2026年11月02日

(歯科助手さんの治療見学ノート)

はじめに|人工の耳や鼻にも「毎日のお手入れ」が必要?
みなさんは、「人工の耳」や「人工の鼻」があることをご存じでしょうか。
歯科医院というと、虫歯や歯周病の治療をしたり、失った歯の代わりに入れ歯や被せ物を作ったりする場所、という印象が強いと思います。
実は、歯科の専門分野の一つである顎顔面補綴(がくがんめんほてつ)では、病気や事故などによって失われた顔の一部を、人工物で補う治療も扱っています。
耳や鼻、目の周囲などの欠損部分を補う人工装置を「エピテーゼ」と呼びます。
こうした人工の耳や鼻は、単に元の形に似せて作れば完成というわけではありません。
周囲の皮膚とできるだけ自然になじむように、色や透明感、表面の質感まで調整する必要があります。
ところが、ここで一つ問題があります。
人工の耳や鼻も、毎日使っていれば汚れます。
皮膚の脂分や汗、ほこり、化粧品などが付着することもありますし、細菌や真菌などの微生物が表面に付着する可能性もあります。
そのため、適切な清掃や衛生管理が欠かせません。
でも、もし清掃や消毒に使う液体が、人工の皮膚の色を少しずつ変えてしまうとしたら、どうでしょうか。
清潔にするためのお手入れが、せっかく自然な色に作った人工の耳や鼻の外観に影響するかもしれません。
そんな疑問を調べた研究が、2026年10月30日、医学・歯学分野の学術誌『BMC Oral Health』に公開されました。
トルコの研究グループが、3種類の顎顔面補綴用シリコーンから合計180個の試料を製作し、蒸留水を含む6種類の液体条件で、繰り返しスプレーした後の色の変化を比較した研究です。
実験では、次亜塩素酸系の製剤を使用した条件で比較的大きな平均色差が観察され、コンタクトレンズ用の多目的洗浄・消毒液を使用した条件では、比較的小さい平均色差が観察されました。
「それなら、コンタクトレンズ用の洗浄液で人工の耳や鼻を洗えばいいのでは?」
そう思われるかもしれません。
しかし、今回の研究で調べたのは、あくまで材料の色の変化です。
細菌やカビを十分に減らせるか、皮膚に安全なのか、シリコーンの強さや柔らかさが変わらないのか、といったことまでは調べていません。
さらに原著論文を詳しく読むと、著者らの結論と、実際に掲載された測定結果の表が一致しない部分も見つかります。
今回は、人工の耳や鼻を作る顎顔面補綴という医療の世界から、シリコーン材料の性質、色の測り方、清掃と消毒の違い、そして研究結果を正しく読むための注意点まで、歯科助手さんの視点で詳しく見ていきたいと思います。
歯医者さんが人工の耳や鼻を作る?顎顔面補綴という医療
顔の一部を失ったとき、人工物で補うという選択肢
顔の一部が失われる原因には、さまざまなものがあります。
例えば、悪性腫瘍を取り除くための手術、交通事故や外傷、先天的な形態の違い、感染症による組織の損傷などです。
こうした場合、身体のほかの場所から皮膚や組織を移植して再建する外科的治療が選択されることもあります。
一方で、欠損の大きさや部位、患者さんの全身状態、治療歴、希望などによっては、外科的な再建が難しい場合もあります。
そこで選択肢となるのが、人工物で失われた部分を補う補綴治療です。
顔の外側に装着する人工の耳や鼻、眼窩周囲の補綴物などは、エピテーゼと呼ばれます。
エピテーゼは、見た目を補うだけでなく、欠損部を覆ったり、患者さんが日常生活を送るうえでの負担を軽減したりする役割も期待されます。
ただし、エピテーゼ自体が聴覚や嗅覚といった感覚器の働きを回復させるわけではありません。
人工の耳だから聞こえるようになる、人工の鼻だから匂いが分かるようになる、ということではないのです。

なぜ歯科が関係しているの?
ここで、少し不思議に思われる方もいるかもしれません。
「耳や鼻なのに、なぜ歯医者さんなの?」
実は、歯科補綴学は、失った歯を人工物で補うことだけを対象にしているわけではありません。
顎の骨や周囲の組織、顔面に生じた欠損に対して、人工装置を利用して形態や機能を補う顎顔面補綴学という専門分野があります。
普段の歯科診療でも、失った歯の形を再現するために、型取りをしたり、模型を作ったり、材料を加工したりします。
被せ物の色を周囲の歯に合わせる技術も必要です。
こうした補綴の技術には、人工の耳や鼻の製作と共通する考え方があります。
ただし、顔面補綴は通常の歯冠修復とは異なる専門性を持ち、歯科医師だけでなく、歯科技工士、顎顔面補綴の専門技術者、形成外科医、口腔顎顔面外科医など、多職種が関わる場合があります。
日本顎顔面補綴学会の『顎顔面補綴診療ガイドライン2019』でも、顔面欠損に対するエピテーゼ治療が取り上げられています。
外科手術で再建する方法とは何が違うの?
外科的再建は、患者さん自身の組織などを利用して、失われた部分を再建する治療です。
一方、エピテーゼは人工装置によって欠損部分を補う方法です。
どちらが適しているかは、欠損した部位や範囲、全身状態、過去の治療、患者さんの希望などによって異なります。
エピテーゼは取り外して清掃できる場合がある一方、装着や維持管理に手間がかかることもあります。
また、固定方法によっては、接着剤やインプラントなどが必要です。
どちらかが一律に優れているのではなく、患者さんの状況に応じて治療法を検討することになります。
なお、顎顔面補綴の歴史や治療法、プロテーゼ・エピテーゼ・オブチュレーターの違いについては、当院の院長コラム「顎顔面補綴学:デジタルシフトと多職種連携が拓く『貌』と『機能』の再構築」で詳しく解説しています。
今回は、その中でも「人工の皮膚を作った後、どうやって自然な色を保つのか」という問題に注目します。
人工の耳や鼻は、なぜ少しの色の違いが重要なのか
顔の皮膚は、一色ではできていません
顔面エピテーゼを作るうえで難しいことの一つが、周囲の皮膚との色合わせです。
例えば、人工の鼻を作るとします。
鼻の形がどれほど精巧に再現されていても、周囲の頬より明るすぎたり、赤みが強すぎたりすると、人工物と皮膚の境目が目立つ可能性があります。
ところが、人間の顔の皮膚は、絵の具のような単一の「肌色」ではありません。
頬と鼻先では赤みが異なることがありますし、額と耳では明るさや質感が違います。
光が当たる角度によっても見え方が変わります。
皮膚の表面には細かな凹凸があり、その下には血管やさまざまな組織があります。
そのため、人工物の色を自然に再現しようとすると、単純に「肌色の材料を使えばよい」というわけにはいきません。
歯の色合わせと共通すること
歯科医院では、セラミックやジルコニアの被せ物を製作するとき、周囲の歯に合わせて色を確認することがあります。
この作業をシェードテイキングと呼びます。
ブランデンタルクリニックでも、VITA 3D-MASTERやA・B・C・D系のシェードガイドを使用し、必要に応じて写真を撮影して色調の情報を記録しています。
色を見るときに重要なのは、単に白いかどうかではありません。
明度、彩度、色相という色の三属性があります。
明度は明るさ、彩度は鮮やかさ、色相は赤や黄色などの色の種類に関係します。
さらに、歯の透明感や表面の光沢、光の反射も見た目に影響します。
人工の皮膚を作るときにも、こうした色の考え方が関係します。
ただし、歯科用のシェードガイドを、そのまま人工皮膚の色合わせに使うという意味ではありません。
歯と皮膚では、色の範囲も構造も光の通り方も異なります。
歯の色合わせについては、同じ連載の「セラミックやジルコニアの色合わせの日は何をしている?シェードガイドと写真の意味を歯科助手が解説」でも紹介しています。

