2026年8月12日

(歯科衛生士さんのある日の日誌)

はじめに
「ホームホワイトニングを始めてから、冷たい水を飲むと前歯がキーンとするようになりました」
ホワイトニング中の患者さんから、ときどきこんな相談を受けます。
ホワイトニング中や直後に歯がしみることはあります。ただし、「ホワイトニングではよくあることだから、痛くてもそのまま続ければいい」わけでも、「一度しみたら、もうホワイトニングはできない」わけでもありません。
大切なのは、どの歯が、何をしたときに、どのくらいしみるのかを整理することです。そのうえで、知覚過敏用の歯磨き粉(歯磨剤)を使う、冷たい物や酸味の強い飲食物などの刺激を減らす、ブラッシングの力を見直す、ホームホワイトニングの使用時間や使用間隔について歯科医院へ相談するといった方法を考えます。
今回は歯科衛生士の立場から、「ホワイトニング中に歯がしみたとき、自宅では何を変えればよいのか」「どのようなしみ方なら歯科医院へ相談したほうがよいのか」を中心にお話しします。
先に結論をお伝えすると、軽く一時的にしみる程度であれば、刺激を減らし、知覚過敏対策をしながら経過をみられる場合があります。一方、強い痛みを我慢してホワイトニングを続けたり、早く白くしたいからと薬剤量や使用時間を自己判断で増やしたりすることは避けてください。
ホワイトニング中に歯がしみるのは珍しいことではありません
ホワイトニングに伴う歯の知覚過敏は、以前から知られている不快症状のひとつです。特にホームホワイトニングでは、自宅で薬剤を入れたトレーを一定時間装着するため、「数日使っているうちに冷たい物がしみ始めた」ということがあります。
ただし、「しみる=ホワイトニングによって歯の表面が削れてしまった」と単純に考える必要はありません。
ホワイトニング剤の刺激は歯の内側にも関係します
歯科医院で行う医療ホワイトニングでは、過酸化水素や過酸化尿素などを利用し、歯の色に関係する有機物へ作用させます。
その過程では、過酸化物由来の成分が歯質を通過し、歯の内側にある歯髄にも一時的な刺激を与えることがあります。そのため、見た目には穴や欠けがなくても、「冷たい水を飲んだ瞬間だけ複数の前歯がキーンとする」といった症状が起こることがあります。
このようなホワイトニングに伴う知覚過敏は、一般的な象牙質知覚過敏とまったく同じ仕組みだけで説明できるわけではありません。だからこそ、通常の知覚過敏とホワイトニング中のしみを分けながら考える必要があります。
もともと「しみやすい歯」が隠れていることもあります
一方で、ホワイトニングだけが原因とは限りません。
たとえば歯ぐきが下がって歯根の象牙質が露出している、歯の表面に細かな亀裂がある、歯頸部が摩耗しているといった場合には、もともと外からの刺激を感じやすい状態になっています。
ホームホワイトニングに関する臨床研究でも、実施前にエナメル質の亀裂や象牙質露出の有無を確認し、必要に応じて事前に対応することが、ホワイトニングに伴う知覚過敏を減らすための対策として挙げられています。
つまり、「ホワイトニングによって新たに知覚過敏が起きた場合」と、「もともと存在していたしみやすい場所が、ホワイトニングをきっかけに目立つようになった場合」の両方が考えられます。
通常の知覚過敏について詳しく知りたい方は、歯がしみる原因と歯医者へ行く目安について解説した記事も参考にしてください。

まず確認したいのは「どんなしみ方をしているか」です
患者さんから「しみます」と聞いたとき、私たち歯科衛生士が確認したいのは、痛みの強さだけではありません。
どの歯なのか、何がきっかけなのか、刺激がなくなったあとどのくらい続くのか、何もしていないときにも痛むのか。こうした違いは、原因を考えるための大切な手がかりになります。
冷たい物を口にした瞬間だけキーンとする
冷たい水や風が当たった瞬間にキーンとし、刺激がなくなると比較的すぐ落ち着く。このような症状は、知覚過敏でみられる典型的な訴えのひとつです。
ホワイトニング中に左右の前歯など複数歯で似たようなしみ方が出ている場合には、ホワイトニングに伴う一時的な知覚過敏も候補になります。
