2026年9月27日

(院長の徒然コラム)

はじめに
歯医者さんで治療を受けるとき、
「うちは電動の麻酔器を使っています」
「コンピューターで制御するので、普通の注射より痛みが少ないですよ」
と説明を受けたことがある方もいるかもしれません。
確かに、歯科で使われる電動注射器には、麻酔薬を一定の速さでゆっくり送り込んだり、機種によっては注入時の圧を監視・制御したりする仕組みがあります。
普通の歯科用注射器では、歯科医師が自分の指でプランジャーを押して麻酔薬を送り込みます。
一方、電動注射器では、その「麻酔薬を押し出す仕事」の一部をモーターやコンピューターが担当します。
そう聞くと、
「人間が手で押すより、機械で一定に入れる方が痛くないのでは?」
と思うのは自然です。
ところが2026年9月24日、BMC Oral Healthに興味深い研究が公開されました。
左右の上顎小臼歯を抜歯する38人について、片側ではコンピューター制御の局所麻酔注入装置、反対側では普通の歯科用注射器を使用して比較したところ、注射時の痛みに統計学的な有意差が出なかったのです。
しかもこの研究は、ただ単に、
「電動注射器」
対
「普通の注射器」
を比べたわけではありません。
普通の注射器側も、電動側と同じように1mLあたり60秒かけて麻酔薬を注入するよう条件を揃えていました。
ここが、今回の研究で最も重要なところです。
では、
「電動麻酔器には意味がなかった」
という話なのでしょうか。
そう単純でもありません。
今回はこの38人の研究を出発点にして、
歯科麻酔の痛みは、実際には何によって決まるのか。
そこまで掘り下げてみます。

そもそも電動麻酔器は、何をしている機械なのか
歯科で使われるコンピューター制御の局所麻酔注入装置は、英語ではComputer-Controlled Local Anesthetic Delivery、略してCCLADと呼ばれます。
ただし本稿では、必要なところ以外は分かりやすく「電動注射器」と呼びます。
そして最初に押さえておきたいのは、「電動注射器」という一種類の機械があるわけではないということです。
これまで研究されてきた装置には、
- Wand
- STA
- Anaeject
- Calaject
- Dentapen
- SOGA Smart II
- Comfort Control Syringe
- QuickSleeper
などがあります。
装置によって、
- 麻酔薬を送り出す速度
- 最初の注入速度をどのように上げていくか
- 注入圧を監視するか
- 注入圧をどのように制御するか
- 手で持つ部分の形
- 足元のスイッチを使うか
- 歯根膜内麻酔や骨内麻酔まで想定しているか
などが違います。
2024年に、歯科用麻酔装置に関する研究を広く整理したレビューでは、Wandに関する資料が56件、STAが22件だった一方、CalajectやAnaejectはそれぞれ5件程度で、装置によって研究量そのものにも大きな差がありました。
つまり、
「Wandで痛みが少なかった研究があるから、Dentapenでも同じ」
とは言えません。
逆も同じです。
今回Dentapenで差がなかったからといって、すべての電動注射器で差がないと結論することもできません。
電動注射器は「痛みを消す機械」ではない
日本でも、電動注射器は以前から単なる「無痛装置」として説明されてきたわけではありません。
深山治久先生は2010年の総説で、電動注射器について、注入圧の出力や制御を機械側に任せることで、歯科医師が注射針そのものの操作へ集中しやすくなる、という考え方を紹介しています。
これは今回のテーマを考えるうえで非常に重要です。
電動注射器の本質は、
「機械が痛みを消してくれる」
というより、
「人間の手ではばらつきやすい注入操作を、一定に再現しやすくする」
ところにあると考えた方が分かりやすいでしょう。

今回の研究は、同じ患者さんの左右で比べた
今回の研究に参加したのは、左右両側の上顎小臼歯を抜歯する予定だった38人です。
平均年齢は21.79±4.75歳で、比較的若い矯正患者が中心でした。
女性28人、男性10人です。
研究では、同じ患者さんの片側にはDentapen、反対側には普通の注射器を使用しました。
こうした方法は、同一患者内比較と呼ばれます。
痛みを調べる研究では、かなり理にかなった方法です。
なぜなら、痛みには非常に大きな個人差があるからです。
同じ程度の刺激でも、
「ほとんど気にならなかった」
という人もいれば、
「かなり痛かった」
という人もいます。
別々の患者さん同士を比べると、注射器の違いだけでなく、
- 過去の歯科治療経験
- 不安の強さ
- 痛みに対する感受性
- その日の緊張
などまで結果に入り込んできます。
同じ患者さん自身に両方の方法を経験してもらえば、こうした個人差の影響を小さくできます。
無作為化だけでなく、比較条件もかなり細かく揃えられていた
