2026年8月11日

(歯科衛生士さんのある日の日誌)

はじめに
先日、当院の歯科衛生士が局所麻酔に関する講習を受け、所定の認定を取得しました。
少し前には院長が、歯科衛生士による浸潤麻酔について、制度や患者さんへの説明、安全管理をどう考えるべきかというコラムを書いています。
その頃はまだ、「歯科衛生士が麻酔をする」という話を制度の側から考えている段階でした。
その後、実際に講習を受け、院内でも安全な運用について話し合い、当院の問診票にも「歯科衛生士による局所麻酔について」という新しい確認項目を加えました。
麻酔の講習と聞くと、「注射の打ち方を練習する講習なのかな?」と思われるかもしれません。
でも、実際に学ぶことはそれだけではありません。
患者さんの持病や服用している薬を確認すること。血圧や脈拍などの変化を見ること。局所麻酔薬について理解すること。何らかの異変が起きたとき、それに気づいて処置を止め、歯科医師へつなぐこと。
「麻酔ができる」というのは、注射器を扱えるという意味だけではありません。
今回、講習を受けて改めて強く感じたことです。
歯科衛生士も局所麻酔をするの?
まず、患者さんが最も気になるところからお話しします。
2026年8月時点では、必要な教育・研修を受けた歯科衛生士が、歯科医師の患者さんごとの指示と管理のもとで、歯周治療時などに浸潤麻酔を行う場合があります。
ただし、研修や認定を受けたからといって、歯科衛生士が自分の判断だけで麻酔を行えるようになるわけではありません。
厚生労働省は2025年6月、「歯科衛生士による浸潤麻酔の実施に向けた研修プログラム(例)令和7年度版」を公表しています。
そこでは、歯科衛生士が浸潤麻酔を行う場合には歯科医師の指示が必要であり、歯科衛生士が自らの判断で実施することはできないことが明記されています。
さらに歯科医師は、患者さんの状態だけではなく、担当する歯科衛生士の知識や技能なども踏まえて、実施してよいかを患者さんごとに判断する必要があります。
また、この研修プログラムを受講すること自体が、「歯科衛生士による浸潤麻酔を一律に推奨する」という意味でもありません。
「研修を受けたから、今日から何でも自由に麻酔できる」という制度ではないのです。
2026年7月には日本歯科麻酔学会からも、歯科衛生士による浸潤麻酔における「歯科医師の具体的指示」について、新たな見解が示されました。
そこでも、患者さんに浸潤麻酔を行うか、担当する歯科衛生士がその症例を担当してよいか、どのように実施するか、緊急時にどう判断するかという責任主体は歯科医師であることが改めて示されています。
そして、麻酔後の最終的な麻酔効果の判定も歯科医師が行います。

「認定を取った」は、新しい国家資格ができたという意味ではありません
ここも誤解されやすいところなので、先に整理しておきます。
今回の「認定」は、歯科衛生士に新たな国家資格として「麻酔資格」が追加されたという意味ではありません。
厚生労働省が示している研修プログラム例では、所定の講義・実習・筆記試験などを経たうえで「修了証」を発行する構成になっています。
一方、実際の研修や認定制度には実施団体ごとの名称や制度があります。
ですから、「認定を取れば歯科医師と同じ範囲で自由に麻酔を判断できる」「国から新たな麻酔の免許を交付された」という理解は正しくありません。
研修や認定は、安全に業務を行うために必要な知識・技能を身につけていくための重要な過程です。
そのうえで、実際の診療では歯科医師の判断、具体的な指示、管理のもとで行います。
なぜ歯科衛生士が麻酔を使う場面があるの?
「歯科衛生士さんって、歯石を取ったりクリーニングをしたりする人ですよね? そこで麻酔が必要なんですか?」
そう思われる方もいらっしゃると思います。
今回の話を理解するうえでポイントになるのが、歯周病治療で行うスケーリング・ルートプレーニング(SRP)です。
歯の表面についている汚れや歯石を落とすクリーニングと、歯周病によって深くなった歯周ポケットの中を治療するSRPは、同じ「歯をきれいにする処置」に見えても、触れる場所や処置の目的が異なります。
歯周病が進行すると、歯ぐきの中、つまり直接見えにくい歯根の表面にも歯石や細菌性の沈着物が付着します。
そこへ器具を入れて歯根面を処置するため、歯周ポケットの深さ、炎症の程度、処置する部位などによっては痛みを感じることがあります。
厚生労働省が2025年に示した研修プログラム例も、浸潤麻酔なら何でも広く扱うという内容ではありません。
現時点で示されている研修内容の範囲は、歯肉縁上・歯肉縁下の歯石除去やルートプレーニング時の疼痛を取り除く目的で行う浸潤麻酔を中心としています。
これはとても重要な違いです。
「歯科衛生士が虫歯治療や抜歯の麻酔まで、何でも自由に担当するようになった」という話ではありません。
歯科衛生士が日常的に深く関わる歯周治療の中で、必要な疼痛管理をどう安全に行うか。
そこが今回の大きなテーマです。