人工の皮膚には透明感も必要
人工の皮膚らしい見た目を再現するには、表面の色だけでなく、光の通り方も重要です。
シリコーンの厚みや透明感、顔料の種類によって、光の反射や透過の仕方が変わります。
そのため、周囲の皮膚となじませるには、単純に色の濃さを調整するだけでは足りない場合があります。
さらに、人工の耳や鼻には複雑な曲面があります。
同じ色の材料を使っていても、光が当たる位置によって見え方が異なります。
人工の皮膚を自然に見せることは、色と形、そして材料の性質を組み合わせた技術なのです。

完成したときの色が、ずっと続くとは限らない
もう一つ難しいことがあります。
人工の耳や鼻を製作したときには周囲の皮膚とよく調和していても、その色が永久に保たれるとは限りません。
日光に含まれる紫外線、汗、皮脂、化粧品、洗浄剤、材料自体の経時変化など、さまざまな要因が関係します。
つまり、顔面エピテーゼでは、最初に自然な色へ仕上げる技術だけでなく、使用している間、その色をできるだけ安定して保つことも重要なのです。
人工の皮膚に使われるシリコーンって、どんな材料?
シリコンとシリコーンは違います
今回の研究で使用されたのは、シリコーンエラストマーという材料です。
名前がよく似ていますが、元素としての「シリコン」と、高分子材料の「シリコーン」は区別されます。
シリコーンは、ケイ素と酸素が交互につながった骨格を持つ高分子材料の一群です。
今回の材料は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を基本とするシリコーンです。
シリコーンには、柔らかいもの、硬いもの、弾性の大きなものなど、さまざまな種類があります。
顔面エピテーゼでは、皮膚に近い柔軟性や外観を再現しやすいという特性が役立ちます。
ゴムのような柔らかさは、どうやって生まれるの?
シリコーンの材料特性には、分子同士のつながり方が関係しています。
高分子の鎖同士を結びつける反応を架橋と呼びます。
架橋によって、材料の弾性や強度、熱に対する性質などが変わります。
今回の研究で使用されたのは、プラチナ触媒を用いる付加硬化型シリコーンでした。
製品ごとに指定された割合でベース材と架橋剤を混合し、硬化させます。
ただし、出来上がった材料の性質は、架橋構造だけで決まるわけではありません。
材料に含まれるフィラーと呼ばれる微細な粒子、顔料、その他の添加剤なども関係します。

柔らかければよいわけではない
顔面エピテーゼの材料には、柔らかさだけでなく、さまざまな性質が求められます。
例えば、薄い部分が簡単に裂けないこと。
形を維持できること。
着色した色が安定していること。
皮膚に接する材料として適切であること。
清掃や着脱を繰り返しても、できるだけ状態を保てること。
こうした条件を同時に満たす必要があります。
そのため、「最も柔らかいシリコーンが最良」「最も硬い材料が長持ちする」と単純には言えません。
今回の研究では、このように性質の異なる3種類の顔面補綴用シリコーンを比較しています。
研究で使ったのは180個の人工耳や人工鼻ではありません
実験の対象は、肌色を模したシリコーンの円盤
ここで、今回の論文を具体的に見ていきましょう。
研究のタイトルは、
Effect of skin disinfectants on the color stability of maxillofacial silicone elastomers: an in-vitro study
日本語にすると、「皮膚用消毒剤が顎顔面用シリコーンエラストマーの色安定性に及ぼす影響:実験室での材料研究」という意味です。
筆頭著者はNurdan Bastem Gülmez氏で、トルコのGazi大学などの研究者が参加しています。
2026年10月30日に『BMC Oral Health』へ公開されました。
実験で用いられたのは、実際の患者さんに装着する耳や鼻の完成品ではありません。
直径20mm、厚さ2mmの円盤状シリコーン試料180個です。
実際の人工耳や人工鼻を180個製作したわけではありませんし、180人の患者さんを追跡した研究でもありません。
材料そのものへの影響を比較するために、同じ形状の試料を使用した実験です。
3種類のシリコーンを比較
使用された材料は、Technovent社のM511、TechSil S-25、Z004です。
いずれも付加硬化型の顎顔面用シリコーンですが、製品ごとに材料の配合や硬化時の条件が異なります。
ベース材と架橋剤の混合比は、M511が10:1、TechSil S-25が9:1、Z004が1:1でした。
それぞれ60個ずつ試料を作り、合計180個としています。
ただし、混合比が違うからといって、それだけで材料の性能の優劣が決まるわけではありません。
肌色に近づけるため、顔料を混ぜる
今回の実験では、白、薄灰色、赤、黄土色の顔料を使用しています。
顔料の合計量は重量比10%でした。
この顔料をシリコーンへ混合し、肌の色や半透明性を模した試料を製作しています。
ここでの目的は、多くの人の肌色をすべて再現することではありません。
同じように着色した試料を作り、異なる液剤によって色がどの程度変わるかを比較することです。
3Dプリンターも使用されている
今回の研究では、試料の製作に3Dプリンターも利用されています。
ただし、3Dプリンターで直接シリコーン製の耳や鼻を作ったわけではありません。
円盤状の試料を作るための樹脂製の型を3Dプリントし、その型へ着色したシリコーンを入れて硬化させています。
硬化処理は100℃で行われ、M511は1時間、ほかの2材料は2時間でした。
硬化後の試料は清掃し、室温の暗所で24時間保管してから測定しています。
このように材料の種類、寸法、着色、硬化条件を管理しながら、比較のための試料を準備しています。

