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麻酔薬をゆっくり入れるのはなぜ?注入圧と痛み、場所で違う“押され方”

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2026年9月16日

麻酔薬をゆっくり入れるのはなぜ?注入圧と痛み、場所で違う“押され方”

(歯科助手さんの治療見学ノート)

先生、針はもう入っているのに、まだ注射器を押している?

歯を削る治療や根管治療、抜歯などの前に行う局所麻酔。

診療を横で見ていると、ときどき不思議に思うことがあります。

先生が歯ぐきに麻酔の針を入れたあと、注射器を一気に押し切らないのです。

少し押して、ゆっくり進める。患者さんの様子を見ながら、また少しずつ薬液を入れていく。

「針はもう入っているのに、どうしてこんなに時間をかけているんだろう?」

以前の治療見学ノートでは、麻酔の前に表面麻酔を塗る理由について紹介しました。

表面麻酔は、主に注射針が粘膜へ入るときの「チクッ」とした刺激をやわらげるための準備です。

でも、麻酔注射の痛みは「針が刺さる瞬間」だけではありません。

針が入ったあと、麻酔薬という液体を組織の中へ送り込むときにも、圧迫感や張る感じ、痛みが生じることがあります。

そして、ここで大切なのが、「薬液を入れる速さ」と「組織の中に生じる圧」は同じものではないということです。

今回は、歯科医師がなぜ麻酔薬をゆっくり入れるのか、注入速度と注入圧、注射する場所による違い、そして痛みとの関係を見ていきます。

麻酔注射の痛みは「最初のチクッ」だけではありません

患者さんから見ると、局所麻酔は一つの「注射」に見えます。

でも、注射をする側から見ると、いくつかの段階があります。

① 針が粘膜へ入るとき

最初は、注射針が口の粘膜へ入る瞬間です。

ここで感じるのが、いわゆる「チクッ」とした刺激です。

表面麻酔は、この針が入るときの刺激を少しでもやわらげる目的で使われます。

② 針を必要な位置まで進めるとき

麻酔の方法によっては、針先を目的とする位置まで少し進めます。

この過程でも、粘膜へ針が入る瞬間とは別の刺激を感じることがあります。

③ 麻酔薬を組織の中へ入れるとき

今回の主役はこちらです。

針が目的の位置に届いたあと、その針を通して液体の麻酔薬を組織内へ注入します。

すでに組織が存在しているところへ新しく液体を送り込むため、周囲の組織は少しずつ押し広げられます。

そのときの圧迫や組織の変形が、「押される感じ」「張る感じ」「じわっと痛い」といった感覚につながることがあります。

そのため、「表面麻酔を塗ってもらったのに、薬を入れられるときは少し痛かった」という経験があっても、不思議ではありません。

表面麻酔が主に対象としている粘膜表面への刺激と、組織の中へ薬液が入っていくときの刺激は、同じものではないからです。

麻酔薬を入れると、組織の中で何が起きる?

局所麻酔薬は液体です。

その液体を粘膜やその下の組織へ入れると、薬液は周囲の組織を少しずつ押し広げながら広がっていきます。

イメージとしては、柔らかく広がる余地のある場所へ液体を入れる場合と、広がる余地の少ない密な場所へ液体を入れる場合の違いを考えると分かりやすいかもしれません。

ただし、人の口の中の組織は単純なスポンジのようなものではありません。

実際の注射時の痛みには、針が入る刺激、薬液の注入速度、注入するときに生じる圧、注射する場所、組織の硬さや広がりやすさ、炎症の有無、不安や緊張、痛みの感じ方の個人差、麻酔法など、複数の要因が関係します。