痛いのを我慢して、麻酔を使わない方が安全?
局所麻酔には薬を使います。
そう聞くと、「できれば麻酔を使わず、少しくらい痛くても我慢した方が身体には安全なのでは?」と考える方もいるかもしれません。
もちろん、必要のない麻酔をする理由はありません。
しかし、「麻酔を使わないこと」そのものが安全なのではありません。
強い痛みや歯科治療への恐怖、緊張は患者さんにとって身体的・心理的なストレスになります。
そのため、必要な処置に対して適切に疼痛や緊張を管理することも、歯科治療の安全管理を考えるうえで大切です。
「麻酔をするか、しないか」だけで考えないこと。
その患者さん、その部位、その日の処置にとって、どのような疼痛管理が必要なのかを考えることが大切です。
「少しくらいなら我慢してください」と処置を押し進めるのではなく、「痛い」という患者さんからの訴えも大切な情報として受け取る。
それも、歯周治療を担当する歯科衛生士にとって大切なことだと思っています。
麻酔の講習で学ぶのは「注射の打ち方」だけではありません
厚生労働省の研修プログラム例を見ると、その内容の広さがよく分かります。
一次救命処置(BLS)の受講に加えて、講義はeラーニング570分、対面講義270分の合計840分。さらに対面実習が270分あり、その後に筆記試験と修了証の発行まで想定されています。
講義で学ぶのは、局所麻酔の手技だけではありません。
倫理や法規制、患者さんの権利とインフォームドコンセント、生理学、局所麻酔薬の薬理、全身状態の評価、バイタルサイン、局所的な合併症、全身的な偶発症なども含まれています。

実習270分のうち、150分は「急変時の対応」です
個人的に、研修内容を知っていただくうえで特に印象的だと思う数字があります。
厚生労働省が示した対面実習270分の内訳は、次のようになっています。
- 浸潤麻酔の実習:60分
- バイタルサイン・生体情報モニタリング:60分
- 急変時の対応(シナリオシミュレーション):150分
つまり、実習時間だけを見ると、実際に浸潤麻酔を練習する時間よりも、患者さんに何か起きたときの対応を学ぶ時間の方が長いのです。
急変時の実習では、血管迷走神経反射などを想定したシナリオで、患者さんの状態を評価し、必要な対応を行うためのトレーニングが組み込まれています。
これを見ると、「麻酔の研修」の意味が少し違って見えてきませんか。
どう注射するかだけではなく、もし何か起きたらどうするか。
そこまで含めて局所麻酔を学ぶということです。

