2026年9月09日

(歯科衛生士さんのある日の日誌)

はじめに
歯周病治療で、歯ぐきの中の歯石やバイオフィルムを除去するSRP(スケーリング・ルートプレーニング)を受けたあと、
「前より歯が長くなった気がする」
「歯ぐきが下がって、歯の根元が見えるようになった」
「歯と歯の間に黒いすき間ができた」
と気づく方がいます。
歯周病治療後の再評価をしていると、
「治療する前より歯ぐきが下がっていますよね?」
「歯石を取るときに歯ぐきを傷つけたんですか?」
「これって、治療がうまくいかなかったということですか?」
と聞かれることもあります。
鏡で見える変化なので、不安になるのも不思議ではありません。
最初に大切なことをお伝えすると、SRP後に歯ぐきが下がって見えることはあり、それだけで歯周病が悪化した、あるいは治療に失敗したとは判断できません。
歯周病によって赤く腫れていた歯ぐきから炎症が引き、組織が引き締まることで、これまでより歯が長く見えることがあります。
ただし、
「本当は歯ぐきは下がっていません。腫れが引いてそう見えるだけです」
と説明してしまうのも正確ではありません。
SRP後の治癒では、歯肉の縁そのものが歯の根の方向へ移動し、実際の歯肉退縮が生じる場合もあるからです。
では、実際に歯ぐきが下がっているのに、どうして「歯周病が改善していることもある」のでしょうか。
その答えを理解するには、SRP後に歯周ポケットが浅くなる仕組みを知る必要があります。
今回の日誌では、SRP後に歯が長く見える理由から、歯肉退縮と歯周ポケットの改善との関係、そして治療後に歯科衛生士が何を確認しているのかまで、順番に見ていきます。
SRP後に歯ぐきが下がって見えるのはなぜ?
まず、治療前の歯ぐきの状態から考えてみましょう。
歯周炎の歯ぐきは腫れていることがあります
歯周炎がある場所では、歯ぐきに炎症が起きています。
- 赤みがある
- 丸みを帯びて腫れている
- 歯磨きや歯周病検査で出血しやすい
- 歯ぐきがやわらかく、むくんだように見える
といった変化がみられることがあります。
つまり、治療前に見えている歯ぐきの形が、必ずしも健康なときの形とは限りません。
炎症によって歯肉組織が腫れていると、本来よりも歯を覆う範囲が大きく見える場合があります。
歯周基本治療では、毎日のセルフケアを整えるとともに、スケーリングやSRPによって歯面や歯ぐきの中のバイオフィルム、歯石などを減らしていきます。
原因が減って炎症が落ち着いてくると、赤く膨らんでいた歯ぐきも次第に引き締まります。
すると、
「歯が急に長くなった」
ように見えることがあります。
もちろん、歯そのものが伸びたわけではありません。それまで腫れた歯ぐきに覆われて見えにくかった部分が、以前より見えるようになったのです。
ただし「腫れが引いただけ」とも限りません
ここは今回の記事で特に大切なところです。
SRP後の変化を、
「腫れていた歯ぐきが元に戻っただけなので、歯肉退縮ではありません」
と一括りにすることはできません。
歯肉退縮とは、歯肉の縁が歯の根の方向へ移動し、それまで覆われていた歯根表面が露出する状態です。
SRP後の治癒過程では、このような実際の歯肉縁の位置変化が起こることもあります。
したがって、治療後に歯が長く見える背景には、
- 炎症による腫れが引いた
- 歯肉が引き締まった
- 歯肉縁そのものが根元側へ移動した
といった変化が重なっている場合があります。

