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1450ppmの歯磨き粉を使っていてもフッ素洗口は必要?併用・タイミング・濃度|虫歯リスクが高い人の追加ケア

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2026年9月01日

1450ppmの歯磨き粉を使っていてもフッ素洗口は必要?併用・タイミング・濃度|虫歯リスクが高い人の追加ケア

(歯科衛生士さんのある日の日誌)

はじめに|「1450ppmを使っているのに、フッ素洗口も必要ですか?」

今日のメインテナンス中、患者さんからこんな質問をいただきました。

「虫歯になりやすいので、フッ素の洗口液も使おうかなと思っています。でも、歯磨き粉も1450ppmのものを使っているんです。両方使う意味はありますか?」

これは、とても大切な質問です。

ドラッグストアの歯磨きコーナーを見ると、「高濃度フッ素1450ppm」と書かれた歯磨き粉があります。その近くには「フッ素配合」と書かれた洗口液や、口臭・歯周病対策を目的としたマウスウォッシュ、ボトルに入った液体歯磨なども並んでいます。

すると、

「1450ppmの歯磨き粉と225ppmの洗口液なら、1450ppmの方が強いのでは?」
「両方使ったらフッ素の使いすぎにならない?」
「歯磨きの直後に使うの?」
「普通のマウスウォッシュでも同じ?」
「虫歯になりやすい人だけ追加すればいい?」

と、分からなくなるのも当然だと思います。

最初に結論をお伝えすると、フッ化物配合歯磨剤とフッ化物洗口は、どちらか一つを選ぶものではありません。

毎日の虫歯予防の土台は、年齢に合った濃度のフッ化物配合歯磨剤を適切に使うことです。そのうえで、虫歯リスクが高い方では、フッ化物洗口を「追加ケア」として考えることがあります。

ただし、

「虫歯になりやすいから、とりあえず洗口液を1本追加する」

という順番ではありません。

私たち歯科衛生士が最初に確認したいのは、

「今使っている歯磨剤のフッ化物を、十分に活かせていますか?」

というところです。

今回は、1450ppmのフッ化物配合歯磨剤とフッ化物洗口をどう考えるのか、誰に追加する意味があるのか、どのタイミングで使うのか、濃度はどう違うのか、そして成人・高齢者で重要になる根面う蝕まで詳しく見ていきます。

※一般には「フッ素洗口」という言葉も広く使われているためタイトルではその表現を採用していますが、本文では主に専門用語である「フッ化物洗口」と表記します。

フッ化物洗口と歯磨き粉は「どちらが上?」と比べるものではありません

まず、二つの役割を整理しましょう。

フッ化物配合歯磨剤は毎日の虫歯予防の土台です

現在、日本の4学会合同推奨では、6歳以上から成人・高齢者まで、1400〜1500ppmFのフッ化物配合歯磨剤を、就寝前を含めて1日2回使用することが推奨されています。

使用量は歯ブラシ全体、約1.5〜2cm程度。歯磨き後は軽く吐き出し、うがいをする場合も少量の水で1回だけにします。

つまり、

「虫歯予防のために、まず何を始めればいいですか?」

と聞かれたときの基本は、フッ化物洗口より先にフッ化物配合歯磨剤を適切に使うことです。

歯ブラシの毛先の当て方や、自分の磨き残しやすい場所が分からない方は、正しい歯磨きの方法は一つではない?45度・90度の使い分けと前歯の裏・奥歯の磨き方も参考にしてください。

フッ化物洗口は「追加のフッ化物応用」です

フッ化物洗口では、決められた濃度・量の洗口液を口に含み、30秒〜1分程度ブクブクうがいをして吐き出します。

歯ブラシのように、歯面へ付着したプラークを機械的に除去するものではありません。

つまり、

フッ化物配合歯磨剤=ブラッシングと一緒に行う毎日の基本ケア

フッ化物洗口=必要に応じてフッ化物との接触機会を増やす追加ケア

と考えると分かりやすいでしょう。

フッ素洗口を買う前に、今の歯磨き粉を5項目チェック

患者さんから「洗口液も使った方がいいですか?」と聞かれたとき、私はその前に歯磨剤の使い方を確認します。

1450ppmFの製品を買っていても、濃度・量・回数・時間・すすぎ方によって、口の中へ届けられるフッ化物は変わるからです。

① 「フッ素配合」ではなく、何ppmFか確認していますか?

