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歯医者の麻酔後、唇•頬が腫れた•白くなった!噛み傷?アレルギー?受診目安と歯科へ伝える4項目

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2026年9月03日

歯医者の麻酔後、唇•頬が腫れた•白くなった!噛み傷?アレルギー?受診目安と歯科へ伝える4項目

(受付さんの備忘録)

はじめに

「今日、子どもが歯医者で麻酔をしたのですが、帰ってきたら下唇がものすごく腫れているんです」

「頬の内側が真っ白になっています。化膿したのでしょうか?」

「麻酔が切れてきたら唇が痛いと言い始めました。本人に聞いたら、しびれている間に何度も噛んでいたみたいで……」

「これって、麻酔のアレルギーですか?」

歯科医院の受付では、このようなお問い合わせをいただくことがあります。

歯科治療で局所麻酔を使うと、歯だけではなく、治療した場所や麻酔方法によっては、唇・頬・舌などの感覚もしばらく鈍くなることがあります。

その間に唇や頬を噛んだり、吸ったり、何度も触ったりすると、本人が強い痛みを感じないまま粘膜を傷つけてしまうことがあります。特に小さなお子さんでは注意したい、以前から知られている局所麻酔後のトラブルの一つです。

ただし、ここで大切なのは、「歯医者で麻酔をしたあとに腫れた=麻酔が原因」とは限らないことです。

麻酔が残った状態で唇や頬を噛んだ傷かもしれません。抜歯など、受けた治療そのものに伴う腫れかもしれません。注射した場所の出血や血腫など、別の変化かもしれません。感染などを確認した方がよい場合もあります。そして頻度は低いものの、アレルギー反応を考えなければならない症状が含まれている場合もあります。

患者さんや保護者の方が、ご自宅で病名を当てる必要はありません。

受付へ連絡するときに大切なのは、①いつ・どこを・何の治療をしたか、②治療や麻酔からどのくらいで異変に気づいたか、③どこがどんな状態で、どう変化しているか、④腫れ以外にどんな症状があるかという4つの事実です。

今回は「受付さんの備忘録」として、歯医者の麻酔後に唇や頬が腫れた、白くなった、噛んだ傷ができたときに、何を確認し、どのようなときに歯科医院へ連絡すればよいのかを整理します。

まず受付で確認したいのは「何の治療を受けたあとですか?」です

「今日、歯医者で麻酔をして、頬が腫れました」

この情報だけでは、原因を考えるには十分ではありません。

虫歯を削ったのか、根管治療をしたのか、乳歯を抜いたのか、親知らずを抜いたのか、歯ぐきを切開するような外科処置を受けたのか。治療内容によって、治療後に起こり得る変化そのものが違うからです。

特に抜歯や口腔外科処置を受けている場合には、局所麻酔とは別に、処置した組織の炎症反応として腫れが出ることがあります。

国内の下顎埋伏智歯抜歯に関する研究でも、術後には一定期間、抜歯部周囲の腫脹が観察されています。もちろん、これは「親知らずを抜いた人は全員同じように腫れる」という意味ではありません。しかし、麻酔を使ったあとに腫れたからといって、腫れの原因を局所麻酔だけに求めることはできません。

そのため受付では、「今日、どこの歯を治療しましたか?」「虫歯治療でしたか、抜歯でしたか?」「腫れているのは治療した側と同じですか?」といったことを確認します。

専門的な治療名を覚えていなくても、「右下の奥歯を削った」「左下の乳歯を抜いた」「右下の親知らずを抜いた」という程度で構いません。

他院で治療したあとなら、可能であればまず治療した歯科医院へ

別の歯科医院で当日に治療を受け、そのあとに唇や頬の腫れなどが出た場合は、可能であればまず治療を受けた歯科医院へ連絡してください。

治療した医院であれば、どの歯を治療したのか、どのような処置をしたのか、どの局所麻酔薬をどの程度使用したのか、どこへ注射したのかといった情報をカルテから確認できます。