比較したのは6種類の消毒液ではなく、蒸留水を含む6条件

180個の試料は、材料ごとに6つの条件へ振り分けられました。
1種類のシリコーンにつき、各条件10試料です。
3材料×6条件×10試料で、合計180試料になります。
それぞれの液体を見ていきましょう。
① 蒸留水
最初の条件は蒸留水です。
蒸留水には、ほかの消毒剤のような有効成分は含まれていません。
そのため、対照群として使用されました。
蒸留水でも処理前後に色差が発生するのかを確認することで、ほかの液剤と比較するための基準になります。
ここで重要なのは、蒸留水を「消毒液」と呼ばないことです。
今回の研究は、正確には蒸留水を含む6種類の液体条件の比較です。
② 次亜塩素酸系製剤
2番目は、次亜塩素酸を含む製剤です。
次亜塩素酸は、消毒や感染対策の分野で研究されている物質です。
ただし、濃度やpH、製剤の組成によって性質は異なります。
また、次亜塩素酸(HOCl)と次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)は、名前が似ていますが、区別して考える必要があります。
過去の顔面用シリコーン研究には次亜塩素酸ナトリウムを使用したものもありますが、今回の研究と同じ液剤条件ではありません。
今回使用されたのはFarmisolという次亜塩素酸系製剤です。
③ 67.2%エチルアルコール製剤
3番目は、67.2%のエチルアルコールを含む製剤です。
使用されたのはMaratem M105という製品です。
アルコールは医療現場でも広く使用されていますが、顔面補綴物の材料へどのような影響を及ぼすかは、別に確認する必要があります。
今回の研究は、特定の市販製剤を用いた結果であり、濃度や添加成分が異なるすべてのアルコール製品に当てはまるわけではありません。
④ ミセラーウォーター
4番目は、Bioderma Sensibio H2Oというミセラーウォーターです。
ミセラーウォーターは、界面活性剤などの働きを利用して、皮脂や化粧品などの汚れを落とす目的で使われる洗浄製品です。
水になじむ部分と油になじむ部分を持つ界面活性剤は、油性の汚れを取り込み、除去しやすくする働きがあります。
顔面エピテーゼは皮膚に接するため、皮脂などの汚れへの対応も考える必要があります。
そのため、研究者らは比較対象としてミセラーウォーターを選んでいます。
ただし、洗浄に使う製品だからといって、十分な消毒効果があるとは限りません。
洗浄と消毒は、同じ意味ではないのです。
⑤ ReNu Advanced
5番目は、ReNu Advancedというコンタクトレンズ用多目的洗浄・消毒液です。
この製剤には、アレキシジンのほかに、ポリクオタニウムやポリアミノプロピルビグアニドも含まれています。
これらは製品に含まれる複数の消毒成分です。
さらに、界面活性剤や緩衝成分なども配合されています。
コンタクトレンズ用の多目的液は、レンズの清掃や消毒、保存などを目的として設計されています。
研究者らは、こうした製剤が顔面用シリコーンの色安定性に対して、どのような影響を示すかに注目しました。
ただし、今回の実験では、アレキシジンやポリクオタニウムなどを一つずつ取り出して比較したわけではありません。
完成したReNu Advancedという複合製剤を使用しています。
したがって、観察された色差の違いが、どの成分の作用によって生じたのかまでは特定できません。
これは、今回の研究結果を正しく読むうえで重要な点です。
⑥ Biotrue
6番目もコンタクトレンズ用の多目的洗浄・消毒液で、Biotrueという製品です。
こちらには、ポリクオタニウム-1などの消毒成分が含まれています。
ReNu Advancedと同じメーカーのコンタクトレンズ用製品ですが、成分構成は異なります。
研究では、2つの多目的液を別々の条件として評価しました。

なぜコンタクトレンズ用の液体を使ったの?
コンタクトレンズには、シリコーンハイドロゲルと呼ばれる材料を使用するものがあります。
研究者らは、コンタクトレンズ用に開発された洗浄・消毒液が、顔面補綴用シリコーンの色安定性にも比較的穏やかな影響を示すのではないかと考えました。
ただし、コンタクトレンズのシリコーンハイドロゲルと、顔面補綴用シリコーンエラストマーは同じ材料ではありません。
さらに、レンズ用製剤は本来の使用対象や使用手順を前提に設計されています。
今回の実験で顔面用シリコーンの色差を測定したからといって、顔面エピテーゼへの使用が承認されたり、推奨されたりするわけではありません。
1年分の消毒を60日間に凝縮?人工皮膚の色を調べた加速実験
1日に6回、2時間間隔でスプレー
今回の研究の特徴の一つが、液剤の反復処理方法です。
研究者らは、1年間の臨床使用に相当する消毒への曝露を模した条件として、60日間に処理を集中させました。
各試料に対して、1日に6回、2時間間隔でスプレーしています。
スプレー容器は同じものに統一し、試料から約10cmの距離で噴霧しました。
1回の処理につき2回スプレーし、試料表面が十分に濡れるようにしています。
60日間で計算すると、1試料あたり360回の処理機会があり、噴霧操作としては合計720回になります。
なお、研究ではスプレー容器や噴霧距離、噴霧回数を統一していましたが、実際の噴霧液量や液滴の大きさ、試料に届いた液剤の質量などは測定していません。
そのため、すべての試料に厳密に同じ量の液剤が付着したことまで確認されたわけではありません。
どうして60日間で1年分を模したことになるの?
本来、実際に1年間使用する材料の変化を調べようとすれば、長い期間が必要になります。
そこで材料研究では、繰り返し行われる操作を短期間に集中させる加速試験が用いられることがあります。
今回の研究では、液剤への反復曝露を60日間にまとめています。
ただし、ここでいう「1年分」とは、研究者らが設定した累積的なスプレー処理の目安です。
現実の1年間の使用環境を、そのまま60日間で完全に再現したわけではありません。
実際の患者さんの生活では、消毒と次の消毒の間に長い時間があり、その間にもさまざまな環境の影響を受けます。
日光に当たることもあれば、汗や皮脂が付着することもあります。
装置を取り外す際の力や、清掃時の摩擦も関係します。
今回の実験が再現したのは、主として一定の条件で液剤を繰り返しスプレーする操作です。
スプレーした後は、洗い流さない
もう一つ特徴的なのは、噴霧後の処理です。
研究では、液剤をスプレーした後に、水洗いや拭き取りを行っていません。
試料を室温で自然乾燥させています。
また、実験期間中は遮光した乾燥環境で保管しています。
つまり、日常のお手入れで行うかもしれないブラッシングや拭き取り、石けん洗浄などの摩擦は加えられていません。
そのため、今回の結果は、スプレー処理だけを繰り返した条件での色の変化を示しています。

毎日6回消毒する必要があるという意味ではありません
研究で1日6回のスプレーを行ったからといって、実際の顔面エピテーゼも1日6回消毒するべきだという意味ではありません。
あくまで研究用に設定された加速試験の条件です。
患者さんが実際に行う清掃や消毒は、装置の材料、固定方法、皮膚の状態などに合わせ、担当する医療者から指示された方法が基本となります。
色の変化を測る「ΔE00」とは何か
見た目の印象だけでは比較できない
さて、ここまで実験方法を見てきましたが、そもそも「色が変わった」ということは、どのように判断するのでしょうか。
研究者が目で見て、「こちらは少し変わった気がする」「こちらはあまり変わらない気がする」と判断するだけでは、客観的な比較が難しくなります。
そこで今回の研究では、分光測色計と呼ばれる装置を使用しました。
使用機器はコニカミノルタのCM-2300dです。
試料の色を消毒前後で測定し、その違いを数値化しています。
測定では標準光源D65などの条件を使用し、測定前の校正も行っています。
さらに、同じ測定箇所で3回測定し、その平均値を利用しています。
L・a・bという色の座標
色を客観的に表す方法の一つに、CIELAB表色系があります。
この方法では、色をL、a、bという3つの座標で表します。
Lは明るさに関係します。
aは緑から赤への方向に関係します。
bは青から黄への方向に関係します。
このような数値を記録することで、色の違いを測定できます。
ΔE00は、色の違いの大きさを表す
今回使われたのは、CIEDE2000という色差計算式です。
そこから得られる色差の値をΔE00と表します。
基本的には、数値が大きいほど、処理前後の色の違いが大きいことを示します。
ただし、ここで注意したいことがあります。
ΔE00だけでは、どちらの方向へ色が変わったかは分かりません。
例えば、ある試料のΔE00が0.6だったとします。
それだけでは、黄色みが増したのか、赤みが減ったのか、明るくなったのか、暗くなったのかは判断できません。
また、数値が大きいことと、その材料が臨床的に使用できなくなったことも同じ意味ではありません。
色の変化を判断するには、次に説明する「人間の目で分かるかどうか」という視点も必要になります。