今回の研究は、かなり丁寧に条件が揃えられています。
割り付けは無作為化され、どちらの方法を先に行うかという割り付け内容は、不透明な連番封筒に入れられ、参加条件を満たして同意を得た後に順番に開封されました。
患者さんの顔は歯科用の覆いで隠し、どちらの装置を使っているのか見えにくくしています。
さらに、すべて同じ10年経験の口腔外科医が担当し、患者さんへの声掛けまで一定の手順に揃えられました。
使用した麻酔条件も、
- 2%リドカイン+1:100,000エピネフリン
- 27Gの短い注射針
- 頬側1.2mL
- 口蓋側0.6mL
- 反対側の処置とは1週間空ける
と揃えられています。
そして最大の特徴が、
電動でも普通の注射器でも、1mLを60秒で注入した
ことです。

1.2mLなら約72秒、0.6mLなら約36秒
計算すると、
頬側へ1.2mLを入れるには約72秒。
口蓋側へ0.6mLなら約36秒です。
つまり今回の「普通の注射器」は、
普通の注射器を使って、かなり丁寧にゆっくり注入した条件
です。
「電動のゆっくりした麻酔」
対
「手で一気に押した麻酔」
を比べた研究ではありません。
ここを理解しておかないと、今回の結果を誤解します。
なぜ「同じ注入時間」にすることが重要なのか
過去の電動注射器の研究には、一つ大きな問題がありました。
電動側では機械がゆっくり麻酔薬を入れる。
ところが普通の注射器側では、歯科医師が手で注入するため、電動側より速く入っている研究があります。
そうなると、
「電動注射器だから痛くなかった」
のか、
「単に麻酔薬をゆっくり入れたから痛くなかった」
のか、分離しにくくなります。
今回の研究では、普通の注射器側も60秒/mLへ揃えました。
つまり、
「普通の注射器でも十分ゆっくり入れたら、電動にしたこと自体の追加効果は残るのか?」
という疑問へ、かなり直接的に答えようとした研究なのです。
結果――頬側では差が出なかった
まず頬側です。
原著の表では、
Dentapenを使った電動側が
1.77±1.72
普通の注射器が
1.64±1.17
P=0.916。
統計学的な有意差はありませんでした。
数字だけを見ると、むしろ普通の注射器側の方がわずかに低いくらいです。
ただし、この小さな数値差そのものに意味があるとは言えません。
口蓋側でも差は出なかった
続いて口蓋側。
電動側
2.88±2.28
普通の注射器
2.68±1.98
P=0.850。
こちらも統計学的有意差はありませんでした。
したがって今回の38人、この研究条件では、
Dentapenを使うことで、熟練した術者がゆっくり行う通常注射よりさらに痛みが減る、という結果は検出できなかった
ということになります。

でも「2つは完全に同じだと証明された」わけではない
ここは医学論文を読むうえで、とても大切です。
有意差が出なかった=完全に同じ
ではありません。
今回の研究は、
「この範囲以内なら2つの方法を同じと判定する」
という同等性試験ではありません。
また、
「Dentapenが普通の注射器より一定以上悪くないことを証明する」
という非劣性試験でもありません。
したがって、
「電動と普通の注射器は同じだと証明された」
とは言えません。
正確には、
「今回の38人、この条件では統計学的に有意な疼痛差を検出できなかった」
です。
これはかなり重要な違いです。
痛みの評価尺度には、原著内で少し気になるところがある
今回、原著を細かく読んでいて気になった点があります。
研究では、患者さん自身が痛みを線上で評価する視覚的アナログ尺度(VAS)が使われました。
方法の欄では、
0が痛みなし、100が想像できる最悪の痛み
という0~100の尺度だと記載されています。
ところが、実際の結果表に掲載された数値は、
1.77
1.64
2.88
2.68
です。
そのため、
「100点満点で1.77点だった」
と、そのまま解釈するのは慎重にした方がよいでしょう。
現在公開されているものは、最終編集前の早期公開版です。
そこで本稿では、数値は原著の結果表の記載そのままを紹介し、尺度の表記には整合しない点がある、として扱います。
実は一番大きな差が出たのは「電動か手動か」ではなかった
今回の研究で、むしろ非常にはっきり差が出たところがあります。
注射器の種類に関係なく、
頬側の痛みは
1.70±1.46
口蓋側は
2.78±2.12
で、
P<0.001
でした。
差は約1.08です。
一方、Dentapenと普通の注射器との差は、頬側でも口蓋側でも0.2未満でした。
少なくとも今回の研究では、
「何で注射したか」より、「どこへ注射したか」の違いの方が大きかった
ということになります。

なぜ口蓋側の注射は痛くなりやすいのか
頬側の粘膜と口蓋側の粘膜では性質が違います。
頬側は比較的柔らかく、動きのある粘膜です。
一方、硬口蓋の粘膜は骨へ強く結びつき、組織が押し広げられる余地が少なくなります。
