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PFASと歯医者のフッ素は同じ?有機フッ素化合物とフッ化物の違いを歯科医師が解説

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2024年10月12日

PFASと歯医者のフッ素は同じ?有機フッ素化合物とフッ化物の違いを歯科医師が解説

(院長の徒然コラム)

はじめに

PFASという言葉をニュースで見かける機会が増え、「歯医者で使うフッ素も危ないのではないか」と不安に感じた方もいるかもしれません。結論からいうと、水道水や環境汚染の問題として報道されるPFASと、歯科医院でむし歯予防に使うフッ化物は、同じものではありません。ただし、PFAS問題そのものを軽く見てよいという意味でもありません。この記事では、PFASと歯科のフッ素を混同しないために、できるだけわかりやすく整理します。

PFASと歯科のフッ素は同じものではありません

ニュースで話題になるPFASは、有機フッ素化合物の一種です。撥水性や耐熱性などの性質をもつため、過去にはさまざまな工業製品、コーティング剤、泡消火剤などに使われてきました。一方で、環境中で分解されにくく、体内にも残りやすい性質があるため、健康への影響や環境汚染の問題が世界的に注目されています。

ここで大切なのは、「フッ素」という言葉が入っているからといって、すべて同じ性質をもつわけではない、ということです。歯科医院でむし歯予防に使うものは、主にフッ化ナトリウムなどの無機フッ素化合物、つまりフッ化物です。PFASのような有機フッ素化合物とは、構造も性質も用途も異なります。

たとえば、同じ「塩素」という言葉が入っていても、食塩と有機塩素化合物がまったく別物であるように、「フッ素」という名前だけで危険性を同じに考えることはできません。

PFAS問題は本当に重要です

PFASについては、環境や水道水の問題として、今後も慎重に見ていく必要があります。特にPFOSやPFOAについては、発がん性や免疫、肝機能などとの関連が議論されており、日本でも水道水に関する基準や監視体制が強化されています。

つまり、PFASへの不安そのものは決して不自然なものではありません。むしろ、環境中に長く残る化学物質について、社会全体で管理していくことは重要です。

ただし、その話と「歯科で使うフッ化物は危険なのか」という話は、分けて考える必要があります。PFASのニュースを見て、歯科医院でのフッ素塗布やフッ化物配合歯みがき剤まで同じように避けてしまうと、本来得られるはずのむし歯予防効果を失ってしまう可能性があります。

歯科で使うフッ化物は何のために使うのか

歯科でフッ化物を使う目的は、むし歯の予防です。

むし歯は、歯の表面からミネラルが溶け出す「脱灰」と、唾液などによってミネラルが戻る「再石灰化」のバランスが崩れることで進行します。フッ化物は、この再石灰化を助けたり、歯の表面を酸に溶けにくい状態へ近づけたりすることで、むし歯になりにくい環境づくりを助けます。

もちろん、フッ化物だけでむし歯が完全に防げるわけではありません。毎日の歯みがき、間食のとり方、歯ブラシやフロスの使い方、定期検診でのチェックなどが組み合わさって、はじめて予防効果が高まります。

【予防歯科・定期的なメインテナンスについて】

「フッ素塗布は発がん性があるのでは?」という不安について

「PFASには発がん性があると聞いた。だから歯科のフッ素も危ないのではないか」という不安は、言葉の似ている部分から生まれやすい誤解です。

しかし、歯科で使うフッ化物とPFASは別物です。歯科医院で行うフッ素塗布や、フッ化物配合歯みがき剤を適切な量で使うことについて、PFASと同じものとして発がん性を心配する必要はありません。

大切なのは、「危険か安全か」を感情的に決めることではなく、何の物質について話しているのか、どの量で、どの方法で、どの目的で使うのかを分けて考えることです。

歯科医療では、年齢、むし歯リスク、歯の生え方、生活習慣などを考えながら、フッ化物の使用を判断します。特にお子さんの場合は、年齢に合った量を守ること、保護者が管理すること、必要に応じて歯科医院で相談することが大切です。

【お子さんのむし歯予防や小児歯科について】

フッ化物は「多ければ多いほどよい」ものではありません

フッ化物はむし歯予防に有用ですが、使えば使うほどよいというものではありません。ここは誤解しないでほしいところです。

年齢に合わない量を長期間使ったり、小さなお子さんが歯みがき剤を大量に飲み込んだりするような使い方は避ける必要があります。フッ化物配合歯みがき剤は、年齢に応じた量を使うことが大切です。