6条件の結果を比較|最も大きな平均色差は次亜塩素酸
ここから、いよいよ実験結果です。
原著論文のTable 3には、各材料と液剤の組み合わせごとの平均色差が掲載されています。
まずは、3種類のシリコーンをまとめた、液剤ごとの平均色差を見てみましょう。
次亜塩素酸系製剤:平均ΔE00=0.630
最も大きな平均色差が観察されたのは、次亜塩素酸系製剤を使用した条件でした。
平均ΔE00は0.630です。
6条件の中では最大でした。
ただし、平均色差が最大だったことだけで、この製剤が実際の顔面エピテーゼに適さないと断定することはできません。
色以外の性質を評価していないからです。
また、今回使用した特定製剤の結果を、すべての次亜塩素酸製品に一般化することもできません。
67.2%エチルアルコール製剤:平均ΔE00=0.428
アルコール製剤を使用した条件では、平均ΔE00が0.428でした。
次亜塩素酸群より小さい値です。
ただし、材料ごとにばらつきがあり、すべてのアルコール製剤が同じ結果を示すとは限りません。
蒸留水:平均ΔE00=0.409
対照群である蒸留水では、平均ΔE00が0.409でした。
ここは少し意外な結果かもしれません。
特別な消毒成分を含まない水でも、処理前後に一定の色差が観察されたのです。
この結果については、後ほど詳しく考えてみます。
ミセラーウォーター:平均ΔE00=0.391
ミセラーウォーター群では、平均ΔE00が0.391でした。
蒸留水群よりわずかに小さい値です。
ただし、0.409と0.391の違いは小さく、これだけで明確な臨床上の優劣を決めることはできません。
ReNu Advanced:平均ΔE00=0.389
コンタクトレンズ用多目的洗浄・消毒液のReNu Advancedを使用した条件では、平均ΔE00が0.389でした。
ミセラーウォーター群と非常に近い値です。
Biotrue:平均ΔE00=0.324
もう一つのコンタクトレンズ用多目的洗浄・消毒液であるBiotrueでは、平均ΔE00が0.324でした。
今回の6条件では最小です。

数字だけを見ると、どういう結果なのか
6条件の全体平均を大きい順に並べると、次のようになります。
次亜塩素酸0.630、エチルアルコール0.428、蒸留水0.409、ミセラーウォーター0.391、ReNu Advanced0.389、Biotrue0.324です。
この結果から確認できるのは、今回の試料と実験条件では、液剤によって観察された平均色差に違いがあったということです。
ただし、この順番をそのまま「安全な消毒液ランキング」や「おすすめの洗浄液ランキング」にすることはできません。
平均値の大小と、統計的に確かな違いがあるという判断は分ける必要があるからです。
さらに、今回の研究では、微生物をどの程度減らせるかを調べていません。
この点も、結果を実際の清掃方法に応用する際の大きな制限となります。
同じ消毒液でも、シリコーンの種類によって色差が違う?
材料ごとの平均値にも差があった
今回の研究では、液剤だけでなく、シリコーン材料ごとの平均色差も比較しています。
6条件をまとめた材料ごとの平均ΔE00は、Z004が0.292、M511が0.469、TechSil S-25が0.524でした。
Z004が最も小さい平均色差を示しています。
研究者らは、Z004の色安定性が比較的高かったと考察しています。

なぜ材料によって違うのか
顔面用シリコーンは、どの製品もまったく同じ構造ではありません。
高分子の架橋構造、フィラー、添加剤などに違いがあります。
こうした違いによって、液剤が材料と接触したときの反応や、顔料の状態への影響が変わる可能性があります。
原著でも、フィラーや架橋密度などが関係する可能性を挙げています。
ただし、製品ごとの詳細な配合やフィラー量は公開されていません。
そのため、今回の実験結果だけで「Z004はフィラーが多かったから変色しにくい」と断定することはできません。
注目したい組み合わせがある
ここで、今回の原著を読むうえで重要な数字が登場します。
M511という材料に次亜塩素酸系製剤を使用した条件では、平均ΔE00が0.833でした。
なお、この組み合わせの標準偏差は0.907と報告されており、測定値には大きなばらつきがあります。
0.833は10試料の平均値であり、10試料すべてが知覚閾値0.7を超えたという意味ではありません。
先ほど紹介した次亜塩素酸群全体の平均0.630より大きい値です。
つまり、3材料をまとめて見た平均値と、一つ一つの材料を分けて見た平均値では、結果の見え方が違います。
そして、この0.833という数字は、論文の結論を読むときにも大切な意味を持っています。
色差0.7は、人間の目で分かる変化なのか
「色の違いが分かること」と「許容できないこと」は違う
色の研究には、知覚閾値と許容閾値という考え方があります。
知覚閾値は、色の違いを人が見分けられるかどうかに関する境界です。
色差研究では、観察者の50%が違いを見分けられる水準を、50:50%知覚閾値として扱うことがあります。
一方、許容閾値は、色の違いがあっても見た目として受け入れられるかどうかに関する境界です。
人間は、色の違いを認識したからといって、そのすべてを不自然だと感じるわけではありません。
例えば、周囲の皮膚とわずかに色が異なっていても、全体として自然に見える場合があります。
逆に、色差の数値だけでは小さくても、装置の境目や表面の質感が気になる場合もあるでしょう。
そのため、知覚閾値と許容閾値は分けて考える必要があります。
今回の研究ではΔE00=0.7を採用
今回の研究では、視覚的な知覚閾値としてΔE00=0.7を使用しています。
著者らは、先行研究を参考にこの値を設定しました。
ただし、0.7という数字が、あらゆる肌色や観察条件で共通する絶対的な境界というわけではありません。
明るい肌色と暗い肌色では、見分けやすさが違う?
2024年、Kurtらは、顔面皮膚色を模したシリコーン試料を使い、人間が色差をどの程度認識するかを調べた研究を発表しています。
この研究では、明るい皮膚色を模した試料の知覚閾値がΔE00=0.59、許容閾値が2.25でした。
一方、暗い皮膚色を模した試料では、知覚閾値が1.75、許容閾値が7.04でした。
この研究条件では、明るい皮膚色の方が、小さい色差でも認識されやすい結果でした。
ただし、この数値は別の試料と観察条件で求められたものです。
今回の180試料にそのまま当てはめ、個々の試料を実際に見た人が必ず違いを認識する、あるいは認識しない、と決めることはできません。

