手足口病を再考する:CV-A6・EV-A71の疫学変容、口腔粘膜病変の鑑別、神経合併症と歯科診療|広島市中区立町の歯医者(紙屋町、八丁堀、袋町からすぐで通いやすい)|ブランデンタルクリニック|土曜日、日曜日、祝日診療

〒730-0032 広島県広島市中区立町2-1 立町中央ビル4F

082-258-6411

ネット予約はこちらから
受付

手足口病を再考する:CV-A6・EV-A71の疫学変容、口腔粘膜病変の鑑別、神経合併症と歯科診療

手足口病を再考する:CV-A6・EV-A71の疫学変容、口腔粘膜病変の鑑別、神経合併症と歯科診療|広島市中区立町の歯医者(紙屋町、八丁堀、袋町からすぐで通いやすい)|ブランデンタルクリニック|土曜日、日曜日、祝日診療

2026年7月24日

手足口病を再考する:CV-A6・EV-A71の疫学変容、口腔粘膜病変の鑑別、神経合併症と歯科診療

(院長の徒然コラム)

非典型皮疹、成人例、再感染、検体選択、感染管理、ワクチン後の病原体交代まで解説

手足口病は、一般には「乳幼児に多い夏かぜ」「手足と口に小さな水疱が出る予後良好な感染症」と理解されています。

その説明は大枠では間違っていません。実際、手足口病の大部分は数日から1週間ほどで自然軽快し、重篤な転帰に至る患者は少数です。

しかし、医療従事者が手足口病を診断し、重症化リスクを評価し、患者や家族へ説明するためには、「夏に流行する軽い小児感染症」という理解だけでは不十分です。

手足口病は、一種類のウイルスによる単一疾患ではありません。エンテロウイルスA71、コクサッキーウイルスA16、A6、A10、A4など、病原性、組織親和性、流行周期、遺伝子系統の異なる複数のウイルスが、共通する臨床症候群を形成しています。

(エンテロウイルス属は大グループでその中にコクサッキーウイルスという小グループがいます。)

原因ウイルスが異なれば、皮疹の部位、水疱の大きさ、口腔粘膜病変の分布、成人における症状、回復後の爪甲変化、神経合併症の危険性、ワクチンで予防できる範囲も変わります。[4–6,8,9]

近年は、コクサッキーウイルスA6によって、古典的な「手掌・足底・口腔内の小水疱」だけでは説明できない症例が増えました。病変が口周囲、耳介、頭皮、体幹、四肢近位部、臀部、外陰部、肛門周囲、既存の湿疹部へ広がり、大疱、紫斑、広範なびらん、落屑、爪甲脱落を伴うことがあります。

その一方、エンテロウイルスA71では、皮膚病変が軽微であっても、脳幹脳炎、急性弛緩性麻痺、自律神経障害、神経原性肺水腫、心肺不全へ進行する可能性があります。重症度は、皮疹の広さではなく、意識、神経、呼吸、循環、飲水量、尿量から評価しなければなりません。[8,27,28]

そして、歯科医療者は、手足口病の口腔粘膜病変を早期に観察し得る立場にあります。

患者の主訴が「口内炎が痛い」「歯肉が腫れた」「舌が痛い」「食事ができない」であっても、その背景には、手足口病、ヘルパンギーナ、初感染単純ヘルペス性歯肉口内炎、帯状疱疹、eczema herpeticum、多形紅斑、Stevens–Johnson症候群、中毒性表皮壊死症、エムポックス、自己免疫性水疱症、アデノウイルス感染、扁桃周囲膿瘍など、緊急性も治療法も異なる疾患が含まれます。

本稿では、2026年の日本・広島の発生動向、2026年に発表された疫学、再感染、ワクチン、気象・空間疫学の研究に、過去の国内臨床資料、基礎ウイルス学、最新の口腔粘膜疾患関連文献を加え、手足口病を医療従事者向けに再整理します。

なお、国内の公的資料では「CA6」「CA16」「EV71」と表記される場合があります。本稿では、原則として国際的な論文表記に合わせ、CV-A6、CV-A16、CV-A10、CV-A4、EV-A71と記載します。

1.2026年の国内流行をどう読むか

国立健康危機管理研究機構によると、2026年の手足口病は第20週ごろから増加し、第26週には全国の定点当たり報告数が4.61、報告数が10,396例に達しました。

過去の流行年には、第20週前後から増え始め、第30週前後にピークを迎えることが多いため、第26週時点の数値だけで最終的な流行規模を断定することはできません。また、2024年と2025年では報告定点数が異なるため、週ごとの報告数を単純比較する際にも注意が必要です。

2026年7月1日までの国内病原体サーベイランスでは、CV-A6とEV-A71が主要な検出型となっています。これは、非典型的な皮膚・粘膜病変との関連が強いCV-A6と、神経系重症化への警戒が必要なEV-A71が、国内で並行して循環していることを意味します。ここでいう「並行して検出」とは、国内の複数患者から両型が確認されているという意味であり、同一患者への重複感染を意味するものではありません。

広島県では、第22週に福山市保健所管内の定点当たり報告患者数が警報開始基準の5.0を上回ったため、2026年6月4日に県内全域へ手足口病警報が発令されました。広島県では、いずれかの保健所管内で定点当たり5.0以上となった場合に警報を発令し、県内すべての保健所管内が2.0未満となった場合に解除する運用です。2026年7月17日の県公表ページでも警報継続が示されています。

広島市では、第25週から第29週までの定点当たり報告数が、3.43、4.29、5.71、6.29、5.38と推移しました。第29週は前週より低下していますが、依然として5.0を超える水準であり、1週間の減少だけで流行終息とは判断できません。

2026年の流行を評価する際には、患者数だけでなく、病原体構成を見る必要があります。

CV-A6が優勢な流行では、患者数の増加とともに、口周囲、体幹、湿疹部へ広がる非典型皮疹や、回復後の爪甲脱落が目立つ可能性があります。

EV-A71が検出される流行では、患者全体に占める割合が高くなくても、脳幹脳炎、急性弛緩性麻痺、神経原性肺水腫などの重症合併症を意識しなければなりません。

つまり、患者数を多く形成する病原体と、重症患者において重要となる病原体は一致しないことがあるということです。

2.手足口病は「複数病原体による臨床症候群」である

手足口病の主要病原体は、ピコルナウイルス科エンテロウイルス属に属する、エンベロープを持たないプラス鎖一本鎖RNAウイルスです。

国内の公的資料では、CV-A16、CV-A6、CV-A10、EV-A71などが主な原因として挙げられています。感染経路は飛沫感染、接触感染、糞口感染であり、唾液、鼻咽頭分泌物、水疱内容物、便、汚染された手指や環境表面が媒介します。潜伏期間は一般に3~5日です。

ウイルス粒子はVP1、VP2、VP3、VP4などのカプシド蛋白から形成され、VP1領域は血清型の確認や分子疫学解析に広く用いられます。病原体型ごとに流行周期、組織親和性、臨床像には一定の傾向がありますが、見た目だけで血清型を確定することはできません。[8,9]

EV-A71―患者数だけでなく神経重症化を見る病原体

EV-A71は、脳幹脳炎、無菌性髄膜炎、急性弛緩性麻痺、脊髄炎、小脳失調、自律神経障害、神経原性肺水腫、心肺不全との関連が最も強く研究されてきた病原体です。

もちろん、大多数のEV-A71感染は不顕性感染または軽症で終わります。しかし、重症化した場合の進行速度と病態の複雑さから、型別結果が得られていない初診段階でも、神経・呼吸・循環徴候を継続して評価する必要があります。[8,28,62–64]

CV-A16―古典的な手足口病を形成しやすい病原体

CV-A16は、手掌、足底、口腔内に数mm程度の小水疱を形成する、古典的手足口病の代表的病原体です。

一般に軽症例が多いものの、CV-A16でも中枢神経合併症は報告されています。「CV-A16だから重症化しない」とは言えず、病原体型よりも個々の全身状態を優先して評価します。[8,31]

CV-A6―手足口病の皮膚・粘膜所見を大きく変えた病原体

CV-A6は、古典的な手掌・足底・口腔内の分布を超える、非典型的手足口病の主要病原体です。

病変は口周囲、頬、耳介、頭皮、体幹、四肢近位部、臀部、鼠径部、外陰部、肛門周囲、既存の湿疹部へ広がることがあります。

形態も、小丘疹や小水疱に限られません。大疱、出血性水疱、紫斑、広範なびらん、痂皮、Gianotti–Crosti症候群様分布、eczema coxsackium、回復後の落屑、Beau線、爪甲脱落など、多彩な臨床像を示します。[27,28,58,59]