もちろん、旅行中・転居後・休診中など、治療した医院へ連絡できない場合もあります。その場合は、現在の症状と治療内容を分かる範囲で別の歯科医院へ伝えて相談してください。

ただし、呼吸困難、急速な舌や喉の腫れ、意識状態の異常などがある場合は、治療した歯科医院への電話より119番を優先します。

「麻酔をしたあと」と「麻酔が原因」は同じではありません

時間の順番として、局所麻酔をしたあとに腫れたとしても、それだけで「局所麻酔薬が原因で腫れた」と判断することはできません。

これは薬のアレルギーを考えるときにも同じです。

当院の「薬や局所麻酔でアレルギー歴があるとき、歯医者の予約で何を伝える?」でも解説していますが、局所麻酔後の体調変化には、アレルギー反応以外にも複数の原因があります。

今回の「唇や頬が腫れた」という症状でも、同じ考え方が必要です。

だから受付へ電話するときに、「麻酔アレルギーだと思います」と病名を決めていただく必要はありません。

それよりも、「何時ごろ麻酔をした」「帰宅して2時間くらいしてから気づいた」「右下唇の内側だけ腫れている」「本人はしびれている間に何度も噛んでいた」「じんましんや息苦しさはない」という実際に起きた事実の方が、状況を整理するときには役立ちます。

麻酔後に唇や頬を噛んでしまうのは、知られているトラブルです

歯科の局所麻酔では、歯だけに麻酔が効いているように思われるかもしれません。

しかし、麻酔の方法や治療部位によっては、唇・頬・舌などの軟組織もしびれます。

米国小児歯科学会(AAPD)の現行Best Practiceでも、局所麻酔後の自己咬傷による軟組織損傷は既知の合併症として扱われており、軟組織のしびれは歯や骨に対する麻酔より長く残る場合があるとされています。

つまり、「治療はもう終わった」「歯はそれほど変な感じがしない」のに、「下唇だけ分厚い感じがする」「頬がふくらんでいるように感じる」という時間帯があり得ます。

麻酔が続く時間については薬剤、麻酔方法、治療部位などによって異なります。詳しくは「歯医者の麻酔っていつ切れる?麻酔の効果と注意点」も参考にしてください。

子どもは「痛くないから噛む」だけではありません

小さなお子さんの場合、しびれている場所そのものが不思議に感じられます。

「唇が大きくなった感じがする」「触ってもよく分からない」「いつもと違って面白い」と感じて、噛む、吸う、舌で触る、指で触る、爪で引っかく、といった行動を繰り返すことがあります。

国内の小児局所麻酔に関する総説でも、術後に口唇などの麻痺が残っていることを子どもと保護者へ説明したうえで、麻痺した場所を爪で引っかいたり、口唇を強く吸ったり、噛んだりしないよう注意することが紹介されています。

痛みを十分に感じられる状態なら、一度強く噛めば「痛い」と気づいてやめるでしょう。しかし麻酔が効いていると、そのブレーキが働きにくくなります。

一度だけではなく何度も同じ場所を噛んだ結果、麻酔が切れてきたころになって、大きな腫れや傷として初めて気づくことがあります。

日本の小児歯科でも、麻酔後の咬傷は以前から確認されています

海外だけの話ではありません。

日本小児歯科学会が中心となって行った歯科用局所麻酔剤の安全性に関する国内調査では、大学病院小児歯科から3,890名、個人小児歯科診療所から255名、合計4,145名分のデータが集められました。

その調査では、術後の「不快事項」は109名、2.6%にみられ、その内容として、麻痺による違和感・不快感や、麻痺が残ったことによる咬傷などが多くみられたと報告されています。

ただし、「子どもの2.6%が唇を噛んだ」という意味ではありません。

2.6%という数字は、咬傷だけではなく、調査で「術後の不快事項」としてまとめられたもの全体の割合です。

また、これは現在の発生率をそのまま表す最新統計でもありません。それでも、日本の小児歯科臨床でも「局所麻酔後のしびれによる違和感や咬傷」が以前から問題として認識されてきたことが分かります。