歯科の色差研究と同じ基準ではない
ここで、通常の歯科補綴との違いについても考えてみましょう。
歯科のコンポジットレジンやセラミックなどの色差研究では、別の知覚閾値や許容閾値を採用することがあります。
例えば、ΔE00=0.8や1.8といった数値が用いられる研究もあります。
しかし、歯の色と顔の皮膚の色では、評価する対象が違います。
そのため、ある研究の閾値を、別の材料へ無条件に当てはめることはできません。
歯科の色差や、光の反射・透過による色調再現の考え方については、当院の院長コラム「ユニバーサルシェードCRは本当に1色で合う?構造色・背景色依存を基礎研究と臨床から読む」でも詳しく解説しています。
0.833なら、人工の耳や鼻として使えない?
そういう意味ではありません。
今回のM511と次亜塩素酸の組み合わせの平均0.833は、原著が採用した知覚閾値0.7を超えています。
しかし、知覚閾値を超えたことと、臨床的に許容できないことは別です。
また、実際の顔面へ装着した状態で、人がどう感じるかを調べた研究ではありません。
色差の測定値だけで、補綴物の交換が必要になるかどうかを判断することはできないのです。
論文には「すべて0.7未満」と書いてあるのに、0.833という結果がある?
ここで、原著論文について一つ確認しておきたい点があります。
研究論文を読むときには、要旨や結論だけでなく、実際の測定結果が示された表まで確認することが重要です。
論文の結論と集計表が一致していない
今回の論文では、要旨と結論に、記録された色差がすべて知覚閾値の0.7未満だったという説明があります。
ところが、原著のTable 3を見ると、M511に次亜塩素酸を使用した条件の平均色差は0.833です。
0.833は0.7より大きい数字です。
したがって、「すべての試料の色差が0.7未満だった」という説明は、少なくともこの平均値とは両立しません。
6種類の液剤について、3材料をまとめた平均値だけを見ると、確かにどの条件も0.7未満です。
しかし、材料と液剤を組み合わせた18群すべての平均値が0.7未満だったわけではありません。
ここは区別して読む必要があります。

統計解析表にも確認が必要な部分がある
さらに原著のTable 2には、分散分析に関する数値が掲載されています。
そのうち、誤差平方和は12.813、自由度は162、平均平方は0.089と記載されています。
通常、平均平方は平方和を自由度で割って求めます。
12.813を162で割ると、約0.0791です。
記載された0.089とは一致しません。
また、Table 3の各群の平均値と標準偏差から、通常の二元配置分散分析を再構成すると、論文が報告する消毒液の主効果の有意差も再現できません。
公表された集計値を正しいものと仮定した概算では、消毒液の主効果についてF値が約1.615、p値が約0.159となります。
これは、原著が報告する統計値と異なります。
ただし、この計算は、個々の180試料の生データを使った再解析ではありません。
論文に掲載された集計値を利用した計算であり、どの表に誤記があるのか、解析過程にどのような問題があるのかまでは確定できません。

研究全体を否定するということではない
このような不一致が見つかったからといって、直ちに研究のすべてが無意味になるわけではありません。
今回の論文には、180試料を使用した実験方法と、各条件で報告された平均色差が掲載されています。
そこから読み取れる情報はあります。
一方で、論文の文章と表が一致しない部分や、統計的な有意差については慎重に扱う必要があります。
今回の論文は、2026年10月30日に公開された最終編集前の早期公開版です。
今後、数値の訂正や説明の追加が行われる可能性もあります。
ここで大切なのは、論文を否定することではなく、研究者の結論と、実際に掲載されたデータを区別して読むことだと思います。
新しい医学研究を読むときには、「論文にそう書いてあるから」という理由だけでなく、その結論が何を測定した結果に基づいているのかを確かめる姿勢が大切です。
実は蒸留水でも色が変わった――消毒成分だけが原因とは限らない
今回の結果でもう一つ注目したいのが、蒸留水の条件です。
蒸留水群では、平均ΔE00=0.409が観察されました。
消毒成分を含まない水でも、処理前後の色に違いが生じたということです。
水だけでも色差がゼロにならない理由
今回の研究から、蒸留水群の色差が生じた原因を一つに特定することはできません。
ただし、シリコーンのような高分子材料は、製作した後も完全に変化が止まるとは限りません。
硬化後に残る反応や、材料内部の未結合成分の移動などが、経時的な性質の変化に関係する可能性があります。
また、実験では繰り返し液体をスプレーし、その後に乾燥させています。
こうした反復操作や、測定上のばらつきなども考慮する必要があります。

「次亜塩素酸が0.630の変色を引き起こした」と単純には言えない
今回の結果を説明するときに注意したいのは、ΔE00=0.630という数値の意味です。
これは、次亜塩素酸系製剤を繰り返しスプレーした群で、処理前後に観察された平均色差です。
次亜塩素酸という成分だけが、0.630という色差を生み出したと直接証明した数字ではありません。
実際、対照の蒸留水でも0.409という平均色差がありました。
したがって、研究で観察された色の変化には、液剤の成分だけでなく、材料自体の経時変化や実験環境など、複数の要因が関係している可能性があります。
また、ΔE00は色差の大きさを表す指標なので、次亜塩素酸群の0.630から蒸留水群の0.409を単純に引いた値が、次亜塩素酸の純粋な変色作用になるわけでもありません。
材料研究の結果を読むときには、こうした対照群の存在が重要になります。
人工の耳や鼻にも、細菌やカビは付着する?
顔面エピテーゼは毎日皮膚と接する
ここまで、色を守ることについて詳しく見てきました。
では、そもそも顔面エピテーゼには、なぜ清掃や消毒が必要なのでしょうか。
顔面エピテーゼは、装着している間、皮膚の表面と接しています。
汗や皮脂、周囲のほこり、化粧品などが付着することがあります。
また、材料の表面には細菌や真菌などの微生物が付着する可能性もあります。
バイオフィルムとは何か
微生物は、表面に付着して増殖し、バイオフィルムと呼ばれる集合体を形成することがあります。
歯科では、歯の表面に付着する歯垢(プラーク)が代表的なバイオフィルムの一つです。
顔面エピテーゼの表面でも、細菌や真菌などによるバイオフィルムの形成が研究されています。
ただし、歯の表面とシリコーンの表面では材料の性質や周囲の環境が異なるため、まったく同じものとして扱うことはできません。