CV-A6は主に皮膚・粘膜病変との関連が知られますが、重症例を集積した研究では、髄膜炎、脳炎、四肢麻痺、肺水腫、心筋障害を伴った患者も報告されています。

ただし、重症例由来株を選択して解析した研究から、CV-A6感染者全体の重症化率を推定することはできません。CV-A6を「皮疹が派手だが重症化しない病原体」と単純化することも、「CV-A6は重症化しやすい」と一般化することも、いずれも不適切です。

CV-A10・CV-A4―「その他のエンテロウイルス」では済ませられない病原体

CV-A10は、手足口病とヘルパンギーナの双方を形成し、一部の症例では神経合併症が報告されています。

CV-A4も従来はヘルパンギーナとの関連が強く認識されてきましたが、手足口病様の発疹性疾患や中枢神経感染症に関与し得ます。

2026年の中国2008~2024年の総説では、EV-A71ワクチン導入後の非EV-A71型として、CV-A6、CV-A10、CV-A16、CV-A4の重要性が整理され、地域差、季節差、年齢差、遺伝子型の変化が指摘されています。

皮疹から血清型を確定してはならない

広範な皮疹だからCV-A6、神経症状があるからEV-A71と、臨床像だけで血清型を確定することはできません。

病原体ごとに一定の傾向はありますが、複数の型が類似した病態を形成します。軽症例では病原体型別検査を行わないことも多く、最終的な血清型確定には遺伝子検査やウイルス分離が必要です。

3.EV-A71ワクチン導入後の「病原体交代」をどう解釈するか

中国では、EV-A71による重症手足口病への対策として不活化EV-A71ワクチンが承認され、2016年以降に接種が拡大しました。

ワクチン導入後、EV-A71関連手足口病、重症例、死亡例は減少しました。一方、手足口病そのものは消失せず、検査確定例に占めるCV-A6、CV-A16、CV-A10、CV-A4などの相対割合が上昇しました。[9–12,20–25]

この変化は「病原体置換」「血清型交代」と表現されることがあります。しかし、EV-A71ワクチンが別の型を新たにつくったわけではありません。

EV-A71ワクチンはEV-A71を選択的に抑制しますが、他のエンテロウイルス型に十分な交差防御を与えません。そのため、EV-A71が減少した集団では、もともと循環していた非EV-A71型の構成比が相対的に上昇します。

さらに、エンテロウイルスには血清型ごとの自然流行周期があります。自然感染による集団免疫、出生による新たな感受性人口の流入、地域間移動、保育環境などが、数年単位の流行波を形成します。

検査体制の変化も重要です。過去には「その他のエンテロウイルス」と一括されていたCV-A6やCV-A10が、後年には個別に型別されるようになりました。

加えて、新型コロナウイルス流行期の休園、移動制限、接触機会減少と、その解除後の行動変化も、患者年齢、流行時期、周期に影響しています。

したがって、非EV-A71型の構成比が上昇したとしても、それが直ちに非EV-A71型の絶対患者数増加を意味するとは限りません。

中国2008~2024年の総説

2026年の総説では、中国での長期変化として、EV-A71ワクチン導入後にCV-A6、CV-A10、CV-A16、CV-A4の相対的重要性が増したことが整理されました。

分子疫学的には、EV-A71ではC4a、CV-A16ではB1a・B1b、CV-A6ではB2からD3・D4、CV-A10ではDからC、CV-A4ではD2などの系統変化がまとめられています。これらは伝播や流行動態の理解に重要ですが、特定の遺伝子型が個々の患者の重症度を決定するとは限りません。

広西2009~2022年

南中国・広西の長期解析では、EV-A71ワクチン導入後、春の流行ピークが低く長くなり、秋のピークが相対的に遅く高くなる変化がみられました。

従来確認されていた約半年の周期は消失し、年周期は維持されました。

CV-A6を独立型として分類し始めた2018年には8.67%だったCV-A6が、2022年には60.53%を占め、解析株は主としてD3a系統でした。

ただし、2018年前後で病原体分類方法が変化しているため、「CV-A6患者が8.67%から60.53%へ約7倍に増えた」と解釈することはできません。これは、検査確定例における構成比の変化です。

江西省2009~2022年

江西省の538,267例を、ワクチン前、ワクチン後、ワクチン+COVID-19対策期の三期間に分けた研究では、EV-A71の構成比が28%から8%、さらに0.4%へ低下しました。

一方、「その他のエンテロウイルス」は50%から68%、75%へ増加しました。患者年齢は高年齢側へ移動し、とくに5~9歳の割合が増加しました。

流行周期にも変化がみられ、従来の年周期・半年周期から、より長い周期が示唆されています。

同研究は機械学習を用いて2030年までの病原体構成も予測していますが、予測値は観測事実ではありません。接種率、感染対策、検査法、人口行動が変われば、将来の流行構造も変化します。

日本国内でも複数系統が並行していた

長崎県の2016年度サーベイランスでは、CV-A6が手足口病検体から多く検出され、解析可能であった16株は二つの遺伝的クラスターに分かれました。

同一年・同地域であっても、一つの均一なウイルス株だけが流行するのではなく、遺伝的に異なる複数系統が並行して伝播し得ることを示しています。

4.感染成立、受容体、組織親和性

エンテロウイルスは口腔・鼻咽頭から侵入し、咽頭粘膜、扁桃、腸管粘膜、周囲のリンパ組織で初期増殖します。

局所感染が宿主免疫で制御されれば、不顕性感染または軽症で終わります。一部ではウイルス血症が成立し、皮膚、口腔粘膜、筋肉、心筋、中枢神経系へ広がります。[8,31,62]

皮膚・口腔粘膜病変の分布は、ウイルス自体の組織親和性だけでなく、局所免疫応答、サイトカイン、表皮バリア、既存皮膚炎などの宿主要因にも左右されます。

アトピー性皮膚炎や湿疹部へ病変が集中するeczema coxsackiumは、障害された皮膚バリアと局所炎症環境が関与すると考えられます。[27,28,58]

SCARB2は単純な「細胞表面の入口」ではない

EV-A71感染には、SCARB2、PSGL-1、ヘパラン硫酸、シアル化糖鎖など、複数の分子が関与すると考えられてきました。

SCARB2は以前、ウイルスを細胞表面に結合させる主要な受容体として単純に説明されることがありました。

しかし、近年の研究では、EV-A71とSCARB2の重要な相互作用は細胞表面よりも、ウイルスがエンドソーム・リソソームへ取り込まれた後に生じ、酸性環境下でカプシド変化と脱殻を促す役割が中心である可能性が示されています。

したがって、

SCARB2が細胞表面にあるため、EV-A71がそのまま神経へ侵入する

という説明は正確ではありません。

細胞への初期付着、取り込み、エンドソーム移行、SCARB2を介した脱殻、RNA放出、細胞内複製という複数段階で捉える必要があります。

末梢神経を介する逆行性軸索輸送

動物モデルや運動ニューロンモデルでは、EV-A71が末梢神経軸索を逆行性に輸送され、神経細胞体へ到達する経路が示されています。

2022年の研究では、EV-A71が運動ニューロン軸索を逆行性に輸送され、細胞体へ到達して複製する過程が示されました。

2024年のヒト運動ニューロン研究では、EV-A71が運動ニューロンへ選択的に感染・複製し、フェロトーシスを介した神経変性を誘導する可能性が示されています。これは細胞モデルを中心とした知見であり、すべての臨床的神経障害を単独で説明するものではありませんが、EV-A71の運動ニューロン親和性を理解する重要な基礎研究です。