ですから、「麻酔注射が痛いのは、すべて圧力のせい」ではありません。

それでも、注入するときの圧が痛みと無関係ではないことは、人を対象にした研究でも調べられています。

2005年にKudo氏が健康な成人男性28人を対象に行った研究では、局所麻酔薬を注入するときの圧力を測定し、患者さんが感じた痛みや不安との関係を評価しました。

その結果、注入圧と痛みには有意な相関が認められました。

ただし、これは「圧が高いことだけが痛みの原因である」と証明した研究ではありません。

あくまで、特定の研究条件の中で注入圧と痛みの強さに関連がみられたという結果です。

この研究では具体的な圧力値も検討されていますが、それを「この値を超えたら痛い」という、すべての歯科麻酔に共通する境界線として使うこともできません。

対象人数、注射部位、使用した装置、測定方法などが限定された研究だからです。

ここで覚えておきたいのは、麻酔薬を入れるときに生じる圧も、注射時の痛みを左右する要素の一つだということです。

「速く入れる」と「圧が高い」は同じ意味ではありません

ここは今回、特に大切なところです。

「麻酔薬を速く入れると痛い」と聞くと、速さと圧力を同じもののように考えてしまいそうです。

でも、厳密には別のものです。

注入速度とは?

一定の時間に、どれくらいの量の麻酔薬を送り込むかという「薬液の流れる速さ」です。

たとえば、同じ1mLを短時間で入れる場合と、時間をかけて入れる場合では、注入速度が違います。

注入圧とは?

その薬液を組織の中へ進ませるときに生じる圧力です。

速く多くの薬液を送り込もうとすれば圧が高くなりやすいと考えられますが、実際の圧力は速度だけでは決まりません。

薬液を受け入れる側の組織がどれくらい広がりやすいか、どのくらい抵抗するかも関係するからです。

つまり、

注入速度 ≠ 注入圧

です。

「ゆっくり入れれば必ず低圧になる」「速ければ必ず高圧になる」という単純な関係ではありません。

同じ流量でも、注射する場所や方法によって圧は違いました

口の中は、どこも同じ柔らかさではありません。

頬側の粘膜のように比較的動きやすく、薬液が広がる余地のある場所があります。

一方で、硬口蓋や角化歯肉のように、骨に近く、組織が密で広がりにくい場所もあります。

この違いを、局所麻酔薬を一定流量で注入したときの圧力で比較した研究があります。

Hochman氏らは2006年、歯科治療で局所麻酔を必要とした成人への合計200回の注射について、コンピューター制御式の装置を使って注入時の流体圧を記録しました。

1.8mLを0.005mL/秒という一定流量で投与したところ、記録された平均流体圧は、

  • 頬側の浸潤麻酔:約11.5psi
  • 下歯槽神経ブロック:約9.8psi
  • 口蓋側のAMSAブロック:約68psi
  • 歯根膜内注射:約294psi

と、大きく異なりました。

つまり、同じ流量で薬液を送っていても、注射する場所や麻酔法によって記録された圧は大きく違ったのです。

ただし、この数字には注意が必要です。

まず、これは「歯根膜麻酔は頬側の麻酔より何十倍も痛い」という意味ではありません。

この研究で比較されたのは注入時に記録された圧力であって、患者さんが感じる痛みが同じ倍率で増えることを示したものではありません。

また、約294psiや約68psiといった絶対値も、すべての歯科医院やすべての注射で同じになるという意味ではありません。

使用した装置、一定流量、麻酔法など、この研究条件で得られた値として見る必要があります。

広がりやすいところと、広がりにくいところがある

国内の歯科麻酔に関する資料でも、歯肉頬移行部は粘膜下組織が比較的豊富で、薬液が広がりやすい場所として説明されています。

一方で、歯頸部に近い組織や角化歯肉など、組織が密な場所では注入時の痛みが生じやすくなります。

歯根膜麻酔はさらに特殊です。

歯根と骨の間にある非常に狭い歯根膜腔へ少量の麻酔薬を入れるため、通常の頬側浸潤麻酔とは異なり、高い圧が記録されることがあります。

ですから、麻酔を受けているときに痛みを感じても、「先生が強く押したから痛かった」とだけで説明することはできません。

そもそも注射する場所や麻酔法によって、薬液を受け入れる組織の条件が違うのです。

本当に「ゆっくり入れる」と痛みは少なくなる?