2015年の研究では、実際に微生物を使って比較
2015年、Arianiらは、顔面エピテーゼに由来する細菌2株と酵母3株を使用し、シリコーン上に混合バイオフィルムを形成させました。
そして、24時間形成したバイオフィルムと、2週間形成したバイオフィルムについて、複数の清掃剤の効果を比較しています。
その結果、試験した清掃剤の中ではクロルヘキシジンが高い抗菌効果を示しました。
特に、24時間形成したバイオフィルムでは、生菌数が大幅に減少しました。
また、より成熟した2週間のバイオフィルムに対しても効果が確認されています。
ただし、この研究も実験室で行われたものであり、特定の製剤をすべての患者さんの顔面エピテーゼへ使用することを保証するものではありません。
色の安定性と抗菌効果は、別の問題
ここで今回の2026年研究へ戻ってみましょう。
今回調べたのは、液剤を繰り返しスプレーしたときの色差です。
細菌や真菌がどの程度減るかは評価していません。
一方、2015年の研究は、微生物を減らす効果を主に調べたものです。
つまり、両者は研究の目的が違います。
色が変わりにくい液剤だから、微生物を十分に除去できるとは限りません。
反対に、微生物を減らす効果が高い液剤だから、シリコーンの色や表面に影響しないとも限りません。
顔面エピテーゼの衛生管理を考えるときには、この2つを分けて評価する必要があります。
コンタクトレンズ用洗浄液が最も優秀?そう結論づけられない理由
今回の研究で、コンタクトレンズ用多目的洗浄・消毒液を使用した条件の平均色差が小さかったことは、興味深い結果です。
ですが、ここで注意していただきたいことがあります。
色が変わりにくいことと、安全に使えることは違う
例えば、ある液剤を使用して、顔面エピテーゼの色差がほとんど生じなかったとします。
それだけでは、その液剤が優れた消毒液であることは証明できません。
なぜなら、消毒には微生物を減らすという目的があるからです。
今回の研究では、ReNu AdvancedやBiotrueをスプレーした後に、シリコーン表面の細菌や真菌がどの程度減少したかを調べていません。
また、皮膚や粘膜への刺激性、残留成分の影響なども評価していません。
コンタクトレンズ用製剤には、専用の使用手順がある
コンタクトレンズ用多目的洗浄・消毒液は、製品ごとに指定された使用方法があります。
例えば、ReNu Advancedのメーカーが案内するレンズ洗浄手順では、レンズ表面を20秒間こすり洗いし、5秒間すすぎ、少なくとも4時間浸漬することが示されています。
一方、今回の研究では、液剤をスプレーして自然乾燥させています。
使用方法が違えば、液体が材料に接する時間や、微生物に作用する条件も変わります。
そのため、コンタクトレンズ用製剤が本来の使用方法で示す消毒性能を、顔面エピテーゼへ短時間スプレーした場合にもそのまま期待することはできません。
コンタクトレンズと人工皮膚は同じ材料ではない
もう一つ重要なのは、使用する材料の違いです。
コンタクトレンズ用のシリコーンハイドロゲルと、顔面補綴用のシリコーンエラストマーでは、材料の構造や用途が異なります。
コンタクトレンズに適した洗浄・消毒液だからといって、別のシリコーン製品にも同じように適しているとは限りません。
また、顔面エピテーゼでは、材料が皮膚や粘膜などに接する場合があります。
消毒剤としての有効性だけでなく、装着する部位に対する安全性も確認する必要があります。
研究で使用した製剤を、自宅で試さない
今回の研究結果は、コンタクトレンズ用洗浄液を顔面エピテーゼへ自己判断で使用する根拠にはなりません。
ミセラーウォーターについても同様です。
「肌に優しそうだから」「コンタクトレンズにも使えるから」「色差が小さかったから」という理由だけで、顔面補綴物へ使用するのは避けてください。
顔面エピテーゼの清掃方法は、使用されている材料、表面着色、固定方法、接する皮膚の状態などによって異なります。
実際に使用する製剤については、製作・診療担当者の指示を優先する必要があります。

見た目が変わらなければ、材料は傷んでいない?
ここまで色差について説明してきましたが、材料の状態を評価するときには、色以外にも重要な項目があります。
例えば、表面の粗さ、硬さ、引張強さ、引裂強さ、寸法の安定性などです。
色と表面の変化は、必ずしも同じではない
2026年10月14日、同じ『BMC Oral Health』に、歯冠修復材料の歯ブラシ摩耗に関する別の研究が公開されました。
BulutとKorkmazによる研究です。
この研究では、4種類の歯冠材料から合計104試料を製作しました。
使用されたのは、3Dプリント用レジン、CAD/CAM用コンポジットレジンブロック、二ケイ酸リチウムガラスセラミック、長石系セラミックです。
重要なのは、104試料すべてについて、色差と表面粗さの両方を測定したわけではないことです。
各材料26試料を、色差評価用13試料と表面粗さ評価用13試料に分けています。
つまり、色差と表面粗さは、それぞれ独立した試料群で評価されています。
そのうえで、電動歯ブラシを利用して約2年相当の歯ブラシ摩耗を模した実験を行いました。
色差の中央値は小さくても、表面粗さは増加した
その結果、色差評価群では、4種類すべての材料についてΔE00の中央値が、研究で採用した知覚閾値0.8未満でした。
ただし、個々の試料では0.8を超えたものもあり、3試料では許容閾値1.8を超えていました。
一方、表面粗さ評価群では、すべての材料で歯ブラシ摩耗後の表面粗さが有意に増加しました。
p値は0.002以下と報告されています。
つまり、この研究では、色差の中央値は比較的小さかった一方、別の評価群では表面粗さの変化が確認されたのです。
同じ試料について色と表面粗さの変化を同時に確認した結果ではありませんが、材料の性質を評価するときには、見た目の色だけでなく、表面の状態も別に調べる必要があることを示しています。

この研究を顔面エピテーゼへそのまま当てはめてはいけない
ここも重要な点です。
104試料の研究は、歯冠用のレジンやセラミックを対象としています。
今回の180試料研究は、顔面補綴用シリコーンを対象としています。
材料の組成も用途も、実験で加えた処理も異なります。
そのため、104試料研究で表面粗さが増加したからといって、今回の顔面シリコーンでも同じことが起こったと判断することはできません。
ただし、研究で測定していない材料特性については、変化していないと保証できない、という点は共通しています。
歯科の装置でも、清掃方法によって材料の状態が変わる可能性があります。
例えば、マウスピース矯正のアライナーについても、洗浄剤や歯磨き粉、熱湯の影響などに注意が必要です。
この点については、当院の歯科衛生士コラム「マウスピース矯正のアライナーが臭う・白く曇るのはなぜ?洗い方・洗浄剤・歯磨き粉・熱湯の注意点」でも紹介しています。
顔面エピテーゼでは、薄い辺縁も重要
顔面エピテーゼでは、周囲の皮膚となじませるために、装置の辺縁を薄く作る場合があります。
そのような部分では、着脱や清掃の際に無理な力が加わると、裂けたり変形したりする可能性があります。
色が変わっていなくても、材料の形や強さに問題が生じれば、使用に影響することがあります。
今回の180試料研究では、消毒後の表面粗さ、硬さ、引裂強さ、引張強さ、寸法安定性などは測定していません。
したがって、平均色差が小さかった製剤についても、材料の柔軟性や強度が維持されたと結論づけることはできません。
「見た目の色が安定していること」と「材料が傷んでいないこと」は、別の評価です。
人工の耳や鼻の色を変えるのは、消毒液だけではない
紫外線は重要な環境因子
実際の顔面エピテーゼは、日常生活の中でさまざまな環境にさらされます。
その一つが紫外線です。
紫外線は、シリコーンの高分子構造や顔料の変化に関係する可能性があります。
原著論文でも、紫外線は色安定性に影響する重要な要因として挙げられています。
しかし、今回の実験では、試料を遮光した環境で保管していました。
そのため、実際の屋外使用による紫外線の影響は評価されていません。
汗、皮脂、日焼け止め、化粧品
顔面エピテーゼでは、皮膚から出る汗や皮脂に接することがあります。
また、日焼け止めや化粧品などが付着する場合もあります。
こうした物質が材料の色や表面へ影響する可能性は、別の研究でも調べられています。
Quadrosらによる研究では、顔面補綴用シリコーンを人の皮膚に接触させ、汗、皮脂、日焼け止め、クロルヘキシジンなどの影響を評価しました。
この研究は2026年1月号の『Journal of Prosthodontics』に掲載され、オンラインでは2024年5月29日に公開されています。
研究では、シリコーン試料を人の皮膚に30日間接触させ、さまざまな曝露条件で色や硬さ、表面粗さを測定しました。
その結果、汗や皮脂に加えて日焼け止めにさらされた条件で、比較的大きな色の変化が観察されました。
一方、0.12%クロルヘキシジンを含む条件では、異なる結果が示されています。
ただし、この研究で使われた色差の指標は、今回のCIEDE2000によるΔE00と同じではありません。
数値をそのまま横に並べ、どちらの研究の方が何倍変色したと比較することはできません。
実際の患者さんの生活はもっと複雑
実験室であれば、使う液剤、スプレー回数、温度、保管条件などを統一できます。
しかし、実際の生活ではそうはいきません。
日光を浴びる時間も違います。
汗や皮脂の量にも個人差があります。
化粧品の使い方や、装置を外す頻度も異なるでしょう。
さらに、清掃時の摩擦や接着剤との接触なども加わります。
そのため、今回の研究で「1年間の使用を模した」という説明があっても、患者さんが実際に1年間使用した結果と同じだとは言えません。
今回の研究は、あくまで一定の条件で行われた材料試験です。