血行性に血液脳関門へ到達する経路、感染免疫細胞を介する経路も研究されており、神経侵入経路は一つではないと考えるのが妥当です。

5.典型的な臨床像

潜伏期間は通常3~5日です。

発熱は必須ではありません。広島市の公的情報では、発熱は患者の約3分の1にみられ、発熱しても38℃以下のことが多いとされています。

したがって、「熱がないから手足口病ではない」とは判断できません。

古典的な皮膚病変は、手掌、手指、手背、足底、足趾、足背、臀部、膝周囲などに生じる、2~3mm程度の紅斑、丘疹、水疱です。

手掌・足底では皮膚紋理に沿った楕円形水疱として見えることがあります。

水痘のように、紅斑、丘疹、水疱、膿疱、痂皮が異なる時相で多数混在するより、比較的同じ時相の病変が出現し、痂皮を形成せず軽快するのが古典的です。

口腔内では、小水疱が形成されても、薄い口腔上皮が咀嚼、舌運動、唾液によって早期に破綻します。

そのため、診察時には「水疱」よりも、浅いびらん、小潰瘍、アフタ様病変、周囲に紅暈を伴う表在性潰瘍として観察されることが多くなります。

乳幼児における臨床上の問題は、皮疹そのものよりも、口腔痛による摂食・飲水障害です。

哺乳拒否、飲水時の啼泣、流涎、尿量減少、長時間おむつが濡れない、涙が減る、口腔乾燥、活気低下は、脱水を示す重要な所見です。

6.CV-A6による非典型的手足口病

CV-A6の臨床的意義は、手足口病の病変分布と形態を大きく拡張したことにあります。

病変は手掌・足底だけでなく、口囲、頬、耳介、頭皮、体幹、四肢近位部、臀部、鼠径部、外陰部、肛門周囲へ広がります。

水疱は大型化し、大疱、出血性水疱、紫斑性病変、びらん、痂皮を形成することがあります。[27,28,58,59]

Eczema coxsackium

アトピー性皮膚炎、乳児湿疹、接触皮膚炎、熱傷など、既存の皮膚バリア障害部位へ手足口病の水疱・びらんが集中する状態をeczema coxsackiumと呼びます。

臨床上の最大の問題は、eczema herpeticumとの鑑別です。

Eczema herpeticumは単純ヘルペスウイルスによる播種性感染であり、発熱、全身状態不良、強い疼痛、比較的均一な水疱、打ち抜き状びらん、急速な拡大、眼周囲病変を伴います。

Eczema coxsackiumは多くが自然軽快するのに対し、eczema herpeticumでは早期の全身抗ウイルス治療が必要です。

免疫不全、乳児、広範病変、重い全身症、眼周囲病変では、入院や静注アシクロビルを含む管理が検討されます。[37–39]

見た目だけで完全に区別できない場合があります。活動性水疱の底や水疱内容液からHSV-PCRを採取しつつ、臨床的疑いが強ければ、検査結果を待つことで治療開始を遅らせない判断が必要です。

大疱型・紫斑型

CV-A6では、1cmを超える水疱や大疱、出血を伴う紫斑性病変が生じることがあります。

この場合、水痘、エムポックス、水疱性膿痂疹、多形紅斑、SJS/TEN、自己免疫性水疱症との鑑別が必要になります。

皮疹が広範だから全身重症とは限りません。一方、皮疹が軽微だから神経合併症がないとも限りません。

皮膚症状の重さと、神経・呼吸・循環の重さを分けて評価することが重要です。

Gianotti–Crosti症候群様分布

四肢伸側、頬、臀部に丘疹が目立ち、体幹が比較的保たれるGianotti–Crosti症候群様分布を示す例があります。

この場合も、病原体型は臨床像だけでは確定できず、他のウイルス性発疹症との鑑別が必要です。

回復後の落屑と爪甲脱落

手掌・足底の落屑は急性期後に出現します。

爪母の一時的な増殖停止によってBeau線が形成され、発症数週から1、2か月後に爪甲脱落へ進むことがあります。

多くは新しい爪が伸びて自然回復します。広島市の公的情報でも、症状消失後1か月以内に一時的な爪甲脱落を伴う場合があると記載されています。

ただし、爪周囲の膿、強い発赤、腫脹、疼痛がある場合は、細菌性二次感染や別の爪疾患を考えます。

7.成人の手足口病

手足口病は乳幼児に多い感染症ですが、成人も感染し、発症します。

成人では過去の感染による部分免疫を持つことが多いため、不顕性感染や軽症で終わることもあります。一方、発症した成人では、小児より咽頭痛、皮膚痛、足底痛、浮腫、皮疹の範囲、回復期間が目立つことがあります。

国内で報告された健康な30歳男性例では、発熱と上気道症状に続いて、第4病日に非常に強い咽頭痛と軟口蓋周囲の小水疱が出現しました。

第5病日には手足・口唇周囲の点状紅斑が明瞭になり、足底の疼痛は「裸足で砂利道を歩いている」ように感じるほど強く、荷重に支障を来しました。

その後、手足に硬性浮腫が現れ、落屑を経て、皮疹消失まで約28日を要しました。

これは一症例であり、すべての成人患者が同じ経過を取るわけではありません。

しかし、成人患者では、強い咽頭痛、荷重困難な足底痛、手足の浮腫、顔面・口周囲・鼠径部・肛門周囲へ広がる病変、長く続く落屑、遅れて現れる爪甲変化を確認する価値があります。

また成人では、手足口病だけでなく、HSV、VZV、二期梅毒、エムポックス、薬疹、多形紅斑、SJS/TENなど、より広い鑑別が必要です。

8.歯科医療者が行う口腔診察

歯科医療者が手足口病を疑う場合、「口内炎があるか」だけを見るのでは不十分です。

必要なのは、病変の形態、部位、左右差、歯肉炎、口腔外皮疹、他粘膜病変、全身状態を統合する診察です。

口唇・口角・口周囲

水疱、びらん、腫脹、出血性痂皮、膿性痂皮を確認します。

CV-A6では口周囲病変が目立つことがありますが、HSV、多形紅斑、SJS/TEN、エムポックスでも口唇・口周囲病変を生じます。

皮疹の形だけでなく、疼痛、薬剤歴、リンパ節腫脹、眼症状、外陰部症状を確認します。

歯肉縁・歯間乳頭

歯肉全体の発赤、浮腫、易出血性、疼痛を確認します。

手足口病でも歯肉に発赤や限局したびらんは生じますが、強いびまん性歯肉炎、歯間乳頭の腫脹、軽い接触での出血は、初感染単純ヘルペス性歯肉口内炎を強く支持します。

口唇粘膜・頬粘膜

小水疱、浅いびらん、小潰瘍、左右差を確認します。

咬傷、鋭縁歯、補綴物、矯正装置による外傷性潰瘍との鑑別では、病変と機械的刺激源の位置関係が重要です。

舌背・舌縁・舌下面

舌では水疱が維持されにくく、浅い潰瘍、紅斑、びらんとして観察されます。

硬結、深い潰瘍、表面不整、接触出血、2週間以上治癒しない病変は、急性ウイルス性口内炎だけで説明せず、腫瘍性病変、免疫性疾患、血液疾患、慢性感染症を含めて評価します。

【赤く、平滑で、痛い舌をどう診るか?萎縮性舌炎から口腔癌まで】

硬口蓋・軟口蓋・口蓋弓・口蓋垂

手足口病の病変は、舌、頬粘膜、口唇粘膜、口蓋など比較的広く分布し得ます。

一方、ヘルパンギーナでは、軟口蓋、前後の口蓋弓、口蓋垂周囲など、口腔後方に小水疱・小潰瘍が集中しやすいことが重要な手掛かりです。

硬口蓋や上顎歯肉に病変が片側性に分布し、正中を越えず、先行する神経痛がある場合は、三叉神経第2枝領域の帯状疱疹を考えます。

扁桃・中咽頭

扁桃腫脹、白苔、膿栓、片側性腫脹、軟口蓋膨隆、口蓋垂偏位、開口障害、含み声、流涎を確認します。

これらがあれば、手足口病やヘルパンギーナよりも、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、アデノウイルス感染、扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍、深頸部感染症を優先して考えます。

口腔外

手掌、手背、指間、足底、足背、臀部、膝、肘、口周囲、耳介、頭皮、湿疹部、外陰部、肛門周囲、眼、爪を確認します。

口腔内だけでは診断できなくても、全身分布を追加することで、鑑別は大きく絞られます。

9.口腔内からの鑑別診断

口腔内鑑別で最初に行うのは、病名を細かく当てることではありません。

まず、

この患者は、手足口病とヘルパンギーナの細かな区別を考えていてよい全身状態なのか。それとも、救急性の高い疾患を先に除外すべきなのか

を判断します。

意識変化、呼吸異常、皮膚痛、表皮剥離、眼症状、多粘膜病変、急速な病変拡大があれば、手足口病として経過観察する前に、重症疾患を考えます。

手足口病とヘルパンギーナ

両者は臨床的に区別されますが、原因ウイルスが重なり、連続的な病像を示します。

ヘルパンギーナでは、突然の発熱、咽頭痛とともに、軟口蓋、口蓋弓、口蓋垂周囲へ小水疱・小潰瘍が集中します。

手足口病では、舌、頬粘膜、口唇粘膜、口蓋など、より広い口腔分布を示し、手掌、足底、臀部などの皮疹を伴います。

ただし、「前方なら手足口病、後方ならヘルパンギーナ」と機械的に分類できるわけではありません。病変の優位部位、皮膚病変、発熱の程度、流行状況を統合します。[30–32]

