2024年10月20日

(歯科衛生士さんのある日の日誌)

はじめに
こんにちは。ブランデンタルクリニックの歯科衛生士です。
「定期検診にはきちんと通っているから、歯周病は大丈夫だと思っていました」
診療室で、ときどきこうしたお話を伺うことがあります。
定期的に歯医者へ通うことは、歯と歯ぐきを守るためにとても大切です。歯石やプラークを取り除くだけでなく、自分では気づきにくい変化を見つける機会にもなります。
ただし、ここで一つ知っておいていただきたいことがあります。
「定期検診に通っている」ことと、「歯周病が絶対に進行しない」ことは同じではありません。
歯周病は、強い痛みがないまま進むことがあります。また、歯周病の状態は「歯ぐきから血が出るか」「歯周ポケットが何mmか」「レントゲンを撮ったか」といった一つの情報だけで判断できるものでもありません。
私たちが定期検診で大切にしているのは、歯石を取ることだけではなく、歯ぐきの状態を調べ、検査結果を記録し、必要な画像検査を組み合わせ、前回までの状態と比較することです。
今回は、「歯医者の定期検診で歯周病の見落としを防ぐには、どのようなところを確認するのか」を、歯科衛生士の立場から詳しくお話しします。
歯医者の定期検診に通っていても、歯周病が進むことはある?
あります。
ただし、これは「定期検診には意味がない」という話ではありません。むしろ反対です。
歯周病は、一度の診察だけで将来まで完全に予測できる病気ではありません。だからこそ、定期的に状態を確認し、記録を残して変化を追うことに意味があります。
歯周病は「痛くなってから気づく病気」とは限らない
むし歯では、冷たいものがしみる、噛むと痛い、ズキズキするといった症状をきっかけに受診される方が少なくありません。
一方、歯周病では、歯ぐきの腫れ、歯磨きのときの出血、歯ぐきが下がる、食べ物が詰まりやすくなる、口臭などの変化があっても、強い痛みを感じないまま進行することがあります。
そのため、「痛くないから歯周病ではない」とは言い切れません。
歯周病そのものの原因や初期症状、進行、検査、治療については、歯周病とは?原因・初期症状・進行・検査・治療・予防まで歯科衛生士がわかりやすく解説で詳しくまとめています。
「毎回クリーニングしているから大丈夫」とも限らない
定期検診というと、「歯石を取ってもらう日」というイメージを持っている方も多いかもしれません。
もちろん、歯石やプラークを取り除くことは大切です。
ただし、クリーニングと歯周病の検査は同じものではありません。
歯周病を確認するためには、歯ぐきの見た目だけでなく、歯周ポケット、検査時の出血、歯ぐきの位置、歯の動揺、プラークの付着状態、必要に応じたレントゲン画像など、複数の情報を組み合わせて評価します。
つまり私たちは、クリーニングをしながら「きれいになったか」だけを見ているわけではありません。
前回と比べて、歯周組織に何か変化が起きていないか。
そこにも注意を向けています。