1本だけ強くしみる場合は少し考え方が変わります
「前歯全体が少ししみる」のではなく、「右上のこの1本だけすごく痛い」という場合は、ホワイトニングだけに原因を決めつけないほうがよいでしょう。
虫歯、エナメル質や象牙質の亀裂、歯の摩耗、歯髄の炎症などでも、冷たい物に対する痛みが出ることがあります。
刺激をやめても痛みが長く残る場合
一般的な象牙質知覚過敏では、刺激を取り除くと比較的短時間で痛みが落ち着くことが特徴です。
ところが、冷たい物を離したあとも痛みが長く残る、何もしていなくてもズキズキする、夜に痛むといった場合は、単純な知覚過敏以外の原因も考える必要があります。
噛んだときにも痛む場合
噛んだときや噛んだ力を抜いた瞬間にも痛むのであれば、歯の亀裂や歯周組織、歯髄・根尖側の病変などを確認することがあります。
「ホワイトニングを始めたあとに痛くなった」という時間的な前後関係だけでは、痛みの原因までホワイトニングと断定することはできません。

知覚過敏用の歯磨き粉は「商品名」だけでなく成分を見てみましょう
ホワイトニング中に歯がしみるようになると、「知覚過敏用の歯磨き粉に変えたほうがいいですか?」と聞かれることがあります。
知覚過敏用歯磨剤は選択肢のひとつです。ただし、ここで知っておいてほしいのは、「知覚過敏用」と書かれた歯磨剤がすべて同じ仕組みで働くわけではないということです。
大まかには、刺激に対する神経の反応を抑える方向の成分と、刺激が伝わる通り道である象牙細管を狭くしたり塞いだりする方向の成分があります。
硝酸カリウム――神経側の反応を抑える方向
知覚過敏用歯磨剤で長く研究されてきた成分のひとつが、硝酸カリウムです。
カリウムイオンが歯髄側の神経反応に作用し、刺激による痛みを感じにくくする方向で働くと考えられています。
そして、ホワイトニングに伴う知覚過敏についても硝酸カリウムを用いた研究があります。
知覚過敏が起こりやすい40人を対象に、10%過酸化尿素によるホームホワイトニング前に、3%硝酸カリウムとフッ化物を含む知覚過敏抑制剤を使用した臨床試験では、少なくとも1日知覚過敏を経験した人は、知覚過敏抑制剤を使用した群で41%、プラセボ群で78%でした。
小規模な研究ではありますが、「しみてから対処する」だけでなく、しみやすい人では開始前から対策を検討する余地があることを示すデータです。
別のホームホワイトニング研究でも、硝酸カリウムとフッ化物を含む歯磨剤を使った群では知覚過敏が少なく、歯の色調改善を大きく妨げなかったと報告されています。
つまり、知覚過敏対策をしたからといって、必ずホワイトニング効果がなくなるわけではありません。
乳酸アルミニウム――象牙細管を狭くする方向
乳酸アルミニウムは、象牙細管を物理的に狭くしたり閉鎖したりすることで、刺激による象牙細管内の液体の動きを減らす方向に働く成分です。
2026年には、一般的な象牙質知覚過敏を対象として、5%硝酸カリウム単独の歯磨剤と、5%硝酸カリウム+2.18%乳酸アルミニウムを配合した歯磨剤を直接比較した無作為化二重盲検試験も報告されました。
どちらもプラセボより知覚過敏を改善し、複数の評価時点では硝酸カリウムと乳酸アルミニウムを組み合わせた群が、硝酸カリウム単独群より良い結果を示しました。
また、4週間継続使用したあとに知覚過敏用成分を含まない歯磨剤へ一時的に変更した評価でも、24時間後まで知覚過敏抑制効果が確認されています。
ただし、これはホワイトニングによって生じた知覚過敏だけを対象にした研究ではありません。そのため、「この組み合わせを使えばホワイトニングのしみが必ず止まる」とまでは言えません。
ここで注目したいのは、同じ「知覚過敏用歯磨剤」でも、配合成分によって作用する場所や仕組みが違うという点です。
フッ化第一スズ(SnF₂)――象牙細管の入口を塞ぐ方向
フッ化第一スズも、一般的な象牙質知覚過敏への対策として研究されている成分です。
スズイオン由来の沈着物が象牙質表面や象牙細管の入口に形成され、外からの刺激を伝わりにくくする方向に働きます。