そのため、麻酔薬によって組織が押し広げられにくく、痛みにつながりやすいと考えられています。
今回の著者らも、口蓋粘膜の角化や組織の伸びにくさが痛みに関係する可能性を挙げています。
ただし、
「今回1.08高かったのは全部、口蓋粘膜の性質によるもの」
と説明するのは正確ではありません。
今回は毎回「頬側→口蓋側」の順だった
この研究では、必ず頬側の麻酔を先に行い、その後に口蓋側へ注射しています。
つまり、
「頬側」と「口蓋側」
だけでなく、
「1回目」と「2回目」
という違いも混ざっています。
さらに著者らは、最初の注射によって注射針の切れ味がわずかに低下する可能性も考察しています。
そのため、
「今回の頬側→口蓋側という手順では、口蓋側の方が有意に痛かった」
と読むのが正確です。
口蓋粘膜の性質だけで、1.08という差のすべてを説明することはできません。
「ゆっくり入れると痛くない」は、どこまで本当なのか
ブランデンタルクリニックでは以前、
というテーマで、注入速度と注入圧について詳しく検証しました。
今回の記事は、その続編のような位置づけになります。
以前の記事では複数の研究を比べ、
「速すぎる注入をゆっくりにすることには意味がありそうだが、遅ければ遅いほど痛みが減り続けるとは言えない」
というところまで整理しました。
かなり速い注入と遅い注入では、遅い方が楽だった研究がある
Primoschらは2002年、成人20人への口蓋注射で、0.3mLの麻酔薬を、
161秒/mL
対
29秒/mL
で比較しました。
161秒/mLのゆっくりした注入の方が、主観的な疼痛評価は有意に低くなりました。
ただし、ゆっくり入れれば完全に無痛になった、という研究ではありません。
15秒と60秒を比べても、60秒の方が快適だった
Kanaaらは2006年、健康な成人38人へ2.0mLの下歯槽神経ブロックを行い、
15秒
対
60秒
で比較しました。
60秒かけた方が、注射は有意に快適でした。
さらに電気歯髄診では、最大刺激を与えても反応しなかった観測回数が、60秒側で多くなりました。
ただし、これは実際の治療時の臨床的な麻酔成功率とまったく同じ意味ではありません。
「60秒の方が絶対によく効く」と単純化するべきではありません。
ところが60秒と100秒では差が出なかった
de Souza Meloらは2015年、健康な成人32人で1.8mLの下歯槽神経ブロックを、
60秒
対
100秒
で比較しました。
すると、
- 粘膜へ針を刺すとき
- 針を目的位置まで進めるとき
- 麻酔薬を注入するとき
いずれでも統計学的有意差は出ませんでした。
ここから考えると、
「速すぎる注射を避ける」ことと、「可能な限り遅くする」ことは同じではない
と考えた方がよさそうです。

日本の研究では「一番遅い設定」が一番痛くなかったわけではない
ここで、かなり面白い国内資料があります。
2004年、昭和大学の船津敬弘先生らが、小児49人に電動注射器Anaejectを使用した研究です。
この装置では、注入速度として、
- 低速L:180秒/mL
- 中速M:97秒/mL
- 高速H:70秒/mL
という設定がありました。
この研究ではHは使用されず、Lが31例、Mが18例でした。
速度は無作為に決めたのではなく、術者が症例に応じて選択しています。
結果を見ると、注入中の患者さん自身による痛みの評価は、
L
3.8±2.7
M
2.4±1.6
でした。
術者側の評価でも、
L
2.7±2.3
M
2.0±1.4
と、どちらも最も遅いLではなくMの方が低い数字でした。
だから「97秒/mLが一番いい」という意味ではない
ここは注意が必要です。
この研究は、
「LとMのどちらが痛くないか」
を無作為に割り付けて比較した研究ではありません。
注射する場所も症例も完全には揃っていません。
したがって、
「180秒/mLより97秒/mLの方が優れている」
という結論にはできません。
ただし著者らの考察が面白いのです。
本来なら、より遅い方が痛みが少なくなると考えられる。
ところが結果はそうならなかった。
著者らはそこで、
小児では「注射されている時間の長さ」自体が、主観的な“痛かった”という評価へ入り込む可能性
を挙げています。
麻酔には「速すぎる痛み」と「長すぎる負担」があるのかもしれない
これは興味深い視点です。
物理的には、麻酔薬を急速に入れると、組織が急に押し広げられます。
これは痛みにつながる可能性があります。
一方、心理的には、嫌な注射がいつまでも続くこと自体が負担になる人もいるかもしれません。
特に子どもでは、
「まだ終わらない」
という時間感覚そのものが、痛みや恐怖の評価へ影響する可能性があります。
だから、
「とにかく遅ければ遅いほどいい」
とは言えないわけです。
注入速度と注入圧は同じものではない
ここは今回の記事でも非常に重要です。
たとえば、
「1mLを60秒で入れる」