歯周病の検査は「問診」から始まっています
歯周病の検査というと、歯ぐきに細い器具を入れる検査を思い浮かべるかもしれません。
しかし実際には、その前の問診からすでに大切な情報を集めています。
たとえば、以前に歯周病治療を受けたことがあるか、最近歯ぐきが腫れたことはないか、出血が増えていないか、喫煙しているか、糖尿病などの持病があるか、服用中の薬が変わっていないか、といったことです。
歯周病は口の中だけを切り離して評価するのではなく、これまでの治療歴や生活習慣、全身状態も含めて考えることが大切です。
特に継続して通っている患者さんでは、「前回の受診から何か変わったことはありませんでしたか?」という確認そのものが重要になります。
歯科衛生士は定期検診で歯ぐきの何を見ている?
まず見るのは赤み・腫れ・形・プラーク
歯周プローブを使う前に、まず歯ぐきの状態を観察します。
- 歯ぐきが赤くなっていないか
- 腫れていないか
- 歯と歯の間の歯ぐきの形が変わっていないか
- 歯ぐきが下がっていないか
- 排膿がないか
- プラークや歯石がどこに付着しているか
一部分だけ赤くなっている場合には、その場所にプラークや歯石がたまっていることもあれば、深い歯周ポケット、被せ物や詰め物の形、歯ブラシの当たり方などが関係している場合もあります。
「どこに汚れが残っているか」も見る
「歯磨きをしているか」だけではなく、どこに磨き残しがあるかを見ることも重要です。
一番奥の歯、歯と歯の間、歯並びが重なった部分、被せ物の周囲、歯ぐきが下がって露出した根元、奥歯の複雑な形の部分などは、清掃が難しくなりやすい場所です。
同じ場所に毎回プラークが残っていれば、その場所に合った歯ブラシ、フロス、歯間ブラシなどの使い方を一緒に見直します。
「今日どうか」だけでなく「前回からどう変わったか」を見る
私たちが意識しているのは、今日だけの状態ではありません。
前回の定期検診と比べて、以前より出血しやすくなっていないか、歯ぐきが下がっていないか、深いポケットが続いていないか、歯の動揺が増えていないかなどを確認します。
歯周病検査は「数字を測ること」が目的ではなく、その数字を記録し、次回以降と比較できる状態にすることにも大きな意味があります。
細い器具を歯ぐきに入れているのは何のため?歯周ポケット検査
歯周病の検査では、「歯周プローブ」という目盛りのついた細い器具を使います。
患者さんからすると「歯ぐきに針を刺しているように見える」かもしれませんが、注射針ではありません。
歯と歯ぐきの境目に沿わせながら、歯周組織の状態を確認するための器具です。

PPDとは「歯ぐきの縁からどこまでプローブが入るか」
PPDは「プロービングポケットデプス」と呼ばれます。
簡単にいうと、歯ぐきの縁から、プローブの先端が到達した位置までの深さです。
定期検診で、「ここは3mmです」「奥歯に5mmのところがあります」などと言われた経験がある方もいると思います。
この数字は歯周病を評価する重要な情報ですが、数字だけで歯周病のすべてが分かるわけではありません。
1本の歯でも場所によって深さが違う
歯周病は「1本の歯全体が同じように悪くなる」とは限りません。
たとえば同じ奥歯でも、頬側は3mmなのに、歯と歯の間の一部分だけ6mmということがあります。
そのため歯周病を詳しく評価するときは、1本の歯を1か所だけ測るのではなく、周囲を複数箇所から確認します。日本の歯周精密検査では1歯4点以上を測定し、さらに詳しい全顎評価では、頬側と舌側それぞれの近心・中央・遠心を確認する6点法が用いられることもあります。
つまり、口全体の見た目がきれいでも、奥歯の一部分だけ深い歯周ポケットが存在することがあるため、部位ごとに確認することが重要です。

「3mmなら健康、4mmなら歯周病」と数字だけで決めるわけではありません
インターネットでは、「歯周ポケット3mmまでは正常」「4mm以上なら歯周病」といった説明を見かけることがあります。
患者さん向けの目安としては分かりやすいのですが、実際の診断はもう少し複雑です。
ポケットが深くても「その分だけ骨が減った」とは限らない
歯ぐきに炎症があって腫れていると、歯ぐきの縁の位置やプローブの入り方も変化します。
そのため、PPDが深く測定されたからといって、「その数字と同じだけ歯を支える組織が失われている」とは限りません。
反対に、歯ぐきが大きく下がっている人では、ポケットが比較的浅くても、過去に歯を支える組織を失っていることがあります。
CALは「これまでに失った支持組織」を考える指標
そこで重要になるのが、CAL(臨床的アタッチメントレベル)です。
少し専門的ですが、PPDは現在の歯ぐきの縁から測る深さ、CALは歯そのものの基準点からどのくらい付着を失ったかを見る指標と考えると分かりやすいと思います。
PPDとCALを区別して考えることで、「今ポケットが深いか」だけでなく、「これまでにどの程度、歯を支える組織が失われたか」も評価できます。