小さな子どもだけの問題とも限りません

局所麻酔後の自己咬傷は、低年齢の子どもで特に注意したい問題ですが、「小さな子どもだけに起こるもの」と決めつける必要もありません。

国内の歯科麻酔資料でも、小児だけでなく、しびれた場所を自分でうまく認識・管理することが難しい患者さんでは、局所麻酔後の口唇や頬粘膜の咬傷に注意する必要があることが示されています。

年齢にかかわらず、無意識に噛む・吸う行動を止めることが難しい方では、付き添いのご家族にも術後の注意を共有しておくことが大切です。

「医院を出たときは何ともなかったのに」あとから腫れることがあります

麻酔後の咬傷では、治療を終えて歯科医院を出る時点では、それほど目立たないことがあります。

  • 麻酔が効いている
  • 唇や頬を噛む
  • まだ痛みをあまり感じない
  • 何度か同じところを噛む
  • 帰宅する
  • 麻酔が弱くなってくる
  • 腫れ・痛み・赤み・潰瘍に気づく

という経過をたどることがあるからです。

そのため、「歯医者を出たときには腫れていなかったから、治療とは関係ない」とも言い切れません。

反対に、「麻酔が切れてきたころに腫れたから、麻酔薬のアレルギーだ」とも言い切れません。

だからこそ、異変に気づいた時刻と、その後どう変化したかが大切になります。

唇の内側が真っ白!これは膿なのでしょうか?

麻酔後に唇を噛んだあと、「翌日見たら、内側が真っ白になっていた」ということがあります。

白や黄色っぽく見えると、「化膿した」「膿がたまっている」「感染したのでは」と心配になるかもしれません。

しかし、白く見えることだけで感染と判断することはできません。

口の中の潰瘍では、傷の表面が白色~黄白色の偽膜で覆われることがあります。また、頬粘膜の咬傷や外傷性潰瘍は、見た目だけではほかの口腔粘膜病変と紛らわしく見えることがあります。

局所麻酔後に唇を噛んだ症例でも、大きく腫れた唇に白い潰瘍性病変ができ、感染したように見えた報告があります。

つまり、白い=膿ではありません。

ただし反対に、白い=絶対に感染ではないとも言えません。

色だけで決めるのではなく、痛みが強くなっているか、腫れが広がっているか、発熱していないか、膿のような排液や強い悪臭・嫌な味がないか、全身状態はどうか、といった情報を合わせて確認します。

口内炎や口腔潰瘍そのものについては「口内炎ができる理由ってなに?」も参考にしてください。

白いところを「膿かどうか確かめよう」と、はがさないでください

白い膜のような部分を見ると、取りたくなるかもしれません。

しかし、爪でこする、綿棒で強くこする、ティッシュで拭き取る、歯ブラシで強く磨く、といったことは避けてください。

傷の表面をさらに刺激して、出血や痛みを強める可能性があります。

何度も触って確かめるより、まず現在の状態を記録しておく方が役立ちます。

「治療した場所」と「腫れた場所」は同じですか?

受付へ電話するときには、腫れている場所をできるだけ具体的に教えてください。

「口が腫れています」だけではなく、「右の下唇の内側」「左の頬の内側」「舌の右側」「右の頬全体」「上唇」「唇だけではなく舌も腫れている感じがする」という伝え方です。

そしてもう一つ、今日治療した場所と同じ側なのかも重要です。

たとえば、右下の奥歯を治療したあと、右下唇の内側に歯形を伴う局所的な傷がある場合と、右下を治療したあとに両側の唇・舌・喉まで急速に腫れてきた場合では、確認したいことも緊急度も違います。

