2026年8月03日

(受付さんの備忘録)

はじめに
「整形外科で、骨粗鬆症の注射を始める前に歯医者へ行くように言われました。痛い歯はないのですが、何の予約を取ればよいですか?」
受付には、ときどきこのようなお問い合わせがあります。
医科で突然「薬を始める前に歯科を受診してください」と言われると、
「虫歯が見つかったら、注射を始められないの?」
「歯を抜かなければいけないの?」
「歯科で許可をもらうということ?」
「総入れ歯でも受診が必要なの?」
「薬の名前が分からないと予約できない?」
と、さまざまな疑問が浮かぶと思います。
骨粗鬆症の薬・注射を始める前の歯科受診は、骨粗鬆症治療を止めるためのものでも、歯科から「薬を使ってよい」という許可をもらうためのものでもありません。
口の中に治療が必要な感染や炎症がないか、近いうちに抜歯などの処置が必要になりそうな歯がないかを確認し、骨折を防ぐ治療と口の健康を安全に両立させるための受診です。
今回は、骨粗鬆症の薬や注射を始める前に歯科受診を勧められた方へ、予約時に受付へ伝えていただきたいこと、受診時の持ち物、歯科で確認する内容についてご案内します。
骨粗鬆症の薬を始める前に歯科受診を勧められるのはなぜ?
骨粗鬆症は、骨の量や質が低下し、転倒などをきっかけに骨折しやすくなる病気です。
特に背骨や太ももの付け根の骨折は、日常生活や歩行能力に大きく影響することがあります。そのため、飲み薬、注射、点滴などを使って骨折を予防する治療が行われます。
骨粗鬆症の治療に使われる一部の薬では、頻度は高くありませんが、顎の骨に炎症や壊死が生じる「薬剤関連顎骨壊死」が報告されています。英語の頭文字から、MRONJと呼ばれることもあります。
「顎骨壊死」という言葉だけを見ると、とても怖い印象を受けるかもしれません。
しかし、骨粗鬆症の薬を使った方に必ず起こるものではありません。また、薬だけが原因になるわけでもありません。
発症には、次のような口の中の状態も関係すると考えられています。
- 進行した歯周病
- 歯の根の先にある感染
- 保存が難しいほど進行した虫歯
- 顎の骨の炎症
- インプラント周囲炎
- 口腔清掃状態の悪化
- 合わない入れ歯による繰り返しの傷
そこで、骨粗鬆症治療を始める前に口の中を確認し、治療が必要な部分があれば、骨粗鬆症治療の開始時期も考慮しながら適切に対応します。

すべての骨粗鬆症の薬が同じように顎の骨へ影響するわけではありません
骨粗鬆症には、さまざまな治療薬があります。
骨が壊される働きを抑える薬、骨をつくる働きを促す薬、カルシウムやビタミンDに関係する薬などがあり、すべての薬が同じように薬剤関連顎骨壊死と関係するわけではありません。
そのため、
「骨粗鬆症の薬だから危険」
「飲み薬だから大丈夫」
「注射だから必ず問題になる」
と、薬の見た目や投与方法だけで判断することはできません。
歯科では、できるだけ正確な薬剤名と投与目的を確認します。
患者さんが覚えている範囲では、
「半年に一度、病院で受ける注射です」
「月に一度飲む薬です」
「骨折後に始めると言われました」
という情報だけでも構いません。
薬の名前が分からない場合には、説明書や予約票などを確認しながら整理します。
歯科受診は「薬を始めてもよいという許可」をもらうためではありません
医科から歯科受診を勧められると、「歯医者で問題なしと言われるまで、薬を始められない」と受け取ってしまう方がいます。
しかし、歯科受診の目的は、単純な合格・不合格の判定ではありません。
歯科では主に、
- 現在、口の中に感染や炎症がないか
- 近いうちに抜歯が必要になりそうな歯がないか
- 通常の虫歯治療や歯周病治療で安定させられるか
- 骨粗鬆症治療と並行して治療できるか
- 薬の開始時期について処方医との相談が必要か
- 薬の開始後も継続して口腔管理できるか
を確認します。
小さな虫歯が一本見つかったからといって、必ず骨粗鬆症治療を延期するわけではありません。
クリーニング、歯石除去、通常の虫歯治療、入れ歯の調整などは、骨粗鬆症治療と並行して行える場合があります。
一方で、歯ぐきの腫れや膿がある歯、強くぐらついている歯、根の周囲に大きな感染がある歯などが見つかった場合には、どの治療を先に行うかを検討します。
歯科が一方的に骨粗鬆症治療の開始可否を決めるのではなく、口の中の状態と骨折の危険性の両方を見ながら、歯科医師と処方医が必要な情報を共有することが大切です。
「抜歯をすると危険」というだけの話ではありません
以前は、「骨粗鬆症の薬を飲んでいる人が抜歯すると、顎骨壊死になる」という説明が強く印象づけられていました。
しかし現在は、抜歯という処置だけでなく、抜歯が必要になるほど進行した歯周病や根の感染が長く残っていることも重要な要因と考えられています。
歯周病で骨の支えを大きく失った歯や、根の先に大きな感染がある歯では、抜歯をする前から周囲の顎骨に炎症が広がっている場合があります。
そのような歯を「抜かないほうが安全」と考えて放置すると、感染がさらに進行する可能性があります。
つまり、薬を使用する予定があるからといって、抜歯を何としても避けることが正解とは限りません。
抜歯をしないための受診ではなく、必要な治療を適切な時期に行うための受診です。
一方で、骨粗鬆症の薬を使用するという理由だけで、残せる歯まで予防的に抜くわけでもありません。
歯を保存できるか、抜歯が必要かは、虫歯や歯周病の進行度、根の状態、周囲の骨、今後の見通しなどを調べたうえで判断します。
詳しくは、抜歯か保存かを判断するときに歯科医師が確認していることもご覧ください。

結局、何の予約を取ればよいですか?
骨粗鬆症治療開始前の確認は、クリーニングだけの予約ではなく、まず歯科医師が薬剤情報と口の中の状態を確認する診察としてご予約をお取りします。
初めてブランデンタルクリニックを受診される方は、初診としてご予約ください。
現在通院中の方は、治療中の内容やメインテナンスの状況に合わせて予約枠を調整します。
予約時には、
「骨粗鬆症の薬・注射を始める前の歯科確認を希望しています」
とお伝えください。
「骨粗鬆症の薬について相談したい」とだけお伝えいただいても構いませんが、開始予定日や現在の症状が分かる場合は、一緒にお知らせいただくと予約枠を調整しやすくなります。
薬の名前が分からなくても予約できます
薬剤名を覚えていないからといって、歯科予約ができないわけではありません。
予約時には、
「整形外科で、骨粗鬆症の注射を始める前に歯科受診を勧められました」
とお伝えください。
受診時には、薬剤名を確認できるものをお持ちいただきます。
特に病院内で受けた注射や点滴は、お薬手帳へ記載されていないことがあります。
お薬手帳に書かれていなくても、注射や点滴を受ける予定があること、またはすでに受けていることを歯科へお知らせください。

予約時に受付へ伝えてほしいこと
予約時に、すべての情報がそろっていなくても構いません。
分かる範囲で、次の内容をお知らせください。
薬や注射について
- これから骨粗鬆症治療を始めるのか
- すでに薬を使用しているのか
- 薬や注射の名前
- 飲み薬、自己注射、病院での注射、点滴のどれか
- 治療開始予定日
- すでに注射中であれば前回の注射日
- 次回の注射予定日
- 処方している病院と診療科
- 医科から期限を指定されているか
歯や口の症状について
- 歯や顎の痛み
- 歯ぐきや顔の腫れ
- 歯ぐきから膿が出る
- 歯がぐらついている
- 入れ歯が当たって傷になっている
- 抜歯した部分がなかなか治らない