そのため、「3mmだから絶対に健康」「4mmだから必ず歯周炎」「6mmだから歯を抜かなければならない」と、数字一つだけで決めるものではありません。
歯ぐきから血が出る「BOP」は何を意味する?
歯周プローブを入れたあと、歯ぐきから血が出ることがあります。
これをプロービング時出血(BOP)といいます。
BOPは歯ぐきの炎症を見る重要な手掛かり
炎症のある歯ぐきは、健康な歯ぐきより出血しやすくなります。
そのためBOPは、現在の歯肉炎症を考えるうえで重要な情報の一つです。
「歯石を取ってもらったら血が出たけれど大丈夫?」という疑問については、クリーニングで血が出るのは悪いこと?歯ぐきの炎症と出血の見方でも詳しく解説しています。
出血しなければ絶対に安心、でもない
出血がないことは、歯周組織の安定を考えるうえで良い材料です。
しかし、「血が出ない=歯周病がない」「血が出ない=深いポケットでも必ず安全」とは言い切れません。
特に、過去に歯周炎によって支持組織を失っている場合や、深いポケットが残っている場合には、BOPだけでなくPPD、CAL、歯槽骨の状態、過去からの変化なども合わせて判断します。
この点は、出血のない深い歯周ポケットは安定しているのか|BOP陰性の限界、5mm・6mm残存ポケットと長期予後で詳しく解説しています。
前回3mm、今回4mmなら「歯周病が1mm進んだ」の?
これは、歯周病の検査結果を理解するときにとても大切なポイントです。
結論からいうと、前回3mm、今回4mmだったからといって、それだけで「歯周病が1mm進んだ」とは判断しません。
プロービングには多少の測定変動がある
歯周プローブによる測定は非常に重要ですが、完全な機械測定ではありません。
プローブを入れる角度、測る位置、加える力、歯肉の炎症の程度、プローブの種類、目盛りの読み取り方などによって、測定値が多少変動することがあります。
炎症が強いときには組織の抵抗が変化し、以前より深く測定されることもあります。
一度の1mm差より「同じ場所がどう変化しているか」
だから私たちは、一回の数字だけを切り取るのではなく、同じ部位について複数の情報を確認します。
- 深いポケットが繰り返し記録されているか
- BOPが続いているか
- CALが変化していないか
- 歯肉退縮が進んでいないか
- 歯の動揺が増えていないか
- 必要な場合、画像上の骨支持に変化がないか

歯周病の見落としを防ぐために大切なのは、一度の検査で未来まで完璧に当てることではなく、検査結果を残して次回と比較できるようにすることです。
「前回と変わっていない」という結果も、とても大切な情報です。
歯がグラグラしていないかも確認する
歯周病が進んで歯を支える組織が減ると、歯が動きやすくなることがあります。
そこで定期検診では、必要に応じて歯の動揺も確認します。
ただし、「歯が動く=歯周病」ではありません。
噛み合わせによる負担、外傷、歯根の問題など、別の原因が関係することもあります。
歯を揺らす検査や打診・触診については、歯医者で歯をたたく・歯ぐきを押す・歯を揺らすのはなぜ?打診・触診・動揺度検査で分かることも参考にしてください。
奥歯では「根分岐部」も見落としたくない
大臼歯などの奥歯には、根が複数に分かれている歯があります。
歯周病が進行すると、その根と根の間にある「根分岐部」まで骨吸収が広がることがあります。
根分岐部は構造が複雑で、歯ブラシや歯間ブラシによる清掃も難しくなりやすい場所です。
そのため必要に応じて、通常の歯周プローブだけでなく、根分岐部を調べるための専用プローブを使って確認します。