人工の耳や鼻は、一度作れば一生使えるの?
顔面エピテーゼも経年変化する
人工の耳や鼻は、完成したら永久に同じ状態で使える装置ではありません。
使用を続けることで、色の変化や材料の劣化、辺縁の損傷、保持状態の変化などが生じる場合があります。
また、周囲の皮膚や顔の形態が変化することもあります。
そのため、定期的な点検や調整、修理、再製作が必要になることがあります。
英国の大学病院では12〜18か月という目安も
英国のCambridge University Hospitalsでは、接着剤で保持する顔面エピテーゼについて、適切に管理した場合の使用期間の目安を12〜18か月と説明しています。
また、6か月ごとの定期確認についても案内しています。
ただし、この数字はその施設が特定の装置について示している目安であり、すべての人工耳や人工鼻が12〜18か月で交換になるという意味ではありません。
装置の材料や保持方法、使用環境、患者さんの状態などによって異なります。
形が壊れていなくても、色が合わなくなる場合がある
ここが顔面補綴の難しいところです。
例えば、人工の耳の形はきれいに残っていても、周囲の皮膚と色が合わなくなれば、外観が気になる場合があります。
反対に、多少の色差があっても、患者さんが問題なく使用できている場合もあるでしょう。
装置を交換するかどうかは、色差の数値だけで決めるものではありません。
患者さんの希望、外観、装置の状態、保持状態、生活への影響などを確認しながら判断することになります。
色安定性の研究が大切な理由
顔面エピテーゼを作り直すには、再び形態や色を調整する作業が必要になります。
患者さんにとっても、時間的、経済的、心理的な負担になる可能性があります。
そのため、材料の色安定性を高めることや、適切な清掃方法を確立することは、重要な研究課題です。
今回のような材料実験は、そのための基礎データを積み重ねる役割を持っています。
ただし、今回の研究で比較的小さい色差が観察されたからといって、実際のエピテーゼの交換時期を延ばせることが証明されたわけではありません。
実際の人工耳や人工鼻は、どうやってお手入れするの?
装着方法によって管理方法が異なる
顔面エピテーゼの装着方法には、いくつかの種類があります。
専用の接着剤を利用する方法があります。
また、顔面領域に設置したインプラントを利用し、磁石やクリップなどで保持する方法もあります。
装置の形や保持方法によって、清掃する部分や注意点は異なります。
接着剤で固定する場合
接着式のエピテーゼでは、装置の取り外しや、皮膚に残った接着剤の除去が必要になる場合があります。
特に薄い辺縁は、無理な力を加えると損傷する可能性があります。
英国Cambridge University Hospitalsの患者向け資料では、装置を外す際に厚い部分を持つこと、薄い辺縁を強く引っ張らないこと、外側を少量の石けんの泡と水で優しく清掃することなどが案内されています。
ただし、これは特定の施設が案内するケア方法です。
すべての顔面エピテーゼに、同じ石けんや洗浄方法を使用できるとは限りません。
インプラントで保持する場合
インプラント保持式のエピテーゼでは、装置だけでなく、インプラント周囲の皮膚や保持装置の接合部分にも注意が必要です。
磁石やクリップなどが付いている場合には、それぞれの構造に合った清掃方法が求められます。
装置の外側と内側で清掃方法が異なる場合もあります。
自分で強くこすったり、削ったりしない
エピテーゼの汚れや着色が気になっても、自己判断で強くこすったり、研磨剤で磨いたり、表面を削ったりすることは避ける必要があります。
薄い辺縁が損傷したり、表面の着色が変化したりする可能性があるためです。
また、色を元に戻そうとして、市販の染料や塗料などで着色することも適切ではありません。
今回の研究で使用された6条件は、患者さん向けに推奨された清掃方法の一覧ではありません。
実際のエピテーゼの清掃・消毒は、使用材料や装着方法に応じて判断されます。
汚れや変色、破損などが気になる場合は、製作・診療担当者へ相談することが大切です。

これからの研究では、何を確かめる必要があるのか
今回の180試料研究からは、一定の実験条件で、材料と液剤によって観察された平均色差に違いがあることが分かりました。
一方で、実際の患者さんの管理方法を決めるには、まだ確認しなければならない問題があります。
色と抗菌効果を同時に調べる
まず必要なのは、色の安定性と微生物への効果を同じ実験で調べることです。
色が変わりにくくても、細菌や真菌を十分に減らせなければ、衛生管理の目的を果たせない可能性があります。
反対に、微生物を減らす効果が高くても、材料の色や性質が大きく変化するなら、長期使用には別の課題が生じます。
表面粗さや材料の強さも評価する
次に、色以外の材料特性を調べる必要があります。
硬さ、引張強さ、引裂強さ、表面粗さ、寸法安定性などです。
特に顔面エピテーゼでは、薄い辺縁の耐久性が重要になる場合があります。
色だけを測定しても、こうした性質が維持されているかどうかは分かりません。
実際の皮膚に接する条件を再現する
今回の実験では、試料は主として乾燥した遮光環境で保管されました。
しかし、実際の顔面エピテーゼは、汗や皮脂、皮膚の温度、紫外線、化粧品、接着剤などに接します。
これらの条件を組み合わせて評価することが必要です。
さまざまな皮膚色で比較する
今回の試料は、一定の顔料配合によって製作されています。
しかし、実際の人の皮膚色には幅があります。
また、色差の知覚閾値も、試料の色や観察条件によって異なる可能性があります。
そのため、より多様な着色条件で比較することも重要です。
最終的には患者さんの生活の中で確かめる
材料実験で良好な結果が出ても、実際の患者さんが使いやすいとは限りません。
清掃にかかる時間や手間、皮膚への刺激、色や形の変化、再製作までの期間、患者さんの満足度なども考える必要があります。
将来的には、こうした臨床的な結果を含めた研究が求められます。
人工の耳や鼻の研究から考える、歯科補綴の本当の役割
ここまで、顔面補綴用シリコーンの材料研究を詳しく見てきました。
私が今回の研究で特に興味深いと感じたのは、「材料の色を守ること」と「清潔に保つこと」が、必ずしも同じではないという点です。
歯科医院で普段扱う被せ物や入れ歯でも、材料をきれいに使い続けることは大切です。
しかし、顔面エピテーゼの場合には、さらに周囲の皮膚との色の調和という問題があります。
最初にどれほど自然な色で完成しても、日常生活の中で少しずつ外観が変化する可能性があります。
一方で、色を守ろうとして清掃を不十分にすれば、微生物の付着など別の問題につながるかもしれません。
だからこそ、材料の色安定性、衛生管理、耐久性、皮膚への安全性を分けて考え、最終的にはそれらを両立できる方法を検討する必要があるのだと思います。
今回の2026年の研究では、3種類の顔面補綴用シリコーンから180試料を製作し、蒸留水を含む6条件で、反復スプレー処理後の色差を測定しました。
全体平均では、次亜塩素酸群が0.630と最も大きく、Biotrueを使用したコンタクトレンズ用多目的洗浄・消毒液群が0.324と最も小さい結果でした。
ただし、研究の要旨や結論と集計表には一致しない部分があり、統計的な解釈には慎重さが必要です。
また、色が変わりにくいという結果から、優れた消毒効果や皮膚への安全性まで証明されたわけではありません。
人工の耳や鼻を製作する技術も、完成後に適切に管理する技術も、患者さんの生活を支えるために大切なものです。
歯科補綴は、失われたものの形を再現するだけの医療ではありません。
その装置を使う人が、日常生活の中でできるだけ快適に過ごせるように、材料や形、色、清掃、維持管理まで考える医療でもあります。
「自然な色を保つこと」「清潔に使えること」「材料を傷めないこと」。
今回の研究は、この3つを同時に実現することの難しさを教えてくれる、興味深い材料研究でした。

