2026年6月30日

(受付さんの備忘録)

はじめに
歯医者の予約を取るときに、受付でときどき聞かれることがあります。
「前の歯医者で撮ったレントゲンは持って行った方がいいですか?」
「紹介状がないと診てもらえませんか?」
「治療途中なのですが、何を持って行けばいいですか?」
「前の歯医者に資料をもらいに行くのが少し言いにくくて……」
他院で治療を受けていた方、病院から紹介された方、久しぶりに歯医者へ行く方、治療途中で別の歯科医院に相談したい方にとって、前の医院の資料をどうすればよいかは迷いやすいところだと思います。
結論からいうと、紹介状やレントゲン画像があると、診療の参考になることがあります。
ただし、紹介状やレントゲンがないからといって、必ず受診できないわけではありません。
大切なのは、資料があるかどうかだけではなく、今どのようなことで困っているのか、どの歯を治療していたのか、どこまで治療が進んでいるのか、痛みや腫れなど急いで確認したい症状があるのかを、分かる範囲で伝えていただくことです。
今回の受付さんの備忘録では、他院で撮ったレントゲンや紹介状は必要なのか、どのような資料を持参できるのか、予約時や受付でどのようなことを確認しているのかを整理してお話しします。
紹介状そのものについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
【歯科治療で紹介状が必要になるのはどんな時?大学病院・市民病院・他院紹介の流れ】
紹介状やレントゲンは「ないとダメ」ではなく「あると助かる」資料です
まず、患者さんに一番お伝えしたいのは、紹介状やレントゲン画像は「ないと絶対に診てもらえないもの」ではない、ということです。
もちろん、紹介状やレントゲン画像があると、これまでの経過を把握しやすくなります。
たとえば、前の医院でどのような診断を受けたのか、どの歯を治療していたのか、根の治療がどこまで進んでいるのか、抜歯や外科処置を勧められた理由は何かなど、資料から分かることがあります。
しかし、歯科医院で実際に診療を進めるときは、持参された資料だけで判断するわけではありません。
当日の症状、口の中の状態、歯ぐきの状態、噛み合わせ、痛みの出方、必要に応じた検査などを合わせて確認します。
そのため、資料がある方は持ってきていただけると助かりますが、資料がない方も、まずは現在の状態を確認することができます。
受付としては、
「紹介状がないのですが、大丈夫ですか?」
と不安そうに聞かれたとき、まずは
「資料がなくてもご相談いただけます。治療途中の内容や症状を分かる範囲で教えてください」
とお伝えしたいです。

紹介状とは、これまでの治療情報を引き継ぐための資料です
歯科でいう紹介状は、正式には「診療情報提供書」と呼ばれることがあります。
紹介状には、これまでの診療内容や検査結果、治療の経過、現在の問題点、紹介先で確認してほしいことなどが書かれていることがあります。
たとえば、どの歯に症状があるのか、どのような検査をしたのか、どのような診断や説明を受けたのか、どこまで治療が進んでいるのか、今後どのような対応を依頼したいのか、持病や服薬に関する注意点があるのか、といった内容です。
特に、大学病院、総合病院、口腔外科、医科、矯正歯科、専門的な治療を行う医院などからの紹介の場合、紹介状はとても大切な資料になります。
一方で、すべての受診に紹介状が必要なわけではありません。
虫歯が気になる、歯石を取りたい、詰め物が取れた、歯が痛い、久しぶりに検診を受けたい、という相談では、紹介状を持たずに来院される方も多くいらっしゃいます。
紹介状は「受診するための許可証」ではなく、診療情報を引き継ぐための資料のひとつと考えると分かりやすいと思います。
治療途中で歯医者を変えたい、前の医院の治療をどこまで伝えればよいか分からないという方は、こちらの記事も参考になります。
【治療途中で歯医者を変えたいとき|転院相談で持ってきてほしい情報を受付が解説】
他院で撮ったレントゲン画像は持って行った方がいい?