左右や場所が分かるだけでも、電話で得られる情報量は大きく変わります。

麻酔後の腫れでは、大きく5つの方向から考えます

① 噛んだ・吸った・引っかいたことによる外傷

しびれていた唇、頬、舌などに限局している。本人が噛んでいた。保護者が噛んでいるところを見た。唇を何度も吸っていた。歯形がある。粘膜に潰瘍がある。白~黄白色の膜のようなものが見える。

こうした情報は、咬傷を考えるうえで参考になります。

AAPDも、局所麻酔後の唇・頬の自己咬傷による病変の多くは自然に改善していく一方、出血や感染が起こる可能性はあるとしています。

② 抜歯など、治療そのものに伴う腫れ

麻酔を使った日に頬が腫れても、麻酔ではなく治療そのものに伴う炎症反応という場合があります。

特に抜歯や外科処置では、この区別が重要です。

「今日麻酔をした」という情報だけでなく、何の治療をしたかを受付へ伝えてください。

③ 注射した場所の出血や血腫など

注射に伴って血管が傷つけば、局所に出血や血腫が生じることがあります。

「注射をした直後から膨らんだ」「青紫色に変化してきた」などがあれば、そのことも教えてください。

また、抗凝固薬・抗血小板薬など、いわゆる「血液をサラサラにする薬」を服用している場合は、薬の名前が分かればお知らせください。

出血や腫れを心配して、自己判断で薬を中止しないでください。

④ 感染などを確認した方がよい場合

痛みが時間とともに強くなっている、腫れが広がっている、発熱している、膿のような排液がある、強い悪臭や嫌な味がする、口が開きにくい、飲み込みにくい、といった変化があれば、単純な噛み傷かどうかも含めて歯科医院へ相談してください。

特に小さなお子さんでは、口の痛みや腫れが強く、水分を十分に取れない場合も、長く様子を見続けず相談したい症状です。

「昨日より今日の方が悪い」「朝より夜の方が明らかに腫れている」という時間変化も重要です。

⑤ アレルギー反応

局所麻酔薬による重いアレルギー反応はまれですが、ゼロではありません。

じんましん、全身のかゆみ、急速な口唇・舌・喉の腫れ、声のかすれ、呼吸困難、ゼーゼー・ヒューヒューする呼吸、嘔吐、ぐったりする、意識状態の変化などがあれば、「噛んだ傷かな」と長く様子を見る状況ではありません。

「麻酔のアレルギーでしょうか?」——実際にこんな患者さんが報告されています

国内の歯科局所麻酔薬アレルギーに関する報告には、今回のテーマを考えるうえで参考になる症例があります。

患者さんは19歳女性。9歳のころ、右上の虫歯治療で局所麻酔を受け、その治療後に右顔面が腫れていることに気づきました。

しかし当時、自覚症状、皮膚症状、全身的な異常はなく、顔面の腫れは翌日までに自然に消失しました。

ところが本人は、「麻酔のアレルギーだったのではないか」と心配し、それ以降、局所麻酔を必要とする歯科治療を避けていたそうです。

その後、抜歯が必要となって専門的な評価を受けました。詳しい問診からは、過去の経過は局所麻酔薬による重篤なアナフィラキシーショックだった可能性が極めて低いと判断されました。

さらに、腫れた場所が当時治療していた右上顎と同じ側であったことから、局所麻酔薬以外の原因で腫れていた可能性も否定できないと説明されています。

その後はモニタリングを行いながら局所麻酔薬を少量から段階的に使用し、問題なく抜歯が行われました。

この症例から分かるのは、「麻酔をしたあとに腫れた」という経験だけで、「自分は局所麻酔薬アレルギーだから、もう歯科の麻酔は使えない」と決めない方がよいということです。

一度そのような経験がある場合は、次回の歯科治療前に、何の治療だったのか、麻酔からどのくらいで症状が出たのか、どこが腫れたのか、じんましんや呼吸症状はあったのか、救急処置を受けたのか、どのくらいで治ったのかを、分かる範囲でお伝えください。