2026年に報告された2つの比較試験では、0.454%フッ化第一スズを含む歯磨剤を1日2回使用した群で、通常のフッ化物歯磨剤と比較して28日後、56日後の象牙質知覚過敏が改善しました。
ただし、この研究では直近8週間にホワイトニングを受けた人は対象から除外されています。そのため、こちらも「一般的な象牙質知覚過敏に対するエビデンス」と「ホワイトニング特有の知覚過敏に対するエビデンス」を混同しないことが大切です。
知覚過敏用歯磨剤は数回使っただけで判断しないことも大切です
知覚過敏用歯磨剤を鎮痛薬のような感覚で使い、「昨日から使ったのにまだしみるから効かなかった」と判断してしまう方もいます。
しかし、知覚過敏用歯磨剤の臨床研究には、2週間、4週間、8週間と継続することで改善が大きくなっていくものがあります。
もちろん、強い痛みを歯磨剤だけで何週間も我慢するという意味ではありません。症状が軽い場合に、製品の使用方法を守って継続しながら変化をみるという考え方です。
成分によって作用機序も違うため、商品パッケージの「知覚過敏用」という文字だけではなく、どの有効成分が入っているのかを確認することもポイントです。
以前のホワイトニングでしみた人は、次回は始める前から相談を
以前のホワイトニングで知覚過敏が強く出た方は、「またしみてから対処する」のではなく、次にホワイトニングを始める前にそのことを伝えてください。
ホワイトニング前から硝酸カリウムやフッ化物を利用した知覚過敏対策を行うことで、施術中のしみる症状を減らせる可能性を示した臨床研究があります。
前回どのホワイトニング方法で、いつ頃から、どの程度しみたのかが分かれば、事前の知覚過敏対策やホワイトニングの進め方を考える材料になります。

「ホワイトニング用歯磨剤」と「知覚過敏用歯磨剤」は目的が違います
これはホワイトニング中の患者さんに、ぜひ知っておいてほしいところです。
ホワイトニングをしているからといって、「ホワイトニング用」と書かれた歯磨剤が、今起きている“しみる症状”に一番合うとは限りません。
市販されている「ホワイトニング用歯磨剤」には、歯科医院で行う過酸化物による漂白とは異なり、歯面のステインや外来性着色を清掃剤・研磨剤・清掃助剤などによって除去することを主目的とした製品があります。
一方、知覚過敏用歯磨剤では、硝酸カリウム、乳酸アルミニウム、フッ化第一スズなど、知覚過敏への作用を目的とした有効成分が使われます。
ですから、ホワイトニング中に一番困っていることが「着色」ではなく「しみる」なのであれば、「もっと白く見せること」を優先した歯磨剤より、まず知覚過敏対策という目的で歯磨剤を選ぶという考え方があります。
ただし、「ホワイトニング用歯磨剤はすべて研磨力が強く、歯を傷める」と一括りにすることもできません。製品によって成分や設計は異なります。
「ホワイトニング」と「クリーニング」の違いが分かりにくい方は、ホワイトニングとクリーニングの違いもあわせて確認してみてください。
ホームとオフィスでは「しみたときに自分で調整できること」が違います
ひとことに「ホワイトニング」といっても、歯科医院で行うオフィスホワイトニングと、ご自宅でトレーを使うホームホワイトニングでは、しみたときの対応が少し違います。
オフィスホワイトニングとホームホワイトニングの違いについては別の記事でも詳しく紹介していますが、知覚過敏対策でもこの違いは大切です。
オフィスホワイトニング中・直後にしみた場合は、その場で伝えてください
歯科医院で行うオフィスホワイトニングでは、患者さん自身が薬剤量や作用時間を調整するものではありません。
施術中に強くしみる、ズキッとした痛みが繰り返す、施術後の痛みが強いといった場合は、その場で歯科医師や歯科衛生士へ伝えてください。
一方、ホームホワイトニングでは、自宅でトレーを装着するため、次回使用までの間に歯科医院へ相談し、1回の使用時間や使用間隔を調整する場合があります。
「ホワイトニングでしみる」という症状は同じでも、ホームとオフィスでは患者さん自身が調整できる範囲が違います。
しみるとき、ホームホワイトニングの使用間隔はどうする?