レントゲンでは歯周病の何が分かる?
歯周病の検査について、「レントゲンを撮れば全部分かるのでは?」と思われる方もいるかもしれません。
レントゲンは非常に重要な検査ですが、これも万能ではありません。
レントゲンでは歯を支える骨の状態を確認する
歯周病の画像診断では、歯槽骨の高さ、骨吸収の程度、水平性・垂直性など骨吸収の形、歯根の長さや形、根分岐部周囲の骨、ほかの病変が隠れていないかなどを確認します。
歯ぐきの検査と画像検査は、どちらか一方で代用するのではなく、それぞれ別の情報を得るために使います。
レントゲン写真だけでは現在の炎症そのものは分からない
レントゲンに写るのは主として歯や骨などの硬い組織です。
「今日、その場所の歯ぐきにどの程度炎症があるか」を、レントゲン写真一枚だけで判断するものではありません。
そのため、プロービングでは歯ぐきや歯周ポケットを確認し、画像では歯槽骨などの支持状態を確認するというように、それぞれの検査を組み合わせます。
「毎年必ずレントゲンを撮れば安心」というものでもない
必要な画像検査や撮影時期は、患者さんの症状、歯周検査の結果、治療歴、以前の画像、現在確認したい内容などを踏まえて判断します。
つまり、「レントゲンを毎年撮っているから安心」「今回撮らなかったから歯周病を見ていない」と、撮影回数だけで単純に判断することはできません。
歯科用CTを毎回撮れば、歯周病を見落とさない?
歯科用CT、特にCBCTは、歯や骨の状態を三次元的に確認できる便利な画像検査です。
しかし、「詳しく見える検査だから、全員が定期的に撮ったほうがよい」というものではありません。
CBCTが役立つことがある場面
複雑な骨欠損の形態を確認したい場合、根分岐部周囲を三次元的に把握したい場合、歯周組織再生療法などの治療計画を検討する場合、ほかの病変との鑑別が必要な場合などには、CBCTが役立つことがあります。
「CTを撮る=精密、撮らない=不十分」ではない
CBCTも放射線を利用する画像検査です。また、骨の三次元的な構造を詳しく評価できても、歯ぐきの現在の炎症活動性を直接測定する検査ではありません。
そのため、歯周病のスクリーニングとして全員に繰り返し撮影するのではなく、まず問診や臨床診査を行い、その患者さんに必要な診断情報に応じて画像検査を選ぶことが大切です。
歯科用CT、デンタル、パノラマの違いについては、歯科用CTと普通のレントゲンは何が違う?デンタル・パノラマとの見え方、被ばく、使い分ける理由で詳しく解説しています。

歯周病の重症度は「ポケットが何mmか」だけでは決まらない
現在の歯周炎では、病気の重症度や治療の複雑さを整理するStage I〜IV、進行の速さやリスクを考えるGrade A〜Cという分類が使われています。
ただし、患者さんがStageやGradeの基準をすべて暗記する必要はありません。
大切なのは、歯周病の重症度は一つのポケット値だけでは決まらないということです。
Stageでは歯を支える組織全体を見る
Stageを考えるときには、CAL、レントゲン上の骨吸収、歯周炎によって失った歯の数、深い歯周ポケット、垂直性骨吸収、根分岐部病変などを確認します。
さらに重度になると、歯の動揺や歯の移動、噛む機能への影響など、治療の複雑さに関わる要素も考慮されます。
そのため、「6mmのポケットが一か所あったから、それだけでStage III」というように、一つの所見だけで分類するものではありません。
Gradeでは進行の速さやリスクも考える
Gradeでは、これまでの歯周組織破壊の進み方などから進行速度を評価し、喫煙や糖尿病といったリスク修飾因子も考慮します。
同じようなポケットの深さでも、患者さんの年齢、過去の骨吸収、全身状態などによって臨床的な意味が変わることがあります。
同じ検査結果でも、喫煙や糖尿病など患者背景も一緒に考える
歯周病は、口の中だけを見ればすべて分かる病気ではありません。
歯周病の進行リスクを考えるときには、深い歯周ポケットの残存、BOP、骨吸収、失った歯、セルフケアの状態などとともに、喫煙や糖尿病なども重要な情報になります。
喫煙している方は「血が出ないから安心」とは限らない
喫煙は歯周病の重要なリスク因子の一つです。
また、喫煙している方では歯肉の血流や炎症反応の現れ方が変化し、歯ぐきからの出血が目立ちにくい場合があります。
そのため、特に喫煙している方では、「歯磨きしても血が出ないから歯周病ではない」と判断しないことが大切です。
詳しくは、喫煙していると歯ぐきから血が出にくいのはなぜ?出血の少なさに隠れる歯周病と禁煙後の変化をご覧ください。
糖尿病がある方では全身状態の変化も確認する
糖尿病と歯周病には相互の関連があり、歯周病の管理では血糖コントロールを含めた全身状態も大切です。
私たち歯科衛生士も、必要に応じて「最近HbA1cはどうですか」「薬が変わっていませんか」「口が乾きやすくなっていませんか」などを確認します。
糖尿病がある方の継続管理については、糖尿病がある方のメンテナンスで衛生士が見ていること:出血・乾燥・治りにくさで詳しく解説しています。
歯ぎしり・食いしばりだけで歯周病になるの?
「噛む力が強いと骨が減るから歯周病になる」と説明されることがありますが、歯周病と噛み合わせの関係は、それほど単純ではありません。
まず歯周炎の基本にあるのは炎症
歯周炎では、歯周病原細菌を含むバイオフィルムに対する宿主の炎症・免疫反応が関係し、その結果として歯を支える組織が失われていきます。
そこに過大な咬合力などのメカニカルストレスが加わると、すでに炎症のある歯周組織の破壊を増悪させる可能性があります。
「力」だけを歯周病の原因にしない
歯ぎしりや食いしばりがあるからといって、それだけで歯周炎と診断するわけではありません。
歯周治療では、まずプラークや歯肉炎症をコントロールし、そのうえで必要に応じて歯の動揺、咬合状態、食いしばりなど「力」の問題も確認します。
つまり、炎症と力を切り離さず、総合的に見ることが重要です。
歯周病を100%見落とさない「万能検査」はある?
残念ながら、「この検査だけをすれば、現在の歯周病も将来悪化する場所も100%分かる」という万能検査はありません。
PPDにも役割と限界がある
歯周ポケットの深さは非常に重要ですが、それだけでは過去に失った支持組織や骨の状態をすべて表すことはできません。
BOPにも役割と限界がある
出血は現在の炎症を考える重要な手掛かりですが、一度のBOPの有無だけで将来の組織破壊を完全に予測することはできません。
レントゲンやCTにも役割と限界がある
画像検査は骨の状態を確認するために重要ですが、現在の歯肉炎症の活動性そのものを直接測定する検査ではありません。
だからこそ、歯周病では一つの数字、一つの画像だけで結論を出さないことが大切です。