- 唇や顎の周囲にしびれがある
- 歯ぐきから骨のような硬いものが見える
- 抜歯やインプラント手術を予定している
全身状態やこれまでの治療について
- 最後に歯科を受診した時期
- 現在治療中の歯があるか
- かかりつけ歯科があるか
- 他院で抜歯を勧められている歯があるか
- 糖尿病や人工透析の有無
- ステロイド薬を使用しているか
- がん治療を受けているか
- 喫煙習慣があるか
- 抗血栓薬など、ほかの薬を使用しているか
予約時にすべてを詳しく聞き取れない場合は、受診時の問診で確認します。

受付への伝え方の例
電話や公式LINEでは、次のようにお伝えいただくと分かりやすくなります。
「整形外科で、骨粗鬆症の注射を始める前に歯科を受診するように言われました。注射は〇月〇日に始める予定です。薬の名前が書いてある説明書を持っています。現在、歯の痛みや腫れはありません」
歯に症状がある場合は、
「骨粗鬆症の薬を始める前の歯科受診を希望しています。開始予定日は〇月〇日です。現在、右下の奥歯が痛く、歯ぐきも腫れています」
とお知らせください。
薬剤名が分からない場合は、
「薬の名前は分かりませんが、病院からもらった説明書があります」
で構いません。
どのくらい前に歯科予約を取ればよいですか?
骨粗鬆症治療の開始予定日が決まったら、できるだけ早い段階で歯科へご相談ください。
口の中に大きな問題がなければ、診察と口腔管理を行い、今後の方針を立てられることがあります。
一方、進行した歯周病や根の感染、抜歯が必要な歯が見つかった場合には、治療や経過確認に時間が必要です。
ただし、「歯科治療をすべて終えるまで、骨粗鬆症治療を何か月も始めてはいけない」という意味ではありません。
特に最近骨折した方や、再骨折の危険性が高い方では、骨粗鬆症治療を早く始めることにも大きな意味があります。
開始予定日が近い場合は、予約時に必ず日付をお知らせください。
歯科予約が間に合わないという理由だけで、ご自身の判断で注射を延期したり、処方された薬を飲まなかったりすることは避けましょう。
次の症状がある場合は、予約時に必ずお知らせください
PMDAの患者向け資料では、薬剤関連顎骨壊死・顎骨骨髄炎に注意する症状として、次のような変化が挙げられています。
- 歯や顎が痛む
- 歯ぐきや顎が腫れる
- 歯がぐらつく
- 唇の周囲がしびれる
- 抜歯した部分の治りが悪い
- 歯ぐきから骨のような硬いものが出ている
- 歯ぐきに膿がたまっている
これらに加えて、
- 発熱がある
- 飲み込みにくい
- 口が開きにくい
- 腫れが顔や首まで広がっている
- 痛みや腫れが急に強くなっている
場合も、予約時に必ずお知らせください。
強い症状がある場合は、WEB予約だけでなく、電話または公式LINEで詳しい状態をお伝えください。
歯が強く痛むときに予約時に受付へ伝えてほしいことも、受診相談の参考にしてください。

痛い歯がなくても受診する意味があります
「痛いところがないのに、本当に歯医者へ行く必要がありますか?」
これも受付でよく聞かれる質問です。
痛みがないことと、口の中に問題がないことは同じではありません。
歯周病は、かなり進行するまで強い痛みが出ないことがあります。神経を失った歯の根の先に感染があっても、自覚症状がほとんどない場合があります。
また、歯の根だけが歯ぐきの中に残っている残根や、ゆっくり進行した虫歯、インプラント周囲の炎症も、自分では気づきにくいことがあります。
薬を始める前に受診しておけば、その時点の状態を記録でき、薬の開始後に症状が現れたときにも変化を比較しやすくなります。
受診した全員が抜歯になるわけではありません。
口の状態によっては、歯周病治療、クリーニング、入れ歯の調整、セルフケアの確認、経過観察などで対応します。