ここは患者さんからとてもよく聞かれます。
「しみたら必ず1日おき」「必ず24時間休む」「必ず48時間休む」といった、すべてのホームホワイトニング剤に共通する固定ルールはありません。
ホワイトニング剤は製品によって過酸化物の種類や濃度、推奨される使用時間が異なります。そのため、「ネットに1日おきと書いてあったから」と自己判断で使用方法を固定するより、使用している製品と症状を歯科医院へ伝えて調整するほうが安全です。
実は「何日おきか」だけでなく、1回の使用時間も大切です
ホームホワイトニングの知覚過敏を考えるとき、「毎日か1日おきか」だけに注目しがちですが、歯がホワイトニング剤へ触れている1回あたりの作用時間も重要です。
10%過酸化尿素を使った60人の臨床研究では、1日の使用時間を15分、30分、1時間、8時間に分けて比較しています。8時間使用した群では白くなるスピードが速かった一方で知覚過敏が多く、1時間群では8時間群に比較的近い漂白スピードを得ながら、知覚過敏が少ないという結果でした。
また、4%過酸化水素を使ったホームホワイトニングで30分と120分を比較した別の臨床研究では、30分群は途中の白さの変化がやや遅かったものの、期間を1週間延長すると平均的な色調変化は120分群と同程度になりました。
これらは特定の薬剤・濃度・条件で行われた研究なので、すべてのホームホワイトニングへ同じ数字を当てはめることはできません。
それでも、「我慢して長時間使えば使うほどよい」とは限らないことは知っておいてよいでしょう。
ここで「じゃあ私も1時間に減らそう」と自己判断するのではなく、しみる場合には、使用している薬剤名、1日の使用時間、何日連続で使用したかを歯科医院へ伝えてください。
早く白くしたいからとジェルを多く入れない
ホームホワイトニングでは、ジェルの量を増やしたからといって、単純に安全なまま早く白くなるわけではありません。
臨床研究でも、ホワイトニング剤はメーカーが指定した量に従って使用されています。
トレーから毎回たくさんジェルがはみ出す場合には、薬剤量が適切かを確認してください。はみ出したジェルが歯ぐきへ長く触れれば、歯そのものの知覚過敏とは別に歯肉の刺激症状を起こすこともあります。
「薬剤を強くしたり増やしたりすれば早く白くなるのでは?」という疑問については、ホームホワイトニング剤は濃度が高ければもっと白くなるのかでも詳しく解説しています。

冷たい物だけでなく「刺激を重ねない」こともセルフケアです
ホワイトニング中に歯が敏感になっているときは、わざわざ刺激を追加しないことも大切です。
冷水・アイス・非常に熱い飲み物
冷たい水やアイスでキーンとするのであれば、症状が強い間は常温に近い飲み物を選ぶなど、温度差を小さくすると楽になることがあります。
反対に、非常に熱い飲み物も刺激になることがあります。
「もう治ったかな?」と確認するために、冷たい水を何度も口に含んで症状を再現する必要もありません。症状が落ち着くまでは、歯へ余計な刺激を重ねないようにしましょう。
酸っぱい飲食物や酸性飲料にも注意します
2024年のホームホワイトニングに関する原著でも、漂白直後の酸性飲料を控えることが、知覚過敏を抑えるための対策のひとつとして考察されています。
これは「酸性飲料を控えた人と控えなかった人で知覚過敏を直接比較した試験」という意味ではありませんが、すでに歯が敏感になっている時期に、さらに化学的な刺激を重ねないという考え方は大切です。