これらを組み合わせて、現在の状態と時間の中での変化を評価します。
異常が見つかったら、その次は何をする?
定期検診で深い歯周ポケットや出血が見つかったからといって、すぐに歯周外科手術になるわけではありません。
まず歯周病検査から診断へ
必要な検査を行い、歯肉炎なのか歯周炎なのか、どこに病変があるのか、どの程度支持組織が失われているのか、どのようなリスク因子があるのかなどを整理します。
多くの場合、まず歯周基本治療を行う
歯周炎と診断された場合には、多くの場合まずブラッシング方法の確認、プラークコントロール、スケーリング、必要に応じたルートプレーニングなどの歯周基本治療を行います。
歯石を一度取って終わりではなく、毎日のセルフケアと歯科医院での処置を組み合わせて、歯周組織の炎症を減らしていきます。
治療したあとは「再評価」が重要
歯周治療では、治療をしたあとにもう一度検査します。
検査 → 診断 → 歯周基本治療 → 再評価 → 必要に応じた追加治療 → 再評価
というように、治療によって何が変わったのかを確認しながら次の方針を考えます。
「治療前に6mmだった場所はどうなったか」「出血は減ったか」「セルフケアは改善したか」などを比べることで、治療への反応を評価できます。
歯周病治療後も「過去に歯周炎だった」という情報は大切
歯周病治療によって炎症が落ち着き、歯周ポケットが改善することはあります。
しかし、治療がうまくいったからといって、それまでに失われた支持組織や「歯周炎を経験した」という情報まで消えるわけではありません。
歯周炎によって歯槽骨や付着を失った方では、治療後もその状態を前提として経過を見ていく必要があります。
だから治療後も、以前の検査記録と比べながら、再発や進行がないかを確認していきます。
歯周病治療後のメインテナンスは、普通の定期検診と少し意味が違う
一度歯周炎を経験した方では、治療後も継続して歯周組織を管理することが重要です。
治療後には、残っている歯周ポケット、BOP、歯肉退縮、動揺、根分岐部、プラークコントロール、必要に応じた画像などを確認しながら経過を追います。
普通の定期検診と歯周病治療後の継続管理の違いについては、歯周病治療後のメインテナンスは普通の定期検診と何が違う?歯周病継続支援治療で確認することで詳しく解説しています。
また、「深い歯周ポケットの中まで自分で磨けるの?」という疑問については、歯周ポケットの中は自分で磨ける?セルフケアで届く範囲と歯科医院で行うケアも参考にしてください。
よくある質問|定期検診と歯周病検査
定期検診では毎回、歯周ポケットを測るの?
患者さんの歯周病の状態、治療歴、前回の検査結果などによって、必要な検査内容やタイミングは異なります。毎回まったく同じ検査を全員に行うという意味ではありません。
大切なのは、必要な時期に歯周組織の状態を評価し、比較できる記録を残すことです。
レントゲンは何年に1回撮ればいい?
「必ず○年に1回」という一律の間隔で決まるものではありません。
症状、歯周検査の結果、治療歴、過去の画像、むし歯などほかの疾患の可能性も含めて、必要性を判断します。
歯周ポケットが4mmと言われたら歯周病?
4mmという数字だけで歯周炎と確定するわけではありません。
その部位のBOP、CAL、歯肉退縮、骨の状態、ほかの部位の所見などを組み合わせて判断します。
歯ぐきから血が出なければ歯周病は大丈夫?
出血がないことは良い所見の一つですが、それだけで歯周病がないとは判断できません。
深いポケットや過去の支持組織喪失がある場合、喫煙している場合などは、出血の有無以外の情報も合わせて評価する必要があります。
定期検診は何か月ごとに行けばいい?
適切な間隔は全員同じではありません。
歯周病の既往、残っているポケット、プラークコントロール、喫煙や糖尿病などのリスク、むし歯リスクなどによって変わります。ご自身に合った間隔を歯科医院で確認してください。
定期検診で患者さん自身が聞いても大丈夫なこと
歯科医院で「何か質問はありますか?」と言われても、何を聞けばいいか分からないこともありますよね。
歯周病が気になる方なら、こんなことを聞いていただいて大丈夫です。