注射器を持つ前から、局所麻酔は始まっています
局所麻酔というと、どうしても注射をする瞬間が目立ちます。
でも、安全管理という意味では、その前の情報収集がとても重要です。
今日の体調はどうか。どのような病気で通院しているか。どんな薬を飲んでいるか。アレルギーはないか。血圧はどうか。妊娠中・授乳中ではないか。そして以前、歯科の麻酔や抜歯などで具合が悪くなったことはなかったか。
こうした情報を確認してから、必要な処置へ進みます。
今回改訂した当院の問診票でも、心臓病、高血圧、糖尿病などの既往歴、服用している薬、アレルギー、現在治療している病気に加えて、「歯の麻酔・抜歯などで具合が悪くなったことはありますか」という項目を設けています。
これは何気ない質問ではありません。
局所麻酔を安全に行うための、とても大切な情報です。
「昔のことだから言わなくてもいいかな」と思わず、覚えている範囲で教えてください。
「昔、歯医者の麻酔で気分が悪くなった」は必ず教えてください
「以前、歯医者で麻酔をしたら気持ち悪くなりました」
これは診療を進めるうえで、とても大切な情報です。
ただし、麻酔の後に具合が悪くなったことと、局所麻酔薬のアレルギーであることは同じではありません。
歯科治療では、強い緊張や恐怖、痛みなどをきっかけとして血管迷走神経反射が起こり、顔色が悪くなる、冷や汗が出る、気分が悪くなる、血圧が下がる、意識が遠くなる、といった症状がみられることがあります。
一方で、薬剤に対するアレルギー反応や局所麻酔薬による有害反応など、別の原因を考えなければならない場合もあります。
だから大切なのは、「麻酔で具合が悪くなった」という一言だけで終わらせず、そのとき何が起きたのかをできるだけ具体的に教えていただくことです。
麻酔をしてからどのくらいで症状が出たのか。顔色はどうだったか。冷や汗、めまい、じんましん、息苦しさなどはなかったか。意識はどうだったか。どのくらいで回復したのか。
患者さん自身が「アレルギーだ」「アレルギーではない」と判断する必要はありません。
起きたことを、そのまま教えてください。
そこから必要な評価を行い、歯科医師が対応を判断します。

浸潤麻酔は実際にはどのような流れで行うの?
ここからは、患者さんから見える範囲で基本的な流れを説明します。
まず歯科医師が患者さんを診察し、麻酔の必要性、全身状態、処置内容などを確認します。
歯科衛生士が担当する場合には、その患者さんについて歯科医師から具体的な指示を受けます。
必要に応じて、注射をする粘膜の表面に表面麻酔を使い、注射の刺激をやわらげるための準備をすることもあります。
表面麻酔は、針が入るときの刺激を少しでも軽減するための準備です。
その後、指示された部位に浸潤麻酔を行います。
麻酔の注射で感じる痛みは、「針が刺さる瞬間」だけではありません。麻酔液が組織の中へ入っていく際の圧も、不快感や痛みに関係します。
そのため、患者さんの様子を観察しながら、必要な量を適切に注入していきます。
そして、麻酔液を入れ終わったら仕事が終わり、というわけではありません。
歯科衛生士はその後も患者さんの症状や必要なバイタルサインなどを観察し、決められたタイミングで歯科医師へ報告します。
最終的に麻酔が十分に効いているかを判定するのは歯科医師です。
その確認を経て、予定していたSRPなどの歯周治療へ進みます。

「先生から麻酔しておいて」と言われるだけではありません
ここは、今回ぜひ知っていただきたいところです。
2026年7月、日本歯科麻酔学会は、歯科衛生士が歯科診療の補助として浸潤麻酔を行う際の「歯科医師の具体的指示」について見解を公表しました。
そこで求められているのは、単に「麻酔をお願いします」という包括的な指示ではありません。
患者さんごとに、注射する部位、使用する局所麻酔製剤、目標となる投与量と上限量、実施後に何をいつ報告するか、歯科医師が麻酔効果を判定するまで何を観察するか、どのような変化があれば麻酔を中止・中断するかまで具体的にすることが求められています。
理由の一つは、歯科衛生士がその場で独自の医学的判断を求められる状況を作らないためです。
研修を受けているから何でも自分で判断するのではなく、あらかじめ歯科医師との役割分担を明確にする。
安全管理では、その仕組みそのものが大切になります。
途中で患者さんの様子が変わったら?
麻酔をしている途中に、患者さんから「気分が悪い」「息苦しい」「めまいがする」「いつもと違う感じがする」といった訴えがあったとします。
そこで、「あと少しだから最後まで麻酔をしてしまおう」と処置を優先するわけではありません。
必要なのは、止まることです。
患者さんの状態を確認し、必要な観察を行い、決められた基準に従って歯科医師へ報告します。
日本歯科麻酔学会が示した具体的指示にも、疼痛、異常感覚、循環動態の変化、アレルギーを疑う徴候などについて、中止・中断する基準を事前に共有することが含まれています。
研修を受けて感じたのは、「最後まで注射できること」よりも、「止めるべきときに止まれること」の方が大切な場面もあるということでした。
表面麻酔と浸潤麻酔、患者さんが好むのはどちら?
麻酔については、「一番痛くない方法が、全員にとって一番よい方法」と単純には決められない興味深い研究があります。
2024年の日本歯周病学会会誌には、5〜9mmの歯周ポケットを持つ患者さん27人を対象に、SRP時の歯周ポケット内表面麻酔ゲルと浸潤麻酔を比較した無作為化クロスオーバー試験が報告されています。
この研究では、SRP中の痛みは浸潤麻酔の方が少なく抑えられていました。
ところが、研究終了後にどちらの麻酔を好むか尋ねると、表面麻酔ゲルを好んだ方が59%、浸潤麻酔を好んだ方が15%、どちらでもよいと答えた方が26%でした。
表面麻酔ゲルを好んだ主な理由として、針を刺される痛みがないことや、処置後のしびれなどの不快感がないことが挙げられています。
「一番強く痛みを抑えられた方法」と「患者さんが一番受けたい方法」は必ずしも同じではない。
注射そのものがとても怖い方もいます。
反対に、「処置中の痛みをできるだけ感じたくないので、浸潤麻酔をしてほしい」という方もいます。
何を負担に感じるのかは、患者さんによって違います。
なお、この研究で麻酔を実施したのは歯科医師で、歯周組織検査とSRPを歯科衛生士が担当しています。
したがって、この研究は「歯科衛生士による浸潤麻酔の安全性を証明した研究」ではありません。
ここでは、SRPにおける疼痛管理と「患者さんによって好みが違う」ということを考えるための研究として紹介しています。