他院で撮ったレントゲン画像やCT画像がある場合、それを持参できると診療の参考になることがあります。
特に、最近撮影した画像、根の治療中の画像、親知らずや顎の骨を確認するために撮影した画像、抜歯を勧められた理由を確認したい場合、歯周病の進行を説明された場合、矯正治療やインプラント治療に関係する画像などは、治療の経過を考えるうえで役立つことがあります。
レントゲン画像は、歯や骨の状態を確認するための大切な資料です。
ただし、他院で撮った画像があるからといって、必ずその画像だけで診断や治療計画が決まるわけではありません。
画像には、撮影した時期、撮影した範囲、角度、画質、見たい部位が写っているかどうかという問題があります。
たとえば、同じ「歯が痛い」という相談でも、虫歯を見たいのか、根の先を見たいのか、歯周病の骨の状態を見たいのか、親知らずとの関係を見たいのかによって、必要な確認が変わります。
そのため、他院のレントゲン画像は参考資料として確認しつつ、現在の状態を把握するために、あらためて当院で撮影が必要になることもあります。
「前に撮ったから絶対に撮らなくていい」
「持っていないと診療できない」
というものではなく、
「参考資料として使えることがある」
「現在の状態を確認するために、必要に応じて当院で確認することもある」
という考え方です。
「前に撮ったのに、また撮るの?」と思ったときに知ってほしいこと
患者さんからすると、
「この前、別の歯医者でレントゲンを撮ったばかりなのに、また撮るの?」
と感じることがあるかもしれません。
これはとても自然な疑問です。
歯科医院としても、必要のない撮影を何度も行うためにレントゲンを撮るわけではありません。
他院で撮った画像があっても、撮影から時間が経っている場合、痛みや腫れなど症状が変化している場合、確認したい歯が写っていない場合、画像の角度や画質の関係で判断が難しい場合、根の先・歯ぐきの骨・虫歯・親知らずなど見たい場所が違う場合には、あらためて撮影が必要になることがあります。
たとえば、前の医院で撮ったパノラマレントゲンがあっても、根の先の細かい状態を確認するために小さなレントゲンが必要になることがあります。
反対に、口の中の一部だけを撮影した画像があっても、親知らずや全体の骨の状態を確認するには、別の範囲の画像が必要になることがあります。
大切なのは、「前の画像を無視する」ということではありません。
持参された画像は参考にしながら、今の症状に対して必要な確認を行う、という考え方です。
不安がある場合は、診療前や撮影前に、
「前の医院で撮った画像があります」
「また撮影が必要な理由を知りたいです」
と伝えていただいて大丈夫です。
当院でも、必要性を説明しながら確認を進めます。

持参できる資料にはどんなものがある?
「資料」と聞くと、紹介状やレントゲンだけを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、実際には診療の参考になるものは他にもあります。
お手元にある場合は、紹介状、診療情報提供書、レントゲン画像、CT画像、歯周病検査の結果、治療計画書、見積書、説明を受けた紙、お薬手帳、現在飲んでいる薬の一覧、アレルギーの情報、外れた詰め物、外れた被せ物、使用中のマウスピース、仮歯、入れ歯、矯正装置やマウスピース矯正の資料、保険確認に必要なもの、各種医療証、前の医院で説明された内容のメモなどが参考になることがあります。
ここで大事なのは、全部そろえる必要はないということです。
紹介状も、レントゲンも、治療計画書も、すべて持っていないと受診できないわけではありません。
お手元にあるものだけで大丈夫です。
受付では、
「紹介状があります」
「レントゲンのデータを持っています」
「外れた被せ物を持ってきました」
「薬を飲んでいるので、お薬手帳があります」
と教えていただけると助かります。

お薬手帳について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
【歯医者にお薬手帳は必要?持病・服薬を伝える理由と受付で確認したいこと】
外れた詰め物・被せ物・仮歯も、できれば捨てずにお持ちください
レントゲンや紹介状とは少し違いますが、外れた詰め物や被せ物、仮歯なども、できれば捨てずに持ってきてください。
外れたものを必ず戻せるとは限りません。
虫歯が進んでいる場合、形が合わなくなっている場合、割れている場合、噛み合わせが変わっている場合などは、再装着が難しいこともあります。
それでも、外れたものを見ることで、どの歯に入っていたものか、どのような材料だったのか、どのくらいの大きさの詰め物・被せ物だったのか、割れたのか、外れたのか、仮歯なのか、最終的な被せ物なのかを確認しやすくなることがあります。
特に、治療途中の仮歯や仮詰めが外れた場合は、放置すると歯の中に汚れが入りやすくなったり、噛むと痛みが出たりすることがあります。
