2026年7月16日

(受付さんの備忘録)

はじめに
他院で「この歯は抜いた方がよいです」と説明を受けると、本当に抜歯しか方法がないのか、別の歯科医師にも診てもらった方がよいのか、迷われる方は少なくありません。
一度抜いた歯を元に戻すことはできないため、抜歯が必要と判断された理由を理解し、ほかに検討できる治療方法がないか確認してから決めたいと思うのは自然なことです。
別の歯科医院へ相談するときは、「セカンドオピニオンを受けたい」と伝えるだけでなく、他院で抜歯を勧められたこと、どの歯について相談したいのか、現在の症状、抜歯予定日の有無などを伝えると、受付で状況を把握しやすくなります。
ここでは、他院で抜歯を勧められた方が、別の歯科医院へ相談するときの予約方法や持参物、受診当日の流れをご案内します。

他院で抜歯を勧められた歯について相談するための予約です
今回ご案内するのは、現在通院している歯科医院や以前受診した歯科医院で抜歯を勧められ、歯を抜く前に別の歯科医師の意見も聞きたい方です。
たとえば、次のような場合が当てはまります。
- 虫歯が深く、歯を残すことが難しいと言われた
- 歯の根が割れている可能性があると説明された
- 根管治療を続けても改善せず、抜歯を勧められた
- 歯周病で歯を支える骨が少なくなっていると言われた
- 被せ物の下に大きな虫歯があり、治療が難しいと言われた
- すでに抜歯日が決まっているが、その前にもう一度診てもらいたい
抜歯した後に入れ歯、ブリッジ、インプラントのどれを選ぶか相談したい場合や、親知らずの抜歯だけを予約したい場合は、相談の目的が異なります。
受付へ連絡する際は、「他院で抜歯を勧められた歯について、抜く前に診察を受けたい」とお伝えください。
「セカンドオピニオン」と「別の医院で診察を受けること」は少し異なります
一般には、別の医療機関でもう一度意見を聞くことを広くセカンドオピニオンと呼ぶことがあります。
ただし、医療機関が専用の相談として行う正式なセカンドオピニオンは、現在の主治医から提供された紹介状や検査資料をもとに、診断や治療方針について別の医師・歯科医師の意見を聞くものです。通常はその場で新しい検査や治療を行わず、現在の主治医へ戻ることを前提とします。
一方、他院で抜歯を勧められた歯を実際に診察し、必要な検査を行ったうえで、歯を残せる可能性を評価してほしい場合は、一般の初診として受診することがあります。診察後に、その医院で治療を受けることも検討できます。
予約時点で、どちらに当てはまるかをご自身で判断する必要はありません。
受付には、次のように希望をそのままお伝えください。
「他院で抜歯を勧められました。意見だけを聞きたいです」
「歯を残せるか診察してもらい、可能であれば治療も検討したいです」
「まだ転院するかは決めていません。まず状態を確認して説明を聞きたいです」
相談の目的を確認したうえで、受診方法をご案内します。
予約時には「他院で抜歯を勧められた」とお伝えください
電話や公式LINEで予約する際は、最初に「他院で抜歯を勧められた歯について相談したい」とお伝えください。
たとえば、次のような伝え方で構いません。
他院で左下の奥歯を抜いた方がよいと言われました。抜歯する前に、歯を残せる可能性があるか診察を受けたいです。
または、
根管治療をしている歯を抜くように言われました。別の治療方法がないか相談したいです。
セカンドオピニオンという言葉を使わなくても、「他院で抜歯と言われたので、抜く前に一度診てもらいたい」と伝えていただければ、受付で相談内容を確認できます。

予約の際に伝えていただきたいこと
受付では、診察内容や予約の緊急性を判断するため、分かる範囲で次の内容を確認します。
- 抜歯を勧められた歯の場所
- いつ頃、抜歯が必要と言われたか
- 現在の痛みや腫れの有無
- その歯に受けてきた治療
- 抜歯予定日が決まっているか
- 紹介状やレントゲン、CT画像を持っているか
- 意見だけを聞きたいのか、治療も検討しているのか
すべてを正確に答えられなくても問題ありません。
治療名を覚えていない場合も、「神経を取った歯です」「何度か根の治療をしています」「白い被せ物が入っています」など、分かる内容だけをお伝えください。