よくある質問(FAQ)
Q1.人工の耳や鼻は、どんな材料でできているのですか?
人工の耳や鼻などの顔面エピテーゼには、柔軟性があり、色を調整しやすいシリコーンが広く使用されています。
ただし、装置全体がシリコーンだけでできているとは限りません。
固定のために磁石やクリップなどの部品が組み合わされる場合もあります。
今回の研究では、M511、TechSil S-25、Z004という3種類の付加硬化型シリコーンが使用されました。
Q2.人工の耳や鼻は、毎日消毒した方がよいのですか?
日常的な清掃や衛生管理は重要ですが、使用する液剤や頻度、具体的な方法は、装置の種類や材料、保持方法、皮膚の状態によって異なります。
今回の研究では、1日に6回のスプレー処理が行われましたが、これは1年間の反復曝露を短期間で模した加速実験の条件です。
実際の患者さんへ1日6回の消毒を推奨しているわけではありません。
清掃・消毒は、製作・診療担当者から指示された方法で行ってください。
Q3.コンタクトレンズ用洗浄液で人工の耳や鼻を洗ってもよいですか?
今回の研究では、2種類のコンタクトレンズ用多目的洗浄・消毒液を使用した条件で、比較的小さい平均色差が観察されました。
しかし、この研究で評価したのは色の変化です。
顔面エピテーゼ上の細菌や真菌に対する消毒効果、皮膚への安全性、材料の長期耐久性などは確認されていません。
そのため、コンタクトレンズ用洗浄液を自己判断で顔面エピテーゼに使用することは勧められません。
Q4.色が変わっていなければ、材料は傷んでいませんか?
色の変化が小さくても、材料のほかの性質が変化している可能性があります。
例えば、表面の粗さ、硬さ、柔軟性、引裂強さなどです。
今回の180試料研究では、色差以外の材料特性は評価していません。
そのため、色が安定していたことだけで、材料が傷んでいないと判断することはできません。
装置の裂け、変形、保持状態の変化などが気になる場合は、担当者へ相談してください。
Q5.人工の耳や鼻の色が変わったら、すぐに作り直す必要がありますか?
必ずしもそうではありません。
色の変化の程度、装置の形態、表面着色の状態、皮膚への適合、保持状態、患者さんの希望などによって判断が異なります。
今回の研究で使用された色差の知覚閾値0.7を超えたからといって、自動的に交換が必要になるわけではありません。
色の変化が気になる場合でも、自分で着色したり、強く研磨したりせず、製作・診療担当者に相談することが大切です。
参考文献・関連資料
1.今回の中心となる研究
Bastem Gülmez N, Ünsal G, Bankoğlu Güngör M, Turhan Bal B, Karakoca Nemli S.
Effect of skin disinfectants on the color stability of maxillofacial silicone elastomers: an in-vitro study.
BMC Oral Health. Published October 30, 2026.
https://doi.org/10.1186/s12903-026-10289-3
2.顔面補綴の診療に関する資料
日本顎顔面補綴学会.
『顎顔面補綴診療ガイドライン2019』
https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00537/
3.顔面補綴材料の色差の知覚に関する研究
Kurt M, Karakoca Nemli S, Bankoğlu Güngör M, Turhan Bal B, Öztürk E.
Perceptibility and acceptability thresholds for color differences of light and dark maxillofacial skin replications.
Vision Research. 2024;223:108474.
https://doi.org/10.1016/j.visres.2024.108474
4.顔面用シリコーンのバイオフィルムに関する研究
Ariani N, Visser A, Teulings MRIM, et al.
Efficacy of cleansing agents in killing microorganisms in mixed species biofilms present on silicone facial prostheses—an in vitro study.
Clinical Oral Investigations. 2015;19:2285–2293.
https://doi.org/10.1007/s00784-015-1453-0
5.汗・皮脂・日焼け止めによる材料変化の研究
Quadros LCS, Silva-Lovato CH, Dotto MER, et al.
In situ study of the effect of endogenous and exogenous agents on color stability, hardness, and surface roughness of an elastomer for facial prostheses.
Journal of Prosthodontics. 2026;35:71–80.
Online publication: May 29, 2024.
https://doi.org/10.1111/jopr.13876
6.歯冠材料の色差と表面粗さに関する関連研究
Bulut MF, Korkmaz FM.
Effect of toothbrushing abrasion on color stability and surface roughness of four permanent crown materials produced by additive and subtractive manufacturing.
BMC Oral Health. Published October 14, 2026.
https://doi.org/10.1186/s12903-026-10204-w
7.コンタクトレンズ用洗浄液の製品情報
Bausch + Lomb.
ReNu Advanced Multi-Purpose Contact Lens Solution.
8.顔面エピテーゼの管理方法に関する資料
Cambridge University Hospitals NHS Foundation Trust.
Adhesive retained prosthesis.
https://www.cuh.nhs.uk/patient-information/adhesive-retained-prosthesis/
Implant retained facial prosthesis.
https://www.cuh.nhs.uk/patient-information/implant-retained-facial-prosthesis/
本記事について
本記事は、2026年10月30日に公開された学術研究と関連文献をもとに、顎顔面エピテーゼの材料特性と清掃・消毒に関する研究を紹介したものです。
ブランデンタルクリニックで実際に顔面エピテーゼの製作や装着を行った症例の紹介ではありません。
顔面エピテーゼの清掃・消毒方法は、装置の材料や固定方法、患者さんの状態に応じて異なります。実際の使用にあたっては、製作・診療担当者から受けた指示を優先してください。
