①口腔カンジダ症
原因
真菌(口腔カンジダ)の感染によって引き起こされます。
免疫力が低下している人や、抗生物質を使用している人に多く見られます。
症状
舌や口内に白い斑点や膜ができ、痛みや不快感を伴うことがあります。
②白板症(はくばんしょう)
原因
口腔内の細胞の異常増殖によって生じる白い斑点で、喫煙やアルコールの摂取がリスク要因とされています。
赤い斑点が混じることもあり、前癌病変の一つなので、検査が必要となります。
症状
白い斑点ができ、痛みや出血を伴うことがあります。
悪性化する可能性もあるため、医療機関での診察を受けましょう。
③口腔扁平苔癬
原因
自己免疫疾患の一種で、口腔内の粘膜に白い斑点や線が現れます。
症状
痛みやかゆみを伴うことがあり、慢性的な経過をたどることがあります。
いかがでしたか?
舌にも色々な病変ができます。
舌は一つの臓器です。しっかりと健康管理を行っていきましょう。