炭酸飲料、スポーツ飲料、レモンなどの柑橘類を加えた飲料、酢を使った飲料など、酸味の強いものを頻繁に口にしている場合は、症状が強い時期だけでも回数を減らしてみましょう。
以前、「糖質ゼロ」「砂糖不使用」の炭酸飲料と酸蝕症の関係についてもお話ししましたが、糖質が入っていないことと、飲料が酸性ではないことは別問題です。
酸っぱい物を口にした直後は、さらに強く磨かない
酸性飲食物に触れた歯面は、一時的に酸の影響を受けています。そこへ強いブラッシング刺激まで重ねる必要はありません。
酸蝕に関する研究では、酸性飲食物とブラッシングの間隔を空けることで歯面への摩耗を減らせる可能性が示されています。ただし、この研究結果をそのまま「ホワイトニング後は必ず○分待つ」という固定ルールへ置き換えることはできません。
今回覚えておいてほしいのは、「しみている歯へ、酸・極端な温度・強い摩擦を何重にも重ねない」ということです。

しみるからといって歯磨きをやめない――でもゴシゴシ磨かない
「歯ブラシを当てるとしみるから、しばらくその歯だけ磨かないほうがいいですか?」と聞かれることもあります。
痛い場所へ無理な刺激を与える必要はありませんが、歯磨きそのものを長期間やめてしまうのもおすすめできません。
プラークをためず、口の中を清潔に保つことは必要です。その代わり、「汚れを落とさなければ」と力任せに磨かないことが大切です。
強く磨くほどきれいになるわけではありません
過度なブラッシング圧は、歯ぐきの損傷や歯肉退縮、歯頸部の摩耗と関係します。
歯肉退縮が進んで根面の象牙質が露出すれば、それ自体が知覚過敏の原因になります。
「ホワイトニングした歯をきれいに保ちたいから」と力を入れすぎて磨き、それが新しい刺激要因になってしまっては逆効果です。
やわらかめの歯ブラシを使い、毛先を歯と歯ぐきの境目へ丁寧に当てながら、力ではなく細かな動きで磨きましょう。
ブラッシングの力や歯肉退縮との関係については、歯磨きのしすぎで歯ぐきが下がる理由と、歯ブラシの力・硬さ・動かし方でも詳しくお話ししています。

「歯がしみる」と「歯ぐきが痛い」は分けて考えます
ホームホワイトニングをしている方から「痛い」と聞いたとき、もうひとつ必ず確認したいことがあります。
痛いのは歯そのものですか。それとも歯ぐきですか。
歯の中がキーンとする
冷たい物や風で歯の中に鋭く響くような感覚なら、ホワイトニングに伴う知覚過敏や、もともとの象牙質知覚過敏などを考えます。
歯ぐきがヒリヒリ・ジンジンする
一方、歯ぐきそのものにヒリヒリする痛みがある場合には、歯の知覚過敏とは別の問題です。
ホワイトニングジェルが歯ぐきへ多く触れていないか、トレーが歯ぐきへ当たっていないか、歯ぐきが一時的に白っぽくなっていないかなどを確認します。
歯ぐきへ強い刺激が出ているのに、同じ量のジェルを入れてそのまま装着を続けるのは避けましょう。トレーを外したあとも強くヒリヒリする、白っぽい部分が広い、痛みが続く場合は歯科医院へ相談してください。
トレーの縁が当たって痛いこともあります
ホームホワイトニングの研究では、カスタムトレーの縁が十分に滑らかに仕上がっていない場合、歯間乳頭などの歯ぐきを機械的に刺激して痛みが生じる可能性も指摘されています。
「装着している間ずっと同じ場所の歯ぐきが痛い」「外すとトレーの縁が当たっていた場所が分かる」という場合には、知覚過敏用歯磨剤だけで解決しようとせず、トレーの適合を確認してもらいましょう。

セルフケアをしてもしみるとき、歯科医院では何を確認する?