歯の番号が分からなくても予約できます
歯科医院では歯の位置を番号で表すことがありますが、患者さんが歯の番号を覚えておく必要はありません。
「右上の一番奥」
「左下の白い被せ物が入っている歯」
「前歯から数えて四番目くらい」
「右側で噛んだときに痛む奥歯」
このような伝え方で構いません。
どの歯かはっきり分からない場合も、痛む場所や治療を受けた場所を分かる範囲でお知らせください。診察時に口腔内や画像を確認し、該当する歯を特定します。
抜歯予定日が決まっている場合は日付をお知らせください
すでに他院で抜歯予定日が決まっている場合は、予約時にその日付を必ずお伝えください。
抜歯予定日が近い場合、診察を受けられる日が限られます。来院できる日時を一つだけではなく、複数お知らせいただくと、空いている時間を探しやすくなります。
たとえば、「平日の午後ならいつでもよい」「月曜日と金曜日は終日可能」など、幅を持たせて伝えていただくと、キャンセル枠も含めてご案内しやすくなります。
ただし、予約状況によっては、希望する日までに診察枠を確保できないことがあります。
また、初診当日にすべての検査を終え、その場で歯を残せるかどうかを確定できるとは限りません。さらに詳しい検査や、経過の確認が必要になることもあります。
抜歯日が迫っている場合は、現在通院している歯科医院にも相談し、抜歯日の変更が可能か確認しておきましょう。
【歯医者の次回予約を早めたいときは?空き枠を探しやすい希望日時と症状の伝え方】

紹介状が手元になくても、まずはご相談ください
他院からの紹介状が手元になくても、まずは予約時にご相談ください。
紹介状がないことだけを理由に、別の歯科医院への相談を諦める必要はありません。
ただし、正式なセカンドオピニオンとして意見を聞く場合は、現在の主治医が作成した紹介状や検査資料が必要になる医療機関もあります。
また、一般の初診として診察を受ける場合でも、紹介状にこれまでの治療内容、抜歯が必要と判断された理由、使用した材料などが記載されていると、診断の参考になります。
紹介状を依頼しにくいと感じる方もいますが、別の歯科医師の意見を聞くことは、現在の医院を批判したり、治療が間違っていると決めつけたりすることではありません。
今後の治療を納得して選ぶために、必要な資料を相談したいと、そのまま現在の歯科医院へ伝えて構いません。
他院のレントゲンやCTは持参した方がよいですか?
他院で撮影したレントゲンやCTの画像を受け取っている場合は、可能であればご持参ください。
診察に役立つ可能性があるものには、次のような資料があります。
- 紹介状や診療情報提供書
- レントゲン写真
- CT画像のデータ
- 検査結果
- 治療内容が書かれた説明書
- 抜歯の予約票
- お薬手帳
- 服用している薬が分かるもの
画像は、紙に印刷した写真だけでなく、CDやDVDなどに保存されたデータで渡されることもあります。どのような形で受け取ったのか、予約時にお知らせください。
ただし、他院で撮影した画像があっても、当院で改めてレントゲンやCTの撮影をご相談することがあります。
画像を撮影してから時間が経っている場合、相談したい部分が十分に写っていない場合、画像だけでは現在の状態を判断できない場合があるためです。
同じ検査を繰り返すことが目的ではなく、現在の歯や歯を支える組織の状態を確認し、判断に必要な情報をそろえるために行います。
【他院のレントゲンや紹介状は持って行った方がいい?予約前に確認したい資料と注意点】


受診当日にすぐ治療が始まるとは限りません
他院で抜歯を勧められた歯について相談する場合、初診ではまず診断に必要な情報を確認します。
これまでの症状や治療経過を伺ったうえで、口腔内を診察し、持参した画像や当院で撮影した画像を確認します。
必要に応じて、次のような項目も確認します。
- 虫歯や歯質の欠損範囲
- 歯の揺れ
- 歯周ポケットや歯を支える骨の状態
- 噛んだときの痛み
- 歯の根に破折が疑われる所見
- 根管治療の状態
- 被せ物や土台の状態
- 噛み合わせ
- 歯を残した後に被せ物を装着できるか
- 全身状態や服用している薬
歯を残せる可能性がある場合でも、初診当日に根管治療や歯周外科などを開始できるとは限りません。
診察と相談に必要な時間と、実際の治療に必要な時間は異なります。まず歯の状態を確認し、考えられる選択肢、治療期間、費用、予想される経過などの説明を受けてから、今後の方針を決めます。

