2024年10月13日

(歯科衛生士さんのある日の日誌)

デンタルフロスは、歯ブラシが届きにくい「歯と歯の間」を清掃する道具です
毎日歯を磨いていても、歯ブラシだけでは届きにくい場所があります。
その代表が、歯と歯の間です。
歯ブラシは、歯の表面や噛む面、歯ぐきとの境目には当てやすい道具です。しかし、歯と歯が接している部分には、歯ブラシの毛先が入りにくくなります。特に、奥歯の間や、歯が少し重なっている部分は、磨いているつもりでも汚れが残りやすい場所です。
デンタルフロスは、そのような歯と歯の間に通して、プラークや食べかすを取り除くための道具です。
歯ブラシの代わりではありません。
歯ブラシに足して使う道具です。
歯と歯の間に汚れが残ると、虫歯、歯ぐきの炎症、口臭につながることがあります。特に、歯と歯の間の虫歯は、見た目では気づきにくいこともあります。痛みが出る前に、小さな変化として見つかることも多いため、毎日の清掃と定期的なチェックが大切です。
「フロスは難しそう」
「奥歯にうまく入らない」
「血が出るから怖い」
「どの商品を買えばいいかわからない」
このように感じる方は少なくありません。最初から完璧に使えなくても大丈夫です。大切なのは、自分のお口に合ったタイプを選び、無理なく続けられる形にすることです。

フロスで清掃したい場所は、歯と歯の接触点と歯ぐきの少し下です
デンタルフロスは、ただ歯と歯の間に通せばよいわけではありません。
大切なのは、フロスを歯の側面に沿わせて動かすことです。
歯と歯の間には、歯同士が接している接触点があります。ここを通過するとき、フロスを勢いよく「パチン」と入れてしまうと、歯ぐきを傷つけることがあります。ゆっくり前後に動かしながら、やさしく入れるのが基本です。
フロスが入ったら、片方の歯の側面に沿わせます。歯の形に合わせてC字になるように軽く巻きつけ、歯ぐきの少し下までやさしく入れて、上下に数回動かします。
そのあと、反対側の歯にも同じように沿わせます。
歯と歯の間には、右の歯の面と左の歯の面があります。フロスを一度通しただけでは、片側しか十分にぬぐえていないことがあります。左右両方の歯の面を清掃する意識が大切です。
歯ぐきの中へ強く押し込む必要はありません。痛みが出るほど深く入れたり、何度も強くこすったりすると、歯ぐきを傷つけることがあります。
フロスは「押し込む道具」ではなく、「歯の面に沿わせて汚れをぬぐう道具」と考えると使いやすくなります。

デンタルフロスにはいくつか種類があります
デンタルフロスには、いくつかの種類があります。
代表的なのは、糸巻きタイプです。自分の指に巻いて使うタイプで、歯の形に沿わせやすく、細かい操作がしやすいことが特徴です。慣れると前歯から奥歯まで広く使えますが、最初は指の動かし方が難しく感じる方もいます。
ワックスタイプは、糸にワックスがついていて、歯と歯の間に入りやすいタイプです。歯と歯の接触がきつい方や、フロスが引っかかりやすい方に使いやすいことがあります。
ノンワックスタイプは、ワックスがついていないタイプです。歯面に当たる感覚がわかりやすく、汚れを絡め取る感覚を得やすいと感じる方もいます。ただし、歯間がきつい場所ではほつれたり切れたりすることがあります。
フロスピックは、持ち手がついた使い捨てタイプです。片手で扱いやすく、外出先でも使いやすいのが特徴です。まずフロス習慣を始めたい方には取り入れやすい道具です。
Y字ホルダー付きフロスは、奥歯に使いやすいことがあります。奥歯の間は指で糸巻きフロスを操作しにくいため、Y字タイプの方が安定して入れやすい方もいます。
U字ホルダー付きフロスは、前歯に使いやすいことがあります。構造上、奥歯には少し入れにくいこともあるため、使う場所に合わせて選ぶとよいです。
スーパーフロスは、ブリッジの下や矯正装置の周囲など、通常のフロスを通しにくい場所に使うことがあります。先端が通しやすい形になっていたり、太くふくらんだ部分があったりします。
フロアフロスのように、繊維が広がって汚れを絡め取りやすいタイプもあります。現行のコラムでも紹介しているように、フロアフロスは384本の繊維がふわっと広がるタイプで、歯ぐきへの当たりがやわらかいと感じる方もいます。
どれが一番よいかは、人によって違います。歯と歯の間の広さ、歯並び、被せ物の有無、ブリッジやインプラント、手の動かしやすさによって、合う道具は変わります。