「フッ素配合」と書かれていれば、すべて1450ppmFというわけではありません。

2025年に日本で行われた調査では、フッ化物濃度が明記されていないNaF配合歯磨剤8製品を実測したところ、500ppmF未満、500ppmF前後、900〜1000ppmF程度と製品によって差がありました。

つまり、

「フッ素入り」=「1450ppmF」ではありません。

6歳以上の方が現在の国内推奨に沿って選ぶ場合は、パッケージに1400〜1500ppmFと表示されているか確認してみてください。

② 1日2回使っていますか?

同じ歯磨剤でも、使用頻度は重要です。

研究では、フッ化物配合歯磨剤によるブラッシングを1日1回から2回へ増やすことで、虫歯予防効果が高まることが示されています。

特に大切なのが就寝前です。過去の研究では、就寝前のブラッシング後は、日中とは異なるフッ化物保持が認められています。

③ 成人なのに歯磨き粉をほんの少ししかつけていませんか?

「歯磨き粉は少ない方がよさそう」

と考え、成人の方でも数mmしか使っていないことがあります。

しかし、フッ化物の供給量を考えると使用量も大切です。

過去の研究では、0.25g程度の歯磨剤使用後の唾液中フッ化物濃度は、1.0g程度を使った場合より低くなりました。

現在の国内推奨では、6歳以上は歯ブラシ全体、約1.5〜2cm程度が目安です。

④ 30秒ほどで磨き終わっていませんか?

ブラッシング時間は、単にプラークを取る時間だけではありません。

フッ化物を歯面や口腔内へ届ける時間にも関係します。

研究では、120秒のブラッシングは45秒の場合より、エナメル質の再石灰化やフッ化物取り込みが増加し、バイオフィルム中のフッ化物濃度にも違いが認められました。

目安として約2分。

「2分なら絶対に虫歯にならない」という意味ではありませんが、歯磨剤を歯ブラシにつけて数十秒で終わるより、歯面全体へ十分に行き渡らせることが大切です。

⑤ コップいっぱいの水で何回もすすいでいませんか?

これはかなり重要です。

1450ppmFの歯磨剤を使った後でも、

「口の中に歯磨き粉が残るのが嫌だから」

と大量の水で何度もすすぐと、口腔内へ残るフッ化物は減ります。

1500ppmF歯磨剤を使った研究では、歯磨剤を1cmから2cmへ増やすとブラッシング後60分までの歯間部フッ化物曝露量が47.2%増加、ブラッシングを1分から2分にすると26.8%増加、すすぎ水を20mLから10mLへ減らすと41.2%増加しました。すすがない条件ではさらに保持量が増えています。

別の日本の研究でも、1450ppmF歯磨剤を使った後、水ですすがない方が唾液中のフッ化物を保持しやすいことが示されています。

ですから、洗口剤を追加する前に、

「1450ppmFを使っているけれど、その直後に大量の水で全部流していないか?」

も確認してみましょう。

1450ppmの歯磨き粉より225ppmの洗口液は「弱いから意味がない」?

数字だけを見ると、

歯磨剤:1450ppmF
洗口剤:225ppmF

なので、

「225ppmならかなり薄い。1450ppmを使っていれば追加しても意味がないのでは?」

と思うかもしれません。

しかし、この二つは単純な濃度勝負ではありません。

フッ化物は「濃度」だけで考えません

セルフケアでのフッ化物応用を考えるときは、

濃度
使用量
接触時間
使用頻度
使うタイミング
口腔内への残り方

などを一緒に考えます。

歯磨剤は、比較的高濃度のフッ化物をブラッシングとともに歯面へ届けます。

洗口剤は、それとは違う方法・タイミングで歯面へフッ化物を届けることができます。

したがって、

「1450 > 225だから225ppmFは意味がない」

とはなりません。

では、どんな人にフッ化物洗口を追加する意味があるのでしょうか?