SRPは「歯ぐきを下げるため」の治療ではありません
ここまで読むと、
「では、SRPで歯の根を削ったから歯ぐきが下がったのでは?」
と思うかもしれません。
これも、そのように単純には説明できません。
SRPの目的は炎症の原因を減らすこと
SRPは、Scaling and Root Planingの略で、日本語ではスケーリング・ルートプレーニングと呼ばれます。
歯ぐきの中にあるバイオフィルムや歯石などを除去・減少させ、歯周組織が治っていきやすい環境を整えるために行います。
昔は「汚染された根面を徹底的に削り、完全にツルツルにする」というイメージで説明されることもありました。
しかし現在は、健康な歯質を必要以上に削ることが治療の目的ではありません。
歯ぐきの中のバイオフィルムや歯石などを適切に減らし、炎症をコントロールできる環境をつくることが重要です。
そのため、
「SRPで歯根をたくさん削ったから、その分だけ歯ぐきが下がった」
と考えるものではありません。
SRP後の歯ぐきの変化には、炎症が改善し、歯ぐきが治っていく過程そのものが大きく関係しています。
なお、歯石除去後に歯がしみる理由や根面処置については、歯石取り後に歯がしみる原因と知覚過敏の受診目安でも詳しく解説しています。
「6mmのポケットが4mmになった」=歯ぐきが2mm下がった、ではありません
ここからが、今回いちばん大切な部分です。
歯周病治療では、再評価のときに、
「治療前は6mmだった歯周ポケットが、今回は4mmになっています」
と説明することがあります。
すると、
「2mm浅くなったなら、歯ぐきが2mm下がったということ?」
と思うかもしれません。
しかし、そうとは限りません。
歯周ポケットの深さは、どこからどこまで測っている?
歯周病検査では、細いプローブという器具を歯と歯ぐきの境目に入れて測定します。
そこで測っている歯周ポケットの深さ(PPD)は、大まかにいうと、
歯肉の縁から、プローブが到達したポケット底部までの距離
です。
つまりPPDの数字には、
- 歯肉縁がどこにあるか
- プローブで確認できるポケット底部がどこにあるか
の両方が関係します。
ポケットが浅くなる変化には二つの方向があります
SRP後に歯周ポケットが浅くなる変化には、大きく二つの要素があります。
一つは、歯肉縁が根元側へ移動することです。
これは歯肉退縮として、患者さん自身にも「歯が長くなった」と見える変化です。
もう一つは、歯と歯周組織の付着状態を臨床的に測った位置関係が改善することです。
歯周病学では、歯の決まった基準点から、プローブで確認できるポケット底部までの位置関係を臨床的アタッチメントレベル(CAL)として評価します。
治療後にこの距離が改善した状態を、臨床的アタッチメントゲインと呼びます。
ここで、とても大切な注意点があります。
臨床的アタッチメントゲインが得られたことは、歯周炎で失われた歯槽骨・歯根膜・セメント質が、そのまま元通りに再生したことを意味するわけではありません。
これは、プロービングによって測定する臨床的な位置関係の改善です。
一般的な非外科的歯周治療による治癒と、歯槽骨や歯根膜、セメント質の再生を目的とする歯周組織再生療法は分けて考える必要があります。
たとえば説明のために、
治療前:PPD 6mm
治療後:PPD 4mm
だったとします。
2mm浅くなっていますが、その2mm全部が「歯ぐきが2mm下がった」ことで生じたとは限りません。
歯肉縁の位置の変化と、ポケット底部側の臨床的な変化が組み合わさった結果として、PPDが浅くなっていることがあります。

では、なぜ歯が「長くなった」ように見えるのでしょうか?
理由はシンプルで、それまで歯肉に覆われていた部分が、治療後に見えるようになるからです。
とくに前歯は歯ぐきのラインを鏡で確認しやすいため、わずかな位置変化でも気づきやすい場所です。
「治療前はこんなに長くなかった気がする」
と驚く方がいるのも、そのためです。
また、根面が露出すると、それまで主に見えていた歯冠部分とは色や表面の見え方が少し違うこともあります。
ただし、どの程度変化するかは全員同じではありません。
- もともとの歯周炎の重症度
- 治療前の歯周ポケットの深さ
- 歯肉の厚み
- 歯槽骨の状態
- 歯の位置や形
- 前歯・奥歯などの部位
などによって違います。