初心者にはY字ホルダーやフロスピックが使いやすいことがあります
デンタルフロスを始めるとき、いきなり糸巻きタイプを使おうとして挫折してしまう方がいます。
もちろん、糸巻きタイプはとてもよい道具です。慣れると歯に沿わせやすく、細かく動かせます。ただ、指に巻く、奥歯まで入れる、鏡を見ながら操作する、という動きが難しい方もいます。
その場合、Y字ホルダー付きフロスやフロスピックから始めるのもよい方法です。
Y字ホルダーは、奥歯に届かせやすい形をしています。奥歯の間にフロスを入れるのが苦手な方でも、持ち手があることで操作しやすくなります。
フロスピックは、持ちやすく、使い方がわかりやすいので、習慣化の入り口として向いています。外出先や職場で使いやすい点もメリットです。
ただし、ホルダー付きタイプでも、歯ぐきに勢いよく押し込むのは避けましょう。同じ場所ばかり強くこすると、歯ぐきを傷つけることがあります。使い捨てタイプは清潔に使い、汚れたまま何度も使い回さないようにしてください。
最初は「毎日全部の歯を完璧にする」よりも、「まずは夜に奥歯だけ」「前歯だけでも続ける」という始め方でも構いません。続ける中で少しずつ範囲を広げていく方が、習慣になりやすいです。
フロアフロスは、ふくらんで汚れを絡め取りやすいタイプです
現行のコラムでも紹介しているフロアフロスは、繊維が広がるタイプのデンタルフロスです。
歯と歯の間に入れたとき、繊維がふわっと広がることで、歯の側面に沿いやすく、プラークを絡め取りやすいとされています。歯ぐきへの当たりがやわらかいと感じる方もいます。
歯間部の清掃では、細い糸がただ通過するだけでなく、歯の側面に当たって汚れをぬぐうことが大切です。その点で、繊維が広がるタイプは使いやすいと感じる方がいます。
ただし、フロアフロスだけが唯一の正解というわけではありません。
歯と歯の接触がとてもきつい方では、ワックス付きのフロスの方が入りやすいことがあります。奥歯の操作が難しい方では、Y字ホルダーの方が続けやすいことがあります。ブリッジの下には、通常のフロスではなくスーパーフロスが必要なこともあります。
道具選びで大切なのは、「良い商品を買うこと」だけではありません。自分の歯並びと生活に合っていて、無理なく続けられることです。
歯間ブラシとフロスは、どちらが上ではなく使う場所が違います
デンタルフロスと歯間ブラシは、どちらが優れているというより、使う場所が違います。
歯と歯の間が狭く、歯間ブラシが入らない場所には、フロスが向いています。特に、歯と歯が接している部分や、前歯のすき間が少ない場所では、フロスが使いやすいことがあります。
一方で、歯ぐきが下がって歯と歯の間にすき間がある場所では、歯間ブラシが向いていることがあります。歯間ブラシは、適切なサイズを選べば、歯と歯の間の広い空間を効率よく清掃できます。