セルフケアで症状が落ち着けばよいのですが、知覚過敏用歯磨剤を使い、刺激を減らしても強くしみる場合には、一度口の中を確認したほうがよいことがあります。
虫歯・亀裂・歯肉退縮・歯頸部の摩耗などを確認します
まず大切なのは、本当にホワイトニングに伴う知覚過敏だけなのかを確認することです。
虫歯、歯の亀裂、歯肉退縮、露出した象牙質、歯頸部の摩耗などが見つかれば、それぞれに応じた対応が必要になります。
冷たい刺激、必要に応じた歯髄検査、噛んだときの反応、歯周組織の状態など、症状に応じて複数の情報を組み合わせて判断します。
知覚過敏に対する歯科医院での処置もあります
自宅で使用する歯磨剤だけで十分に改善しない象牙質知覚過敏では、歯科医院で知覚過敏抑制材を使用し、象牙細管を封鎖する方向の処置を行うことがあります。
症例によってはフッ化物を利用した処置や、歯質欠損がある部位への修復処置などを検討することもあります。
近年はナノハイドロキシアパタイト、自己組織化ペプチド、各種コーティング材料など、象牙細管を封鎖したり再石灰化を促したりする材料についても研究が進んでいます。
ただし、研究室内で象牙細管がよく塞がったという結果と、実際の患者さんのホワイトニング後の痛みが同じように改善することは同義ではありません。材料によってはまだ短期・実験室内のデータが中心のものもあります。
そのため、最新材料を使うこと自体よりも、まず「なぜこの歯がしみているのか」を確認することが先です。
ホワイトニングそのものの計画を調整することもあります
歯に大きな問題がなく、ホワイトニングによる一時的な知覚過敏と考えられる場合には、使用している製剤を確認したうえで、1回の使用時間や使用する間隔について調整を検討することがあります。
「白くしたいから痛くても予定どおり続ける」のではなく、症状をコントロールしながら無理なく続けるという考え方です。
これからホワイトニングを始めようか迷っている方は、ホワイトニング相談を予約するときに確認したいことも参考にしてください。
こんなときはホワイトニングを無理に続けず相談してください
「どこまでなら自宅で様子をみてよいですか?」という質問に、痛みの強さだけで線を引くことはできません。
特に次のような症状があるときは、ホワイトニングだけの問題と自己判断せず歯科医院へ相談してください。
- 何もしていなくても歯が痛む
- 冷たい物を離しても痛みが長く残る
- 1本だけ非常に強く痛む
- 噛んだとき、または噛んだ力を抜いたときに痛む
- 夜間にズキズキして眠れない
- 歯ぐきや顔に腫れがある
- 時間が経つにつれて痛みが強くなっている
- トレーを装着すると毎回同じ場所の歯ぐきが強く痛む
- 歯ぐきの白変やヒリヒリが強く、なかなか落ち着かない
- ホワイトニングを休んでも強い痛みが続いている
判断するときのひとつのポイントは、「我慢できるかどうか」だけではなく、「これまで経験したホワイトニングのしみ方と違わないか」です。

歯科衛生士に伝えていただけると助かること
もちろん、「ホワイトニングをしたら歯が痛いです」だけでも遠慮なく相談してください。
ただ、原因を整理するときには、もう少し詳しい情報があると非常に役立ちます。
- いつ頃からしみ始めたか
- どの歯がしみるか、複数歯か1本だけか
- 冷水・温かい物・風・甘い物・酸っぱい物など、何でしみるか