ここからが今回の記事の中心です。

「高リスクだから洗口する」と言っても、高リスクになる理由は人によって違います。

以前の虫歯になりやすいのはどんな人?歯磨きしているのに虫歯ができる原因・体質・唾液・食生活と予防法でも詳しく解説しましたが、虫歯は単純に「歯磨きが上手か下手か」だけで決まる病気ではありません。

最近、新しい虫歯が繰り返し見つかっている人

過去の虫歯経験は、その後のカリエスリスクを考える重要な材料です。

毎年のように新しい虫歯が見つかるなら、

「もっと強く磨きましょう」

だけでは不十分です。

フッ化物曝露、食生活、唾液、清掃困難部位、修復物などをまとめて見直します。

詰め物・被せ物が多い人

一度治療した歯も、二度と虫歯にならないわけではありません。

修復物と歯との境目などに再び生じる二次う蝕にも注意が必要です。

つまり、

「全部治療済みだから低リスク」

とは限りません。

甘い物・甘い飲み物を口にする回数が多い人

甘いものについては「どれだけ食べたか」だけでなく、何回口に入ったかも重要です。

仕事中に砂糖入りのコーヒーやカフェラテ、スポーツ飲料などを少しずつ飲み続ける習慣があると、歯が酸にさらされる機会が増えます。

フッ化物は虫歯予防に重要ですが、

「フッ素洗口をしているから、糖を何度摂っても帳消しになる」

わけではありません。

矯正装置などで磨きにくい場所が増えた人

固定式矯正装置では、ブラケットやワイヤー周囲にプラークが残りやすくなります。

ただし、

「矯正中=全員フッ化物洗口必須」

とは考えません。

実際のプラーク残存、白斑、新しい虫歯、これまでの虫歯経験、食生活などを見ながら判断します。

歯ぐきが下がり、歯の根元が見えてきた人

歯肉退縮によって根面が露出すると、歯冠部とは違う種類の虫歯、根面う蝕を意識する必要があります。

歯肉退縮によって歯間が広くなった方には、ブラックトライアングルができた歯間はどう磨く?歯間ブラシ・フロスの選び方とサイズの合わせ方も参考になります。

口が乾きやすい・唾液が減っている人

唾液には、糖や酸を洗い流すだけでなく、酸を緩衝し、再石灰化を支える役割があります。

そのため、

「昔は虫歯が少なかったのに、最近急に増えた」

という場合には、口腔乾燥も確認します。

乾燥へのセルフケアについては、ガムを噛むと唾液は増える?口が乾く・ドライマウスのシュガーレスガム活用法、より強い口腔乾燥についてはSjögren病の口腔ケア:朝・食前・就寝前に分けるドライマウス対策も参考にしてください。

フッ化物洗口には本当に虫歯予防効果がある?

フッ化物洗口そのものの虫歯予防効果については、多くの研究があります。

小児・青年を対象としたCochraneレビューでは、35研究・15,305人の解析で、永久歯のD(M)FS、つまり虫歯経験歯面の増加を27%抑制し、13研究ではD(M)FTを23%抑制したと報告されています。

ただし、この数字を、

「1450ppmF歯磨剤を使っている人が洗口を足せば、さらに27%虫歯が減る」

と読み替えてはいけません。

古い研究や学校などで監督下に行われた研究も含まれており、現在のようにフッ化物配合歯磨剤が広く普及した環境とは異なるからです。

歯磨剤に洗口を追加したときの効果は、もっと小さい可能性があります

同じ資料で紹介されている別のCochraneレビューでは、フッ化物配合歯磨剤+フッ化物洗口と歯磨剤単独を比較すると、D(M)FS抑制率は併用群で約7%良好でしたが、この差は統計学的有意ではありませんでした。

