2024年11月26日


アレルギーは花粉症や食物アレルギーなど全身に影響を与える症状として知られていますが、実は歯やお口の健康にも密接に関係しています。アレルギーが原因で口腔内のトラブルが発生することもあれば、逆にお口の健康状態がアレルギーの症状を悪化させる場合もあります。今回は、歯の健康とアレルギーの関連性について分かりやすく解説します。
1. アレルギーによる口腔内への影響
アレルギー症状が口腔内に及ぼす影響には以下のようなものがあります。
(1) 花粉症と口腔内の乾燥
• 原因: 花粉症の症状があると、鼻づまりにより口呼吸になりがちです。これが口腔内の乾燥を引き起こします。
• 影響: 唾液が減少すると、むし歯や歯周病のリスクが高まり、口臭の原因にもなります。
(2) 食物アレルギーと口腔アレルギー症候群
• 特徴: 特定の果物や野菜を食べたときに、口の中や喉がかゆくなったり、腫れたりする症状が現れることがあります。
• 注意点: 口腔内のかゆみや炎症を放置すると、細菌感染のリスクが高まる可能性があります。
(3) アレルギー性鼻炎と歯の痛み
• 特徴: 鼻炎の症状がひどい場合、副鼻腔炎を併発することがあります。副鼻腔が歯の根に近いため、歯の痛みとして感じられることがあります。
• 対策: 歯が痛い場合でも原因が歯にない場合があるため、歯科と耳鼻科の両方で診察を受けることが大切です。
2. アレルギー治療が歯の健康に与える影響
アレルギーの治療や薬の影響が歯やお口の健康に影響する場合もあります。
(1) 抗ヒスタミン薬による口腔乾燥
• 症状: 抗ヒスタミン薬を服用していると、唾液の分泌が減り、口の中が乾燥することがあります。
• 影響: 唾液が減ると細菌が繁殖しやすくなり、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
• 対策: こまめに水分補給を行い、必要に応じて人工唾液を使用すると良いでしょう。
(2) アナフィラキシーの治療と歯科治療の連携
• 注意点: 重度のアレルギーがある場合、歯科治療時にアレルギー反応を起こす可能性があります。
• 対策: アレルギーの既往歴を歯科医にしっかり伝え、使用する薬や麻酔薬に注意してもらいましょう。
3. 歯の健康がアレルギー症状に影響することも
歯やお口の健康状態が悪化すると、アレルギー症状が悪化することもあります。
(1) 口腔内細菌とアレルギー
• 関係性: 口腔内の細菌が増えると、炎症が起きやすくなり、アレルギー症状が悪化することがあります。
• 対策: 毎日の歯磨きや定期的な歯科検診で細菌の繁殖を防ぎましょう。
(2) 歯周病と全身の炎症
• 影響: 歯周病による炎症が全身に広がることで、アレルギー反応が増幅される可能性があります。
• 対策: 歯周病の早期発見・治療が重要です。
4. アレルギーと歯科治療の連携の重要性
アレルギー症状を持つ方にとって、歯科治療の際には十分な配慮が必要です。
(1) アレルギーの既往歴を伝える
• アレルギーの種類や反応を歯科医に正確に伝えましょう。例えば、ラテックスアレルギーがある場合、ラテックスを含まない手袋を使用する必要があります。
(2) 薬との相互作用に注意
• アレルギー薬を服用している場合、歯科治療で処方される薬と相互作用が起きることがあります。服用中の薬についても必ず歯科医に伝えましょう。
5. 日常生活での注意点
アレルギーと歯の健康を守るために、以下のポイントを意識しましょう。
• こまめに水分を摂る: 唾液分泌を促すために、水分補給やガムを噛むことを習慣にしましょう。
• フッ素入り歯磨き粉を使う: むし歯予防に効果的です。
• 鼻呼吸を心がける: 鼻づまりがひどい場合は、耳鼻科で治療を受けましょう。
• 定期検診を受ける: 口腔内の乾燥や炎症を早期に発見し、適切なケアを受けることが大切です。
当院の取り組み
当院では、アレルギーをお持ちの患者様にも安心して治療を受けていただけるよう、以下のような配慮を行っています。
• アレルギーの既往歴を詳しく伺い、安全な治療を計画します。
• 必要に応じて他の医療機関と連携し、全身の健康に配慮した治療を提供します。
• 口腔内の乾燥やむし歯・歯周病の予防について、患者様一人ひとりに合ったアドバイスを行います。

歯の健康とアレルギーには、さまざまな形でつながりがあります。アレルギー症状を悪化させないためにも、日頃からお口のケアをしっかり行い、定期的に歯科検診を受けることが大切です。当院では、アレルギーをお持ちの方にも安心して治療を受けていただける環境を整えています。お困りのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください!