2026年9月27日

(受付さんの備忘録)

はじめに
歯医者さんの受付で、
「こんにちは。今日はどうされました?」
と聞かれて、
「えっ……えーっと……」
と、一瞬言葉に詰まったことはありませんか?
受付にいると、ときどきそんな場面があります。
「虫歯だと思うんですけど……」
「どの歯か自分でもよく分からなくて……」
「何て説明したらいいのか分からないんです」
と、少し申し訳なさそうに話してくださる患者さんもいます。
でも実は、「今日はどうされました?」に完璧な答えを用意していただく必要はありません。
病名が分からなくても大丈夫です。
歯の番号が分からなくても大丈夫です。
原因が分からなくても大丈夫です。
何をしてほしいのか、まだ自分でも決まっていなくても構いません。
「歯が痛いです」
「何となく変なんです」
「検診を受けたくて」
「被せ物が取れました」
「うまく説明できないんですが、一度見てほしくて」
そんなところから、受付との会話は始められます。
というのも、「今日はどうされました?」は、歯科知識のテストではないからです。
今回は受付さんの備忘録として、私たちが何気なくお聞きしているこの一言を、少し詳しく掘り下げてみたいと思います。
「今日はどうされました?」は「病名は何ですか?」ではありません
まず、一番大切なところからです。
受付で、
「今日はどうされました?」
とお聞きするのは、
「あなたの病名を答えてください」
という意味ではありません。
歯科では、患者さんが受診した主な理由を「主訴」と呼びます。
言葉だけ見ると少し難しそうですが、患者さん側から考えるなら、
「今日、何が気になって歯医者へ来たのか」
「今、一番困っていることは何なのか」
くらいに考えると分かりやすいと思います。
日本歯科医学会が2026年3月に公表した「歯周病の治療に関する基本的な考え方」でも、検査・診断・治療計画へ進む最初の医療面接として、まず「患者が来院した主な理由(主訴)を聞く」と整理されています。[1]
つまり、大まかな流れは、
患者さんが困っていることを話す
↓
必要な情報を聞く
↓
診察・検査をする
↓
歯科医師が診断する
↓
治療方針を考える
です。
患者さんが受付に来る前に、この最後の「診断」まで自分で済ませておく必要はありません。
「虫歯です」と言わなくても、「歯が痛いです」で十分です
たとえば、
「右の奥歯が痛い。たぶん虫歯だと思う」
という患者さんがいたとします。
もちろん、
「虫歯だと思います」
と話していただいて構いません。
受付で、
「虫歯なんて言わないでください」
となるわけではありません。
ただし、患者さんが本当に虫歯なのかを正確に当てる必要はないということです。
受付で、
「どんなことで虫歯かなと思われましたか?」
とお聞きして、
「冷たいものがしみるんです」
「黒く見えるところがあります」
「昨日からズキズキしてきました」
と教えていただければ、それも大切な情報になります。
反対に、
「虫歯かどうか分からないんですが、右の奥が痛いです」
でも十分です。
患者さん自身の予想と、実際に感じていることは分けて考えることができます。
「自分では虫歯だと思う」
という情報も、
「冷たい水でしみる」
という情報も、両方あっていいのです。
ただし最終的な診断は、歯科医師が診察や必要な検査をしたうえで行います。
以前の「なぜ歯医者の受付では『虫歯です』と答えられない?症状を聞くことと診断の境界」では、受付が患者さんから症状を聞くことと、歯科医師が診断を行うことの境界について詳しく取り上げました。
今回はその反対側。
患者さん側も、受付で正しい診断名を言い当てる必要はないというお話です。
なぜ最初から「右ですか?左ですか?いつからですか?」と聞かないの?
では、少し視点を変えてみましょう。
最初から必要なことが決まっているなら、
「右ですか、左ですか?」
「上ですか、下ですか?」
「いつからですか?」
「噛むと痛いですか?」
と順番に質問していけばよさそうですよね。
それでも最初に、
「今日はどうされました?」
と広くお聞きすることがあります。
これは、患者さんが自分の言葉で自由に話せる「開かれた質問」です。
口腔顔面痛の医療面接について解説した国内資料でも、まず開かれた質問から始め、患者さんが自発的に話せるようにしたうえで、徐々に答えを絞った質問を使って必要な情報を確認する方法が示されています。[2]
つまり、
受付:
「今日はどうされました?」
患者さん:
「歯が痛くて……」
受付:
「どの辺りですか?」
患者さん:
「右の奥です」
受付:
「いつ頃からですか?」
患者さん:
「昨日からです」
という流れは、患者さんの最初の答えが不十分だったから始まったわけではありません。
最初は広く聞いて、その後に必要なところを少しずつ具体的にしているだけです。

追加でいろいろ聞かれても、「説明に失敗した」という意味ではありません
これは患者さん側からすると、意外と気になるところかもしれません。
「歯が痛いです」
と答えた後に、
「いつからですか?」
「どの辺りですか?」
「腫れはありますか?」
「噛むと痛みますか?」
などといくつか質問されると、
「最初から全部説明しなきゃいけなかったのかな」
と思うかもしれません。
でも、その必要はありません。
追加質問は、患者さんの答えを採点しているのではありません。
医療面接では、最初に話していただいた内容をもとに、
「もう少しここを知りたい」
「これは確認しておきたい」
という情報を一つずつ具体化していきます。
先ほどの国内資料でも、開かれた質問と答えを絞った質問だけでなく、傾聴、繰り返し、言い換え、明確化、要約などを使って患者さんの訴えを整理していく考え方が示されています。[2]
私たち受付も、
「今日はどうされました?」
の一言だけで、その患者さんについて必要な情報が全部返ってくるとは思っていません。
むしろ、
最初の一言を手がかりにして、一緒に必要な情報を整理していく。
そう考えた方が、実際の受付での会話に近いと思います。
実は「歯が痛い」一つを詳しく調べるだけでも、聞くことはたくさんあります
ここで、少し歯科の専門的な話をしてみます。
「歯が痛い」
という一つの症状だけでも、詳しく評価しようとすると確認することはたくさんあります。
2026年の口腔顔面痛診療に関する国内資料では、痛みについて、
- 痛む部位
- 痛みが始まった状況
- その後の経過
- どのような痛みか
- どのくらい強いか
- どのくらいの頻度か
- 1回の痛みがどのくらい続くか
- 時間帯などによる特徴
- 何をすると悪化するか
- 何をすると軽くなるか
- 痛みと一緒に起こる症状
- 痛い時にどのような行動をしているか
という12項目から整理する構造化問診が紹介されています。[3]
だからといって、
「歯が痛い時には、受付でこの12個を全部答えてください」
という意味ではありません。
むしろ逆です。
歯の痛み一つを詳しく調べるだけでも、医療側ではこれだけ多くの情報を組み合わせます。
それを患者さんが、
「今日はどうされました?」
という最初の一問に全部詰め込む必要はないのです。

患者さんは受付に「完成した症例報告」を提出しなくて大丈夫です
少し大げさな例を出してみましょう。
もし患者さんから、
「右下第一大臼歯に3日前から自発痛があり、夜間に増悪し、冷刺激後にも痛みが持続するので不可逆性歯髄炎ではないかと思います」
と言われたら、かなり詳しい情報です。
でも、受付でそこまで求めているわけではありません。
「右の奥が昨日からズキズキするんです」
でも十分です。
さらに最初は、
「奥歯が痛いです」
だけでも、そこから会話を始められます。
たとえば、
「歯が痛いです」
↓
「右の奥が痛いです」
↓
「昨日から右の奥が痛いです」
↓
「昨日から右の奥が、噛むと痛いです」
と、情報を一つずつ増やしていくことができます。
最後の方が情報量は多いですが、最初の「歯が痛いです」が間違った答えというわけではありません。
患者さんは、受付に完成した症例報告を提出する人ではありません。

「どの歯か分かりません」も、ちゃんとした情報です
受付で、
「どの辺りですか?」
と聞かれて、
「右の奥なんですけど……どの歯か分からないんです」
ということもあります。
これも大丈夫です。
歯の痛みは、いつでも患者さん自身が原因の歯を一本に特定できるとは限りません。
その理由は一つではありません。
痛みの広がり方や炎症の状態などによって、本人には場所を絞りにくい場合もあります。
さらに歯科では、歯や歯周組織に原因がないのに歯の痛みとして感じる「非歯原性歯痛」も知られています。
その中には、原因とは別の場所に痛みを感じる「関連痛」として歯が痛むものもあります。[4]
ここで言いたいのは、
「どの歯か分からないなら非歯原性歯痛です」
ということではありません。
そうではなく、
「患者さん自身が原因の歯を一本まで正確に特定できないことがある」ということです。
ですから、
「右の奥だと思います」
「上か下かも自信がありません」
「この辺全部が痛い感じです」
と、そのまま教えていただければ構いません。
分からないものを無理に決めて答える必要はありません。

「分かりません」は、受付を困らせる答えではありません
「分かりません」と言うと、
「ちゃんと答えられなくて申し訳ない」
と思う方もいるかもしれません。
でも、「分からない」にもいろいろあります。
どの歯か分からない
「左の奥だと思いますが、一本には絞れません」
これで大丈夫です。
いつからか正確に分からない
「気になったのは今日ですが、考えてみると数日前から少し変だったかもしれません」
これでも大丈夫です。
原因が分からない
「特に硬いものを噛んだ覚えもないんですが、急に痛くなりました」
原因を患者さん自身で突き止めておく必要はありません。
病名が分からない
「虫歯なのか、歯ぐきなのか分からないんですが……」
当然です。
診断はこれから行います。
何をしてほしいか分からない
「治療が必要なのかどうかも分からないので、まず見てほしいです」
これも立派な受診理由です。
分からないところは「分からない」で構いません。
自信がないことを、無理に推測して埋める必要はありません。
「ズキズキ」「浮いた感じ」「なんとなく変」でもいい?
もちろんです。
専門用語を使わなくても大丈夫です。
先ほど紹介した痛みの構造化問診の実例でも、
「重い感じ」
「うずくような」
「ズキズキ」
といった、患者さんが普段使うような言葉が使われています。[3]
ですから、
「ズキズキします」
「ジーンとします」
「歯が浮いている感じです」
「噛むと響きます」
「ピリッとします」
「うまく言えないけど、何となく変です」
「痛いというより違和感なんです」
で構いません。
むしろ、患者さんが実際にどう感じているかを、そのまま話していただく方が役立つことがあります。
専門用語への翻訳は、患者さんの宿題ではありません。
痛みがなくても「今日はどうされました?」には答えられます
ここまで痛みの例をたくさん出しましたが、「今日はどうされました?」は「どこが痛いですか?」とは違います。
痛みがなくても受診理由はあります。
「今日は検診です」
でもいい。
「クリーニングをお願いしたいです」
でもいい。
「前歯の色が少し気になります」
でもいい。
「噛み合わせが以前と違う気がします」
でもいい。
「痛くないんですが、黒く見えるところがあります」
でもいい。
「治療が必要なのか、一度見てもらいたくて」
でも構いません。
つまり、受付で知りたいのは必ずしも「痛み」だけではなく、その患者さんが今日何を気にして来院されたのかです。
「検診で予約したけど、昨日から痛くなった」なら?
これも、そのまま教えてください。
たとえば1週間前に、
「定期検診をお願いします」
と予約を取った。
ところが来院前日になって、
「右の奥が少し痛くなってきた」
ということはあり得ます。
その場合は受付で、
「今日は検診で予約していたんですが、昨日から右の奥も少し痛くなりました」
と追加していただければ大丈夫です。
予約した時と今の状態が違っているなら、今の状態を教えてください。
「最初に検診と言ったから、今日は痛みのことを言ってはいけない」ということではありません。
ただし、その日の診療内容や優先順位は、症状や必要な検査、予約時間などによって変わる場合があります。
検診で予約していたところに痛みが出た場合の考え方は、「初診予約で『検診希望』と『痛みがある』はどう違う?」でも詳しく紹介しています。
相談したいことが二つ以上あってもいい?
これもよくあります。
「今日は2つ相談したいことがあります」
と最初に言っていただいて構いません。
たとえば、
「一番困っているのは奥歯の痛みなんですが、前歯の色についても相談したいです」
という形です。
ただし、相談したいことが複数ある場合、その日の予約時間や必要な検査・処置によっては、すべてを同じ日に完了できるとは限りません。
ですから、
「いくつかあります。その中ではこれが一番困っています」
と教えていただくと、整理しやすくなります。
「一個だけに決めてから歯医者へ行かないといけない」ということではありません。
複数の歯や相談内容がある場合の予約については、「複数の歯を相談したいとき、予約枠はどう取る?一度に全部診てもらえるかと受付への伝え方」でも詳しくまとめています。
「何をしてほしいか」まで決めていなくても大丈夫です
患者さんによっては、
「取れた被せ物を付け直してほしい」
「クリーニングをしてほしい」
「この歯をできれば残したい」
など、希望がはっきりしている場合もあります。
それはぜひ教えてください。
患者さんが「どうしてほしいのか」「何に困っているのか」を聞くことは、歯科医療側と目標を共有していくうえでも大切です。
2026年に掲載された、歯科治療に強いストレスを感じる患者さんとのコミュニケーションを扱った論説でも、まず患者さんの話をよく聞き、「どうしてほしいのか」という思いを引き出して悩みに共感することの重要性が述べられています。[5]
一方で、
「何をしてほしいのか自分でも分かりません」
でも構いません。
「このままで大丈夫なのか知りたい」
「治療が必要かどうか見てほしい」
「どういう選択肢があるのか相談したい」
でも受診理由になります。
患者さんの希望と、診察・検査後に決まる診断や治療方針は同じものではありません。
歯医者へ行く前に、自分で治療法まで決めておく必要はありません。
「あ、そういえば……」と途中で思い出しても大丈夫です
受付で、
「今日から痛いです」
と答えた後に、
「あ、でも考えてみたら3日前くらいから少し違和感がありました」
と思い出すこともあります。
大丈夫です。
人は、最初から自分の症状を時系列どおり完璧に整理して話せるとは限りません。
質問されているうちに、
「あの日からだったかも」
「そういえば噛んだ時だけだった」
「前にも一度同じことがあった」
と思い出すことがあります。
後から思い出したことがあれば、その時点で追加してください。
最初の答えと一字一句同じでなければいけないわけではありません。
受付で話したのに、診療室でもまた「今日はどうされました?」と聞かれるのはなぜ?
これも、ときどき不思議に思われるかもしれません。
受付で、
「右の奥が昨日から痛いです」
と話した。
問診票にも書いた。
それなのに診療室に入ると、先生からもう一度、
「今日はどうされました?」
と聞かれた。
「さっき受付で話したけど……」
と思いますよね。
もちろん、受付でお聞きした情報は診療側へつなぎます。
ただ、受付での聞き取りと、歯科医師が患者さん本人から症状や経過を聞き、診察・検査を行って診断することは同じではありません。
日本歯科医学会の資料でも、
主訴を聞く
↓
口腔内を調べる
↓
必要な検査をする
↓
診断する
という段階が分かれています。[1]
ですから、診療室でもう一度話を聞かれるからといって、
「受付で話したことが何も伝わっていない」
とは限りません。
歯科医師自身が、患者さんの言葉で改めて症状や経過を確認する意味があります。
患者さんだけが「上手に話す」責任を負うわけではありません
ここまで読むと、
「では患者側は、できる範囲で説明を準備しておいた方がいいのかな」
と思われるかもしれません。
もちろん、
「右の奥が昨日から痛い」
くらいに整理されていれば、受付でも状況を把握しやすくなります。
でも、この話を患者さん側だけの責任にしてはいけないと思います。
2026年に掲載された「歯科治療にストレスを感じる患者とのコミュニケーション構築」では、受付の対応は歯科医院の第一印象を決める重要な要素であり、電話での対応力だけでなく、言葉遣い、声のトーン、所作や笑顔なども重要だと述べられています。[5]
また、医療面接では、患者さんが自由に話せる質問から始め、必要なところを確認し、言い換えや要約を使って整理していく考え方があります。[2]
ですから、
患者さんが一人で100点の説明を完成させる必要はありません。
患者さんは、分かる範囲で話す。
受付側は、必要なことを聞く。
必要に応じて診療側へつなぐ。
そうやって情報を一緒に組み立てていく方が自然です。

ただし、安全に関わることだけは最初に教えてください
ここまで、
「完璧に話さなくても大丈夫」
と書いてきました。
ただし、何でも後回しでよいという意味ではありません。
たとえば、
- 顔や首の腫れが急に広がってきた
- 息がしづらい
- 飲み込みにくい
- 口の中の出血がなかなか止まらない
- 歯や顎、顔を強くぶつけた
- 永久歯が完全に抜けた
- 歯の症状と一緒に強い全身症状がある
など、安全や緊急性に関わる情報は、できるだけ早く伝えてください。
NHS Englandの2025年の急性歯科診療ガイダンスでも、気道への影響が懸念される広がる口腔顔面部の腫れ、患者自身で制御できない口腔内出血、永久歯の完全脱臼などは、迅速な評価や対応が必要な状態として整理されています。[6]
ここでも、患者さん自身が、
「これは深いところまで感染しています」
「これは完全脱臼という状態です」
などと医学用語で判断する必要はありません。
「顔まで腫れています」
「息がしづらいです」
「血が止まりません」
「永久歯が丸ごと抜けました」
と、起きていることをそのまま伝えてください。
また、呼吸が苦しい、意識がおかしいなど生命に関わる症状がある場合は、通常の歯科予約を待つ状況ではありません。119番への救急要請を含め、緊急の対応が必要です。
「受付へどう説明すればいいか」を考えるより先に、安全を優先してください。