では、実際に注入速度を変えると、患者さんの感じる痛みは変わるのでしょうか。

ここは複数の臨床研究があります。

口蓋への注射ではslow flowの方が痛みが少なかった

2002年にPrimosch氏らは、成人20人を対象に、口蓋への局所麻酔0.3mLを異なる流量で注入して比較しました。

一方は161秒/mLのslow flow、もう一方は29秒/mLのfast flowです。

複数の主観的な疼痛評価では、slow flowの方が有意に痛みが少ない結果でした。

ただし、slow flowでもすべての患者さんで痛みが完全になくなったわけではありません。

「ゆっくり入れれば必ず無痛」という意味ではないことも重要です。

2.0mLを15秒と60秒で比較した研究

2006年にKanaa氏らは、健康な成人38人を対象に下歯槽神経ブロックを行い、2.0mLの局所麻酔薬を15秒で注入する場合と60秒かけて注入する場合を比較しました。

その結果、60秒かけたslow injectionの方が有意に快適でした。

この研究では、電気歯髄診で最大刺激を与えても反応しなかった観測回数についてもslow injection側で多いという結果がみられました。

ただし、これは実際に歯を削ったり神経の処置をしたりした際に「痛みなく治療できたか」という臨床的な麻酔成功率と同じ指標ではありません。

そのため、この研究だけから「ゆっくり入れれば麻酔そのものが必ずよく効く」と一般化することはできません。

別の神経ブロックでも60秒の方が快適だった

2007年には、成人38人へのオトガイ・切歯神経ブロックで、2.0mLを15秒または60秒で注入した研究も報告されています。

こちらでも60秒のslow injectionの方が有意に快適でした。

一方で、個々の歯の麻酔成功率や麻酔の持続時間には、注入速度による有意差は認められませんでした。

この結果も、注射するときの快適さと、その後の麻酔効果は分けて考える必要があることを示しています。

実際に強い歯の痛みがある患者さんでは?

2012年のAggarwal氏らの研究では、症候性不可逆性歯髄炎、つまり歯の神経に強い炎症があり実際に痛みのある成人59人を対象に、下歯槽神経ブロックの注入速度を比較しました。

麻酔成功率は、slow injection群43%、rapid injection群51%で、統計学的な有意差はありませんでした。

一方、麻酔薬を注入している最中の痛みは、ゆっくり入れた群の方が少ない結果でした。

つまり、「麻酔薬を入れているときの痛み」と、「そのあと治療できるほど十分な麻酔が得られるか」は別の問題だということです。

では、もっともっと遅くすればいい?

そうとも限りません。

2015年のランダム化二重盲検クロスオーバー試験では、健康な成人32人を対象に、1.8mLの下歯槽神経ブロックを60秒で注入する場合と100秒で注入する場合が比較されました。

結果は、粘膜への穿刺、針を進めるとき、麻酔薬を注入するときのいずれについても、2つの速度の間に統計学的な有意差はありませんでした。

研究全体から考えると、

  • かなり速い注入と、ゆっくりした注入を比較すると、ゆっくりした方が快適だった研究が複数ある
  • 口蓋への注射でも、slow flowの方が痛みが少なかった研究がある
  • 実際に歯の神経に強い炎症がある患者でも、slow injectionで注入時痛が少なかった研究がある
  • 一方、すでに比較的ゆっくりした速度同士では、さらに遅くしても有意差が出ないことがある