初感染単純ヘルペス性歯肉口内炎

歯科領域で最も重要な鑑別の一つです。

初感染HSV歯肉口内炎では、高熱、強い口腔痛、口臭、頸部リンパ節腫脹、食事・飲水困難に加え、口腔前方を含む広範な水疱、びらん、潰瘍を生じます。

最大の手掛かりは、びまん性で腫脹し、出血しやすい歯肉炎です。

2025年更新の小児HSV歯肉口内炎ガイドラインでは、治療の中心を鎮痛と水分管理とし、免疫不全児には静注アシクロビルを推奨しています。免疫正常児でも、発症72時間以内で強い疼痛、脱水、新規病変の持続がある場合には、経口アシクロビルを検討するとしています。局所アシクロビルは有効ではありません。

再発性アフタ性口内炎

再発性アフタは、境界明瞭な円形・楕円形潰瘍で、中央に黄白色偽膜、周囲に紅暈を伴います。

可動性の非角化粘膜に反復し、通常は発熱、びまん性歯肉炎、手足の皮疹を伴いません。

外陰部潰瘍、眼症状、皮膚症状、関節症状、消化器症状があれば、Behçet病を考えます。

水痘

水痘では、体幹、頭皮、顔面を中心に、紅斑、丘疹、水疱、膿疱、痂皮が異なる時相で混在します。

古典的手足口病は比較的同じ時相の病変が多く、痂皮を形成しにくい点が異なります。

ただし、CV-A6の大疱型では視診だけでの区別が難しい場合があります。

帯状疱疹

帯状疱疹は、神経支配領域に沿う片側性病変が特徴です。

口腔内では、硬口蓋・上顎歯肉、下顎歯肉・舌などに、正中を越えない水疱・潰瘍を生じます。

先行する神経痛、片側性分布、眼周囲・鼻尖病変が手掛かりです。眼周囲病変があれば、速やかな眼科・皮膚科評価が必要です。

Eczema herpeticum

アトピー性皮膚炎や湿疹部に、比較的均一な水疱、打ち抜き状びらん、痂皮が急速に拡大します。

高熱、全身状態不良、強い疼痛、眼周囲病変があれば緊急性が高く、HSV-PCRと早期の全身抗ウイルス治療が必要です。

Eczema coxsackiumでは、病変がより多形性で、手足口病に一致する口腔・手足病変を伴いやすい傾向があります。しかし、臨床像だけで完全に区別できない例もあります。[37–39]

多形紅斑

多形紅斑は、主にHSVなどの感染を契機とする免疫介在性疾患で、典型的な標的状皮疹と粘膜病変を生じます。

口腔では、口唇腫脹、出血性痂皮、広範なびらんが目立ちます。

2024年の総説では、多形紅斑はSJS/TENとは異なる疾患概念として整理され、典型的標的病変、感染誘発、比較的自然軽快しやすい経過が特徴とされています。[40]

Stevens–Johnson症候群/中毒性表皮壊死症

SJS/TENは、口腔粘膜病変から鑑別すべき最重要救急疾患の一つです。

発熱、倦怠感、皮膚痛、暗赤色斑、水疱、表皮剥離、口唇・口腔・咽頭の出血性びらん、眼症状、外陰部症状、新規薬剤歴を確認します。

2024年のS3ガイドラインでは、原因薬の速やかな中止、全身重症度評価、眼科を含む多診療科管理、必要に応じた高次医療施設への搬送が重視されています。

「口内炎がひどい」という主訴であっても、皮膚痛、多粘膜障害、表皮剥離があれば、歯科で局所処置を続ける病態ではありません。

【薬や局所麻酔のアレルギー歴がある方へ―予約時に伝えていただきたいこと】

Behçet病

Behçet病では、反復する口腔アフタに、外陰部潰瘍、眼症状、皮膚症状、関節症状、消化器症状などが組み合わさります。

今回初めての数日間の口内炎ではなく、何度も繰り返しているか、他臓器症状を伴うかが重要です。

エムポックス

エムポックスでは、疼痛を伴う皮疹、リンパ節腫脹、発熱、咽頭痛、口腔・肛門・性器病変を生じます。

病変は深く、硬く触れることがあり、少数で局所に限局する例もあります。明瞭な発熱やリンパ節腫脹が先行しない症例もあります。

2026年3月には、厚生労働省から「エムポックス診療の手引き第4.0版」が公表され、クレードIa・Ibの疫学、臨床、治療、感染対策などが更新されました。疑った場合は、通常の口内炎診療として処置を継続せず、公的手順に従って保健所または感染症診療部門へ相談します。

自己免疫性水疱症

尋常性天疱瘡や粘膜類天疱瘡では、口腔粘膜病変が皮膚病変に先行することがあります。

数週から数か月持続するびらん、剥離性歯肉炎、眼、鼻、咽頭、外陰部症状が手掛かりです。

臨床診断だけでは確定できず、通常の病理組織検査に加え、直接蛍光抗体法用の適切な粘膜生検が必要です。

2024年の系統的レビューでは、歯肉病変を伴う粘膜類天疱瘡・尋常性天疱瘡における生検部位が検討され、病変周囲の適切な粘膜から質の高い検体を採取する重要性が示されています。

アデノウイルス咽頭結膜熱

高熱、咽頭炎、結膜炎の組み合わせは、アデノウイルス感染を示唆します。

口蓋や咽頭に発赤、点状病変を伴う場合がありますが、手掌・足底の典型的水疱は通常みられません。

結膜充血と強い咽頭炎が同時にみられる場合は、手足口病やヘルパンギーナだけで説明しないことが重要です。

扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍

強い片側性咽頭痛、嚥下痛、流涎、含み声、開口障害、片側軟口蓋膨隆、反対側への口蓋垂偏位は、扁桃周囲膿瘍を疑う所見です。

小児扁桃周囲膿瘍の2024年系統的レビューでは、抗菌薬と切開排膿または穿刺吸引が主要治療として整理されています。

臨床所見のみで膿瘍形成を確定できない場合があり、超音波や造影CTを含む画像診断が必要になることがあります。

これは口内炎の一種ではなく、深頸部感染へ進展し得る耳鼻咽喉科救急疾患です。

10.病原体検査と検体選択

典型的な軽症例は、通常、臨床像と流行状況から診断します。

すべての患者で病原体PCRや型別検査を行う必要はありません。

検査を検討するのは、非典型皮疹、重症例、神経症状、呼吸・循環障害、免疫不全、成人重症例、集団発生、HSV、VZV、エムポックスなどとの鑑別困難例です。国内公的資料では、水疱内容物、咽頭拭い液、便、直腸拭い液からのウイルス分離・遺伝子検出などが病原体診断として示されています。

水疱内容液・水疱底

活動性の新鮮な水疱から採取する検体は、現在の皮膚病変との関連が比較的明確です。

CV-A6非典型例、HSV、VZV、エムポックスの鑑別にも有用です。

病変が乾燥・痂皮化した後では検出感度が低下する可能性があるため、活動性病変を選びます。

咽頭拭い液

発症早期には検出率が高い一方、症状改善後もPCR陽性が持続します。

2026年のCV-A6感染入院小児88例の研究では、咽頭PCR陽性期間の中央値は16日で、ウイルス量は発症初期に高く、その後約5週間にわたり低下しました。[50]

ただし、PCR陽性は、感染可能な生ウイルスの存在や感染力の強さと同義ではありません。

便・直腸拭い液

便は検出感度が高い一方、回復後も数週から数か月陽性となります。

現在の病変の原因、直近の感染、無症状感染、過去感染後の排泄のいずれでも陽性になり得ます。

便PCR陽性だけで、現在の口腔病変の原因型や現在の感染性を断定してはいけません。

髄液

髄膜炎、脳炎、脊髄炎が疑われる場合は髄液検査を行います。

しかし、EV-A71神経合併症では、髄液からウイルスが検出されない例があります。

髄液PCR陰性だけで、EV-A71神経感染症を除外することはできません。咽頭、便などの複数検体、髄液細胞数、蛋白、糖、画像所見、神経学的所見を総合します。[8,28,62–64]

11.重症化は皮疹ではなく、神経・呼吸・循環から判断する

手足口病の重症化評価で、皮疹数や水疱の大きさを中心に考えてはいけません。

CV-A6による大疱が全身へ広がっていても全身状態が保たれる患者がいる一方、EV-A71では皮疹が軽微でも神経症状が進行することがあります。

重症・死亡例を対象としたメタ解析では、傾眠、けいれん、四肢振戦、呼吸困難などが重症化と強く関連し、死亡例ではチアノーゼ、頻脈、嘔吐などとの関連が報告されています。[28]

ただし、これらのオッズ比は、入院・重症集団を対象とした相対指標です。外来患者一人ひとりの絶対重症化確率へ、そのまま適用することはできません。

臨床では、次の変化を重視します。

12.EV-A71脳幹脳炎から神経原性肺水腫へ

EV-A71重症例の病態は、単なるウイルス性髄膜炎ではありません。

延髄、橋、中脳などの脳幹部へ病変が及ぶと、呼吸、心拍、血圧、嚥下、意識、自律神経の調節が破綻します。

初期には、寝入りばなの一瞬のぴくつきと区別しにくいミオクローヌス、振戦、嘔吐、不機嫌、睡眠傾向として始まることがあります。

進行すると、頻脈、血圧上昇・変動、冷汗、四肢冷感、頻呼吸へ移行します。[8,28,30,62–64]

自律神経系の過剰興奮によりカテコラミンが急激に放出され、全身血管収縮、肺循環への血液再分配、肺毛細血管圧上昇、血管透過性亢進、サイトカイン反応、心筋機能障害が重なり、神経原性肺水腫を生じると考えられています。

この段階では、口腔病変や皮疹の評価を続けるのではなく、集中治療が可能な医療機関への迅速な搬送が必要です。

13.遅発合併症と後遺症

爪甲脱落

CV-A6関連例を中心に、発症後数週から1、2か月でBeau線や爪甲脱落がみられます。

通常は自然に新生爪へ置換されます。

爪周囲の膿、発赤、腫脹、強い疼痛がある場合は、二次感染や別の爪疾患を考えます。

神経後遺症

脳幹脳炎、脊髄炎、急性弛緩性麻痺を発症した患者では、筋力低下、歩行障害、嚥下障害、運動発達遅延、認知・行動変化が残ることがあります。

軽症手足口病の後に一般的に生じるものではありませんが、重症神経感染後は長期的な神経・発達評価が必要です。

眼合併症

網膜・脈絡膜炎などの眼合併症が報告されています。

視力低下、変視、暗点、眼痛、眼球運動異常があれば、眼科評価が必要です。

14.再感染―「一度かかったから除外できる」は誤り

手足口病は、異なる血清型によって繰り返し発症します。

CV-A16感染で獲得した免疫が、CV-A6、CV-A10、EV-A71に対して同等の防御を与えるわけではありません。

2026年に公表された中国9研究のメタ解析では、統合再感染率は4.1%、95%信頼区間2.0~6.2%でした。

男児は女児に対して約1.26倍、低年齢児は高年齢児に対して約2.97倍の関連が示され、生活・保育形態による差も解析されています。

一方、研究間異質性はI²=100%と極めて高く、この4.1%を日本の小児や世界全体の普遍的な再感染率として使用することはできません。

臨床診断のみの研究と病原体確定研究、追跡期間、地域、年齢構成、流行型が混在しているためです。

臨床的には、

過去に手足口病へ罹患したことがある

という病歴は、今回の手足口病を否定する材料にはなりません。

15.治療と支持療法

手足口病に対する、一般診療で確立した特異的抗ウイルス薬はありません。

治療は支持療法が中心です。

最も重要なのは、口腔痛を軽減し、水分摂取を維持し、脱水と神経・心肺合併症を見逃さないことです。

口腔痛が強い患者には、少量頻回の飲水を勧めます。

冷ました水、経口補水液、冷たい飲料、ミルク、ゼリー、プリン、ヨーグルト、冷ましたスープなどが摂取しやすい場合があります。

酸味、塩味、香辛料、熱い食品、硬い食品は疼痛を増悪させることがあります。

解熱鎮痛薬は、体温の数字を下げる目的だけでなく、疼痛、睡眠、経口摂取を改善する目的で使用します。

乳幼児では体重に応じた用量管理が必要です。小児のウイルス感染時にはアスピリンを使用しません。

抗菌薬は手足口病ウイルスには無効です。

細菌性咽頭炎、細菌性皮膚二次感染、歯性感染、肺炎などが併存する場合に限って適応を判断します。

アシクロビルは手足口病には使用しません。

初感染HSV歯肉口内炎、eczema herpeticum、帯状疱疹であれば治療が異なるため、口腔・皮膚鑑別が重要です。

16.特に慎重な評価が必要な患者

新生児、若年乳児、免疫不全患者、重い心疾患・呼吸器疾患・神経疾患のある患者、脱水傾向の強い患者は、典型的な軽症手足口病と同じ経過観察だけでは不十分な場合があります。

乳児では、哺乳不良、活気低下、発熱または低体温など、非特異的な症状だけで重症感染が進行することがあります。

免疫不全患者では、エンテロウイルスの排除が遷延し、慢性感染や重症化が問題となり得ます。

妊娠中の手足口病が、直ちに先天異常や流産の増加を意味する明確な根拠はありません。

ただし、分娩直前に母体が非ポリオエンテロウイルス感染を起こした場合、新生児へ伝播する可能性があります。多くは軽症ですが、まれに重症感染を起こします。出産が近い時期に発熱、発疹、口腔病変がある場合は、産科・小児科へ情報共有します。

17.ウイルス排泄期間と感染性を混同しない

手足口病は発症初期に感染性が高いと考えられますが、ウイルス遺伝子は症状消失後も長期間検出されます。

2026年のCV-A6研究では、咽頭PCR陽性期間の中央値は16日でした。

しかし、PCR陽性は、感染可能な完全ウイルス粒子が十分量存在することを意味しません。

便ではさらに長く、数週から数か月にわたってウイルス遺伝子が検出される場合があります。

広島市の公的情報でも、症状回復後2~4週間にわたり便中へウイルスが排泄されると説明されています。

したがって、PCR陰性になるまで登園禁止、便中排泄が終わるまで歯科受診禁止という運用は合理的ではありません。

18.登園・登校の判断

こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン」では、手足口病の登園の目安を、

発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事が取れること

としています。

皮疹の完全消失、爪の回復、便PCR陰性は登園条件ではありません。ウイルス排泄が長期に続くため、完全に排泄が止まるまで隔離することは現実的ではなく、感染拡大防止効果も限定的です。

実際には、解熱しているか、元気が戻っているか、口腔痛のため食事が取れない状態ではないか、普段に近い食事が取れるか、強い嘔吐や下痢がないか、集団生活へ参加できる状態かを確認します。

施設独自の運用や、集団発生時の保健所指導がある場合は、それに従います。

19.感染管理―ノンエンベロープウイルスとアルコール

エンテロウイルスはエンベロープを持たず、一般にエンベロープウイルスより、一部のアルコール製剤への感受性が低い傾向があります。

しかし、「アルコール消毒は完全に無効」と一律に表現するのも正確ではありません。

CDCは、60~80%のエタノールが一部のエンテロウイルスを含む親水性ウイルスに活性を示す一方、イソプロパノールは非脂質性エンテロウイルスへの活性が乏しいと説明しています。製剤、濃度、接触時間、有機物、対象ウイルスによって効果が異なります。

便、唾液、鼻汁、水疱内容物など、有機物に触れた後は、石けんと流水による手洗いが重要です。

医療機関では標準予防策をすべての患者へ適用し、乳幼児、失禁患者、おむつ使用児では、便や唾液への接触リスクを踏まえて接触予防策を強化します。CDCの隔離予防策でも、乳幼児・小児のエンテロウイルス感染や、失禁・おむつ使用患者を含むウイルス性消化管感染で接触予防策が示されています。