ただし、歯間ブラシはサイズ選びがとても大切です。太すぎる歯間ブラシを無理に入れると、歯ぐきを傷つけたり、歯ぐきがさらに下がったように感じたりすることがあります。細すぎると、汚れに十分に当たらないこともあります。
ブリッジの下は、通常のフロスや歯間ブラシだけでは清掃しにくいことがあります。その場合は、スーパーフロスや歯間ブラシを組み合わせます。
矯正装置がついている方では、ワイヤーの下やブラケット周囲に汚れが残りやすくなります。フロススレッダー、歯間ブラシ、タフトブラシなどを使い分けることがあります。
インプラント周囲も、天然歯とは形が違うため、道具の選び方が大切です。インプラントの周囲粘膜を傷つけないように、歯間ブラシやフロスを選ぶ必要があります。
【ブリッジの下をスーパーフロス・歯間ブラシで磨く方法はこちら】
フロスを使うと出血するのは、やめるサインとは限りません
フロスを使ったときに血が出ると、不安になる方がいます。
出血があると、「フロスで歯ぐきを傷つけたのではないか」「もう使わない方がいいのではないか」と思うかもしれません。
たしかに、勢いよくフロスを入れたり、歯ぐきに強く押し込んだりすると、歯ぐきを傷つけて出血することがあります。この場合は、使い方を見直す必要があります。
一方で、歯ぐきに炎症がある場合も、フロスで出血することがあります。歯と歯の間にプラークが残っていると、歯ぐきが腫れて弱くなり、軽い刺激でも血が出やすくなります。
正しい力加減で清掃を続け、炎症が落ち着いてくると、出血が減ることもあります。
ただし、毎回同じ場所から出血する、痛みが強い、歯ぐきが腫れている、膿が出る、強いにおいがある、フロスが引っかかる、歯がしみるといった症状がある場合は、歯科医院で確認した方が安心です。
出血があるからフロスを完全にやめるのではなく、まずは使い方と歯ぐきの状態を確認しましょう。
フロスは1日1回、夜の歯磨き前後に続けやすい形で
デンタルフロスは、毎日使えると理想的です。
ただし、最初から毎食後に完璧に行おうとすると、続かなくなることがあります。まずは1日1回、夜の歯磨きのタイミングに組み込むのがおすすめです。
夜は、1日の食事や間食の汚れを落とす大切な時間です。寝ている間は唾液が少なくなるため、汚れを残したまま寝ると、虫歯や歯ぐきの炎症のリスクが高くなります。
フロスを歯磨きの前にするか、後にするかは、どちらでも構いません。大切なのは、毎日続けられる順番を決めることです。
歯磨き前にフロスを使うと、歯と歯の間の汚れを先に動かせます。歯磨き後に使うと、磨いたあとに残った場所を確認しやすい方もいます。自分が続けやすい順番で大丈夫です。
フッ化物配合歯磨剤も一緒に使いましょう。歯と歯の間は虫歯ができやすい場所の一つです。フロスで汚れを落とし、フッ化物を毎日のケアに取り入れることで、虫歯予防につながります。
子どもや、手が動かしにくい方、奥歯に届きにくい方は、補助具を使うと続けやすくなります。