というのは注入速度です。
しかし、その1mLを組織へ送り込むために、どれだけの力が必要になるかは別です。
こちらが注入圧です。
同じ60秒/mLでも、
- 柔らかい頬側粘膜
- 骨へ密着した口蓋粘膜
- 歯根膜周囲
- 骨内
では、組織の抵抗が違います。
さらに普通の注射器では、全体として60秒だったとしても、最初から最後まで完全に同じ力・同じ瞬間速度で押し続けているとは限りません。
少し速くなった瞬間もあれば、遅くなった瞬間もあるでしょう。
つまり、
「60秒/mLを揃えた」ことは非常に大切ですが、「注射の物理条件すべてを同一にした」という意味ではありません。
ここは今回の研究を評価するときにも重要です。

日本では「そっと・ゆっくり・強く押さない」と整理されてきた
2011年の井上美津子先生の総説では、小児の局所麻酔について、GSL法が紹介されています。
つまり、
そっと針を進める。
ゆっくり注入する。
強い圧を加えない。
という方法です。
さらに、一定の速度でゆっくり注入する目的で電動注射器を使うことも有効とされています。
私はこの整理が、今回のテーマを理解するうえでも非常に分かりやすいと思います。
大切なのは、
「ゆっくり」だけではない。
どう針を進めるか。
どこへ注射するか。
無理な圧をかけていないか。
それら全部を含めて麻酔手技です。

では「電動だから」の利益は、本当に残っていないのか
ここで話を終わらせると、
「電動麻酔器が痛くないと言われていたのは、単にゆっくり入っていただけだった」
という結論になりそうです。
しかし、それも言いすぎです。
2026年、今回のLeらとは別に、Gillらが40人を対象とした、同じ患者さんに両方の方法を行う比較試験を報告しています。
こちらではSOGA Smart IIという別の電動注射器を使用しました。
重要なのは、普通の注射器側も電動側に合わせて、
上顎の浸潤麻酔では約60秒、
下歯槽神経ブロックでは約2分、
になるよう注入時間を揃えていたことです。
それでも痛みの評価は、
普通の注射器
4.20±1.16
電動注射器
2.23±1.23
で、
P<0.001
と電動側が低くなりました。
同じ2026年なのに、なぜ結論が違うのか
一見すると、
「どちらを信じればいいの?」
と思います。
でも、この2つの研究は同じ条件ではありません。
Leらの研究
- Dentapen
- 若年中心の矯正患者38人
- 左右の上顎小臼歯
- 頬側+口蓋側麻酔
- 10年経験の口腔外科医
- 両方60秒/mL
Gillらの研究
- SOGA Smart II
- 成人40人
- 根管治療
- 上顎では浸潤麻酔
- 下顎では下歯槽神経ブロック
- 通常注射器側も電動側の注入時間へ合わせた
しかもGill研究自身も、上顎と下顎、浸潤麻酔と下歯槽神経ブロックを分けた詳しい解析を行っていないことを限界として挙げています。
だから、
「Leが正しくてGillが間違っている」
でも、
「Gillが正しくてLeが間違っている」
でもありません。
むしろ、
注入時間を合わせても、装置・場所・麻酔法・患者さんの条件によって結果は変わる
と考えるべきでしょう。

過去の研究を見ると「電動が痛くなかった」も「差がなかった」も本当にある
たとえば2021年のBerrenderoらの研究では、Calajectと普通の注射器を同じ患者さんで比較しています。
痛みの平均値は、
普通の注射器
3.73
Calaject
1.95
で、電動側の方が低くなりました。
さらに92.5%の患者さんが、次回は電子式の方法を選びたいと回答しています。
一方、2003年のGraceらの実臨床研究では、患者さんが感じた不快感は、
電動注射器1.6
通常注射器1.5
で、有意差はありませんでした。
つまり、昔から研究結果は一方向ではありません。
2018年の統合解析では、平均すると電動側の痛みが少なかった
2018年には、同じ患者さんで両方を比較した研究を中心に、20研究、973人を集めた系統的レビューと統合解析が行われています。
そのうち痛みの評価を同じように統合できた8研究、241人では、
0~100の尺度で、電動側の痛みが平均9.21ポイント低い
という結果でした。
95%信頼区間は−12.90~−5.53、P<0.001です。
一方で、心拍数や血圧などの生理学的指標では明確な違いがなく、不安についても結果は一貫していませんでした。
ここから言えるのは、
過去研究全体では電動注射器に痛みを減らす方向の結果がある。
しかし、
どの装置でも、どの患者さんでも、どの注射でも必ず痛みが少なくなるわけではない。
ということです。
「針を刺す痛み」と「麻酔薬を入れる痛み」は別
「麻酔が痛い」
と一言で言っても、実際には複数の段階があります。
まず針が粘膜へ入る。
次に、目的の位置まで針を進める。
そして麻酔薬を組織の中へ注入する。
この3つは、同じ刺激ではありません。