「これは持って行って意味があるのかな?」と思うものでも、念のため小さな袋などに入れて持参していただくと安心です。
詰め物や被せ物の違い、虫歯の大きさによって治療が変わる理由については、こちらの記事でも解説しています。
【小さい虫歯と大きい虫歯で治療はどう違う?レジン・インレー・クラウンの違い】
型取り後や仮歯の状態で転院相談する場合
他院で型取りまで終わっている方、次回に詰め物や被せ物を入れる予定だった方、仮歯や仮詰めの状態で期間が空いてしまった方は、予約時にそのことを伝えていただけると助かります。
型取り後の状態では、すでに歯を削って形を整えていることがあります。
また、歯科技工士さんが歯科医師の指示をもとに詰め物・被せ物を製作している途中だった可能性もあります。
この場合、前の医院でどこまで進んでいたのか、型取りをしたのか、仮歯なのか、仮詰めなのか、完成物があるのか、キャンセルになったのかによって確認内容が変わります。
資料があれば参考になりますが、資料がない場合でも、分かる範囲で教えてください。
「型取りは終わっています」
「次に被せ物を入れる予定でした」
「仮歯が入っています」
「仮のふたが取れました」
このようなひと言だけでも、受付から診療室へ伝える大切な情報になります。
型取り後に何を待っているのか知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
【型取りの後、次の予約まで何を待っている?詰め物・被せ物ができるまでの流れを歯科助手が解説】
予約時に伝えていただけると助かること
紹介状やレントゲン画像があるかどうかは、来院してからでも確認できます。
ただ、予約時にあらかじめ伝えていただけると、受付で準備しやすくなることがあります。
特に、他院で治療途中である、根の治療中である、仮詰めや仮歯の状態である、抜歯を勧められている、親知らずの相談をしたい、セカンドオピニオンを希望している、転院して治療を続けたい、紹介状を持っている、レントゲンやCTのデータを持っている、痛みや腫れが強い、薬を飲んでいる、妊娠中または妊娠の可能性がある、持病がある、通院できる時間が限られている、という場合は、予約時に教えていただけると助かります。
たとえば、同じ「他院で治療途中です」という相談でも、一度だけ相談したいのか、今後は当院で治療を続けたいのか、痛みが強くて早めに診てほしいのか、説明を聞いたうえで考えたいのかによって、受付で確認する内容が変わります。
WEB予約やLINEでご連絡いただく場合も、備考欄やメッセージに、
「他院で根の治療中です」
「紹介状があります」
「レントゲンデータを持っています」
「抜歯と言われた歯について相談したいです」
などと書いていただけると、確認がしやすくなります。
予約方法について迷う方は、こちらの記事も参考にしてください。
【WEB予約・LINE・電話、どれで予約する?ブランデンタルクリニックの予約方法の使い分け】

「セカンドオピニオン」と「転院希望」は少し意味が違います
受付で確認していて、意外と大切だと感じるのが、セカンドオピニオン希望なのか、転院希望なのかという点です。
患者さんからすると、どちらも「別の歯医者で相談したい」という意味に感じるかもしれません。
ただ、診療の流れとしては少し違います。
セカンドオピニオンは、現在の主治医のもとで治療を続ける前提で、別の医師・歯科医師の意見を聞く相談です。
一方、転院希望は、今後の治療を別の医院で続けたいという相談です。
もちろん、最初はどちらかはっきり決まっていなくても大丈夫です。
「今の説明に不安があるので相談したい」
「抜歯と言われたけれど、本当に必要か聞きたい」
「治療途中だが、今後はこちらで診てもらえるか相談したい」
「一度話を聞いてから考えたい」
このように、今の気持ちをそのまま伝えていただければ大丈夫です。
ただし、受付としては、予約の時点で「相談だけなのか」「治療も希望しているのか」が少しでも分かると、診療室への引き継ぎがしやすくなります。
予約時、受付、診療室では確認する内容が少しずつ違います
患者さんからすると、
「予約のときに話したのに、受付でもまた聞かれた」
「受付で伝えたのに、診療室でも同じことを聞かれた」
と感じることがあるかもしれません。
これは、同じことを無駄に繰り返しているのではなく、役割ごとに確認している内容が少し違うためです。
予約時には、希望日時、症状の緊急度、痛みや腫れの有無、他院で治療途中かどうか、資料を持参予定かどうかなどを大まかに確認します。
受付では、実際に来院されたときの持参資料、保険確認に必要なもの、問診票の内容、紹介状やレントゲン画像の有無、現在の症状を確認します。
診療室では、歯科医師や歯科衛生士が実際のお口の状態、レントゲンや検査結果、患者さんのお話を合わせて確認します。
つまり、情報は
予約時→受付→診療室
へと引き継がれていきます。