- 刺激をなくしてからどのくらい痛みが続くか
- 何もしていないときにも痛むか
- 噛んだときにも痛むか
- ホーム・オフィス・デュアルなど、どのホワイトニング方法か
- 使用しているホームホワイトニング剤
- 1回の装着時間
- 何日連続して使用したか
- 現在使用している歯磨剤
- 歯だけでなく歯ぐきにも痛みや白変があるか
特に、「どの刺激で」「どの歯が」「刺激をやめてからどのくらい残るのか」はとても参考になります。
歯科衛生士としては、「しみます」という言葉だけで知覚過敏と決めつけるのではなく、その痛みがどこから来ているのかを考えながらお話を聞いています。
ホワイトニングの白さを急ぐより、続けられる方法を考えましょう
ホワイトニングを始めると、毎日少しずつ明るくなっていくのがうれしくて、「できるだけ早くもっと白くしたい」と思うことがあります。
でも、歯が強くしみているのに装着時間を延ばしたり、ジェルを増やしたり、無理に毎日続けたりしてしまうと、ホワイトニング自体がつらいものになってしまいます。
ホワイトニングは一晩で完成させる治療ではありません。
少し時間がかかっても、痛みをできるだけ抑えながら継続できる方法を選ぶことも大切です。
また、知覚過敏を避けるために一時的にペースを調整したからといって、「今までのホワイトニングが全部無駄になる」と考える必要はありません。白さの変化と症状の両方を見ながら進めていきましょう。
ホワイトニング後の着色や白さの維持が気になる方は、ホワイトニング後の白さを維持する習慣もあわせて読んでみてください。
広島・立町でホワイトニング中の歯のしみが気になる方へ
ブランデンタルクリニックは、広島市中区立町の立町中央ビル4階にあり、広島電鉄「立町駅」から徒歩1分です。ビルにはエレベーターがあり、4階まで上がっていただけます。
ホワイトニング中に歯がしみる場合も、「ホワイトニングだから仕方がない」と決めつけるのではなく、使用している薬剤、使用時間、使用間隔、トレーの状態、歯ぐきの状態、歯肉退縮や象牙質露出、虫歯や亀裂の有無などを確認しながら考えます。
「今日もホームホワイトニングをしてよいのか分からない」「1本だけいつもと違う痛みがある」「トレーを入れると歯ぐきまで痛い」といった場合も、使用しているホワイトニング剤が分かるものがあればお持ちください。
当院で行っているホワイトニングについては、ブランデンタルクリニックのホワイトニング診療案内もご覧いただけます。
強い歯痛や腫れなど、ホワイトニング以外の原因も疑う症状がある場合は、当日の急患相談もお電話で受け付けています。急に痛みが強くなったときは、無理に次のホワイトニングを行わずご連絡ください。
ホワイトニング中の知覚過敏についてよくある質問
ホワイトニングで歯がしみたら、その日は中止したほうがいいですか?
症状の程度や使用している薬剤によって異なります。強くしみている状態で無理に装着を続ける必要はありません。症状が強い場合や繰り返す場合は、次回使用前に歯科医院へ相談し、使用時間や間隔を確認しましょう。
1日おきにすれば、しみにくくなりますか?
「全員が1日おきにすればよい」という共通ルールはありません。製剤の種類・濃度・推奨使用時間が異なるため、自己判断で固定せず、使用している製品と症状を歯科医院へ伝えて調整することをおすすめします。
知覚過敏用歯磨剤はすぐ効きますか?