ここは非常に重要です。

つまり、

フッ化物洗口は有効だから全員が追加すればよい

という話ではありません。

まず歯磨剤を適切に使う。

それでもカリエスリスクが高ければ追加を考える。

この順番が大切です。

ただし「活動性根面う蝕」がある場合は話がかなり変わります

ここからは、特に成人・高齢者の方に知っておいていただきたい部分です。

根面う蝕は、歯の根元にできる虫歯です

加齢や歯周病などによって歯肉が退縮すると、それまで歯肉に覆われていた根面が露出します。

露出した根面は、歯冠部のように強いエナメル質に覆われているわけではありません。

2026年の根面う蝕診療ガイドラインでは、根面は耐酸性が低く、特に隣接面や歯頸部ではプラークも停滞しやすいため、虫歯が生じやすいことが説明されています。

根面う蝕には「活動性」と「非活動性」があります

虫歯を、

「ある・ない」

だけで考えないことも重要です。

根面う蝕では、今まさに進行しやすい活動性病変と、進行が停止・抑制されている非活動性病変を区別します。

活動性根面う蝕は、表面が軟らかく粗造でプラークが付着していることがあり、非活動性病変では表面が比較的硬く滑沢になります。

ここで大切なのは、

「soft→leathery→hardという決まった3段階を必ず順番に進む」

という意味ではないことです。

研究では病変の硬さをsoft・leathery・hardなどで評価していますが、患者さんへの説明では、

「軟らかい活動性病変が、管理によって硬い非活動性病変へ向かうことがある」

と考える方が正確です。

2026年版診療ガイドラインでは「歯磨剤+洗口」を強く推奨

日本歯科保存学会の2026年版「根面う蝕の診療ガイドライン」では、

「活動性根面う蝕の回復に、フッ化物配合歯磨剤とフッ化物配合洗口剤を併用すべきか」

というCQが設定されています。

そして、

1100〜1400ppmFのフッ化物配合歯磨剤+250〜900ppmFのフッ化物配合洗口剤の毎日併用

について、

強い推奨/エビデンスの確実性:中

とされています。

これは、一般的な低リスク者に洗口を一律追加する話とは分けて考える必要があります。

実際の研究ではどうだったのでしょう?

採用研究の一つでは、55〜81歳の患者70人、325の初期活動性根面う蝕が対象となりました。

1400ppmF歯磨剤を使用したうえで、250ppmF洗口を併用した群とプラセボ洗口群を比較しています。

12か月後、softと評価された病変の割合は、

対照群:73% → 46%

だったのに対し、

フッ化物洗口併用群:74% → 11%

まで低下しました。

また、2研究を統合した解析では、病変が回復方向へ向かう相対効果はRR 1.82[95%CI 1.54〜2.16]と、洗口併用群に有利でした。

ただし、この数字が全員にそのまま当てはまるわけではありません

ここも大切です。

2026年ガイドラインでは、採用された研究の追跡途中での脱落が多かったことなどから、エビデンスの確実性は「高」ではなく「中」と評価されています。

Wyattらの研究では脱落率が高く、Peterssonらの研究にも相当数の脱落がありました。

したがって、

効果の方向は支持されているけれど、すべての患者さんの病変が同じ割合で改善するという意味ではありません。

という理解が適切です。

「フッ素で虫歯の穴が元通りになる」という意味でもありません

すでに失われた歯の形が、フッ化物洗口だけで元通りになるわけではありません。

ここでいう「回復」は、

活動性の病変が硬くなり、非活動性の方向へ変化する

という意味です。

大きな実質欠損がある場合、痛みがある場合、清掃できない形態になっている場合などは、修復治療が必要になることもあります。

日本ではフッ化物洗口は何ppmFを使う?

フッ化物洗口にも濃度の違いがあります。

国内資料では、代表的な方法として、

225ppmF:毎日法
250ppmF:毎日法
450ppmF:毎日法
900ppmF:週1回法

が整理されています。

家庭で行う場合、通常は225〜250ppmF、高カリエスリスク者では450ppmF毎日法が選択肢として示されています。

「濃い方が効きそう」で自己判断しないでください

一般用医薬品として購入できる225ppmF製品があります。

一方、250・450・900ppmFなどには医療用製剤や歯科医師の指導のもとで使用するものがあります。2026年の根面う蝕ガイドラインでも、一般向け225ppmFと医療用製剤を区別しています。

ですから、

「450ppmFの方が225ppmFの2倍だから、そちらにしよう」

と自己判断するものではありません。

病変、年齢、洗口能力、これまでの虫歯経験などから選びます。

フッ化物洗口の基本的な使い方

実際には使用する製品の説明書や歯科医院からの指示を優先してください。

一般的な方法としては、

5〜10mL程度を口に含む

年齢や口腔の大きさに応じて量は調整します。

30秒〜1分程度、ブクブクうがいする

液が歯面全体へ行き渡るように頬を動かします。

飲み込まずに吐き出す

フッ化物洗口液は飲むものではありません。

その後、水ですすがない

フッ化物をすぐに洗い流さないためです。

洗口後30分程度は飲食を避ける

厚生労働省の2022年版フッ化物洗口マニュアルでも、洗口後は30分程度、可能な限りうがいや飲食をしない方法が示されています。

フッ化物洗口は歯磨きの直後?それとも別の時間?