受付で確認した内容は、診療室へ伝えるための大切な準備でもあります。

治療途中の方は「今どんな状態か」を分かる範囲で教えてください
治療途中で来院される方の場合、紹介状やレントゲンがあると助かることは確かです。
しかし、資料がなくても、受付で確認できることはたくさんあります。
たとえば、どの歯を治療していたか、いつから通っていたか、最後に受診したのはいつか、今は仮詰めなのか仮歯なのか、神経の治療中なのか、抜歯予定だったのか、詰め物や被せ物の型取りをした後なのか、痛みがあるのか、噛むと痛いのか、何もしなくてもズキズキするのか、腫れているのか、薬を出されているのか、次回何をする予定だったのか、といった内容です。
全部を正確に覚えていなくても構いません。
「たぶん右下だったと思います」
「神経の治療と言われました」
「型取りは終わって、次に入れる予定でした」
「仮のふたが取れた気がします」
「抜くかもしれないと言われました」
このような情報でも、診療の入り口としては大切です。
治療途中の歯は、状態によっては早めに確認した方がよいことがあります。
特に、仮詰めが取れた、強い痛みがある、腫れている、噛めない、膿が出る、発熱がある、口が開けにくい、飲み込みにくいなどの症状がある場合は、予約時に必ず伝えてください。
痛みがある初診予約については、こちらの記事も参考になります。
【初診予約で「検診希望」と「痛みがある」はどう違う?受付が確認する内容と予約枠の考え方】
電話で急患相談をするときに何を伝えるか迷う方は、こちらも参考にしてください。
【歯が痛い時の電話予約で何を伝える?急患相談で受付に伝える内容】
前の歯医者に資料を頼みにくいときはどうすればいい?
患者さんの中には、前の歯科医院に紹介状やレントゲンをお願いするのが言いにくいという方もいます。
「転院したいと言ったら気まずいのではないか」
「怒られたらどうしよう」
「もうしばらく行っていないので連絡しづらい」
「前の医院と合わなかったので、連絡したくない」
このように感じる方もいらっしゃると思います。
その場合も、まずは資料がない状態で相談できるか、予約時にお伝えください。
もちろん、詳しい治療経過が必要なケースでは、資料があった方がよいことがあります。
ただ、資料がないからといって、そこで相談が止まるわけではありません。
当院では、現在のお口の状態、患者さんのお話、必要な検査をもとに、今分かることを整理していきます。
また、前の医院で受けた説明に不安がある場合でも、受付で無理に詳しい事情を話す必要はありません。
受付では、まず診療に必要な情報を確認します。
「他院で治療途中です」
「詳しい資料はありません」
「今後どうしたらよいか相談したいです」
このように伝えていただければ大丈夫です。

スマートフォンの写真や紙の資料でも役に立つことがあります
最近は、患者さんがスマートフォンで資料の写真を見せてくださることもあります。
たとえば、前の医院でもらった説明用紙、治療計画書、見積書、予約票、薬の説明書、レントゲンを画面上で撮影した写真などです。
正式なデータでない場合、診断にそのまま使えるとは限りません。
画質が粗かったり、一部しか写っていなかったり、細かい部分が確認できなかったりすることがあります。
それでも、患者さんがどのような説明を受けたのか、どの歯の相談なのか、どの治療を予定していたのかを知る手がかりになることがあります。
「こんな写真しかないのですが、見せても大丈夫ですか?」
と心配される方もいますが、見せていただける範囲で大丈夫です。
ただし、レントゲンやCTの正式な画像データが必要な場合は、前の医療機関からのデータ提供や、当院での再撮影が必要になることもあります。
資料はあくまで診療の手がかりであり、最終的には診察や検査と合わせて確認します。
データの形式は医院で確認が必要です
他院のレントゲン画像やCT画像を持参される場合、CD-R、DVD、紙の印刷、スマートフォンの画像など、いろいろな形があります。
ここで注意したいのは、持参されたデータを必ずそのまま医院側で確認できるとは限らないことです。
データ形式が合わない、専用ソフトが必要で開けない、画像が圧縮されていて細部が見えにくい、印刷された画像では診断に必要な情報が不足している、スマートフォンの写真では角度や反射で見えにくい、といったことがあります。
そのため、レントゲンやCTのデータを持っている場合は、予約時に
「CDで持っています」
「紙で印刷されたものがあります」
「スマホに写真があります」
「紹介元からデータを預かっています」
と伝えていただけると助かります。
受付で確認したうえで、診療室に引き継ぎます。
ご家族が資料を持ってくる場合は、本人確認や同意が必要になることがあります
お子さん、高齢のご家族、介護が必要な方、通院が難しい方の場合、ご家族が資料を持参されることがあります。
この場合も、資料自体は診療の参考になることがあります。