ということになります。

「遅ければ遅いほど、痛みが比例して減り続ける」わけではありません。

「何秒かければ正解」という一つの数字はありません

ここまで読むと、「では、麻酔1本を何秒かけて入れるのが正解なの?」と思われるかもしれません。

過去の歯科麻酔の文献や教育資料には、1mLあたりの時間や、1.8mLのカートリッジ全量を何分かけて注入するかについて、複数の目安が示されています。

研究で使われている速度も一定ではありません。

そのため、それらを一つにまとめて、「歯科麻酔1本は必ず○秒で注射する」というすべての患者さん、すべての部位に共通する数字にすることはできません。

注射する部位も違えば、麻酔法も違います。

必要な薬液量も異なり、組織の状態や患者さんの反応も同じではありません。

大切なのは「何秒だったか」という数字そのものよりも、急いで一気に押し込まず、無理な強圧を避けながら緩徐に注入するという考え方です。

ゆっくり入れるのは、痛みを減らすためだけではありません

局所麻酔薬をゆっくり注入する理由を、単に「注射を痛くしないため」と考えると、少し足りません。

現在の「歯科用キシロカインカートリッジ」の2026年3月改訂添付文書では、ショックや中毒症状をできるだけ避けるための注意として、患者さんの全身状態を十分に観察すること、できるだけ必要最少量にとどめること、注射針が血管に入っていないことを確認することなどとともに、注射の速度をできるだけ遅くすることが示されています。

さらに薬剤投与時の注意には、強圧をかけずにできるだけゆっくり注射すること、骨膜下への強圧注射は組織の損傷やカートリッジのガラスチューブ破折につながるおそれがあることも記載されています。

つまり、緩徐な注入は、患者さんの快適さだけでなく、安全に局所麻酔薬を投与するための操作の一部でもあるのです。

もちろん、「ゆっくり入れれば局所麻酔の副作用を完全に防げる」という意味ではありません。

患者さんの持病や全身状態、使用する麻酔薬、投与量、注射部位、血管内への誤注入を避ける確認など、複数の安全管理を組み合わせて考えます。

その中の一つが、無理に急速注入しないことです。

最初から全部入れず、少しずつ進めることもあります

診療を見ていると、先生が針を入れたあと、最初にほんの少しだけ麻酔薬を入れることがあります。

そして、そのまま少し待ってから、必要に応じて針を進めたり、追加の麻酔薬をゆっくり入れたりします。

これは、まず少量の麻酔薬を作用させ、その周囲の感覚を鈍らせながら次の操作へ進むという考え方です。

国内の小児歯科に関する総説でも、表面麻酔が作用した粘膜に浅く針を入れ、粘膜下へ少量の麻酔薬を注入してから次の注入へ進むことで、その後の痛みを軽減する方法が紹介されています。

もちろん、すべての麻酔を必ずこの順序で行うわけではありません。

注射する部位、麻酔法、患者さんの状態によって操作は変わります。

ただ、診療中に「先生、ずいぶん少しずつしか薬を入れないな」と感じたときには、そうした理由がある場合があります。

「そっと・ゆっくり・強く押さない」という考え方

国内の小児歯科に関する資料では、麻酔薬の注入方法について、

  • Gently:そっと静かに
  • Slowly:ゆっくり
  • Light pressure:強い圧を加えずに

という「GSL」の考え方が紹介されています。

今回の記事をここまで読んでいただくと、この3つが別々に書かれている意味も分かりやすいのではないでしょうか。

「ゆっくり」と「低い圧」は、完全に同じ意味ではありません。

ゆっくり注入していても、薬液が広がりにくい場所では組織から受ける抵抗が大きくなることがあります。

一方で、必要以上の強い圧を加えて薬液を押し込むことも避ける必要があります。

これは単に「優しく注射しましょう」という感覚的な話だけではありません。

部位によっては、強圧による注入が組織への負担につながるためです。

電動麻酔器なら「痛くない麻酔」になる?