これは患者さんからよく聞かれる疑問です。

結論からいうと、全員に共通する「この時間しかダメ」という一つの答えにしない方がよいと考えます。

日本では就寝前・ブラッシング後に行う方法があります

日本の標準的な方法では、家庭で行うフッ化物洗口をできれば就寝直前に実施する方法が示されています。

一方で、別の時間帯にフッ化物曝露を追加するという考え方もあります。

例えば、

朝:フッ化物配合歯磨剤
昼:フッ化物洗口
夜:フッ化物配合歯磨剤

のように時間を分ければ、1日の中でフッ化物に触れる機会を増やすことができます。

口腔乾燥患者の管理に関する近年のレビューでも、歯磨き後のフッ化物を残しつつ、別の時間帯にフッ化物洗口を追加する方法が紹介されています。

「水ですすぐ」のと「フッ化物洗口ですすぐ」のは同じではありません

歯磨き直後に大量の水で何度もすすげば、歯磨剤由来のフッ化物は流れやすくなります。

一方、フッ化物洗口剤にはフッ化物そのものが含まれています。

過去の資料では、歯磨き後のフッ化物保持を高める方法として、

・吐き出すだけですすがない
・歯磨剤と唾液の混合物で洗口する
・フッ化物洗口剤を使用する

といった方法も整理されています。

したがって、

「絶対に歯磨き直後」

とも、

「歯磨き直後は絶対ダメ」

とも一律に考えず、製品の用法や歯科医院からの指示を優先してください。

歯磨き粉とフッ化物洗口を併用すると、フッ素の使いすぎになりませんか?

ここは導入で出てきた疑問をきちんと回収しておきましょう。

フッ化物配合歯磨剤もフッ化物洗口も、基本的には歯面へ作用させる局所応用です。

決められた濃度・量・頻度で使い、洗口液を飲み込まず吐き出すという用法を守ることが前提です。

2026年の根面う蝕診療ガイドラインが整理した世界・日本の公的機関の見解でも、推奨された方法で利用する限り、問題となるような慢性・急性毒性を理由にフッ化物応用を避ける必要はないとされています。

ただし、

「安全なら、たくさん使ってもいい」

という意味ではありません。

子どもでは「飲み込ませない」ことが特に重要です

歯が形成される時期に、必要以上のフッ化物を長期間にわたって飲み込むと、歯のフッ素症のリスクが高まります。

これは、すでに萌出した成人の永久歯へフッ化物洗口を行ったために、新たに斑状歯が生じるという話ではありません。

だからこそ、幼児では、

ブクブクうがいをして、飲み込まず吐き出せること

を確認してから始めます。

普通のマウスウォッシュでフッ化物洗口の代わりになりますか?

「家にマウスウォッシュがあります」

と言われることがありますが、洗口液なら何でもフッ化物洗口になるわけではありません。

マウスウォッシュには、

・口臭対策
・歯肉炎対策
・殺菌
・清涼感
・虫歯予防

など、さまざまな目的があります。

虫歯予防のためのフッ化物洗口として使うなら、フッ化物が有効成分として含まれた製品か、用法・目的は何かを確認してください。

マウスウォッシュ全般については、口腔ケアにもう一手間!マウスウォッシュ(口腔洗浄液)の詳細と選び方でも紹介しています。

ボトル入りの「液体歯磨」と「洗口液」は同じではありません

もう一つ紛らわしいのが液体歯磨です。

見た目はどちらも液体でボトルに入っていますが、使い方が違う製品があります。

厚生労働省の薬用歯みがき類の承認基準では、

・ブラッシングを行うもの
・口に含んですすぎ、吐き出した後にブラッシングするもの
・洗口のみを行うもの

が区別されています。

つまり、

「液体だから、口をゆすいで吐き出せば終了」

とは限りません。

「液体歯磨」と表示された製品の中には、口に含んで吐き出した後に歯ブラシで磨くことを前提とするものがあります。

購入したら、パッケージの

「洗口液」なのか「液体歯磨」なのか、そして用法はどうなっているのか

まで確認してください。

子どもは何歳からフッ化物洗口できますか?