過去の薬・局所麻酔の異常歴の伝え方については「薬や局所麻酔でアレルギー歴があるとき、歯医者の予約で何を伝える?」で詳しく整理しています。

本当の局所麻酔薬アレルギーはまれ——でも、症状が出ていれば軽視しません

局所麻酔薬そのものによる重いアレルギー反応は、非常にまれとされています。

過去の国内報告では、リドカインによるアナフィラキシー反応について、100万~150万人に1人、約0.00007%と推測した報告があります。

ただし、これは現在の歯科診療における正確な最新発生率を示した数字ではなく、過去の国内推計です。「100万人に1人だから今回も絶対にアレルギーではない」という使い方はできません。

日本歯科麻酔学会も2025年に「歯科診療における局所麻酔薬アレルギー診断のためのプラクティカルガイド」を公表しており、局所麻酔に伴って起きた異常反応を詳しく評価することの重要性が示されています。

大切なのは、「非常に珍しい」ことと、「今出ている症状を無視してよい」ことは全く別だということです。

もし現在、呼吸が苦しい、舌や喉が急速に腫れる、意識がおかしいといった症状が出ているなら、「確率が低いから大丈夫」と考えて待つべきではありません。

「歯医者で麻酔をした直後だから、麻酔薬が原因」とは限りません

歯科治療中のアレルギー反応では、局所麻酔薬そのもの以外の薬剤や歯科材料が関係する場合もあります。

そのため、症状だけから患者さん自身が原因物質を特定することはできません。

原因を詳しく調べる必要がある場合には、使用した薬剤や材料、発症までの時間、症状、経過などを整理し、必要に応じて専門医療機関で評価します。

歯科へ電話するとき、受付が知りたい4項目

ここまで読むと、「結局、電話で何を言えばいいの?」と思われるかもしれません。

難しく考える必要はありません。受付へは、次の4項目を分かる範囲で教えてください。

① いつ・どこを・何の治療をしたか

「今日の14時ごろ」「右下の奥歯」「虫歯治療」などで構いません。

抜歯をした場合は、「乳歯を抜いた」「親知らずを抜いた」と教えてください。

別の歯科医院で治療したあとに当院へ相談される場合には、「今日、他院で右下の治療を受けました」と最初にお伝えください。

② 治療や麻酔から、どのくらいで異変に気づいたか

局所麻酔後の異常反応を評価するときには、薬剤を使用してから症状が出るまでの時間と、その後の経過が重要な情報になります。

とはいえ、正確な時刻を覚えている必要はありません。

「治療直後」「帰宅途中」「帰って2時間くらいしてから」「その日の夜」「翌朝」くらいでも十分です。

③ どこが・どんな状態で・どう変化しているか

「右下唇の内側」「左頬の内側」「舌」「頬全体」など、場所を教えてください。

見た目についても、「白い」「赤い」「青紫色」「傷になっている」「出血している」「歯形がある」など、見たままで構いません。

そして重要なのが、その後どう変化しているかです。

「気づいたときより大きくなった」「朝と変わらない」「少し小さくなった」「昨日より痛くなった」といった経過もお知らせください。

お子さんの場合は、「麻酔が効いている間に唇を噛んでいた」「ずっと吸っていた」「何度も触っていた」といった行動も重要な情報です。

④ 腫れ以外に、どんな症状があるか

ここは緊急度を考えるうえで重要です。

痛み、発熱、出血、悪臭、嫌な味、じんましん、かゆみ、腹痛、嘔吐、舌の腫れ、喉の違和感、声のかすれ、息苦しさ、ゼーゼーする、ふらつき、失神、意識がもうろうとする、といった症状があれば伝えてください。