2022年のAttiaらの研究では、ここを分けて調べています。
針を刺したときの痛みには、電動と普通の注射器で統計学的な有意差はありませんでした。
ところが麻酔薬を注入している間の痛みは、
電動側
1.65±1.93
普通の注射器
2.49±2.31
で、
P=0.029
と電動側の方が低くなりました。
これは理にかなった結果でもあります。
電動注射器が最も直接制御しているのは、
注射針そのものより、麻酔薬をどう送り込むか
だからです。

ただし、針を刺す痛みまで少なかった研究もある
2013年のSinghらの研究では、Anaejectと普通の注射器を同じ患者さんの左右で比較しました。
針を刺すときの痛みは、
普通の注射器
19
Anaeject
11.03。
麻酔薬を入れるときは、
普通の注射器
22.9
Anaeject
13.17。
こちらでは両方ともAnaeject側が低くなっています。
つまり、
「電動注射器が変えられるのは注入時の痛みだけ」
とも言い切れません。
ペン型の持ち手による針操作の違い、注入開始時の動き、少量ずつ麻酔を効かせながら進む方法など、装置によって違いがあるからです。
もう一つ大事なのが「誰が注射するか」
普通の注射器も、使うのは人間です。
2022年のAttiaらの研究では、麻酔薬を注入しているときの痛みが、
学生術者
2.49±2.26
経験豊富な歯科医師
1.63±1.97
で、術者経験によっても有意差がありました。
2018年の系統的レビューでも、術者の技量は研究結果へ影響する可能性のある重要な要素として扱われています。
今回のLe研究では、10年経験の口腔外科医1人がすべての注射を行いました。
著者ら自身も、
熟練した術者が通常注射器でもかなり丁寧に注入したため、電動注射器との差が小さくなった可能性
を考察しています。
では「上手な歯医者なら電動注射器はいらない」のか
これも言いすぎです。
先ほどのBerrenderoらの研究では、10年経験の歯科医師が注射を担当しています。
普通の注射器側でも、ゆっくり注入して圧をできるだけ抑えるようにしています。
それでも痛みは、
3.73
対
1.95
と、Calaject側が低くなりました。
だから、
熟練した術者なら電動との差は必ず消える
とも言えません。
より正確には、
術者の技量は痛みを左右する重要な要素の一つだが、それだけで研究結果全部を説明することはできない
ということになります。
電動注射器の価値は「名人よりさらに痛くなくする」ことだけではないかもしれない
ここからは、まだ仮説です。
経験豊富な歯科医師なら、普通の注射器でも、
ゆっくり、
強く押しすぎず、
針先を安定させて、
かなり丁寧に麻酔できます。
一方、経験の少ない術者では、注入速度や押す力にばらつきが出やすい可能性があります。
そう考えると、電動注射器の価値は、
「最も上手な術者より、さらに痛みを下げる」
ことだけではなく、
「誰が行っても、注入条件を一定に近づけやすくする」
ことにあるのかもしれません。
今回のLe研究では1人の経験豊富な口腔外科医しか担当していないため、この仮説を直接検証したわけではありません。
著者らも、今後は経験年数の異なる術者で検証する必要があるとしています。
「電動の方が痛くない研究」には、麻酔法そのものまで違うものもある
さらに注意したい点があります。
電動注射器を使った研究の中には、
「同じ注射を電動か手動かで比較した研究」
だけではなく、
「電動注射器を使うことで、別の麻酔法を行った研究」
も含まれています。
代表例が2004年のLoomerらの研究です。
下顎では、電動側も普通の注射器側も、下歯槽神経ブロックと頬神経への注射を行いました。
この同じ麻酔法を比べた部分では、明確な差はありませんでした。
ところが上顎では、電動側ではAMSAという特殊な注射法を使い、通常注射器側では複数の従来型注射を行いました。
この部分では電動側の方が楽でした。
ここでは、
機械そのものの違い
だけでなく、
麻酔法そのものの違い
まで入っています。
著者自身も、AMSAを普通の注射器で同じ条件にして比較したわけではないことを認めています。
一回の注射が遅くても、全部終わるまでが長いとは限らない
同じLoomer研究には、もう一つ面白いデータがあります。
研究内で、半顎について麻酔注射を行い、その都度研究用の評価データを収集するまでに要した時間は、
電動側
19.4±4.5分
通常注射器側
20.5±5.1分
で、有意差がありませんでした。
ここは「純粋な注射時間」ではなく、注射後の研究用評価時間も含むので、その点には注意が必要です。
ただ、電動側では必要な注射回数自体が少なかったため、
一回の注射がゆっくり=全体として必ず時間がかかる
とは限らないことが分かります。
「痛くない」という言葉は、実はかなり曖昧
「痛くない麻酔器」
という表現を聞くと、何となく麻酔に関するすべての痛みがなくなるように感じます。