歯と歯の間に「黒い三角」が見えてくることもあります
SRP後には、
「歯の長さだけではなく、歯と歯の間まで広くなった気がする」
と感じることもあります。
歯周炎によって腫れていた歯と歯の間の歯ぐきが引き締まると、それまで見えにくかった歯間の空隙が目立つことがあります。
前歯では、これが黒い三角形のように見えることがあり、一般に「ブラックトライアングル」と呼ばれています。
ただし、SRPをすると必ずブラックトライアングルができるわけではありません。
歯と歯の間の歯ぐきの形には、歯槽骨の高さ、歯と歯の接触位置、歯冠の形、歯の位置など複数の条件が関係します。
また、歯間が広く見えるようになったからといって、歯間清掃をやめるのもおすすめできません。
治療後に歯間部の形が変われば、以前使っていた歯間ブラシのサイズが合わなくなることもあります。
ブラックトライアングルがある場所の清掃については、ブラックトライアングルができた歯間はどう磨く?歯間ブラシ・フロスの選び方とサイズの合わせ方も参考にしてください。
SRP後に歯が少し「しみる」こともあります
歯肉が引き締まったり、歯肉縁が根元側へ移動したりすると、それまで歯ぐきに覆われていた根面が露出することがあります。
すると、
- 冷たい水がしみる
- 歯ブラシが触れたときにピリッとする
- 歯科医院で風を当てるとしみる
といった知覚過敏が出ることがあります。
ただし、強い痛みが続く場合や、何もしなくても痛む場合などは、すべてを「治療後の知覚過敏」と自己判断するべきではありません。
虫歯、歯の亀裂、歯髄の問題など、別の原因がないか確認した方がよい場合があります。
SRP・歯石除去後のしみについては、歯石取り後に歯がしみる原因と受診の目安で詳しく紹介しています。
露出した根面は「根面う蝕」にも注意が必要です
歯ぐきが下がって根面が見えるようになった場合、気をつけたいのは知覚過敏だけではありません。
露出した根面は、根面う蝕と呼ばれる虫歯ができる場所にもなります。
そのため、治療後に見える歯の範囲が変わった場合には、その新しい形に合わせて歯ブラシや歯間清掃の方法を見直し、フッ化物配合歯磨剤を適切に使用することも大切です。
「歯ぐきが下がったから、もう触らない方がいい」と考えるのではなく、露出した根面も含めて清潔に保つことが、その後の管理につながります。
歯ぐきが下がった=歯周病が悪化した、ではありません
ここまでを整理してみましょう。
SRP後には、
- 歯が長く見える
- 根面が見える
- 歯間が広く見える
- 歯肉縁が以前より低くなる
という変化が起こることがあります。
見た目だけを見ると、「治療前より悪くなった」と感じるかもしれません。
しかし、歯肉の高さだけで歯周病治療の成否を判断することはできません。
歯肉退縮と炎症改善は同時に起こり得ます
たとえば治療前は、歯ぐきが大きく腫れて出血し、深い歯周ポケットがあったとします。
SRP後には歯肉縁が少し根元側へ移動し、歯が長く見えるようになった。
一方で、
- 歯肉の赤みが減った
- 腫れが減った
- プロービング時の出血が減った
- 歯周ポケットが浅くなった
- 排膿がなくなった
という変化がみられることもあります。
この場合、「歯ぐきが下がっている」という見た目と、「歯周炎が改善している」という状態は両立します。
歯肉退縮があることと、歯周炎が悪化していることは同じ意味ではありません。
では「たくさん下がった方が、よく治っている」の?
これも違います。
歯ぐきが大きく下がれば下がるほど治療成功、ということではありません。
歯肉退縮そのものは、知覚過敏、根面う蝕、審美的な問題、清掃方法の変化などにつながることがあります。
ですから、
「歯ぐきが下がった=治療失敗」
でもなければ、
「歯ぐきが下がった=治療成功」
でもありません。
大切なのは、歯周組織全体がどう変化したかです。

歯科衛生士は再評価で何を確認している?
SRPが終わったあとには、治癒期間をおいて歯周病の再評価を行います。
そのとき私たちが見ているのは、
「歯ぐきが何mm下がったか」
だけではありません。
歯周ポケットの深さ
まず、治療前の歯周ポケットと比較します。
どの部位が浅くなったのか、どこに深いポケットが残っているのかを確認します。
同じ一本の歯でも、頬側・舌側・歯と歯の間では状態が違うことがあるため、部位ごとに見ていきます。
深い歯周ポケットがある場所をご自身でどう清掃するかについては、歯周ポケットが6mm・7mmある場所はどう磨く?も参考にしてください。
プロービング時の出血(BOP)
プローブを入れたときに出血するかどうかも確認します。
BOPは歯周組織の炎症を考えるうえで重要な情報の一つですが、出血の有無だけですべてを判断するわけではありません。
家庭で歯磨きをしたときに血が出る場合については、歯磨きで血が出るとき、磨かない方がいい?歯科衛生士が確認する歯ぐきの炎症と磨き方もご覧ください。
歯ぐきの赤み・腫れ・膿
治療前と比べて、赤みや腫れが減っているか、膿が出ていないかなども確認します。
プラークの残り方
SRPを一度受ければ、その後ずっと歯周病が安定するわけではありません。
毎日のセルフケアでプラークをコントロールできているかは、その後の歯周組織の安定に大きく関係します。
必要に応じてCAL・歯の動揺・エックス線所見など
歯周病の状態によっては、臨床的アタッチメントレベル、歯の動揺、根分岐部、エックス線で確認する歯槽骨の状態なども合わせて評価します。
つまり、鏡で見た「歯ぐきの高さ」一つだけで治療結果を決めているわけではありません。
歯周病治療後に何を確認しながら長期管理するのかについては、歯周病治療後のメインテナンスは普通の定期検診と何が違う?でも詳しく解説しています。
SRP直後の見た目だけで最終結果を判断しないでください
SRPを受けた翌日や数日後に鏡を見て、
「歯ぐきが下がった!」
と思っても、その時点だけで最終的な状態を判断するものではありません。
歯周組織の治癒は一日で完成するわけではないからです。
非外科的歯周治療に関する臨床研究では、歯周ポケットや歯肉の炎症などの変化は治療後の数週間から数か月にかけて評価されています。
治療後しばらくは歯肉の形や硬さも変化していくため、治療直後の見た目と、治癒期間をおいた再評価時の状態は分けて考えることが大切です。
再評価の時期は、もともとの歯周病の程度や治療内容によって異なります。