反対に、「唇は腫れていますが、それ以外は普段と変わりません」という情報も立派な情報です。

受付には、こんなふうに伝えてもらえると分かりやすいです

たとえば、次のような伝え方です。

「今日14時ごろ、そちらで右下の奥歯の虫歯治療をして麻酔をしました。17時くらいに右の下唇が腫れていることに気づきました。本人は帰宅後もしびれている唇を何度か噛んでいたそうです。内側が白くなっていますが、出血はありません。腫れは気づいたときとあまり変わらず、発熱、じんましん、喉の腫れ、息苦しさはありません」

このように伝えていただければ、「麻酔アレルギーだと思います」という一言だけより、はるかに状況を把握しやすくなります。

病名ではなく、見たこと・起きたことを時間の順番に教えてください。

スマートフォンで写真を撮っておくと、変化を確認しやすくなります

腫れや口の中の傷は、時間とともに変化します。

可能であれば、最初に気づいたとき、数時間後、翌日などに写真を残しておくと、「本当に大きくなったのか」「色が変わったのか」「白い部分が広がったのか」「小さくなっているのか」を比較しやすくなります。

薬の副作用について解説した「歯医者でもらった抗生物質・痛み止めで発疹や吐き気が出たら?」でも、来院時には症状が薄くなっている場合があるため、写真が経過確認の手掛かりになることを紹介しています。

ただし、写真があれば診察が不要になるわけではありません。必要と判断された場合には、実際に来院していただいて状態を確認します。

白く腫れていても、余っている抗生物質を自己判断で飲まないでください

「白いから化膿したのでは」「感染なら抗生物質を飲んだ方がいいのでは」と思うかもしれません。

しかし、先ほど説明したように、白色~黄白色に見える口腔潰瘍がすべて膿というわけではありません。

以前処方された抗菌薬、別の病気でもらった抗菌薬、家族に処方された抗菌薬などを自己判断で飲まないでください。

抗菌薬が必要かどうかは、現在の症状、感染所見、治療内容などを確認して判断します。

歯科領域でも抗菌薬の適正使用は重要であり、「腫れているから、とりあえず抗菌薬を飲む」だけで問題が解決するとは限りません。

歯科から処方された抗菌薬や鎮痛薬を飲んだあとに発疹・吐き気などが出た場合は「歯医者でもらった抗生物質・痛み止めで発疹や吐き気が出たら?副作用・アレルギーの受診目安と連絡時に伝えること」も参考にしてください。

噛み傷は何日くらいで治るのでしょうか?

局所麻酔後にできた単純な咬傷で、その後さらに噛んだり傷つけたりせず、二次的な問題も起きていない場合には、多くは時間とともに改善していきます。

一般的な急性の外傷性口腔潰瘍では、原因となった刺激が取り除かれれば、おおむね1~2週間程度で治癒方向へ向かうものが多いとされています。

ただし、「2週間までは何が起きても待ってよい」という意味ではありません。

大切なのは日数だけではなく、良くなっているか、悪くなっているかです。

昨日より明らかに腫れている、痛みが強くなっている、発熱した、出血が続いている、膿のような排液がある、水分を十分に取れない、といった場合は日数を待たず相談してください。

また、噛んだり触ったりする刺激を避けているにもかかわらず、2週間程度たっても明らかに治らない、むしろ大きくなる、硬く感じる、表面が不整で出血しやすいといった場合には、「麻酔後の噛み傷だから」と決めつけず、もう一度診察を受けることが大切です。

まだ麻酔が残っているなら、まず「これ以上傷を増やさない」こと

まだ唇や頬がしびれている場合は、新しい傷を増やさないことが大切です。

AAPDは、局所麻酔が残っている間、患者さんや保護者へ、唇や頬を噛まない、吸わない、熱いものを口にしない、といった行動上の注意を伝えることを推奨しています。

特に子どもでは、「噛まないでね」と一度言うだけで終わらず、ときどき様子を確認してあげてください。

「しびれている側に目印をつける」という工夫も紹介されています

国内の小児歯科資料では、咬傷予防の工夫として、麻痺している側の皮膚にシールなどを貼り、本人に「こちら側はまだしびれている」と意識してもらう方法も紹介されています。