「4歳になったら自動的に開始」

というより大切なのが、

ブクブクうがいをして、飲み込まず吐き出せるか

です。

国内資料では特に4〜14歳はフッ化物洗口による虫歯予防の恩恵を受けやすい時期とされていますが、開始する前には水で洗口できることを確認します。

必要であれば、まず水で練習します。

うまく吐き出せない子どもに無理に洗口させる必要はありません。

その年齢に応じたフッ化物配合歯磨剤を適量使用することでも、重要なフッ化物ケアができます。

大人なら誰でもフッ化物洗口できる、とは限りません

高齢者でも同じです。

年齢だけでは判断しません。

・ブクブクうがいが難しい
・水でむせる
・吐き出しにくい
・飲み込んでしまう
・誤嚥が心配

という場合があります。

厚生労働省のマニュアルでも、高齢者などで口腔機能低下が疑われる場合には、適切に洗口できるかを確認するよう示されています。

洗口できない人へ、

「虫歯リスクが高いから、とにかくフッ素洗口」

とはしません。

歯磨剤の使い方、介助方法、歯科医院で行うフッ化物応用など、別の選択肢を考えます。

口が乾く人は、フッ化物洗口だけに頼らないでください

口腔乾燥がある方では、追加のフッ化物応用が役立つことがあります。

しかし、

「乾燥して虫歯になりやすいから、洗口液を追加しました」

だけで終わりにはしたくありません。

唾液が減ると、虫歯が起こる環境そのものが変わります

唾液が少なくなると、

・糖や酸が流れにくい
・酸を中和しにくい
・再石灰化を支える環境が弱くなる
・食べ物が残りやすい

といった変化が起こります。

低唾液量患者の管理に関するレビューでも、フッ化物だけではなく、歯磨き、歯間清掃、食生活、口腔乾燥への対応、定期的な歯科管理などを組み合わせることが重視されています。

洗口液の刺激がつらい人もいます

口が乾燥している患者さんでは、強い香味やアルコールなどの刺激がつらく感じられることがあります。

毎日使うセルフケア用品ですから、

「成分がよいか」だけでなく「無理なく続けられるか」

も大切です。

矯正中なら全員フッ化物洗口をした方がいい?

矯正中は、虫歯リスクが上がる条件が生まれることがあります。

特に固定式矯正装置では、ブラケットやワイヤー周囲にプラークが停滞しやすくなります。

そのため、フッ化物洗口が追加ケアの候補になることがあります。

ただし、

「矯正装置が入った=全員同じフッ化物洗口」

ではありません。

私たちが確認したいのは、

・ブラケット周囲にプラークが残っていないか
・白濁した初期病変がないか
・新しい虫歯ができていないか
・甘い飲食物の回数
・これまでの虫歯経験
・歯磨剤の濃度・使い方

です。

「矯正中」という名称ではなく、実際にその患者さんのカリエスリスクが高くなっているかを見ます。

フッ化物洗口をしているのに虫歯になるときは何を確認する?

「毎日フッ素洗口をしているのに、また虫歯になりました」

ということもあります。

そのとき、

「もっと濃い洗口液に変えよう」

とすぐ考えるわけではありません。

・歯磨剤は1400〜1500ppmFか
・1日2回使えているか
・就寝前にも使用しているか
・使用量が少なすぎないか
・短時間で終わっていないか
・大量の水で何度もすすいでいないか
・フロスや歯間ブラシが必要な場所はないか
・甘い飲食物の回数が増えていないか
・口腔乾燥がないか
・新しく根面が露出していないか
・修復物周囲に二次う蝕がないか
・矯正装置など清掃困難な場所がないか