だから、当院の問診票も変わりました
今回、歯科衛生士が局所麻酔に関する講習を受け、認定を取得したことに伴い、当院では問診票にも新しい項目を追加しました。
現在の問診票には、「当院では、必要な教育・研修を受けた歯科衛生士が、歯科医師の指示・管理のもと局所麻酔を行う場合があります。」という説明を記載したうえで、次の3つの選択肢を設けています。
- 同意する
- 歯科医師による局所麻酔を希望する
- 説明を聞いてから決めたい
この中で、個人的にとても大切だと思っているのが、「説明を聞いてから決めたい」という選択肢です。
歯科衛生士が浸潤麻酔をするという話を初めて聞けば、「本当に大丈夫なの?」と思うのは自然なことだと思います。
「できれば先生に麻酔してほしい」という方がいても当然です。
反対に、「いつも歯周治療を担当している歯科衛生士なら構わない」という方もいるでしょう。
分からないまま「はい」に丸を付ける必要はありません。
分からなければ、説明を聞いてから決めてください。

問診票のチェックは「麻酔の許可証」ではありません
もう一つ、大切なことがあります。
問診票で「同意する」にチェックが入っていたからといって、「では今日は必ず歯科衛生士が麻酔します」ということではありません。
体調や治療内容、麻酔の必要性は、その日によって違います。
歯科衛生士が担当することが適切かどうかについても、その患者さん、その処置ごとに歯科医師が判断します。
つまり、この確認欄は、歯科衛生士が麻酔をするための「包括的な許可証」ではありません。
患者さんがどう考えているのか、何に不安を感じているのかを、処置前に私たちが知るための入口です。
「歯科医師にしてほしい」「歯科衛生士でも構わない」「詳しく聞いてから決めたい」。どれも、安全に診療を進めるための大切な情報です。
歯科衛生士ではなく、歯科医師に麻酔してもらいたいと言っていい?
もちろん、当院ではその希望を伝えていただけます。
そのために問診票にも「歯科医師による局所麻酔を希望する」という選択肢を設けています。
「そんなことを言ったら失礼かな」と遠慮する必要はありません。
医療者側にとって大切なのは、患者さんの不安や希望を知らないまま処置を進めないことです。
「衛生士さんに麻酔されるのが少し怖い」と思ったら
それも、ぜひ教えてください。
歯科衛生士は、歯石を取ったりブラッシング方法を説明したりするだけではありません。
日々の歯周治療やメインテナンスの中で、患者さんとお話しする時間が比較的長い職種でもあります。
「先生には聞きづらかったけれど、実は注射がものすごく怖い」
「昔、一度気を失ったことがある」
「歯科衛生士が麻酔できると今日初めて知ったので、まだ不安」
そうした気持ちも、診療を進めるうえで大切な情報です。
麻酔を担当できるようになったからこそ、「私ができますから任せてください」だけでは足りないと思っています。
「何か不安なことはありませんか?」「以前、麻酔で困ったことはありませんでしたか?」「歯科医師から説明を聞いてから決めますか?」と聞けることも、歯科衛生士の大切な役割です。
認定を取った日がゴールではありません
講習を受け、認定を得たことは、一つの節目です。
でも、そこで局所麻酔の勉強が終わったわけではありません。
実際の診療では、教科書どおりの患者さんばかりではありません。
年齢も違えば、身体の状態も、飲んでいる薬も違います。
同じSRPでも、ほとんど刺激を感じない方もいれば、特定の場所では痛みを強く感じる方もいます。
その日の体調も毎回同じではありません。
そんなときに、自分だけで判断しない。
歯科医師の患者さんごとの具体的な指示を確認する。
患者さんを観察する。
異変があれば止まる。
決められた内容を歯科医師へ報告する。
そして、麻酔が十分に効いているかの最終判定を歯科医師が行ったうえで、次の処置へ進む。
麻酔を打てることより、麻酔を安全に扱えること。
そして、患者さんが「誰に麻酔をしてもらうのか」まで納得したうえで治療を受けられること。
今回、問診票に新しい項目を加えたのも、そのためです。
「麻酔を担当できる歯科衛生士になった」ことをゴールにせず、「この歯科衛生士なら、不安なこともきちんと話せる」と思っていただけるように。
これからも学びながら、日々の診療に向き合っていきたいと思います。