でも研究上は、
- 針を刺すときの痛み
- 麻酔薬を入れるときの痛み
- 実際の治療中の痛み
- 治療後のしびれや違和感
は全部別です。
たとえば小児を対象にした研究では、注射するときの痛みはコンピューター制御の方法でかなり低くても、実際の抜歯操作中の行動評価では大きな差が出なかった研究があります。
だから、
「電動麻酔は痛くない」
と言うなら、
何の痛みが少ないのか
まで考える必要があります。
小児では、電動注射器が有利な研究が比較的多い
小児については、成人・若年成人とは分けて考えた方がよいでしょう。
2025年には、3~14歳を対象とした20件の無作為化比較試験をまとめた系統的レビューと統合解析が報告されています。
その解析では、Wong-Bakerという子ども向けの痛み評価尺度では、
標準化平均差 −0.98、P=0.011
と、コンピューター制御の方法で痛みが少ない方向の結果でした。
心拍数についても、
標準化平均差 −0.25、P=0.013
と、電動側に有利な結果でした。
一方で、その他の痛み評価法では統計学的有意差が一貫していません。
20研究のうち、偏りの危険性が低いと評価された研究は5件で、エビデンスの確実性も非常に低い~中等度でした。
つまり小児では、
「電動注射器に利点がありそう」
とは言えますが、
「どんな子ども、どんな注射でも必ず痛くない」
とまでは言えません。
小児では、装置以外の影響も大きい
子どもでは、
- 注射器の見た目
- 電子音やメロディー
- 注射されている時間
- 過去の治療経験
- 不安
- 体動
などの影響が大きくなり得ます。
さらに一部の小児研究では、
電動側では歯根膜内麻酔、
通常側では下歯槽神経ブロック、
というように、装置だけでなく麻酔法まで違います。
したがって、
「今回38人で差がなかったから、小児でも電動は意味がない」
とは言えません。
なお今回のLe研究は比較的若い患者が中心ですが、18歳未満では保護者の同意も得る規定となっており、全員が成人だったとは限りません。
そのため本稿では「若年中心の矯正患者38人」として扱っています。
電動注射器の「見た目」には意味があるのか
国内の2004年Anaeject研究では、以前に経験した手動麻酔と比較した恐怖感について、
「怖くなかった」が27人、
「普通」が20人、
「電動の方が怖かった」が2人、
でした。
術者側からも、
- 外観が注射器らしくない
- 一定の圧と速度で注入できる
- メロディーで気がまぎれる
といった長所が挙げられています。
銀色の注射器そのものを見るだけで緊張する患者さんはいます。
そういう人では、
「注射器らしく見えない」ことそのもの
が利点になる可能性があります。
でもメロディーが苦手な子どももいた
同じ国内研究では、注射中のメロディーについて、
「あった方がいい」が22人、
「どちらでもいい」が22人、
「ない方がいい」が4人でした。
術者からは、
「メロディーによって、かえって緊張する子どもがいる」
という意見も出ています。
つまり、
「音楽が流れるから安心」
とも、
「電子音は怖い」
とも一律には言えません。
患者さんによって違います。
「これは痛くない機械です」と説明するだけでは痛みは減らなかった
こうした「期待」の影響を直接調べた研究もあります。
2020年のRizzo-Lorenzoらの研究では、全員にThe Wandを使用しました。
一方の群には、
「これは低い圧と一定の流量で麻酔薬を送り、痛みや不安を減らすことを目的とした装置です」
と詳しく説明。
もう一方には、特別な説明をしませんでした。
ところが、
- 頬側の針刺入
- 口蓋側の針刺入
- 頬側の麻酔薬注入
- 口蓋側の麻酔薬注入
いずれの痛みにも統計学的有意差はありませんでした。
不安についても差はありません。
つまり、
「最新の痛くない機械だと説明されたから、患者さんが痛くないと思い込んだだけ」
という説明だけで、電動注射器の研究結果を片付けることもできません。
「次も電動がいい」と「痛みが少ない」は同じではない
研究では、患者さんに、
「次回ならどちらを使いたいですか?」
と尋ねることもあります。
Berrenderoらの研究では、92.5%が電子式を希望しました。
ただし、
患者さんの好み=痛みの点数
ではありません。
患者さんの希望には、
- 痛み
- 見た目
- 音
- 注射回数
- 麻酔後のしびれ
- 安心感
- 前回の経験
なども含まれます。
したがって、患者満足度と純粋な鎮痛効果は分けて考える必要があります。
今回の研究は「心拍変動」まで測った
今回のLeらの研究には、もう一つ特徴があります。
患者さんに、
「どのくらい痛かったですか?」
と尋ねるだけでなく、心拍変動を同時に測っています。
心拍変動は、心拍と心拍の間隔がどのように変化するかを見るもので、自律神経の状態を調べる手掛かりの一つです。