では、「今日はどうされました?」には何と答えればいい?
ここまで長く書きましたが、答えはとてもシンプルです。
まずは、「今、いちばん気になっていること」を一つ
それだけでも会話は始められます。
そして、もし分かれば、
- だいたいどの辺りか
- だいたいいつ頃からか
- 何をすると気になるのか
などを追加していただければ、さらに状況を整理しやすくなります。
でも、全部そろっていなくても構いません。
強い歯の痛みがある時に受付へ伝えたい内容については、「歯が痛い時の電話予約で何を伝える?急患相談で受付に伝えてほしいこと」でも詳しくまとめています。
こんな答え方で十分です
歯が痛い時
「右の奥が昨日から痛いです」
どの歯か分からない時
「どの歯か分からないんですが、左の奥の方が痛いです」
痛みというほどでもない時
「痛くはないんですが、噛むと何となく変です」
検診の時
「今日は定期検診で来ました」
見た目を相談したい時
「前歯の色が気になっています」
詰め物・被せ物が取れた時
「昨日、被せ物が取れました」
自分でも整理できていない時
「うまく説明できないんですが、口の中に違和感があって、一度見てほしいです」
相談がいくつかある時
「相談したいことが2つあります。一番気になるのは奥歯です」
何をしてほしいか決まっていない時
「何が必要か分からないので、まず相談したいです」
どれも、受付との会話を始めるには十分です。

逆に、ここまで準備しなくても大丈夫です
歯医者へ連絡する前に、
「歯の番号を調べないと」
「ネットで病名を調べないと」
「専門用語を覚えないと」
「原因を自分で考えないと」
「どんな治療を受けるか決めないと」
「いつからだったか正確な日時を思い出さないと」
と頑張らなくても大丈夫です。
もちろん、分かっていることがあれば教えてください。
でも、分からないから歯医者へ相談するという場合もあります。
来院前に、自分で診断を完成させておく必要はありません。
受付さんとして一番助かるのは、「完璧」より「そのまま」です
受付にいる私たちからすると、一番助かるのは、医学的に完璧な説明をしていただくことではありません。
分からないところは、
「分かりません」
で大丈夫です。
自信がないところは、
「たぶん右だと思います」
で大丈夫です。
何となくという感覚なら、
「何となく変なんです」
で構いません。
そして、今いちばん困っていることは、そのまま教えてください。
必要なことはこちらから順番にお聞きできます。
受付でお聞きした内容は、必要に応じて診療側へつなぎます。
患者さんが受付で病名まで完成させる必要はありません。
まとめ――「今日はどうされました?」は歯科知識のテストではありません
「今日はどうされました?」
何気ない一言ですが、患者さんによっては意外と答えるのが難しい質問なのかもしれません。
でもこれは、
「正しい病名を言ってください」
でも、
「原因の歯を特定してください」
でも、
「治療法を決めてください」
でもありません。
まず知りたいのは、
今日、何が気になって来院されたのか。
そこです。
「歯が痛いです」
でも、
「何となく変です」
でも、
「検診です」
でも、
「うまく説明できないんですが……」
でも構いません。
そこから、必要なことを一つずつ確認していけばいいのです。
「今日はどうされました?」は、歯科知識のテストではありません。
完璧な答えより、今いちばん気になっていることを、ご自身の言葉で一つ教えてください。
そこから受付で、必要な情報を一緒に整理していきます。
参考文献
- 日本歯科医学会.「歯周病の治療に関する基本的な考え方」.2026年3月.
- 桃田幸弘,東 雅之.「口の痛みについて―口腔顔面痛とその随伴症状―」.徳島大学大学開放実践センター紀要.2017;26:57-66.
- 大野由夏,小長谷光.「歯科医師が語る口腔顔面痛診療」.日本ペインクリニック学会誌.2026;33(3):43-50.doi:10.11321/jjspc.25-0015
- 和嶋浩一.「非歯原性歯痛の診断と治療 1 非歯原性歯痛とは」.日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学.2015;35(3):238-242.doi:10.14399/jacd.35.238
- 山本彰美.「歯科治療にストレスを感じる患者とのコミュニケーション構築」.日本歯科麻酔学会雑誌.2026;54(2):72-74.doi:10.24569/jjdasa.54.2_72
- NHS England. Clinical guidance: unscheduled urgent and non-urgent dental care. Published May 1, 2025; updated October 3, 2025.