下がった歯ぐきは元に戻りますか?
これも、よく聞かれる質問です。
答えは、何が原因でそう見えているのかによって異なります。
炎症で腫れていた歯ぐきが引き締まった場合
治療前に炎症で大きく腫れていた歯ぐきが、健康な状態へ近づいた結果として小さく見えているのであれば、「治療前の大きさに戻す」ことが目標ではありません。
むしろ再び大きく腫れれば、炎症が再燃していないか確認する必要があります。
「歯ぐきの高さが戻ったから治った」とは限らないのです。
実際の歯肉退縮が起きている場合
歯肉縁が根元側へ移動して根面が露出している場合、自然に完全に元の位置まで戻るとは限りません。
一方、治癒の経過のなかで、歯肉縁がわずかに歯の頭の方向へ移動する「クリーピング」と呼ばれる変化がみられることもあります。
ただし、どの場所で、どの程度起こるかを予測することは難しく、「時間がたてば元通りになる」と期待できるものではありません。
歯肉退縮がどの程度安定するかは、
- 歯肉の厚み
- 歯槽骨の状態
- 歯の位置
- 歯肉退縮の範囲
- 歯と歯の間の組織状態
- ブラッシング習慣
などによって異なります。
見た目や知覚過敏などが大きく気になる場合には、歯肉と歯槽骨の状態を歯科医師に確認してもらいましょう。
「これ以上下げたくない」と歯磨きをやめないでください
歯ぐきが下がったように見えると、
「これ以上触ったら、もっと下がるのでは?」
と心配して、その場所を磨かなくなってしまうことがあります。
しかし、プラークが残れば再び炎症が起こりやすくなります。
だからといって、
「しっかり磨かなければ」
と強い力でゴシゴシ擦るのも違います。
歯肉退縮には歯周病だけでなく、強すぎるブラッシングや、歯肉・歯槽骨の形態など複数の要因が関係します。
大切なのは、磨かないことでも、強く磨くことでもなく、その場所に合った方法でプラークを落とすことです。
歯ブラシの力や硬さと歯肉退縮の関係については、歯磨きのしすぎで歯ぐきが下がる?歯肉退縮と知覚過敏を防ぐ歯ブラシの力・硬さ・動かし方をご覧ください。

こんな変化は「治癒だから大丈夫」と決めつけず歯科へ相談してください
SRP後に歯が長く見えたり、歯と歯の間が少し目立つようになったりすること自体は起こり得ます。
しかし、治療後に起こるすべての変化を、
「治っている途中だから大丈夫」
と自己判断するのもおすすめできません。
たとえば、次のような変化がある場合には歯科医院へ相談してください。
- 治療後に腫れがどんどん強くなる
- 膿が出る
- 強い痛みが続く
- 出血が増えている
- 歯が以前より明らかに揺れる
- 噛み合わせが急に変わったように感じる
- 強い知覚過敏が続く
- 歯ぐきが短期間で急速に下がっているように見える
とくに痛み・腫れ・膿などが強い場合は、単なる歯肉退縮とは別の問題が起きていないか確認する必要があります。