ただし、医療情報はとても大切な個人情報です。
患者さん本人以外の方が資料を持参したり、診療内容を聞いたりする場合は、本人との関係、付き添いの状況、同意の有無などを確認することがあります。
未成年のお子さんの場合は、保護者の方と一緒に確認することが多くなります。
成人の方の場合は、ご家族であっても、本人の同意なしに詳しい診療情報をお伝えできないことがあります。
受付で少し細かく確認することがあるのは、意地悪をしているわけではありません。
患者さんご本人の大切な情報を守るためです。
「家族が代わりに資料を持って行きたい」
「本人が高齢なので付き添いたい」
「子どもの前の歯医者の資料を持っています」
という場合は、予約時にお伝えください。
資料を持ってきたら、必ず同じ治療方針になるわけではありません
紹介状やレントゲン画像がある場合でも、当院で確認した結果、前の医院で聞いた説明と少し違う話になることがあります。
これは、必ずしも前の説明が間違っているという意味ではありません。
歯科治療では、確認する時期、症状の変化、検査の範囲、患者さんの希望、治療の優先順位によって、説明の仕方や治療方針が変わることがあります。
たとえば、前の医院では抜歯の可能性があると言われていた歯でも、当院で確認したうえで、保存できる可能性や保存が難しい理由を改めて整理することがあります。
逆に、患者さんが「まだ大丈夫だと思っていた歯」でも、レントゲンや検査で治療が必要と分かることがあります。
また、自費治療、保険診療、セラミック、入れ歯、ブリッジ、インプラントなど、治療選択肢が複数ある場合は、医院によって説明の順番や得意とする治療が違うこともあります。
資料は大切ですが、資料だけで治療が決まるわけではありません。
患者さんのお話と、現在のお口の状態を合わせて確認することが大切です。
「前の医院の悪口を言わないといけない」と思わなくて大丈夫です
転院相談やセカンドオピニオンのときに、患者さんが気をつかってしまうことがあります。
「前の先生の説明がよく分からなくて……」
「治療が途中なのですが、言いにくくて……」
「別の医院に来たことを悪く思われないでしょうか」
このような不安を持って来院される方もいます。
受付としてお伝えしたいのは、前の医院の悪口を言わなくても大丈夫、ということです。
必要なのは、誰が悪いかを決めることではなく、今のお口の状態を整理することです。
もちろん、前の治療で不安だったこと、説明が分からなかったこと、痛みが続いたこと、通院が難しくなったことなどは、診療の参考になる場合があります。
ただし、それを無理に強い言葉で話す必要はありません。
「前の説明がよく分からなかったので、もう一度整理したいです」
「治療途中ですが、今後どうしたらよいか相談したいです」
「抜歯と言われた理由を確認したいです」
このように伝えていただければ十分です。
当院では、持参資料や現在の状態を確認しながら、今できる説明を行います。
久しぶりの受診で前の治療内容を覚えていない場合
数年前に通っていた歯科医院の治療内容を、正確に覚えている方は少ないと思います。
「どの歯を治療したか覚えていない」
「神経を取ったかどうか分からない」
「銀歯なのか、白い詰め物なのか分からない」
「いつ頃レントゲンを撮ったか覚えていない」
このような場合もあります。
久しぶりの受診では、資料がないことも珍しくありません。
その場合は、覚えている範囲で構いません。
最後に歯医者へ行った時期、今気になっている場所、痛みがあるかどうか、詰め物や被せ物が取れたことがあるか、過去に大きな治療をした記憶があるか、歯ぐきが腫れたことがあるか、親知らずを指摘されたことがあるか。
こうした情報だけでも、診療の入り口になります。
久しぶりの歯医者では、まず現在の状態を確認することが大切です。
久しぶりの受診で何を伝えればよいか迷う方は、こちらの記事も参考にしてください。
【久しぶりの歯医者で何を伝えればいい?前回の治療から時間が空いた方へ受付が確認すること】
来院前にできる準備
他院の資料がある方は、来院前に少しだけ確認しておくとスムーズです。
紹介状が封筒に入っているか。
レントゲンやCTのデータが手元にあるか。
紙の資料を忘れていないか。
お薬手帳を持ったか。
外れた詰め物や被せ物を袋に入れたか。
保険確認に必要なものや医療証を持ったか。
前の医院で説明された内容を簡単にメモしたか。
今一番困っている症状を整理したか。
特に、相談したいことが複数ある場合は、メモを作っておくと安心です。
診療室に入ると緊張して、聞きたかったことを忘れてしまう方もいます。
「抜歯と言われた理由を知りたい」
「根の治療を続けられるか聞きたい」
「痛みの原因を知りたい」
「今後こちらで治療できるか相談したい」
「費用や回数の目安を聞きたい」
このように、聞きたいことを短くメモしておくと、診療時に伝えやすくなります。
よくある質問
紹介状がないと受診できませんか?