歯科医院によっては、電動式やコンピューター制御式の麻酔注射器を使用することがあります。

「電動麻酔」と聞くと、機械が自動的に痛くない麻酔をしてくれるように感じるかもしれません。

でも、そういう意味ではありません。

電動式・コンピューター制御式の装置の特徴の一つは、設定された流量で麻酔薬を送りやすいことです。

人の手だけでゆっくり一定の速度を維持する操作を、機械が補助してくれます。

2018年のシステマティックレビューでは、20研究、合計973人を対象に、コンピューター制御式局所麻酔注入装置と従来の注射方法が比較されました。

VASを統合できた8研究では、0~100の尺度でコンピューター制御式の方が平均して9ポイントあまり痛みが低い結果でした。

一方、心拍数や血圧などの生理的指標には明確な差がなく、不安についての結果も一貫していませんでした。

さらに2025年、小児を対象とした20件のランダム化比較試験をまとめたシステマティックレビュー・メタ解析でも、一部の疼痛評価ではコンピューター制御式の方が痛みが少ない結果が示されています。

ただし、疼痛評価の方法や麻酔法によって結果は異なり、エビデンスの確実性もvery lowからmoderateまで幅がありました。

したがって、「電動麻酔器なら痛くない」とは言えません。

より正確には、「一定の流量で麻酔薬を送りやすくするための道具の一つ」と考えるのがよいでしょう。

通常の手用注射器でも、術者がゆっくり丁寧に注入することは可能です。

「ゆっくり入れる時間」と「麻酔が効くまで待つ時間」は別です

ここも混同しやすいところです。

麻酔薬をゆっくり入れたからといって、その瞬間に歯の神経まで十分な麻酔効果が出たとは限りません。

薬液を組織へ入れる時間と、入れた麻酔薬が目的の場所へ広がり、神経へ作用して麻酔効果が現れるまでの時間は別だからです。

歯の周囲に行う一般的な傍骨膜への浸潤麻酔では、注入された麻酔薬が粘膜下から骨膜、皮質骨、海綿骨などを介して、歯の根尖付近に分布する神経へ作用していきます。

そのため、注射が終わったあとに少し待ってから治療を始めることがあります。

つまり、「ゆっくり注射が終わった」=「もう完全に麻酔が効いた」ではありません。

一方で、強い炎症がある歯や下顎大臼歯、解剖学的な違いなどによっては、適切に麻酔を行っても十分な効果が得られにくい場合があります。

「ゆっくり入れたのに効かなかった」という場合も、単純に注入速度だけが原因とは限りません。

詳しくは、院長の徒然コラムの局所麻酔が効きにくい症例をどう考えるかでも専門的に解説しています。

麻酔中に痛かったら、我慢せず伝えてください

局所麻酔では、多少の「チクッ」とした刺激や、薬液が入るときの圧迫感が出ることがあります。

だからといって、「麻酔なのだから痛くても我慢しないといけない」ということではありません。

強い痛みを感じる、圧迫感がつらい、気分が悪い、動悸がする、息苦しい、めまいがする、強い不安で治療を続けるのが難しい――。

そのようなときは、遠慮せず歯科医師やスタッフへ知らせてください。

過去の麻酔で気分が悪くなったことがある方、注射への強い恐怖がある方、以前「麻酔が効きにくかった」と感じたことがある方も、治療が始まる前に伝えておくとよいでしょう。

局所麻酔では、注射そのものの操作だけでなく、患者さんの持病、服用薬、過去の麻酔歴、全身状態などの確認も重要です。

Blanc Dental Clinicでは、必要な教育・研修を受けた歯科衛生士が、歯科医師の指示・管理のもとで局所麻酔を行う場合もあります。

その取り組みについては、歯科衛生士による局所麻酔の研修と安全管理でも詳しく紹介しています。

よくある質問

Q.ゆっくり入れれば、麻酔注射は絶対に痛くありませんか?

いいえ。

ゆっくり注入することで薬液注入時の痛みを減らせる可能性はありますが、完全に無痛になるとは限りません。

針を刺す刺激、注射する場所、組織の性質、炎症、不安や緊張など、痛みには複数の要因が関係します。

また、すでに比較的ゆっくりした速度同士を比較した研究では、さらに遅くしても痛みに有意差がなかったものもあります。

Q.表面麻酔をしたのに、薬を入れるときに痛いのはおかしいですか?