歯が一本もない方や総入れ歯の方も確認が必要です
歯が一本もない方から、
「総入れ歯なので、歯科は関係ないですよね?」
と尋ねられることがあります。
しかし、薬を始める前の歯科診査では、歯だけを見ているわけではありません。
総入れ歯の方でも、
- 入れ歯が当たって歯ぐきに傷ができていないか
- 歯ぐきの中に歯の根が残っていないか
- 埋まったままの歯がないか
- 顎の骨の中に病変がないか
- 骨が出っ張った部分に刺激が集中していないか
- 入れ歯が不安定で粘膜を繰り返し傷つけていないか
を確認します。
一見すると歯が一本もないように見えても、レントゲンを撮ると、歯ぐきの中に残根や埋伏歯などが見つかる場合があります。
総入れ歯だから受診不要ではなく、入れ歯と歯ぐき、顎の骨の状態を確認する受診と考えてください。
受診時には、普段使用している入れ歯をお持ちください。

受診時にお持ちいただきたいもの
初回受診時には、次のものをお持ちください。
- マイナ保険証または健康保険証
- 最新のお薬手帳
- 骨粗鬆症の薬や注射の説明書
- 注射・点滴のスケジュール表
- 前回と次回の注射日が分かる予約票
- 医科からの紹介状や歯科受診依頼書
- 病院アプリの服薬・注射情報
- 薬剤名を撮影したスマートフォンの写真
- 現在使用している入れ歯
紹介状がなければ歯科を受診できないわけではありません。
ただし、薬剤名、投与目的、投与日などが分からない場合は、患者さんの同意を得たうえで、歯科医師から処方医へ情報確認を行うことがあります。
何の予約を取ればよいか分からない場合は、公式LINEまたは電話でお問い合わせください。
医科から渡された書類や薬の説明書は、受診時にお持ちください。

初回の歯科受診では何をするのですか?
「受診した日に、いきなり抜歯されるのでは」と心配される方もいます。
初回受診では、まず薬の内容や全身状態を確認し、口の中を診察します。
問診と薬剤情報の確認
骨粗鬆症治療の内容、開始予定日、これまでの投与歴、処方医療機関、現在使用しているほかの薬を確認します。
糖尿病、人工透析、ステロイド治療、がん治療、喫煙習慣などについても、治療計画に関係することがあります。
抗血栓薬を使用している方も、自己判断で中止せず、薬の名前をお知らせください。
口の中の診察
虫歯、歯周病、歯の動揺、腫れ、排膿、入れ歯による傷、インプラント周囲の状態などを確認します。
歯の本数だけでなく、噛みにくさ、入れ歯の不具合、清掃状態なども大切な確認項目です。
必要に応じた画像検査
目で見ただけでは分からない根の先の病変、残根、埋伏歯、顎骨の状態を確認するため、レントゲン撮影を行うことがあります。
通常のレントゲンでは判断が難しい場合や、病変の広がりを立体的に確認する必要がある場合には、歯科用CTを検討します。
画像検査の違いについては、歯科用CTと通常のレントゲンの違いもご覧ください。
必要な治療と順番の説明
診察結果をもとに、
- すぐに治療が必要な部分
- 骨粗鬆症治療と並行できる処置
- 経過観察できる部分
- 処方医と相談が必要な処置
- 薬の開始後も継続して管理する部分
を整理します。
初回受診だけで、すべての治療が終わるとは限りません。
治療が必要な場合は、内容と回数を説明し、次回以降の予約を調整します。

医科から歯科受診依頼書をもらった場合
医科から紹介状や歯科受診依頼書を受け取っている場合は、受付へご提出ください。
診察結果や今後の治療予定について、歯科医師から処方医への返書を作成することがあります。
返書を患者さんへお渡しした場合は、次回の整形外科や内科などの受診時に、処方医へお渡しください。
歯科受診後に医科へ戻る必要があるのか分からない場合は、診察時または会計時に受付へご確認ください。
歯科を受診すると、必ず抜歯になりますか?