フロスが引っかかる・切れるときは、歯科医院で確認しましょう
フロスを使っていて、毎回同じ場所で引っかかる、ほつれる、切れるということがあります。
この場合、いくつかの原因が考えられます。
歯と歯の間に虫歯がある。
詰め物や被せ物に段差がある。
歯石がついている。
歯と歯の接触がきつい。
フロスの種類が合っていない。
フロスを抜く方向が合っていない。
とくに、毎回同じ場所でフロスが切れる場合は、その場所に段差や虫歯がある可能性があります。無理に何度も通すと、フロスが途中で挟まったり、歯ぐきを傷つけたりすることがあります。
フロスが抜けにくいときは、上に無理やり引き抜かず、片側からそっと引き抜く方法がよい場合もあります。ただし、引っかかりが続く場合は、自己流で続けず歯科医院で確認しましょう。
詰め物や被せ物の境目は、虫歯や汚れが残りやすい場所でもあります。フロスの引っかかりは、治療後の適合や段差を確認するきっかけになることもあります。

歯科医院では、患者さんに合うフロスの種類と通し方を確認します
歯と歯の間の広さは、場所によって違います。
前歯は狭く、奥歯は手が届きにくい。
歯ぐきが下がった場所はすき間が広い。
被せ物が入っている場所はフロスが引っかかる。
ブリッジの下は普通のフロスが通らない。
矯正装置があるとワイヤーが邪魔になる。
インプラント周囲は天然歯と形が違う。
このように、同じお口の中でも、場所によって使う道具が変わることがあります。
歯科医院では、歯科衛生士が歯間の広さ、歯ぐきの状態、被せ物の形、磨き残しの場所を確認しながら、患者さんに合う道具を提案します。
「この場所はフロス」
「ここは歯間ブラシ」
「奥歯はY字ホルダー」
「ブリッジの下はスーパーフロス」
「このサイズの歯間ブラシは太すぎる」
このように、実際にお口の中を見ながら調整できます。
道具は、正しく使えてこそ効果を発揮します。買ったけれど使えていない、使うと痛い、血が出る、続かないという方は、道具が合っていないだけかもしれません。
定期検診やメンテナンスのときに、普段使っているフロスや歯間ブラシを持ってきていただくのもよい方法です。実際にどのように使っているか確認すると、少しの工夫で使いやすくなることがあります。

広島市中区立町でデンタルフロスの選び方を相談したい方へ
デンタルフロスは、歯と歯の間を清掃するための大切な道具です。
ただし、誰にでも同じフロスが合うわけではありません。歯並び、歯ぐきの状態、被せ物、ブリッジ、矯正装置、インプラント、手の動かしやすさによって、使いやすい道具は変わります。
合わない道具を無理に使うと、痛みが出たり、続かなかったりします。反対に、自分に合った道具が見つかると、歯間清掃はぐっと続けやすくなります。
ブランデンタルクリニックでは、定期検診や予防歯科の際に、歯磨きだけでなく、フロスや歯間ブラシの使い方も確認しています。
「どのデンタルフロスを選べばいいかわからない」
「奥歯にフロスが通せない」
「フロスをすると血が出る」
「歯間ブラシとフロスの使い分けがわからない」
「ブリッジや矯正装置の周りをどう磨けばいいかわからない」
このようなお悩みがあれば、歯科衛生士にご相談ください。
広島市中区立町、紙屋町・八丁堀周辺で、虫歯予防や歯周病予防のためにセルフケアを見直したい方は、毎日の歯磨きに歯間清掃を少しずつ取り入れていきましょう。
よくある質問
Q. デンタルフロスは毎日使った方がいいですか?
毎日使えると理想的です。まずは1日1回、夜の歯磨きのタイミングに組み込むと続けやすいです。歯ブラシだけでは歯と歯の間に届きにくいため、フロスを補助的に使います。
Q. フロスと歯間ブラシはどちらがいいですか?
どちらが上というより、使う場所が違います。歯と歯の間が狭い場所はフロス、すき間が広い場所は歯間ブラシが向くことがあります。無理に太い歯間ブラシを入れると歯ぐきを傷つけるため、サイズ確認が大切です。
Q. フロスをすると血が出ます。やめた方がいいですか?
歯ぐきに炎症があると、フロスで出血することがあります。正しく清掃して炎症が落ち着くと、出血が減る場合もあります。ただし、痛みが強い、毎回同じ場所から出血する、腫れや膿がある場合は歯科医院で確認しましょう。
Q. フロスが引っかかる・切れるのはなぜですか?
詰め物や被せ物の段差、虫歯、歯石、歯と歯の接触の強さ、フロスの種類が合っていないことなどが考えられます。毎回同じ場所で引っかかる場合は、無理に続けず確認した方が安心です。
Q. 初心者におすすめのデンタルフロスはありますか?
糸巻きタイプが難しい方は、Y字ホルダー付きフロスやフロスピックから始めると使いやすいことがあります。歯間部の広さや奥歯の届きやすさによって合うものが違うため、定期検診で相談してみてください。
Q. フロアフロスはどんな人に向いていますか?
フロアフロスは繊維が広がり、歯間部の汚れを絡め取りやすいタイプです。歯ぐきへの当たりがやわらかいと感じる方もいます。ただし、すべての人に唯一の正解ではないため、歯間の広さや使いやすさで選ぶことが大切です。