紹介状がなくても受診できる場合が多くあります。紹介状は、これまでの経過を引き継ぐための資料です。大学病院、総合病院、口腔外科、医科、専門的な治療を行う医院からの紹介では重要になることがありますが、すべての受診に必須というわけではありません。資料がない場合も、現在の症状や治療途中の内容を分かる範囲で教えてください。
他院で撮ったレントゲンがあれば、当院では撮影しなくてもよいですか?
他院で撮ったレントゲン画像が参考になることはあります。ただし、撮影時期、写っている範囲、画質、現在の症状によっては、あらためて撮影が必要になる場合があります。前の画像を参考にしながら、現在の状態を確認するために必要な検査を行うことがあります。
前の歯医者にレントゲンをもらいに行くべきですか?
必ずしも全員が取りに行く必要はありません。治療途中の内容、相談したい内容、撮影時期、病院からの紹介かどうかによって変わります。迷う場合は、予約時に「前の医院でレントゲンを撮っていますが、持参した方がよいですか」とご相談ください。
レントゲンのデータはスマートフォンの写真でも大丈夫ですか?
スマートフォンの写真でも、説明内容や相談したい部位を知る手がかりになることがあります。ただし、診断に使えるかどうかは画質や内容によります。細かい部分を確認する必要がある場合は、正式な画像データや当院での撮影が必要になることがあります。
紹介状の封筒は開けてもいいですか?
紹介状は、紹介先の医療機関に向けて書かれていることがあります。封筒に入った紹介状をお持ちの場合は、基本的にはそのまま受付へお渡しください。すでに開封されている場合も、持参していただければ確認します。
治療内容をほとんど覚えていません。それでも相談できますか?
相談できます。どの歯だったか、いつ頃通っていたか、痛みがあるか、仮詰めや仮歯が入っているかなど、分かる範囲で大丈夫です。受付や問診票で確認し、必要に応じて診療室で詳しく確認します。
外れた被せ物や仮歯は持って行った方がいいですか?
できれば持参してください。必ず戻せるとは限りませんが、どのような治療がされていたかを知る参考になることがあります。小さな袋などに入れてお持ちください。
お薬手帳は歯科でも必要ですか?
必要になることがあります。抜歯、麻酔、痛み止め、抗菌薬、出血を伴う処置などでは、現在飲んでいる薬の情報が大切です。薬の名前を覚えていなくても、お薬手帳があれば確認しやすくなります。
家族が代わりに資料を持って行ってもよいですか?
状況によります。未成年のお子さんの場合は保護者の方と確認することが多いですが、成人の方の場合は、ご家族であっても本人の同意や確認が必要になることがあります。患者さんの医療情報を守るため、受付で関係性や同意について確認することがあります。
まとめ:資料は診療の入り口を整理するための大切な手がかりです
他院で撮ったレントゲン画像や紹介状は、診療の参考になる大切な資料です。
特に、治療途中、抜歯相談、根の治療、親知らず、歯周病、矯正、インプラント、病院歯科や口腔外科からの紹介、持病や服薬がある場合などは、資料があると確認がスムーズになることがあります。
ただし、資料がないからといって、必ず受診できないわけではありません。
紹介状がない方。
レントゲンを持っていない方。
前の治療内容をあまり覚えていない方。
前の医院に資料を頼みにくい方。
そのような場合でも、現在の症状や困っていることを分かる範囲で教えてください。
受付では、予約内容、持参資料、症状、治療途中かどうか、セカンドオピニオンか転院希望かなどを確認し、診療室へ引き継ぎます。
ブランデンタルクリニックでは、患者さんのお話、持参された資料、必要な検査を合わせて、現在のお口の状態を整理していきます。
「この資料は持って行った方がいいのかな?」と迷ったときは、予約時や受付でお知らせください。
全部そろっていなくても大丈夫です。
まずは、今困っていることを一緒に整理していきましょう。