環境消毒は、製品の添付文書、適用ウイルス、必要な接触時間に従い、非エンベロープウイルスへの有効性が確認された製品を選択します。

20.歯科医院における診療判断

手足口病について、「発症後何日間は歯科診療禁止」という全国一律の規則はありません。

診療の可否は、感染症名だけでなく、全身状態、口腔痛、飲水、診療協力度、処置の緊急性から判断します。

選択的処置を延期する状態

発熱、強い口腔痛、飲水・食事摂取不良、脱水、強い流涎、活気低下、通常の診療姿勢を保てない状態、口腔病変が広範で器具接触により疼痛や出血が増える状態では、定期検診、クリーニング、急がない修復処置、印象採得などを延期します。

これは感染対策だけが理由ではありません。

口腔粘膜の疼痛、開口を続ける負担、脱水、協力困難な状態で処置を行うこと自体が安全ではないからです。

緊急歯科処置

強い歯痛、顔面腫脹、歯性感染、外傷、持続出血、補綴物・矯正装置による粘膜損傷がある場合は、手足口病とは別に緊急性を評価します。

必要な処置を最小限に絞り、標準予防策を徹底します。

【強い歯の痛みがあるとき、予約時に伝えていただきたいこと】

医科紹介を優先する状態

傾眠、けいれん、反復ミオクローヌス、振戦、反復嘔吐、ふらつき、四肢脱力、頻脈、冷汗、四肢冷感、呼吸異常、脱水、多粘膜病変、皮膚痛、表皮剥離、眼症状がある場合は、歯科処置を行わず、医科評価を優先します。

来院前連絡

手足口病が疑われる、家族・保育施設で流行している、本人に発熱・口腔痛がある場合は、来院前に電話、WEB予約時の備考、または公式LINEで連絡していただく運用が合理的です。

当院では、緊急性、予約延期、待機方法、診療時間、医科受診の必要性を事前に調整します。

これは全国一律の法的規則ではなく、ブランデンタルクリニックにおける医療安全上の運用です。

21.EV-A71ワクチンの実社会効果

EV-A71ワクチンは、EV-A71による手足口病と重症化を減少させます。

しかし、CV-A6、CV-A16、CV-A10などによる手足口病を防ぐものではありません。

系統的レビュー・メタ解析

2024年の系統的レビューでは、実社会における1回接種の有効率が66.9%、2回接種が84.2%と報告され、2回接種の方が高い予防効果を示しました。[21]

2025年の試験陰性デザイン研究を統合したメタ解析では、2回接種のEV-A71関連手足口病に対する有効率は84.3%、95%信頼区間75.2~90.0%でした。

重症EV-A71関連手足口病に対する有効率は90.0%、非重症例では76.5%と推定されています。ただし、研究間の追跡期間、対象年齢、接種率には差があります。

中国全国の実社会研究

2025年の中国全国規模の実社会研究では、2017~2018年に約297,946例のEV-A71関連手足口病が回避されたと推定されました。

これは人口レベルの効果を評価した研究であり、個人の接種後発症確率と同義ではありません。

江蘇省の2026年研究

江蘇省の2012~2019年、932,274例を対象とした反実仮想時系列研究では、2017~2019年に30,117例のEV-A71関連手足口病が回避されたと推定されました。

相対減少率は45.55%でしたが、95%信用区間は-5.19%から72.22%と広く、3年間全体の推定には不確実性があります。

年度別では、2017年-1.03%、2018年55.54%、2019年82.28%と、接種普及とともに推定効果が増加しました。

年齢別では、0~2歳48.09%、3~4歳57.68%、4歳超16.75%であり、3~4歳で最大の減少が推定されました。ただし、年齢別接種率、自然免疫、接触行動などが交絡する可能性があります。

この研究は、個々の接種歴を追ったコホート研究ではなく、ワクチンが存在しなかった場合の患者数をモデルで予測した生態学的時系列研究です。

したがって、45.55%を個人レベルのワクチン有効率として扱ってはいけません。

2026年の第III相試験

台湾・ベトナムで行われた無作為化二重盲検第III相試験では、2~71か月の4,011人がワクチン群とプラセボ群へ3対2で割り付けられました。

有効性解析対象3,733人において、検査確定EV-A71関連手足口病・ヘルパンギーナはワクチン群1例、プラセボ群70例でした。

推定ワクチン有効率は99.2%、95%信頼区間94.3~99.9%でした。

非常に強い結果ですが、これはEV-A71単価ワクチンの有効性です。

手足口病全体への99.2%の有効性ではなく、CV-A6、CV-A16、CV-A10による手足口病は防ぎません。

2026年7月現在、日本国内で承認された手足口病ワクチンはありません。海外の研究結果と、日本国内で接種可能かどうかを分けて説明する必要があります。

22.多価ワクチン開発と規制科学

EV-A71単価ワクチンだけでは、非EV-A71型が主流となる流行へ十分対応できません。

そのため、EV-A71+CV-A16の2価、EV-A71+CV-A6+CV-A10の3価、EV-A71+CV-A16+CV-A6+CV-A10の4価候補が研究されています。

ウイルス様粒子、組換え蛋白、遺伝子ワクチンなど、複数のプラットフォームが検討されています。[57]

多価ワクチンは、単純に複数抗原を混合すれば完成するわけではありません。

抗原間干渉、各型への中和抗体価、抗原量、製造安定性、交差反応、免疫持続、安全性を評価する必要があります。

CV-A10中和抗体測定の標準化

2026年の研究では、CV-A10ワクチン臨床試験で使用する中和抗体測定系を標準化するため、検出株S105と中国国家標準品を用いた多施設検証が行われました。

標準化によって施設間変動が低下し、多価ワクチン候補の免疫原性を比較する基盤が整備されました。[18]

これはワクチンの有効性を示す臨床試験ではありません。

しかし、多価ワクチン開発が、「動物で抗体ができた」という前臨床段階から、臨床試験と規制評価の段階へ進みつつあることを示す重要な研究です。

23.気象・環境・空間疫学をどう読むか

手足口病は高温期に増えるため、「高温多湿で増える」と単純に説明されることがあります。

しかし、2026年に公表された複数の研究は、気象と発生の関係が、病原体型、都市、地域環境によって異なり、非線形かつ遅延性を持つことを示しています。[13–17]

福建省2017~2020年

福建省の261,434例を解析した研究では、検査確定例のうちCV-A16が約74%、EV-A71が約26%でした。

流行は6月と9~10月の二峰性を示し、気温、湿度、気圧の関連は都市と病原体によって異なりました。

低い平均気温が短期的に発生を促進した地域や、その後の患者減少を伴うharvesting effectも示されました。

ここから分かるのは、「気温が高いほど一方向に増える」のではなく、病原体型と地域条件により、U字、逆U字、閾値、遅延効果が異なるということです。

降水パターン

貴州省2012~2019年の524,100例を対象とした研究では、総降水量だけでなく、雨が短期間に集中するか、複数日に分散するかという降水パターンが解析されました。

高リスク降水パターンの統合相対リスクは1.026と小さい一方、疾病負担として約20.92 YLDが降水パターンへ帰属すると推定されました。[15]

この結果は、降雨が手足口病を直接発生させることを証明するものではありません。生態学的関連であり、雨天時の屋内密集、保育行動、環境中のウイルス安定性など、複数の経路が考えられます。

重症例の空間クラスター

山東省2013~2023年の763,191例では、17,212例、2.32%が重症例として分類されました。

重症例は一般例よりも明確な空間集積を示し、高リスク地域は西部から東部へ移動しました。

気温、湿度、降水との関連も解析されていますが、中国山東省の気象閾値を、そのまま広島へ適用することはできません。

熱波、大気汚染、緑地

西中国88県、484,928例の研究では、気温と発生リスクはJ字型を示し、27.3℃で相対リスク2.01と推定されました。

高温時の影響は、熱波の多い地域ではRR 3.17、PM2.5の高い地域ではRR 3.05まで増幅されました。

寒波、PM10、オゾン、緑地量も地域差の修飾因子となっていました。

ただし、これらは個人の発症機序を直接証明する研究ではありません。

大気汚染粒子がウイルスを直接運搬した、緑地が感染を直接防いだ、という因果を証明したものでもありません。

気象研究の臨床的価値は、個人診断よりも、地域サーベイランス、流行予測、保育施設・医療資源の準備にあります。

24.保護者教育におけるknowledge–practice gap

感染対策では、知識を伝えれば行動が変わるとは限りません。

2026年にインドで5歳未満児の母親400人を対象として行われた横断調査では、75%が一定水準以上の知識を持っていた一方、十分な予防行動を実践していたのは18%でした。[19]