もちろん、「麻酔をしたら必ずシールを貼る」という決まりではありません。

小さなお子さんでは、「こっち側はまだしびれているから、噛んだり触ったりしないようにしようね」と、本人にも分かる形で伝える工夫の一つです。

「短く効く麻酔なら噛み傷にならない」とは言い切れません

過去の国内資料には、咬傷リスクを考慮して短時間作用性の局所麻酔薬を検討するという考え方もあります。

一方、AAPDの現行Best Practiceでは、短時間作用性の局所麻酔薬へ変更することで、実際に軟組織損傷そのものが減ることを示した研究はないと整理されています。

そのため患者さん側で、「この麻酔薬なら噛み傷にならない」「次回は短い麻酔にしてください」と決める必要はありません。

治療内容、年齢、全身状態、必要な麻酔効果、過去の咬傷歴などを歯科医師へ伝え、麻酔方法は歯科側で検討します。

前回、麻酔後に唇を噛んだことがあるなら、次回の治療前に教えてください

「前回、麻酔が切れるまでに下唇を何度も噛んで、かなり腫れました」

これも次回の歯科治療前に伝えていただきたい情報です。

薬のアレルギー歴だけが「麻酔について伝える情報」ではありません。

以前に、しびれが長く気になった、何度も唇を噛んだ、舌を噛んだ、大きな傷になった、といった経験があれば、治療前にお知らせください。

ご家族や付き添いの方が把握している場合には、その情報も役立ちます。

こんな症状なら、通常の歯科への連絡を待たず119番を優先してください

ここは、単純な噛み傷とは分けて考えてください。

急速に舌や喉が腫れてくる、息が苦しい、ゼーゼー・ヒューヒューする、声がかすれる、喉が締め付けられる感じがする、全身にじんましんが出る、ぐったりする、倒れる、意識がもうろうとする、といった症状は、アナフィラキシーなど緊急性の高い全身反応でもみられます。

局所麻酔薬による重篤なアレルギー反応が非常にまれだとしても、今まさに緊急症状が出ている人が待ってよいという意味ではありません。

WEB予約を取る、LINEを送って返信を待つ、歯科医院の診療開始時刻まで待つ、という状況ではありません。119番を優先してください。

夜間・休日で「救急車を呼ぶべきか迷う」ときは

広島市では、急な病気やけがについて「救急車を呼ぶべきか」「すぐ医療機関へ行った方がよいか」判断に迷った場合に相談できる救急相談センター #7119が案内されています。

#7119は24時間受け付けています。

小児については、こどもの救急電話相談 #8000があります。広島市では、月曜日~金曜日は19時から翌朝8時まで、土曜日・日曜日・祝日・年末年始は17時から翌朝8時まで受け付けています。

ただし、明らかな呼吸困難、急速な喉の腫れ、意識障害など緊急性が高い症状がすでにある場合は、#7119や#8000を経由せず119番です。

よくある質問

麻酔後に子どもの唇がかなり腫れました。よくあることですか?

局所麻酔後に、しびれた唇・頬・舌を噛むことは以前から知られているトラブルで、特に子どもでは注意が必要です。

ただし、大きく腫れているからといって、すべてを噛み傷と判断することはできません。何の治療を受けたか、どこが腫れているか、本人が噛んでいたか、ほかの症状がないかを歯科医院へお伝えください。

唇の内側が白くなっています。膿ですか?

白~黄白色の部分は、口腔潰瘍の表面に形成される偽膜などでもみられます。そのため、白い=膿とは限りません。

一方で色だけでは感染の有無を判断できないため、腫れや痛みの変化、発熱、排液、悪臭なども合わせて確認します。

歯形がついていれば、噛み傷で間違いありませんか?

歯形や「実際に噛んでいた」という情報は大きな手掛かりになります。

ただし、歯形があるからほかの問題が絶対にないという意味ではありません。症状が強い、悪化している、全身症状がある場合は歯科医院へご相談ください。

翌日になって腫れました。遅れて出た麻酔アレルギーでしょうか?