意見だけを聞きたいのか、治療も検討しているのかをお伝えください
現在通院している歯科医院で治療を続けることを前提に、別の歯科医師の意見だけを聞きたい方もいます。
一方で、診察の結果、歯を残せる可能性があるなら、その医院で治療を受けたいと考えている方もいます。
予約時点でどちらかに決める必要はありませんが、現在の希望を伝えていただくと、相談内容を把握しやすくなります。
たとえば、次のようにお伝えください。
「まずは診断や治療方針について、別の意見を聞きたいです」
「歯を残せる場合は、こちらで治療を受けることも検討しています」
「診察結果を聞いてから、元の医院へ戻るか転院するか考えたいです」
元の歯科医院へ戻る場合も、別の医院で治療を受ける場合もあります。診察結果や説明を聞いてから判断して構いません。
別の歯科医院を受診しても、必ず歯を残せるわけではありません
別の歯科医院を受診する目的は、必ず「抜かない」という診断を受けることではありません。
抜歯が必要と判断された理由をもう一度確認し、ほかに検討できる治療方法があるか、治療した場合にどの程度の予後が期待できるかを整理することが目的です。
歯根の破折、虫歯による大きな歯質の欠損、重度の歯周病、治療後も改善しない感染など、歯の状態によっては、診察する歯科医師が変わっても抜歯が妥当と判断されることがあります。
また、技術的には治療できる可能性があっても、長期間安定して使える見込み、治療期間、費用、身体的負担、再治療の可能性などを含めて検討しなければなりません。
反対に、これまでとは異なる検査や治療方法を検討できる場合もあります。
大切なのは、「抜かないと言ってくれる歯科医院」を探し続けることではなく、歯を残す場合と抜歯する場合の両方について説明を受け、ご自身が納得できる方針を選ぶことです。
歯を残せるか判断するために、診察室でどのような点を確認しているのかは、こちらで詳しくご案内しています。
【歯を抜くと言われたとき、診察では何を確認している?歯を残せるか判断するポイント】

強い痛みや腫れがある場合は、症状を先にお伝えください
現在、強い痛みや腫れがある場合は、「セカンドオピニオンを希望している」と伝えるだけでなく、症状も受付へお知らせください。
特に、次のような状態がある場合は、予約時に必ずお伝えください。
- 何もしなくても強く痛む
- 痛み止めを飲んでも痛みが強い
- 歯ぐきや顔が腫れている
- 膿が出ている
- 発熱や強い倦怠感がある
- 口が開きにくい
- 飲み込みにくい
- 腫れが急速に広がっている
感染や炎症が強い場合は、歯を残せるかどうかの詳しい検討よりも、痛みや腫れへの対応を優先することがあります。
顔や首の腫れが広がり、息苦しい、飲み込みにくい、話しにくいなどの症状がある場合は、通常の歯科予約を待たず、救急対応が可能な医療機関へ速やかに相談してください。