単一地域の便宜抽出調査であり、日本の保護者へ数値を一般化することはできません。

それでも、手洗い、タオル共用回避、おむつ処理、口腔痛時の水分管理、重症化サインを、単なる知識ではなく具体的行動へ変換する必要性を示しています。

「手洗いをしてください」だけでは不十分です。

いつ、誰が、どの場面で、石けんと流水を使うのか、兄弟間で何を共用しないのか、尿量をどう観察するのか、どの症状で再受診するのかまで具体化する必要があります。

25.重症手足口病の疾病負担

手足口病の重症化は、死亡率だけで評価すべきではありません。

重症患者では、集中治療、長期入院、神経後遺症、リハビリテーション、保護者の休業、家族の心理的負担が生じます。

江蘇省の重症例を対象とした疾病負担研究では、1,348,737例中9,622例が重症例、62例が死亡例として把握され、直接医療費、家族の休業、生活の質低下が大きいことが示されました。[55]

中国の医療費を日本円へ単純換算することはできません。

しかし、重症化予防の価値を、患者数や死亡数だけでなく、集中治療、後遺症、家族・社会の負担まで含めて評価する必要があることを示しています。

EV-A71ワクチンの価値も、軽症患者数の減少だけでなく、重症例、集中治療、死亡、後遺症の回避という観点で評価すべきです。

26.サーベイランス研究の限界

中国を中心とする手足口病研究は、数十万から数百万例の大規模データを提供しています。

一方、結果を日本へ適用する際には、研究デザイン上の限界を明確にしなければなりません。

中国では手足口病が法定報告疾患として全国ネットワークで集積され、重症・死亡例は病原体検査が重点的に行われます。

軽症例は一定数の抽出検査であり、すべての患者が型別されるわけではありません。

そのため、重症例由来株の割合を、感染者全体の重症化率と解釈することはできません。

病原体分類は時期によって変わり、過去の「その他エンテロウイルス」にCV-A6、CV-A10が含まれている場合があります。

ワクチン導入と同時に、検査法、接種率、人口移動、保育環境、COVID-19対策が変わるため、ワクチンのみの因果効果を完全に分離することは困難です。

気象・大気汚染研究は生態学的研究であり、地域平均と個人の発症を同一視できません。

機械学習による予測値は、将来の観測事実ではありません。

医療従事者向けの記事では、研究結果の数値だけでなく、その研究デザインが何を証明でき、何を証明できないかまで示す必要があります。[9–19,56]

27.歯科医療者が口腔から全身感染症を診る意義

歯科医院を訪れる患者の主訴は、「口内炎が痛い」「歯肉が腫れている」「舌が痛い」「食事ができない」という局所症状かもしれません。

しかし、口腔病変は、全身感染症、皮膚粘膜疾患、免疫疾患、薬剤有害反応、深頸部感染症の一部として現れます。

歯科医師は、口腔内を詳細に観察できる医療者です。

だからこそ、病変へ軟膏を塗る、刺激源を除去するという局所処置だけで診療を終えてはいけません。

歯肉炎がびまん性か、病変が口腔前方か後方か、片側性か、皮膚病変があるか、眼・外陰部病変があるか、新規薬剤があるか、意識・呼吸・循環・飲水に異常がないかを確認します。

手足口病の大部分が軽症であることと、重症例を見逃してよいことは同じではありません。

流行期だから何でも手足口病と診断せず、手掌・足底疹がないから否定もしない。

病変分布、歯肉所見、全身状態、時間経過、疫学情報を統合し、必要な患者を小児科、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科、感染症科、救急医療へつなぐことが、歯科医療者の役割です。