成分や症状によって異なります。硝酸カリウムのように神経側へ働きかける成分や、乳酸アルミニウム・フッ化第一スズなど象牙細管を塞ぐ方向に働く成分があり、数週間の継続使用で効果が大きくなるものもあります。ただし、強い痛みを歯磨剤だけで長期間様子を見るのは避けてください。
ホワイトニング用歯磨剤と知覚過敏用歯磨剤は同じですか?
同じとは限りません。ホワイトニング用歯磨剤には外来性着色・ステイン除去を主目的とした製品があり、知覚過敏用歯磨剤は刺激に対する神経反応や象牙細管への作用を目的とした有効成分を含みます。今一番困っていることが「しみる」なら、知覚過敏対策という目的で成分を見ることが大切です。
冷たい飲み物はいつまで避ければいいですか?
一律に何日という決まりはありません。歯が敏感になっている間は常温に近い飲み物を選び、症状が落ち着くにつれて通常の食生活へ戻していきます。冷水だけでなく、非常に熱い物や酸味の強い飲食物による刺激を重ねないこともポイントです。
歯ぐきが白くなってヒリヒリするのも知覚過敏ですか?
歯ぐきそのものの痛みや白変は、歯の知覚過敏とは分けて考えます。ホワイトニングジェルが歯ぐきへ触れていないか、トレーの縁が当たっていないか、ジェルの量が多くないかなどを確認します。強い刺激が続く場合は、同じ使用方法で繰り返さず歯科医院へ相談してください。
1本だけ強くしみるのですが、ホワイトニングのせいですか?
ホワイトニングがきっかけになっている可能性はありますが、1本だけ非常に強くしみる場合は、虫歯、亀裂、象牙質露出、歯髄の炎症など別の原因も確認したほうがよいことがあります。「ホワイトニングを始めたあとだから」という理由だけで原因を決めつけないことが大切です。
しみても早く白くしたいので、ジェルを多く入れてもいいですか?
自己判断で増量しないでください。ホームホワイトニング剤には、それぞれ指定された量・使用方法があります。毎回ジェルが大量にはみ出す場合などは、使用量やトレーの適合を確認しましょう。
前回のホワイトニングでかなりしみました。次回も同じですか?
必ず同じ程度にしみるとは限りませんが、前回強い知覚過敏が出たことは大切な情報です。次回は始める前にそのことを伝えてください。事前の知覚過敏対策や、使用するホワイトニング方法・使用時間などを検討する材料になります。
まとめ|ホワイトニング中の「しみる」は我慢するより原因を分けて考える
ホワイトニング中に歯がしみることはありますが、すべての痛みを「ホワイトニングの普通の副作用」で片づけないことが大切です。
軽く一時的にしみる程度であれば、知覚過敏用歯磨剤を利用し、冷温・酸性飲食物・強いブラッシングなどの追加刺激を減らすことで経過をみられる場合があります。
知覚過敏用歯磨剤にも、硝酸カリウム、乳酸アルミニウム、フッ化第一スズなど異なる作用をもつ成分があります。「知覚過敏用」と書かれているかだけではなく、何が配合されているかを見ることもポイントです。ただし、一般的な象牙質知覚過敏に有効な成分が、すべてホワイトニングによる知覚過敏でも同じように効くと確認されているわけではありません。
また、ホームホワイトニングでしみたときは「何日おきにするか」だけでなく、1回の使用時間やジェル量も確認します。早く白くしたいからと、時間・回数・薬剤量を自己流で増やさないでください。
そして、1本だけ強く痛む、刺激をなくしても痛みが続く、何もしていなくてもズキズキする、噛んでも痛い、夜間に痛む、腫れているといった場合は、ホワイトニング以外の原因が隠れていないか歯科医院で確認しましょう。
ホワイトニングは「痛くても我慢して早く終わらせる」ものではありません。歯の状態に合わせて、白さと快適さの両方を見ながら、無理なく続けられる方法を一緒に探していきましょう。
