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歯が浮いた感じがする原因とは?歯周病や食いしばりとの関係を歯科衛生士が解説

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2026年5月29日

歯が浮いた感じがする原因とは?歯周病や食いしばりとの関係を歯科衛生士が解説

(歯科衛生士さんのある日の日誌)

「歯が浮いた感じがする」
「噛むとその歯だけ少し高い気がする」
「痛いとまでは言えないけれど 何となく違和感がある」

このような感覚は、歯科医院でも患者さんからよく伺う症状のひとつです。

強い痛みがあるわけではないため、少し様子を見れば治るのか、それとも受診した方がよいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

まず知っていただきたいのは、歯が浮いた感じというのは、実際に歯が上に浮き上がっているという意味ではないことです。

多くの場合は、歯を支えている周囲の組織が炎症を起こしていたり、強い力で疲れていたりしているサインです。

つまり、歯そのものだけの問題とは限らず、歯ぐき、歯の根の周り、噛み合わせ、さらには鼻の奥の状態まで関係することがあります。

歯は、あごの骨に直接くっついているわけではありません。歯と骨のあいだには歯根膜という薄い膜があり、これがクッションのような役割をしています。

歯根膜は、食べ物を噛んだときの衝撃をやわらげるだけでなく、噛む力を感じ取るセンサーの役割も持っています。

この歯根膜が炎症や強い力で刺激されると、歯が高くなったように感じたり、押し出されるような違和感が出たりして、「歯が浮いた感じ」につながります。

この症状を説明するとき、最近は病名も少しきちんとお伝えした方が、患者さんに納得していただきやすいと感じます。

実際に「歯が浮く感じ」が出る背景には、いくつか代表的な病気や状態があります。

たとえば歯周病咬合性外傷根尖性歯周炎、そして上の奥歯では上顎洞炎などです。

難しく聞こえる病名もありますが、内容を簡単に知っておくと、ご自身の症状を理解しやすくなります。

まず代表的なのが歯周病です。

歯周病は、歯ぐきだけでなく、歯を支える骨や歯根膜などの歯周組織に炎症が広がる病気です。歯みがきのときに血が出る、歯ぐきが腫れる、口の中がねばつく、口臭が気になるといった症状がある方では、この歯周病が関係していることがあります。

炎症が進むと、歯を支える組織が弱ってくるため、歯が浮いたような感じや、噛んだときの違和感が出やすくなります。さらに進行すると、歯が少しグラつくように感じることもあります。

次に多いのが、食いしばりや歯ぎしりによる負担です。

夜間の歯ぎしりだけでなく、日中の無意識の食いしばりでも、歯にはかなり強い力がかかります。

その力によって歯を支える組織が疲れ、ダメージを受けた状態を咬合性外傷と呼びます。

少し専門的な言葉ですが、「噛む力が強すぎて歯の周りが疲れている状態」と考えていただくとわかりやすいと思います。

朝起きたときに奥歯が重だるい、顎が疲れている、噛むと歯が少し高く感じるという方では、この咬合性外傷が関係していることがあります。

さらに、根尖性歯周炎でも歯が浮いた感じが出ます。

これは、むし歯が深く進んだり、以前治療した歯の根の先に炎症が起きたりしている状態です。歯の根の先に炎症があると、噛んだときに響くような感じがしたり、その歯だけ高く感じたりします。

最初は「何となく変」という程度でも、進んでくると噛むと痛い、歯ぐきにできものができる、膿の味がするなどの症状につながることがあります。

神経を取った歯や、大きな被せ物が入っている歯でも起こることがあるため、治療した歯だから安心とは言い切れません。

また、詰め物や被せ物のあとに違和感が始まった場合は、噛み合わせの負担も考えられます。

ほんのわずかな高さの違いでも、その歯ばかりが先に当たってしまい、歯根膜に負担がかかることがあります。

患者さんからすると「このくらいでそんなに変わるのか」と思われるかもしれませんが、歯の周囲の組織はとても敏感です。そのため、ごく小さなずれでも「浮いた感じ」として自覚されることがあります。

そして、上の奥歯に違和感がある場合には、上顎洞炎の影響も視野に入ります。

上顎洞は鼻の横にある空洞で、上の奥歯の根に近い位置にあります。風邪や鼻づまりのあとにこの部分に炎症が起きると、上の奥歯が重だるい、押されるような感じがする、歯が浮いたように感じるといった症状が出ることがあります。

お口の病気とは別に思えますが、実際には鼻の状態が歯の違和感につながることもあるのです。

このように、歯が浮いた感じの背景にはいくつもの原因があります。

だからこそ、自己判断で「きっと歯周病だろう」「疲れているだけだろう」と決めつけてしまうのではなく、どんなときに強く感じるかを振り返ってみることが大切です。

朝に強いなら食いしばりの可能性がありますし、歯ぐきの腫れや出血を伴うなら歯周病が疑われます。

治療した歯に違和感があるなら根の先の炎症も考えられますし、鼻づまりのあとに上の奥歯が気になるなら上顎洞炎の影響も考えられます。

ご自宅で気をつけたいこととしては、まず気になって何度もカチカチ噛んで確かめないことです。

確認するたびに歯根膜を刺激してしまい、かえって違和感が長引くことがあります。

また、硬いものを無理に噛まないこと、やさしく歯みがきを続けること、歯ぐきから出血していないかを見ること、フロスや歯間ブラシで歯ぐきの状態を整えることも大切です。

日中の食いしばりが気になる方は、上下の歯を接触させすぎていないか、少し意識してみるのもよいでしょう。

それでも、違和感が数日で治まらない場合や、噛むと痛い、歯ぐきが腫れている、歯がグラつく、頬まで違和感がある、何日たっても良くならないといった場合には、早めの受診をおすすめします。

歯科医院では、歯ぐきの状態、歯周病の有無、噛み合わせ、歯の揺れ、必要に応じたレントゲンなどを通して、原因をひとつずつ確認していきます。

病名がつくと不安になる方もいらっしゃいますが、原因がはっきりすることで、必要な治療やセルフケアの方向性が見えてくることも多いものです。

歯が浮いた感じは、強い痛みほど切迫感がないぶん、つい後回しにされやすい症状です。

しかし実際には、歯周病、咬合性外傷、根尖性歯周炎、上顎洞炎など、お口やその周囲からの大切なサインであることがあります。

少し病名を知ることは、不安を増やすためではなく、自分の症状を整理して納得するためにも役立ちます。

「気のせいかも」で終わらせず、歯ぐき、噛み合わせ、歯の根の状態などを一度確認してみることが、安心して噛める毎日につながります。

歯が浮いた感じが続くときは、どうぞ早めにご相談ください。私たち歯科衛生士も、患者さんのお話を丁寧にうかがいながら、原因を一緒に整理し、安心につながるお手伝いをしていきます。

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