参考文献

  1. 国立健康危機管理研究機構.IDWR 2026年第26号〈注目すべき感染症〉手足口病・ヘルパンギーナ.2026.
  2. 広島市感染症情報センター.最近5週間の報告状況(週報対象疾患).2026.
  3. 広島県感染症・疾病管理センター.「手足口病警報」を発令しています.2026.
  4. 国立健康危機管理研究機構.手足口病.感染症情報提供サイト.2025.
  5. 厚生労働省.手足口病.
  6. 広島市.感染症情報/手足口病.2026.
  7. こども家庭庁.保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版、2023年5月一部改訂・7月一部修正).
  8. Zhu P, Ji W, Li D, et al. Current status of hand-foot-and-mouth disease. J Biomed Sci. 2023;30:15. doi:10.1186/s12929-023-00908-4.
  9. Yu L, Zhao H, Zhao X, et al. Epidemiological shifts in coxsackievirus A-induced hand, foot, and mouth disease in China, 2008–2024. Expert Rev Vaccines. 2026. doi:10.1080/14760584.2026.2652927.
  10. Hou Y, Chen H, Jiang Y, et al. Shifting epidemiological patterns and strain replacement of hand, foot, and mouth disease in southern China, 2009–2022: a longitudinal study. PLoS One. 2026;21(1):e0341302. doi:10.1371/journal.pone.0341302.
  11. Hu J, Yu Y, et al. Dynamic changes of hand, foot, and mouth disease epidemic crossing three periods in Jiangxi Province, China: a long-term epidemiology retrospective study from 2009 to 2022. BMC Infect Dis. 2026;26:429. doi:10.1186/s12879-026-12705-z.
  12. Tong Y, Fan H, Wang J, et al. Population-Level Impact of the Enterovirus A71 Vaccination Program on Hand, Foot, and Mouth Disease: Ecological Time-Series Study. JMIR Public Health Surveill. 2026;12:e85604. doi:10.2196/85604.
  13. Ge A, Cui W, Qu S, et al. A Meta-Analysis of Influencing Factors for Reinfection of Hand, Foot and Mouth Disease in China, Based on Adjusted Effect Estimates. Pathogens. 2026;15(1):50. doi:10.3390/pathogens15010050.
  14. Fan Q, et al. Impact of meteorological factors on the incidence of hand, foot, and mouth disease caused by major enterovirus pathogens: a distributed lag nonlinear analysis in Fujian Province, China. BMC Infect Dis. 2026;26:134. doi:10.1186/s12879-025-12388-y.
  15. Xi X, et al. Impact of precipitation patterns on hand, foot, and mouth disease risk in Southwest China. BMC Public Health. 2026;26:375. doi:10.1186/s12889-025-26035-3.
  16. Xu X, Wang J, Sun H, et al. West-to-East transmission clusters and meteorological associations for severe hand foot and mouth disease in Shandong Province: a geospatial and GAM analysis. BMC Public Health. 2026;26:407. doi:10.1186/s12889-025-25994-x.
  17. Sun J, Yao G, Gu J, et al. Spatial heterogeneity in the temperature–hand, foot, and mouth disease association among children: a multicounty time-series study in western China. PLoS Negl Trop Dis. 2026;20(1):e0013801. doi:10.1371/journal.pntd.0013801.
  18. Wang Y, et al. Standardized neutralizing antibody assay for Coxsackievirus A10 in clinical trial. Hum Vaccin Immunother. 2026. doi:10.1080/21645515.2026.2637301.
  19. Dhanya VJ, Jacob J, Krishnapriya K, et al. Mothers’ knowledge and preventive practices on hand, foot and mouth disease: a cross-sectional study in Bhubaneswar, India. Int J Afr Nurs Sci. 2026;25:101045. doi:10.1016/j.ijans.2026.101045.
  20. Hwang KP, Luong QC, Huang YC, et al. A randomised trial of a bioreactor-produced EV-A71 vaccine for endemic control in children. npj Vaccines. 2026. doi:10.1038/s41541-026-01396-x.
  21. Hu Q, et al. Effectiveness of Enterovirus A71 Vaccine and Its Impact on the Epidemiological Characteristics of Hand-Foot-Mouth Disease. Vaccines. 2024;12:1028. doi:10.3390/vaccines12091028.
  22. Yan X, et al. The efficacy and effectiveness of enterovirus A71 vaccines against hand, foot, and mouth disease: a systematic review and meta-analysis. PLoS One. 2025:e0323782. doi:10.1371/journal.pone.0323782.
  23. Liu Y, et al. Effectiveness of the enterovirus A71 vaccine on hand, foot, and mouth disease: a real-world study in China. Clin Microbiol Infect. 2025;31(2):258–265.
  24. Hong J, Liu F, Qi H, et al. Changing epidemiology of hand, foot, and mouth disease in China, 2013–2019: a population-based study. Lancet Reg Health West Pac. 2022;20:100370. doi:10.1016/j.lanwpc.2021.100370.
  25. Liu F, et al. Epidemiology of hand, foot, and mouth disease outbreaks before and during availability of enterovirus A71 vaccine in mainland China, 2011–2023. Lancet Reg Health West Pac. 2025:101603.
  26. Li J, et al. Epidemiological and etiological characteristics of hand, foot, and mouth disease in Guizhou Province, China, 2008–2023. PLoS Negl Trop Dis. 2025:e0013394.
  27. Lu H, Xiao J, Wang W, et al. Evolutionary Diversity of Coxsackievirus A6 Causing Severe Hand, Foot, and Mouth Disease—China, 2012–2023. China CDC Wkly. 2024;6(20):442–449. doi:10.46234/ccdcw2024.086.
  28. Chen Y, et al. Arising Concerns of Atypical Manifestations in Patients with Hand, Foot, and Mouth Disease. Vaccines. 2023;11:405. doi:10.3390/vaccines11020405.
  29. Fukuchi Y. Adult-onset Hand, Foot, and Mouth Disease. 日本プライマリ・ケア連合学会誌. 2023;46(2):84–85. doi:10.14442/generalist.46.84.
  30. 山下信子.手足口病の合併症.岡山医学会雑誌. 2012;124:83–85.
  31. 細矢光亮.小児のエンテロウイルス感染症.環境感染誌. 2017;32:344–352.
  32. 池田稔,丹羽秀夫.口腔病変の診断と治療.日本耳鼻咽喉科学会会報. 2012.
  33. 松本文昭,他.エンテロウイルスの検出状況(2016年度).長崎県環境保健研究センター所報.
  34. Ohka S, Tan SH, Kaneda S, Fujii T, Schiavo G. Retrograde axonal transport of poliovirus and EV71 in motor neurons. Biochem Biophys Res Commun. 2022;626:72–78. doi:10.1016/j.bbrc.2022.08.015.
  35. Nishimura Y, et al. Enterovirus A71 does not meet the uncoating receptor SCARB2 at the cell surface. PLoS Pathog. 2024;20:e1012022. doi:10.1371/journal.ppat.1012022.
  36. Chooi WH, Zeng Y, Lee CP, et al. Enterovirus-A71 preferentially infects and replicates in human motor neurons, inducing neurodegeneration by ferroptosis. Emerg Microbes Infect. 2024;13:2382235. doi:10.1080/22221751.2024.2382235.
  37. Royal Children’s Hospital Melbourne. Clinical Practice Guidelines: HSV Gingivostomatitis. Updated November 2025.
  38. Perth Children’s Hospital. Emergency Department Guideline: Herpes Stomatitis.
  39. Martínez-Ortega JI, Franco González S. Eczema Herpeticum: Clinical Insights and Pathogenesis Hypotheses on Basolateral Adhesion Proteins. Cureus. 2024;16:e66932. doi:10.7759/cureus.66932.
  40. Kechichian E, Dupin N, Wetter DA, et al. Erythema multiforme. EClinicalMedicine. 2024;77:102909.
  41. Heuer R, Paulmann M, Annecke T, et al. S3 guideline: Diagnosis and treatment of epidermal necrolysis—Part 1: Diagnosis, initial management, and immunomodulating systemic therapy. J Dtsch Dermatol Ges. 2024;22:1448–1466. doi:10.1111/ddg.15515.
  42. Shah H, Parisi R, Mukherjee E, Phillips EJ, Dodiuk-Gad RP. Update on Stevens–Johnson Syndrome and Toxic Epidermal Necrolysis: Diagnosis and Management. Am J Clin Dermatol. 2024;25:891–908.
  43. 厚生労働省.エムポックス 診療の手引き 第4.0版.2026.
  44. World Health Organization. Mpox: Clinical features, diagnosis and management guidance.
  45. Dridi SM, et al. Oral biopsy in mucous membrane pemphigoid and pemphigus vulgaris with gingival expression: the optimal site. A systematic review and meta-analysis. BMC Oral Health. 2024;24:1093. doi:10.1186/s12903-024-04853-y.
  46. Davis G, et al. The management of pemphigus vulgaris and mucous membrane pemphigoid in a joint oral medicine and dermatology clinic: a five-year narrative review. Br Dent J. 2024;236:311–316. doi:10.1038/s41415-024-7074-8.
  47. Galluzzi F, Garavello W. Treatment of Peritonsillar Abscess in Children: A Systematic Review. J Clin Med. 2024;13:7361. doi:10.3390/jcm13237361.
  48. Voruz F, et al. Diagnosis of Peritonsillar Abscess—A Prospective Study Comparing Clinical with CT Findings in 133 Consecutive Patients. Diagnostics. 2025;15:228. doi:10.3390/diagnostics15020228.
  49. Centers for Disease Control and Prevention. Clinical Overview of Adenovirus.
  50. Meng J, et al. Viral shedding dynamics in children with Coxsackievirus A6 hand, foot, and mouth disease. BMC Med. 2026;24:334. doi:10.1186/s12916-026-04872-2.
  51. Centers for Disease Control and Prevention. Clinical Overview of Non-Polio Enterovirus.
  52. Centers for Disease Control and Prevention. Chemical Disinfectants: Guideline for Disinfection and Sterilization in Healthcare Facilities.
  53. Centers for Disease Control and Prevention. Appendix A: Type and Duration of Precautions Recommended for Selected Infections and Conditions.
  54. Centers for Disease Control and Prevention. About Non-Polio Enteroviruses: Pregnancy and Infection. Updated 2024.
  55. Han Y, et al. Disease burden in patients with severe hand, foot, and mouth disease in Jiangsu Province. Hum Vaccin Immunother. 2022;18:2049168. doi:10.1080/21645515.2022.2049168.
  56. Huang CY, et al. A review of enterovirus-associated hand-foot-and-mouth disease surveillance strategies and frameworks. Pathog Glob Health. 2024. doi:10.1080/20477724.2024.2400424.
  57. Zhang Z, et al. Prospects and challenges of multivalent vaccines against hand, foot, and mouth disease. Int J Mol Sci. 2023;24:169. doi:10.3390/ijms24010169.
  58. Lott JP, Liu K, Landry ML, et al. Atypical hand-foot-and-mouth disease associated with coxsackievirus A6 infection. J Am Acad Dermatol. 2013;69:736–741.
  59. Fujimoto T, Iizuka S, Enomoto M, et al. Hand, Foot, and Mouth Disease Caused by Coxsackievirus A6, Japan, 2011. Emerg Infect Dis. 2012;18:337–339. doi:10.3201/eid1802.111147.
  60. World Health Organization Regional Office for the Western Pacific. A Guide to Clinical Management and Public Health Response for Hand, Foot and Mouth Disease. 2011.
  61. Solomon T, Lewthwaite P, Perera D, Cardosa MJ, McMinn P, Ooi MH. Virology, epidemiology, pathogenesis, and control of enterovirus 71. Lancet Infect Dis. 2010;10:778–790.
  62. Xing W, Liao Q, Viboud C, et al. Hand, foot, and mouth disease in China, 2008–12: an epidemiological study. Lancet Infect Dis. 2014;14:308–318.
  63. Chan LG, Parashar UD, Lye MS, et al. Deaths of children during an outbreak of hand, foot, and mouth disease in Sarawak, Malaysia: clinical and pathological characteristics. Clin Infect Dis. 2000;31:678–683.
  64. Mao Q, Wang Y, Bian L, Xu M, Liang Z. EV-A71 vaccine licensure: a first step for multivalent enterovirus vaccine to control HFMD and other severe diseases. Emerg Microbes Infect. 2016;5:e75.
  65. Nguyen TT, Chiu CH, Lin CY, et al. Efficacy, safety, and immunogenicity of an inactivated, adjuvanted enterovirus 71 vaccine in infants and children: a multiregion, double-blind, randomised, placebo-controlled phase 3 trial. Lancet. 2022;399:1708–1717.
  66. Zhu FC, Meng FY, Li JX, et al. Efficacy, safety, and immunology of an inactivated alum-adjuvant enterovirus 71 vaccine in children in China: a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled phase 3 trial. Lancet. 2013;381:2024–2032.

TOP