翌日に気づいたという時間だけで、原因をアレルギーと判断することはできません。

局所麻酔中にできた咬傷があとから目立った可能性、受けた治療そのものに伴う腫れなど、ほかの原因も考えます。

アレルギーを考える場合も、発症時間だけでなく、じんましん、呼吸症状、消化器症状、意識や循環の異常を疑う症状などを合わせて確認します。

一度麻酔後に腫れたら、次から局所麻酔は使えませんか?

「以前、局所麻酔のあとに腫れた」という情報だけで、今後すべての局所麻酔が使用できないとは決まりません。

何を使用したのか、どのくらい後に、どの場所へ、どのような症状が出たのかを確認することが重要です。原因が不明な場合や重い反応が疑われる場合には、専門的評価が必要になることもあります。

白い傷があるので、家に残っている抗生物質を飲んでもいいですか?

自己判断では飲まないでください。白い見た目だけで細菌感染とは判断できません。

抗菌薬が必要かどうかは、現在の症状や治療内容を確認して判断します。

何日治らなかったら歯医者へ行けばいいですか?

「何日」という数字だけで判断するより、改善方向か悪化方向かを見ることが重要です。

腫れや痛みが強くなる、発熱する、出血が続く、水分が取れないなどの場合は日数を待たず相談してください。

また、刺激を避けても2週間程度たって明らかに治らない、むしろ大きくなる、硬くなる、出血しやすい場合には再度診察を受けてください。

まだ麻酔が残っていて、子どもがまた唇を噛みます

唇・頬・舌を噛む、吸う、何度も触ることをできるだけ避けてください。

小さなお子さんでは本人任せにせず、麻酔が残っている間は保護者の方が様子を見てあげることも大切です。

受付さんからのまとめ|「麻酔アレルギーです」と診断して電話しなくて大丈夫です

歯科治療後に唇や頬が大きく腫れていると、不安になると思います。

白い傷を見れば「化膿した?」と思うかもしれません。麻酔をした直後なら「麻酔アレルギー?」と思うかもしれません。

でも、患者さんや保護者の方が原因を決める必要はありません。

受付へは、次の4つを分かる範囲で教えてください。

  1. いつ・どこを・何の治療をしたか
  2. 治療や麻酔からどのくらいで異変に気づいたか
  3. どこが、どんな状態で、その後どう変化しているか
  4. 腫れ以外にどんな症状があるか

そしてお子さんの場合は、「麻酔が効いている間に唇を噛んでいた」「何度も吸っていた」「しびれが気になって触っていた」という情報もぜひお伝えください。

写真を残している場合は、いつ撮影したものか分かるようにしておくと経過の確認に役立ちます。

ブランデンタルクリニックは、広島市中区立町、立町駅徒歩1分の立町中央ビル4階で診療しています。4階まではエレベーターをご利用いただけます。

通常のご予約はWEB・LINE・電話から受け付けていますが、麻酔後の急な腫れなど「今日相談したい症状」がある場合は、WEB予約枠だけを見て待たず、まず電話で現在の状況をお伝えください。当日電話受付可・急患同日可として、当日の診療状況を確認しながらご案内します。

予約方法の使い分けについては「WEB予約・LINE・電話、どれで予約する?ブランデンタルクリニックの予約方法と使い分け」も参考にしてください。

ただし、息苦しさ、急速な舌・喉の腫れ、意識状態の異常などがある場合は、歯科医院への連絡や返信を待たず119番を優先してください。

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  • 江副祐史ほか.抗菌薬投与法の相違による下顎埋伏智歯抜歯術後経過の予備的検討.日本化学療法学会雑誌.2025;73(4).
  • 広島市.救急相談センター広島広域都市圏・備後圏域(#7119)/こどもの救急電話相談(#8000).

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