骨粗鬆症治療前に歯科へ紹介されたからといって、必ず抜歯になるわけではありません。
診察後の対応は、口の中の状態によって異なります。
口の中が安定している場合
大きな虫歯や感染がなく、歯周病も安定していれば、口腔清掃の確認や定期管理を行います。
必要に応じて、受診結果を処方医へ情報提供します。
クリーニングや通常の虫歯治療が必要な場合
歯石除去や通常の虫歯治療は、骨粗鬆症治療と並行できることがあります。
虫歯が見つかったという理由だけで、すべての方が薬の開始を延期するわけではありません。
歯周病治療が必要な場合
歯石除去、ブラッシング指導、歯周ポケット内の清掃などを行います。
歯周病は痛みが少ないまま進行するため、薬を始めた後も定期的な管理が重要です。
入れ歯が合っていない場合
入れ歯が歯ぐきを傷つけていれば、当たりの調整や修理、必要に応じて作り直しを検討します。
歯がない方も、入れ歯による傷を放置しないことが大切です。
抜歯が必要と考えられる場合
歯を残すことが難しいと判断した場合は、抜歯の必要性、感染の状態、薬の開始予定日、全身状態などを確認します。
ブランデンタルクリニックでは、抜歯が必要と考えられる場合も、原則として最初に診察と事前確認を行い、後日の処置を計画します。
お薬の内容、血圧、画像所見などを確認する理由については、抜歯前に薬や血圧、全身状態を確認する理由で詳しく説明しています。
抜歯が必要になったら、薬や注射は延期しますか?
薬の開始日や注射日を変更するかどうかは、受付の段階では判断できません。
確認が必要なのは、
- 使用する薬の種類
- 骨粗鬆症治療か、がん治療に関連する薬か
- 前回の投与日
- 次回の投与予定日
- 骨折の危険性
- 歯の感染の程度
- 抜歯を急ぐ必要があるか
- 抜歯後の傷の治り方
- 糖尿病などの全身状態
です。
待つことができる処置と、感染の進行を防ぐため早めに行うべき処置では、考え方が異なります。
国内のポジションペーパーでは、薬を始める前に抜歯を行った場合、抜歯した部分の表面が歯ぐきで覆われるまでの期間として、おおむね2週間程度が一つの目安として示されています。
ただし、「2週間たてば自動的に薬を始められる」という意味ではありません。
抜歯した範囲、もともとの感染の程度、糖尿病や併用薬の有無などによって、傷の治り方は異なります。
歯科医師が実際の傷を確認し、必要に応じて処方医と相談して薬の開始時期を検討します。
「最後の注射から必ず何か月空ければよい」
「抜歯後は必ず何週間待てばよい」
と、すべての方に同じ日程を当てはめることはできません。
薬や注射を自己判断で中止しないでください
骨粗鬆症の薬を使用している方が抜歯を受ける場合、薬を一時的に止める「休薬」が話題になることがあります。
しかし、薬を止めれば必ず安全になるわけではありません。
国内のポジションペーパーでは、抜歯に際して骨吸収抑制薬を一律に休薬しても、薬剤関連顎骨壊死を減らせる十分な根拠はないことから、原則として抜歯時に休薬しないことが提案されています。
ただし、これは「どのような場合も絶対に休薬しない」という意味ではありません。
薬の種類、投与期間、骨折の危険性、口の中の感染状態、全身状態などを踏まえて、処方医と歯科医師が個別に判断します。
特に一部の注射薬では、投与を長く延期したり中止したりすると、骨の状態が急激に変化し、背骨の骨折リスクが高まる可能性があります。
そのため、歯科受診を勧められた場合も、
- 飲み薬を自分で休む
- 注射の予約を自分でキャンセルする
- 次回投与を大幅に遅らせる
- 処方医へ伝えずに治療を中断する
ことは避けてください。