よくある質問
SRP後に歯ぐきが下がるのは普通ですか?
SRP後に歯ぐきが引き締まり、歯が長く見えたり、実際に歯肉縁が根元側へ移動したりすることはあります。
ただし、全員に同じ程度の変化が起きるわけではありません。
もともとの歯周炎の重症度、歯肉の厚み、歯周ポケットの深さ、歯槽骨の状態などによって異なります。
歯ぐきが下がったのは、歯石を取るときに削られたからですか?
それだけで説明することはできません。
SRPの目的は、歯ぐきの中のバイオフィルムや歯石などを減らし、炎症が改善しやすい環境をつくることです。
SRP後に歯ぐきが下がって見える変化には、炎症が治まって組織が引き締まることや、治癒に伴う歯肉縁の位置変化などが関係します。
6mmの歯周ポケットが4mmになったなら、歯ぐきが2mm下がったのですか?
必ずしもそうではありません。
歯周ポケットの深さは、歯肉縁からプローブで確認できるポケット底部までの距離です。
SRP後のPPD減少には、歯肉縁の根元側への移動だけでなく、臨床的アタッチメントの改善も関係します。
したがって、「2mm浅くなった=歯ぐきが2mm下がった」とは単純に計算できません。
アタッチメントゲインがあれば、歯槽骨も元通りになったということですか?
いいえ。臨床的アタッチメントゲインは、プロービングによって測定する位置関係が改善したことを示す指標です。
通常のSRPによって臨床的な改善が得られても、それだけで失われた歯槽骨・歯根膜・セメント質がすべて元通りに再生したことを意味するわけではありません。
歯ぐきが下がったままでも、歯周病が安定していることはありますか?
あります。
治療後に歯肉縁が以前より根元側にあっても、それだけで活動性の歯周炎が続いているとは判断しません。
歯周ポケットの深さ、プロービング時の出血、歯肉の炎症、プラーク、臨床的アタッチメントレベル、必要に応じて歯の動揺やエックス線所見などを合わせて、歯周組織が安定しているかを評価します。
歯が長く見えるのは元に戻りますか?
原因によって異なります。
炎症で腫れていた歯肉が引き締まった場合、治療前の腫れた状態へ戻すことが目標ではありません。
一方、実際の歯肉退縮が起きている場合には、自然に完全に元の位置へ戻らないこともあります。
わずかなクリーピングがみられる場合もありますが、どの程度起こるかを事前に予測することは難しいため、気になる場合は再評価時に確認してもらいましょう。
SRP後に歯がしみるのも関係がありますか?
関係する場合があります。
歯肉が引き締まったり歯肉退縮が生じたりして、それまで覆われていた根面が露出すると、冷たいものなどにしみることがあります。
ただし、強い痛みや長引く症状には別の原因が隠れていることもあるため、気になる場合は歯科医院へ相談してください。
まとめ|「歯ぐきの高さ」だけでは歯周病治療の結果は判断できません
SRP後に、
「歯ぐきが下がった」
「歯が長くなった」
と感じることがあります。
その理由には、歯周炎で腫れていた歯ぐきから炎症が引いて組織が引き締まることに加えて、実際に歯肉縁が根元側へ移動することも関係します。
ですから、
「本当は下がっていません。腫れが引いただけです」
と必ずしも言い切ることはできません。
一方、歯ぐきが下がった=歯周病治療に失敗したとも限りません。
SRP後に歯周ポケットが浅くなる変化には、歯肉退縮だけではなく、臨床的アタッチメントの改善も関係するからです。
ただし、そのアタッチメントゲインは、失われた歯槽骨や歯根膜がそのまま元通りに再生したことを意味するわけではありません。
反対に、歯ぐきが大きく下がった=よく治ったという意味でもありません。
歯周病治療の結果は、
- 歯周ポケットの深さ(PPD)
- プロービング時の出血(BOP)
- 歯肉の炎症
- 臨床的アタッチメントレベル(CAL)
- プラークの状態
- 必要に応じて歯の動揺やエックス線所見
などを合わせて評価します。
鏡で見える「歯ぐきの高さ」は、その中の一つの情報にすぎません。
SRP後に見た目が変わって不安になったときは、「下がったから失敗した」と決めつけず、再評価のときに治療前と比べて歯周組織がどう変化したのか確認してもらってください。
広島市中区立町のブランデンタルクリニックは、立町駅徒歩1分、立町中央ビル4階です。4階まではエレベーターをご利用いただけます。
SRP後に「急に歯ぐきが下がった気がする」「強くしみる」「痛みや腫れが増えた」「膿が出る」など気になる変化がある場合はご相談ください。当日電話受付可、急患同日可です。
参考文献
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