2024年10月12日

(歯科衛生士さんのある日の日誌)

はじめに
歯科医院で患者さんとお話ししていると、「歯磨き粉って結局どれがいいんですか?」と聞かれることがよくあります。ドラッグストアに行くとたくさん並んでいて、パッケージにもいろいろな言葉が書かれているので、迷ってしまいますよね。
でも、歯磨き粉は「一番人気のものを選べばよい」というものではありません。大切なのは、その方が今いちばん困っていることに合っているかどうかです。虫歯が気になる方と、冷たいものがしみる方と、コーヒーや紅茶の着色が気になる方では、選びたいポイントが少しずつ違ってきます。
今回は、歯磨き粉選びで迷ったときに見てほしいポイントを、歯科衛生士の立場からわかりやすく整理してみます。
歯磨き粉は「なんとなく」ではなく、悩みに合わせて選びましょう
歯磨き粉を選ぶときに大事なのは、「自分のお口の悩みがどこにあるか」を先に考えることです。なんとなくパッケージの雰囲気で選ぶよりも、虫歯予防を重視したいのか、歯ぐきの状態が気になるのか、しみる症状があるのか、着色汚れを落としたいのかを整理した方が、自分に合うものが見つかりやすくなります。

虫歯が気になる方は、まずフッ化物を見ます
虫歯予防を重視したい方では、歯磨き粉にフッ化物が配合されているかが大切なポイントになります。フッ化物は、歯の再石灰化を助けたり、歯を酸に負けにくくしたりする、毎日の虫歯予防の基本になる成分です。
「フッ素って使って大丈夫なの?」と不安に思われる方もいらっしゃいますが、歯科で虫歯予防に使うフッ化物は、ニュースで話題になるPFASとは別物です。
歯ぐきが気になる方は、歯周病予防成分にも注目します
歯みがきのときに出血しやすい、歯ぐきが腫れぼったい、口の中がネバつく感じがある、という方では、歯周病や歯肉炎に配慮した歯磨き粉が候補になります。もちろん、歯磨き粉だけで歯周病が治るわけではありませんが、毎日のセルフケアを補助する役割はあります。
ただし、歯ぐきの腫れや出血が続く場合は、歯磨き粉を変えるだけでは不十分なことも少なくありません。歯石の付着や磨き残し、咬み合わせ、生活習慣なども関係するため、定期検診で状態を見てもらうことが大切です。
冷たいものがしみる方は、知覚過敏ケアを考えます
アイスや冷たい飲み物でしみる、歯ブラシが当たるとピリッとする、という方では、知覚過敏に配慮した歯磨き粉が合うことがあります。知覚過敏用の歯磨き粉は、刺激の伝わり方を抑えたり、露出した象牙質を保護する方向で作られているものがあります。
ただ、ここで大切なのは、「しみる=全部知覚過敏」と決めつけないことです。虫歯、詰め物の不適合、歯ぎしりや食いしばり、歯ぐき下がりなどが原因になっていることもあるため、しみる症状が続くときは一度確認が必要です。
着色汚れが気になる方は、ステインケア用を選びます
コーヒー、紅茶、赤ワイン、カレー、たばこなどで歯の表面に着色がついてくると、「白くしたいからホワイトニング用の歯磨き粉がいいかな」と考える方が多いです。ここで知っておいていただきたいのは、歯磨き粉による“ホワイトニング”は、歯そのものを漂白するというより、表面の着色汚れを落としやすくする意味合いが中心だということです。
つまり、着色汚れを落として本来の歯の色に近づけることは期待できますが、歯科医院で行うホワイトニングのように歯そのものを明るくするものとは少し違います。

当院でよくご紹介する歯磨き粉があります
歯科医院では、患者さんのお口の状態やお悩みに合わせて、いくつかの歯磨き粉をご紹介することがあります。その中でも、使いやすい選択肢としてお話ししやすいのが、メルサージュ プレミアムケアとルシェロ ホワイトです。
メルサージュ プレミアムケアは「いろいろ気になる方」に向いています
メルサージュ プレミアムケアは、虫歯予防、歯ぐきのケア、しみる症状への配慮、口臭への配慮、着色汚れへの配慮など、いくつかの悩みをまとめて見たい方に向いているタイプです。「何か一つだけが困っているというより、全体的に口の中を整えたい」と感じている方には使いやすいと思います。
特に、虫歯も気になるし、歯ぐきも弱ってきた気がするし、ときどきしみる感じもある、というように、お悩みが一つに絞れない方には相性がよいことがあります。ただし、1450ppmのフッ化物配合歯磨き粉は大人向け・学童期以降を意識して使うことが多いため、小さなお子さんには年齢に合った歯磨き粉を選ぶことが大切です。

ルシェロ ホワイトは「着色汚れが気になる方」に向いています
ルシェロ ホワイトは、コーヒーや紅茶、ワインなどによる着色汚れが気になる方にご紹介しやすい歯磨き粉です。「最近、歯の表面がくすんできた気がする」「クリーニング後のきれいな感じをできるだけ保ちたい」という方には、日常のケアとして取り入れやすいと思います。
ただし、先ほどもお伝えしたように、これは歯そのものを漂白する歯磨き粉ではありません。歯の表面の着色を落としやすくして、本来の色に近づけることを助けるタイプと考えるとわかりやすいです。もし「もっと歯自体を白くしたい」というご希望が強い場合は、歯磨き粉だけで頑張るより、ホワイトニングの相談をした方が合っていることもあります。

歯磨き粉だけで解決しようとしないことも大切です
歯磨き粉は毎日使うものなので、とても大事です。でも、歯磨き粉だけでお口の悩みが全部解決するわけではありません。たとえば、歯ぐきから出血しているのに歯石がたくさんついている場合、知覚過敏だと思っていたら小さな虫歯が隠れている場合、着色だと思っていたら歯そのものの変色だった場合などは、歯磨き粉を変えるだけでは足りません。
また、せっかく自分に合った歯磨き粉を使っていても、歯ブラシの毛先が開いていたり、磨く場所に毛先が当たっていなかったりすると、効果を十分に発揮しにくくなります。毎日のセルフケアでは、歯磨き粉だけでなく、歯ブラシの状態や磨き方も一緒に見直したいところです。

迷ったら、歯科衛生士に相談してください
歯磨き粉は、「これを使えば誰にでも正解」というものではありません。年齢、お口の状態、虫歯リスク、歯ぐきの状態、しみる症状の有無、着色汚れの気になり方によって、合うものは変わります。
歯科衛生士としては、まず「何がいちばん気になるのか」を整理していただくと、ぐっと選びやすくなると感じています。虫歯予防を優先したいのか、歯ぐきのケアをしたいのか、しみるのを何とかしたいのか、表面の着色を落としたいのか。その軸が見えるだけで、歯磨き粉選びはかなりシンプルになります。
ブランデンタルクリニックでは、定期検診やクリーニングのときにも、毎日のセルフケア用品についてご相談いただけます。「今の歯磨き粉が合っているかわからない」「家族で使い分けた方がいいのか知りたい」「フッ化物の濃度が気になる」といったことも、お気軽にお声がけください。

歯磨き粉は、毎日のケアの小さな道具ですが、選び方が変わるとセルフケアの質も変わってきます。なんとなく選ぶのではなく、自分のお口の悩みに合わせて選ぶこと。それが、毎日の歯みがきをより意味のあるものにしてくれると思います。