顎の骨を守ることと、骨粗鬆症による骨折を防ぐことの両方が大切です。
薬を継続するか、投与日を調整するか、別の治療を検討するかは、処方医と歯科医師が相談して決めます。

すでに薬や注射を始めている方も、今から相談できます
「薬を始める前に歯科へ行けなかったので、もう遅いでしょうか?」
そのようなことはありません。
すでに骨粗鬆症の薬を飲んでいる方、注射を受けている方も、気づいた時点で歯科へご相談ください。
薬を使用しているからといって、虫歯治療、歯周病治療、入れ歯の調整、必要な抜歯など、すべての歯科治療ができなくなるわけではありません。
受診時には、
- 薬剤名
- 使用を始めた時期
- 前回の注射日
- 次回の注射予定日
- 処方医療機関
- 現在の口の症状
を分かる範囲でお知らせください。
開始前に歯科受診ができなかったことを理由に、その後も歯科受診を避け続けると、口の中の感染を放置することにつながる可能性があります。
薬の開始後も、定期的な歯科診査と口腔衛生管理を続けることが大切です。
ご高齢の方・入院中の方・施設にお住まいの方へ
骨粗鬆症の治療は、転倒や骨折をきっかけに始まることがあります。
骨折後に入院し、リハビリテーション病院へ転院する前や、施設へ戻る前に歯科受診を勧められる方もいます。
ご本人が電話やLINEで予約することが難しい場合は、ご家族、介護者、施設職員の方からご連絡いただいても構いません。
その際は、分かる範囲で、
- 現在の入院先や施設名
- 退院・転院の予定日
- 骨粗鬆症治療の開始予定日
- 薬や注射の名前
- 車椅子や歩行介助の必要性
- ご家族の付き添いの有無
- かかりつけ歯科の有無
- 紹介状の有無
をお知らせください。
すでに継続して通院できるかかりつけ歯科がある場合は、まずそちらへ相談する方法もあります。
通院先がなく、新たに受診する場合は、これまでの治療内容が分かる資料があると情報共有がスムーズです。
よくあるご質問
薬の名前が分からなくても予約できますか?
予約できます。
「骨粗鬆症の薬または注射を始める前の歯科受診を希望している」とお伝えください。
受診時に、お薬手帳、注射の説明書、病院の予約票、スマートフォンで撮影した薬剤名などをお持ちください。
紹介状がなくても受診できますか?
紹介状がなくても受診できます。
ただし、薬剤名や治療目的が分からない場合には、患者さんの同意を得たうえで、歯科医師から処方医へ確認することがあります。
痛い歯がなくても受診したほうがよいですか?
痛みがなくても、歯周病、根の先の感染、残根、入れ歯による傷などが見つかることがあります。
また、薬を始める時点の口腔内を記録しておく意味もあります。
虫歯があれば薬を始められませんか?
虫歯があるだけで、一律に骨粗鬆症治療を始められなくなるわけではありません。
虫歯の深さ、感染の有無、抜歯が必要かどうかなどを確認して判断します。
総入れ歯でも受診が必要ですか?
入れ歯による傷、歯ぐきの中の残根、埋伏歯、顎骨内の病変などを確認するため、歯がない方にも受診を勧めることがあります。
受診時には、現在使用している入れ歯をお持ちください。
一回の受診で終わりますか?
口の状態によって異なります。
診察と口腔衛生指導で終了することもあれば、歯周病治療、虫歯治療、入れ歯の調整、抜歯などが必要になることもあります。
薬を休めば安全に抜歯できますか?
短期間薬を休むだけで、すべての問題を防げるとは限りません。
また、薬の中断によって骨折リスクが高まることがあります。自己判断で休薬せず、処方医と歯科医師へご相談ください。
注射予定日が数日後ですが、どうすればよいですか?