目安として、歯が生えてから2歳頃までは米粒程度、3歳から5歳頃まではグリーンピース程度、6歳以上では歯ブラシ全体にのせる程度が一般的な考え方です。小さなお子さんの場合は、保護者が歯みがき剤を出し、手の届かない場所に保管することも大切です。

「飲み込んだらすぐ危険」というものではありませんが、日常的に飲み込む使い方を続ける必要もありません。歯みがき後は軽く吐き出し、うがいをする場合も少量の水で軽く行う程度にすることで、フッ化物を口の中に残しやすくなります。

毎日の歯みがきでは、歯みがき剤の種類だけでなく、歯ブラシの状態も大切です。毛先が開いた歯ブラシでは、歯と歯ぐきの境目に毛先が届きにくくなり、磨き残しが増えやすくなります。

【歯ブラシの交換時期と磨き残しの関係について】

フッ素を避けるより、正しく使うことが大切です

PFASのニュースをきっかけに、フッ化物配合歯みがき剤や歯科医院でのフッ素塗布をすべて避けた方がよいのではないか、と感じる方もいるかもしれません。

しかし、むし歯リスクが高い方、乳歯や生えたばかりの永久歯があるお子さん、歯ぐきが下がって根元のむし歯が心配な方、治療済みの歯が多い方にとって、フッ化物は大切な予防手段の一つです。

特にお子さんの奥歯は、溝が深く、歯ブラシだけでは汚れが残りやすいことがあります。フッ化物だけでなく、シーラントや定期的なチェックを組み合わせることで、むし歯予防の精度を上げることができます。

【シーラントによるお子さんのむし歯予防について】

不安なときは、自己判断で中止する前に相談してください

インターネットやSNSでは、医療や健康に関する情報がとても速く広がります。その中には、注意深く読むべき大切な情報もありますが、言葉だけが似ている別の物質を同じものとして扱ってしまう情報もあります。

PFAS問題は、環境や水道水の安全を考えるうえで重要なテーマです。一方で、歯科のむし歯予防に使うフッ化物をPFASと同一視して過度に怖がる必要はありません。

ブランデンタルクリニックでは、患者さんの年齢、むし歯リスク、生活習慣、歯の状態を確認しながら、必要な予防方法を一緒に考えています。フッ素塗布やフッ化物配合歯みがき剤について不安がある方は、使用を自己判断でやめる前に、一度ご相談ください。

よくある質問

PFASと歯科医院で使うフッ素は同じですか?

同じではありません。PFASは有機フッ素化合物で、環境中で分解されにくい性質などが問題になっています。一方、歯科医院でむし歯予防に使うものは、主にフッ化ナトリウムなどの無機フッ素化合物です。名前に「フッ素」が入っていても、物質としては別に考える必要があります。

フッ素塗布には発がん性がありますか?

歯科医院で行うフッ素塗布を、PFASと同じものとして発がん性を心配する必要はありません。歯科で使うフッ化物は、むし歯予防を目的として長く使われてきた方法です。ただし、年齢や状態に合った量と方法で使うことが大切です。

子どもにフッ化物配合歯みがき剤を使っても大丈夫ですか?

年齢に合った量を守れば、むし歯予防に役立ちます。小さなお子さんでは、保護者が歯みがき剤を出し、飲み込みすぎないように見守ることが大切です。量や濃度がわからない場合は、歯科医院で相談すると安心です。

フッ素を使えばむし歯は完全に防げますか?

完全に防げるわけではありません。フッ化物はむし歯予防に有用ですが、歯みがき、フロスや歯間ブラシ、食生活、定期検診などと組み合わせることが大切です。フッ素だけに頼るのではなく、生活全体でむし歯になりにくい環境を作っていくことが重要です。

PFASのニュースを見て不安になった場合、どうすればよいですか?

まずは、PFASと歯科用フッ化物は別物だと分けて考えることが大切です。そのうえで、フッ化物配合歯みがき剤の量や、お子さんへの使い方、歯科医院でのフッ素塗布が必要かどうかを、歯科医師や歯科衛生士に相談してください。不安をそのままにせず、情報を整理して判断することが大切です。

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