必ずしもおかしくありません。

表面麻酔は主に粘膜表面へ作用し、針が入るときの刺激をやわらげるために使われます。

薬液が組織の中へ入るときの圧迫や、組織が押し広げられることによる刺激とは分けて考える必要があります。

Q.口蓋への麻酔は、どうして痛く感じることがあるのですか?

口蓋側の粘膜は、頬側の比較的柔らかい粘膜とは組織の条件が異なり、骨に密着して広がる余地が少ない部分があります。

そのため、薬液が入ったときの圧迫を感じやすい場合があります。

実際に口蓋への注射速度を比較した研究でも、slow flowの方が痛みが少ない結果が報告されています。ただし、感じる痛みには注入圧だけでなく、針の刺激や不安など複数の要因が関係します。

Q.電動麻酔の方が必ず痛くありませんか?

必ずではありません。

電動式やコンピューター制御式の注射器には、一定の流量で薬液を送りやすいという利点があります。

研究では痛みが少ない傾向も報告されていますが、すべての研究、すべての麻酔法、すべての患者さんで同じ結果になるわけではありません。

Q.麻酔薬はカートリッジ1本を全部使うのですか?

必ずしも全部使うわけではありません。

処置内容、麻酔する場所、麻酔法、年齢や全身状態などによって必要な量は変わります。

局所麻酔薬は、必要な効果を得るための必要最少量を基本として使用します。

Q.麻酔が効きにくければ、速く入れた方が効きますか?

「速く押せばよく効く」というものではありません。

麻酔が効きにくい理由には、炎症、解剖学的な違い、麻酔薬の到達位置、麻酔法などさまざまな要因があります。

必要に応じて追加の麻酔や、別の麻酔方法を検討します。

Q.麻酔が怖いことを先に言ってもいいですか?

もちろんです。

過去に麻酔でつらい経験をしたことがある、注射がとても怖い、麻酔中に気分が悪くなったことがある、といったことは治療前に伝えてください。

事前に分かることで、患者さんの様子をより注意深く確認しながら治療を進めやすくなります。

まとめ|ゆっくりなのは「時間をかけているだけ」ではありません

歯科医師が局所麻酔をゆっくり注入していると、「なかなか終わらないな」と感じることがあるかもしれません。

でも、麻酔注射では針を刺すことだけでなく、麻酔薬という液体を組織の中へ入れる工程にも痛みや不快感が生じます。

急いで薬液を押し込まず、患者さんや組織の状態を見ながら緩徐に注入し、無理な強圧を避けることには意味があります。

そして大切なのは、「速さ」と「圧」は同じではないということです。

同じ流量で薬液を送っても、注射する場所や麻酔法によって記録される圧は異なります。

研究では、かなり速い注入とゆっくりした注入を比べると、ゆっくりした方が快適だった結果が複数あります。

一方で、すでに比較的ゆっくりした速度同士では差が出なかった研究もあります。

つまり、「遅ければ遅いほど無限に痛くなくなる」のではありません。

大切なのは、急いで一気に押し込まず、必要以上の強い圧を避けながら丁寧に注入することです。

また、緩徐な注入は患者さんの痛みや不快感を減らすためだけでなく、安全に局所麻酔薬を投与するための操作の一部でもあります。

診療室で先生の親指がゆっくり動いているのを見たら、「薬が少しずつ組織の中へ入っているところなんだな」と思い出していただければと思います。

広島市中区立町のBlanc Dental Clinicは立町駅徒歩1分、立町中央ビル4階にあります。4階へはエレベーターをご利用いただけます。

局所麻酔への強い不安がある方、過去の歯科麻酔で気分が悪くなった経験がある方は、予約時や来院時に遠慮なくお伝えください。

急な歯の痛みなどについては当日電話受付可としており、予約状況によっては急患同日可の場合があります。当日の受診をご希望の場合は、お電話でお問い合わせください。

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