予約時に、注射の予定日を必ずお知らせください。
歯科予約が間に合わないという理由だけで、ご自身の判断で注射を延期しないようにしてください。
口の状態を確認し、必要に応じて処方医と相談します。
すでに注射を受けています。抜歯はできますか?
薬を使用中だからといって、必要な抜歯が一切できなくなるわけではありません。
薬の種類、前回の投与日、次回予定日、感染の程度、全身状態などを確認して治療計画を立てます。
家族が代わりに予約してもよいですか?
可能です。
薬の名前、開始予定日、現在の症状、処方している病院などを、分かる範囲で確認してからご連絡ください。
ブランデンタルクリニックへのご予約について
骨粗鬆症の薬や注射を始める前の歯科受診は、公式LINE、WEB、電話からご予約いただけます。
予約時には、
「骨粗鬆症の薬・注射を始める前の歯科確認を希望しています」
とお伝えください。
さらに、
- 薬の開始予定日
- 現在の痛みや腫れの有無
- 抜歯を勧められている歯の有無
- 紹介状の有無
- 薬剤名が分かるかどうか
をお知らせいただくと、受付から予約枠をご案内しやすくなります。
痛みや腫れがなく、希望日から予約を取りたい場合はWEB予約をご利用いただけます。
何の予約を取ればよいか分からない場合は、公式LINEまたは電話でお問い合わせください。
強い痛み、顔の腫れ、膿、発熱、飲み込みにくさなどがある場合は、できるだけ早めに電話でご連絡ください。
複数の歯についてまとめて相談したい方は、複数の歯を相談するときの予約方法も参考にしてください。
ブランデンタルクリニックは、広島市中区立町の立町中央ビル4階にあります。
広島電鉄の立町駅から徒歩約1分で、ビル1階のすき家が目印です。
マイナ保険証に対応しており、スマートフォンによるマイナ保険証の利用にも対応しています。
まとめ|骨折予防と口の健康を両立するための受診です
骨粗鬆症の薬や注射を始める前の歯科受診は、薬を怖がって中止するためのものではありません。
口の中に治療が必要な感染や炎症がないかを調べ、必要であれば処方医と歯科医師が治療時期を相談するための受診です。
痛い歯がなくても、歯周病や根の感染が隠れていることがあります。
総入れ歯の方も、入れ歯による傷や歯ぐきの中の残根などを確認する意味があります。
薬の名前が分からない段階でも予約は可能です。
受診時には、お薬手帳、注射の説明書、開始予定日が分かる用紙などをお持ちください。
そして最も大切なのは、歯科受診や抜歯を理由に、骨粗鬆症の薬や注射を自己判断で中止しないことです。
骨粗鬆症による骨折を防ぐことも、口の中の感染を防ぐことも、どちらも大切です。
医科から歯科受診を勧められたときは、薬剤名が分からなくても構いません。
開始予定日と現在の症状を、分かる範囲で受付へお知らせください。
参考文献
- 顎骨壊死検討委員会.「薬剤関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023」
https://www.jsoms.or.jp/medical/pdf/work/guideline_202307.pdf - 厚生労働省・独立行政法人医薬品医療機器総合機構.「重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤関連顎骨壊死・顎骨骨髄炎」
https://www.pmda.go.jp/files/000274601.pdf - 独立行政法人医薬品医療機器総合機構.「薬剤関連顎骨壊死・顎骨骨髄炎 患者の皆様へ」
https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/adr-info/manuals-for-hc-pro/0001.html - 日本歯科医師会.「骨粗鬆症(ビスフォスフォネート系製剤、抗RANKL抗体など)」
https://www.jda.or.jp/park/relation/medicine_disease.html - National Osteoporosis Guideline Group. “Clinical guideline for the prevention and treatment of osteoporosis.”
https://www.nogg.org.uk/full-guideline