よくあるご質問
歯科衛生士が局所麻酔をするのは違法ではないのですか?
歯科衛生士が歯科医師の指示のもと、歯科診療の補助として浸潤麻酔を行う場合については、厚生労働省から考え方と研修プログラム例が示されています。ただし、歯科衛生士が自分の判断だけで浸潤麻酔を行うことはできません。患者さんの状態や担当する歯科衛生士の知識・技能などを踏まえ、指示を行う歯科医師が患者さんごとに実施の可否を判断します。
研修や認定を受けていれば、どんな麻酔でもできますか?
そういう意味ではありません。厚生労働省が示した現在の研修プログラム例では、研修内容の範囲を歯肉縁上・歯肉縁下の歯石除去やルートプレーニング時の疼痛除去を目的とした浸潤麻酔としています。研修を受けたことだけで、あらゆる症例・処置を歯科衛生士が独自に判断できるわけではありません。
歯周病治療では必ず麻酔をしますか?
必ずではありません。歯周ポケットの深さ、処置する部位、炎症の状態、患者さんが感じる痛みなどによって、麻酔が必要かどうかは変わります。
歯科衛生士ではなく、歯科医師に麻酔してもらえますか?
当院では、問診票に「歯科医師による局所麻酔を希望する」という選択肢を設けています。ご希望があれば遠慮なくお伝えください。
まだ決められない場合はどうすればいいですか?
「説明を聞いてから決めたい」を選んでいただけます。分からないこと、不安なことを確認してから判断してください。
昔、歯医者の麻酔で気分が悪くなりました。それでも麻酔できますか?
まず、そのとき何が起きたのかを詳しく確認することが大切です。「麻酔後に気分が悪くなった」というだけで、局所麻酔薬のアレルギーと決まるわけではありません。症状や経過、現在の全身状態などを確認し、必要に応じて歯科医師が対応を判断します。
問診票で「同意する」にチェックしたら、必ず歯科衛生士が麻酔するのですか?
いいえ。問診票は、患者さんの希望を事前に確認するためのものです。実際に局所麻酔が必要か、歯科衛生士が担当することが適切かについては、その日の患者さんの状態や治療内容などを踏まえて歯科医師が判断します。
麻酔の注射が怖い場合は、先に伝えてもいいですか?
ぜひ伝えてください。注射への恐怖や過去のつらい経験も、安全に治療を進めるための大切な情報です。必要に応じて麻酔の前に行う表面麻酔や、注射時の負担を減らす工夫についても相談しながら進めます。
参考資料
- 厚生労働省「歯科衛生士による浸潤麻酔の実施に向けた研修プログラム(例)令和7年度版」
- 一般社団法人日本歯科麻酔学会「歯科衛生士による歯科診療補助としての浸潤麻酔行為における『歯科医師の具体的指示』について」(2026年7月28日)
- 山本龍生ほか「表面麻酔ゲルの歯周ポケット内注入塗布法によるスケーリング・ルートプレーニング時の鎮痛効果:無作為化クロスオーバー試験」日本歯周病学会会誌 66巻3号、105-115、2024年