主要な時間領域の指標であるRMSSDとSDNNについては、電動と普通の注射器で統計学的有意差はありませんでした。
一方、統計モデルでは、
- 電動側で心拍数が3.28高い方向
- 交感神経系の指標が0.45高い方向
- 副交感神経系の指標が0.38低い方向
という結果も出ています。
だから「電動の方がストレスが強かった」とは言えない
この結果だけを見ると、
「電動注射器の方が患者さんを緊張させたのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、そこはかなり慎重に読む必要があります。
実際の表を見ると、電動注射器を受けた回では、注射を始める前の平均値の段階から心拍数や交感神経系の指標などに数値上の違いがみられています。
たとえば電動側の注射前心拍数は88.65±16.85でした。
つまり、
「電動注射器を使ったから心拍が上がった」
と単純な原因と結果にすることはできません。
さらに心拍変動では多数の指標が探索的に解析されており、主要な心拍変動指標すべてを一つのまとまりとして補正する方法は採られていませんでした。
したがって今回の心拍変動については、
主要な指標では明確な装置差はなく、一部の探索的な指標で電動側に交感神経優位方向の差が観察された。ただし、注射前からの数値差などもあり、電動注射器がストレスを増やしたとは断定できない。
と読むのが妥当でしょう。


むしろ面白いのは「注射前」の心拍数
今回の研究では、装置をまとめた心拍数の推定平均値が、
注射前
84.41
頬側注射中
77.83
口蓋側注射中
81.69
でした。
つまり、最も高かったのは注射中ではなく、注射前だったのです。
著者らは、
「これから注射される」
という予期不安によって、注射前の心拍が上がっていた可能性を考察しています。
これは歯科診療ではかなり実感のある話です。
「では麻酔をしますね」
と伝えた瞬間に、身体へ力が入る患者さんは少なくありません。
麻酔のストレスは、
針が刺さった瞬間から始まるとは限らない
わけです。
ただし今回の研究では、注射前の不安を専用の質問票で測っていません。
著者ら自身も、この説明はあくまで仮説だとしています。
38人という人数は、どう評価すればいいのか
38人と聞くと、
「少なくない?」
と思うかもしれません。
確かに大規模試験ではありません。
一方、この研究は同じ患者さん自身が両方を経験するため、患者さんごとの痛みの個人差をかなり減らせる設計です。
さらに痛みの評価については、著者らは事前に必要人数を計算しています。
ただし参照した過去研究の差が非常に大きかったため、数式上は必要数が極端に小さくなりました。
著者らは、それでは方法論的に十分ではないと判断し、心拍変動の個人差や欠測も考慮して、少なくとも30人を集める計画としました。
最終的には38人が解析されています。
一方、心拍変動については、事前に使える十分な効果量の資料がなかったため、正式な事前の検出力計算を行っていません。
そのため、
痛みの評価については著者らは必要数を満たしたと考えている一方、心拍変動の「差がなかった」という結果については、小さな差を見逃している可能性も残る
という読み方が必要です。
完全に「どちらか分からない状態」にはできなかった
患者さんの顔は覆われ、装置が見えにくくされていました。
しかし、完全にどちらを使っているか分からなくすることは困難でした。
Dentapenには機械特有の振動があります。
そのため一部の患者さんは、
「これは普通の注射器ではないな」
と気づいた可能性があります。
さらに術者は当然、どちらの装置を使っているか分かります。
原著でも、この完全な盲検化が難しいことを限界として挙げています。
つまり、
かなり条件を揃えた研究ではあるが、装置を比較する研究である以上、完全な盲検試験にはできなかった
ということです。
試験登録は研究終了後だった
もう一つ、原著が自ら認めている限界があります。
この研究は2023年8月から2025年1月まで行われました。
一方、ClinicalTrials.govへの登録日は2026年2月20日です。
つまり、研究終了後に遡及的に登録された試験です。
著者らは、臨床試験を開始する前に公開登録する必要性について、当初十分に認識していなかったことが理由だと説明しています。
さらに著者ら自身が、研究終了後の登録は透明性を損ない、
「評価項目や解析方法が研究前から決められていたのか」
という点への信頼を弱める可能性があり、選択的な結果報告への懸念につながり得ることを認めています。
もちろん、
「後から登録したから研究結果は信用できない」
という意味ではありません。
著者らは、実際の研究手順と評価は、倫理審査時に承認された当初の計画へ従ったと説明しています。
ただし、研究の限界としては明記しておくべき点です。
では結局、電動注射器には意味がないのか
今回の研究だけから、