電話ではこのようにお伝えください
電話で予約する場合は、次のような伝え方で構いません。
他院で右下の奥歯を抜いた方がよいと言われました。抜歯する前に、歯を残せる可能性があるか一度診てもらいたいです。現在は噛んだときに痛みがあります。抜歯日はまだ決まっていません。紹介状やレントゲンは持っていません。
抜歯予定日が決まっている場合は、その日付もお伝えください。
他院で左上の奥歯を抜く予定になっています。抜歯日は○月○日です。その前に、別の治療方法がないか診察を受けたいです。レントゲンのデータは持参できます。
公式LINEではこのようにお送りください
公式LINEでは、次の内容を一つのメッセージにまとめていただくと、状況を確認しやすくなります。
他院で右上の奥歯を抜歯するよう説明を受けました。抜歯前に別の先生の診察を希望しています。抜歯予定日は○月○日です。現在、強い痛みや腫れはありません。紹介状はありませんが、レントゲン画像は持参できます。歯を残せる場合は、治療も検討したいです。
歯の番号や治療名が分からなくても問題ありません。
歯の場所、現在の症状、抜歯予定日、持っている資料など、分かる内容だけをお知らせください。
他院で抜歯を勧められたときによくあるご質問
紹介状がなくても予約できますか?
紹介状が手元になくても、まずは予約時にご相談ください。ただし、正式なセカンドオピニオンとして意見を聞く場合は、紹介状や画像資料が必要になることがあります。実際に診察や検査を受け、治療も検討したい場合は、一般の初診としてご案内することがあります。
現在通っている歯科医院に、別の医院へ相談することを伝える必要はありますか?
相談予約を取るために、必ず現在の歯科医院の許可を得なければならないとは限りません。ただし、紹介状、レントゲン、CT画像、治療内容などの資料を受け取りたい場合は、現在の歯科医院へ依頼する必要があります。「抜歯を決める前に別の意見も聞きたいので、資料をいただけますか」と伝えて構いません。
他院で撮影したレントゲンやCTがあれば、新しく撮影する必要はありませんか?
持参した画像だけで判断できる場合もありますが、撮影時期、画像の範囲、画質、現在の症状によっては、改めて撮影をご相談することがあります。
抜歯予定日の前日や数日前でも相談できますか?
空きがあれば診察できる可能性はありますが、十分な検査や説明の時間を確保できないことがあります。抜歯に迷いがある場合は、できるだけ早めにご相談ください。すでに抜歯日が決まっている場合は、予約時に日付をお知らせください。
相談した日に治療を始めてもらえますか?
初診は、歯の状態や治療経過を確認し、必要な検査と説明を行うことが中心です。診察内容、必要な処置時間、予約状況によっては、治療開始は別日となります。
別の歯科医院なら必ず歯を残してもらえますか?
必ず残せるわけではありません。歯の破折、虫歯の範囲、歯周組織の状態、感染の程度などによっては、別の医院でも抜歯が妥当と判断されることがあります。歯を残せるかだけでなく、治療後にどの程度安定して使えるかまで含めて判断します。
セカンドオピニオンには健康保険が使えますか?
医療機関が専用の相談として行う正式なセカンドオピニオンは、通常、検査や治療を行わない自費の相談です。一方、症状のある歯を一般の初診として診察し、必要な検査を行う場合は、診療内容によって保険診療となることがあります。受診方法や費用の扱いは医療機関によって異なるため、予約時にご確認ください。
痛みがなくても、抜歯前に診てもらえますか?
痛みがなくても相談できます。歯根の破折や大きな歯質欠損、歯周病などは、強い痛みがなくても抜歯を提案されることがあります。抜歯が必要と判断された理由や画像資料が分かる場合は、予約時にお知らせください。
相談した結果、抜歯が必要となった場合はどうなりますか?
抜歯が必要と判断された場合は、その理由や、抜歯前に確認する全身状態、服用している薬、抜歯後の治療方法について説明を受けます。診察した日に必ず抜歯を行うわけではありません。
【抜歯前の確認日は何をしている?薬・血圧・レントゲン・体調確認の流れ】
他院で抜歯を勧められたときは、抜く前に相談したいことをそのままお伝えください
他院で抜歯を勧められ、別の歯科医師の診察も受けたい場合は、予約時に「他院で抜歯と言われた歯について、抜く前に相談したい」とお伝えください。
どの歯なのか、現在の症状、これまでに受けた治療、抜歯予定日、紹介状やレントゲンの有無まで分かると、受付で状況を把握しやすくなります。
紹介状がない場合や、歯の番号が分からない場合も、まずはご相談ください。
ただし、別の歯科医院を受診すれば、必ず歯を残せるわけではありません。現在の歯の状態を改めて確認し、抜歯が必要と判断された理由や、ほかに検討できる方法があるかについて説明を受け、納得したうえで治療方針を選ぶことが大切です。
ブランデンタルクリニックでは、公式LINE、WEB、電話からご予約を受け付けています。
他院で抜歯予定日が決まっている場合や、強い痛み、腫れがある場合は、予約時に必ずお知らせください。
参考文献
- 独立行政法人国立病院機構 千葉東病院「セカンドオピニオン外来」
- 国立研究開発法人国立がん研究センター東病院「セカンドオピニオンを受けるには」
- American Association of Endodontists, “Saving Your Natural Tooth” (American Association of Endodontists)
- American Association of Endodontists, “Endodontic Retreatment Explained” (American Association of Endodontists)
- NHS, “Dental abscess” (nhs.uk)