つまり、

フッ化物洗口をしている=カリエスリスク管理が完成した

ではありません。

「もっと濃いフッ素を使えばいい」とも限りません

高カリエスリスク者、特に活動性根面う蝕では、通常より強いフッ化物介入が研究されています。

2026年の根面う蝕診療ガイドラインでは、

・フッ化物配合歯磨剤+フッ化物洗口
・5000ppmF歯磨剤
・38%フッ化ジアンミン銀
・フッ化物バーニッシュ

など、複数の非切削的マネジメントが検討されています。

2026年のシステマティックレビューでも、高リスクの活動性根面う蝕では、高濃度NaF歯磨剤などが標準濃度歯磨剤より有利となる可能性が示されています。

ただし、日本で5000ppmF歯磨剤を自己判断で探す話ではありません

ここは海外情報と日本の制度を分けて考える必要があります。

厚生労働省の薬用歯みがき類の基準では、フッ化物イオン濃度は1500ppmF以下とされ、国内の一般的なセルフケア用製品では1450ppmF程度までの歯磨剤が流通しています。

したがって、

「海外の研究で5000ppmFが有効だったから、自己判断で高濃度製品を取り寄せよう」

という話ではありません。

日本で利用できる歯磨剤、フッ化物洗口、歯科医院でのフッ化物応用などを、その方のリスクに合わせて選択します。

歯科衛生士は「何を足すか」より先に「なぜ虫歯になったのか」を見ています

今日の患者さんにも、すぐ、

「ではフッ化物洗口を買ってください」

とはお伝えしませんでした。

まず、普段の歯磨きについて詳しく聞いてみました。

歯磨剤は1450ppmF。

1日2回。

ここまではよかったのですが、歯磨き後にはコップいっぱいの水で3回ほどうがいをしているとのことでした。

さらにお話を聞くと、仕事中に甘いカフェラテを少しずつ飲む習慣もありました。

こうなると、

「洗口剤を1本追加する」

だけが答えではありません。

まず、今使っている1450ppmF歯磨剤を十分に活かせるようにする。

飲み物を口にする回数について一緒に考える。

そのうえで、これまでの虫歯経験や口腔内の状態を確認し、フッ化物洗口を追加する意味があるか考える。

私たちが知りたいのは、

「フッ素を使っていますか?」だけではなく、「なぜ今、この人の口の中で虫歯が起こりやすくなっているのか?」

です。

根面が露出したなら、根面う蝕を意識したケアへ。

唾液が減ったなら、口腔乾燥も含めたケアへ。

矯正装置でプラークが増えたなら、その部分への清掃方法へ。

糖を摂る回数が増えたなら、食生活へ。

高リスクだから何でも足すのではなく、足りない部分を見つけて補う。

それが、フッ化物洗口を上手に使うためにも大切だと思います。

まとめ|まず歯磨き粉を整え、それでも高リスクならフッ化物洗口を追加する

「1450ppmFの歯磨き粉を使っているなら、フッ化物洗口はいらない」

とも、

「虫歯予防なら全員、歯磨剤と洗口剤の両方を使った方がいい」

とも言い切れません。

考える順番は、

① 年齢に合った濃度のフッ化物配合歯磨剤を選ぶ

② 量・回数・ブラッシング時間・すすぎ方を整える

③ なぜ虫歯リスクが高いのかを評価する

④ 必要ならフッ化物洗口を追加する

⑤ 活動性根面う蝕などがあれば、歯科医院でさらに管理する

です。

特に、

「毎年虫歯ができる」
「治療済みの歯が多い」
「歯ぐきが下がってきた」
「口が乾くようになった」
「矯正を始めて磨きにくくなった」
「どの濃度の洗口剤を使えばいいか分からない」
「歯磨き粉と洗口液を両方使ってよいのか分からない」

という方は、現在使っている歯磨剤や洗口剤を歯科医院へ持参していただいても構いません。

ブランデンタルクリニックは立町駅徒歩1分、立町中央ビル4階にあり、4階まではエレベーターをご利用いただけます。毎日の歯磨きやフッ化物洗口についての相談も、メインテナンスや予防歯科の際に一緒に確認できます。

強い歯痛、歯ぐきや顔の腫れなどがすでにある場合は、フッ化物洗口で様子を見る問題ではありません。当院では当日電話受付可・急患同日可ですので、そのような症状がある場合は電話で状況をお伝えください。

「もっと何かを足さなければ」と思ったときこそ、まず今行っているセルフケアを一度見直してみてください。

追加することより、自分に必要なケアを選ぶこと

そこを一緒に考えるのも、歯科衛生士の仕事です。

参考文献

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