「電動麻酔器は意味がない」
とは言えません。
理由はかなりあります。
過去の無作為化比較試験には、電動側の痛みが少なかった研究が複数あります。
2018年の統合解析でも、平均すると電動側の痛みは低くなっています。
2025年の小児20試験の統合解析でも、一部の痛み評価や心拍数では電動側に有利な結果が出ています。
そして2026年だけを見ても、普通の注射器側の注入時間を電動側へ合わせたうえで、それでもSOGA Smart II側の痛みが少なかったGillらの研究があります。
さらに電動注射器には、痛みの平均点以外にも、
- 一定の注入速度を再現しやすい
- 機種によっては注入圧を監視・制御できる
- 術者が針操作へ集中しやすい
- 機種によっては特殊な麻酔法を行いやすい
といった役割があります。
だから、
「電動に意味はない」
という結論にはなりません。
逆に「電動なら痛くない」とも言えない
これも同じです。
今回の研究では差が出ませんでした。
2003年のGraceらの研究でも不快感はほぼ同じでした。
Loomerらの研究でも、同じ麻酔法同士を比べた下顎では明確な差がありませんでした。
針を刺すときには差が出なかった研究もあります。
不安について差が出なかった研究もあります。
したがって、
「電動」というラベルだけで、患者さんがどれくらい痛いかを決めることはできない。
これが実際の研究に一番近い理解だと思います。
私が今回の研究から一番大切だと思うこと
今回の38人の研究は、
「電動麻酔器の敗北」
を示した研究ではありません。
むしろ、
電動注射器で痛みが少なくなるとき、その効果のどこまでが「機械そのもの」によるもので、どこまでが「ゆっくり、丁寧に注入すること」によるものなのか。
そこを切り分けようとした研究だと思います。
普通の注射器でも、熟練した術者が、
そっと針を進め、
急いで麻酔薬を押し込まず、
強い圧を避けて、
丁寧に注射すれば、電動との差が小さくなる条件がある。
今回の結果は、その可能性を示しています。
一方で機械には、
その操作を毎回同じように再現しやすい
という価値があります。
この二つは矛盾しません。
患者さんにとって大切なのは「機械の名前」だけではない
「電動注射器がある歯医者なら痛くない」
「普通の注射器なら痛い」
という二択ではありません。
歯科麻酔の痛みには、
- 注射する場所
- 注入速度
- 注入圧
- 針の操作
- 麻酔法
- 術者の経験
- 患者さんの不安
- 使用する装置
が重なって関係します。
だから、本当に大切なのは、
麻酔手技全体
です。
日本で以前から説明されてきた、
そっと。
ゆっくり。
強く押しすぎない。
という考え方は、今読んでもかなり本質を捉えていると思います。
そして必要に応じて、そこへ電動注射器の助けを加える。
そのくらいの理解が、一番実際の歯科臨床に近いのではないでしょうか。
今回の研究を、すべての歯科麻酔へ当てはめてはいけない
最後に、今回の38人の結果には適用できる範囲があります。
対象は、
- 比較的若い矯正患者を中心とした38人
- 左右の上顎小臼歯
- 頬側と口蓋側への注射
- 1人の10年経験の口腔外科医
- Dentapenという一つの機種
です。
したがって、この結果を、
- 下歯槽神経ブロック
- 不可逆性歯髄炎
- 強い歯科恐怖を持つ患者さん
- 小児
- 高齢者
- 経験の少ない術者
- ほかの種類の電動注射器
へ、そのまま当てはめることはできません。
まとめ――「電動だから」ではなく、「どう麻酔するか」

2026年9月24日に報告された38人の同一患者内無作為化比較試験では、Dentapenによるコンピューター制御の局所麻酔と、普通の歯科用注射器を比較しました。
大きな特徴は、
両方とも1mLあたり60秒という注入速度へ揃えたこと。
その条件では、
頬側でも、
口蓋側でも、
痛みに統計学的有意差は出ませんでした。
一方、注射器の種類より大きかったのが注射部位の違いで、
口蓋側は頬側より有意に痛みが強くなりました。
ただし、この研究だけで、
「電動注射器は意味がない」
とは言えません。
過去の無作為化比較試験や統合解析には、電動注射器で注射痛が少なかった研究が複数あります。
2026年だけでも、注入時間を揃えてなお電動側の痛みが少なかった別の研究があります。
だから結論は、
「電動だから痛くない」でもない。
そして、
「電動には意味がない」でもない。
歯科麻酔の痛みは、機械一つでは決まりません。
注入速度、圧、注射部位、麻酔法、針の操作、術者の経験、患者さんの不安。
それらの組み合わせで決まります。
機械を替えれば突然「無痛」になるほど、歯科麻酔は単純ではありません。
でも機械だからこそ、毎回同じように、ゆっくり安定して注入しやすい。
そこには、ちゃんと意味があります。
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