全部の検査を患者さん側から指定する必要はありません。
大切なのは、「自分の口の中が前回と比べてどうなのか」を知ることです。
「前回と変わりありません」という結果も立派な情報です。それが積み重なることで、長期間の安定を確認できます。
歯医者を選ぶときは「CTがあるか」だけで決めなくても大丈夫
歯科用CTは、必要な症例ではとても有用な設備です。
しかし、「CTがある=歯周病を見落とさない」「CTを撮る=より正しい診断」と単純に考えることはできません。
それよりも大切なのは、
- 問診や治療歴を確認する
- 歯周組織をきちんと診査する
- 必要な検査を選ぶ
- 検査結果を記録する
- 以前の状態と比較する
- 変化があれば原因を考える
- 必要なときに適切な画像検査を追加する
- 治療後にも再評価する
という一連の流れです。
設備の多さだけではなく、臨床診査・記録・再評価を組み合わせて歯周組織を長期的に見ていくことが、歯周病の見落としを減らすうえで重要です。
広島市中区で歯周病や定期検診について相談したい方へ
ブランデンタルクリニックは、広島市中区立町の立町中央ビル4階にあり、立町駅から徒歩1分です。4階まではエレベーターをご利用いただけます。
「ずっと定期検診には通っているけれど、自分の歯周ポケットの状態をよく知らない」
「以前、歯周病と言われたけれど今どうなっているのか確認したい」
「歯ぐきから出血する場所が増えた」
「歯が以前より動く気がする」
といったご相談も可能です。
通常の定期検診や歯周病相談は、WEB・LINE・電話からご予約いただけます。
一方、急に歯ぐきが大きく腫れた、強い痛みが出た、急に歯が大きく揺れるようになったなど、早めの確認が必要そうな症状については、当日電話受付も可能で、診療状況に応じて急患の同日対応を行っています。
緊急性が気になる場合は、WEB予約だけで判断せず、まずお電話でご相談ください。
まとめ|定期検診で大切なのは「通った回数」だけではなく、変化を追えているか
歯周病の見落としを防ぐために大切なのは、「毎回クリーニングを受けること」だけでも、「毎年レントゲンを撮ること」だけでも、「CTを撮ること」だけでも、「歯周ポケットの数字を見ること」だけでもありません。
歯ぐきの状態、プラーク、PPD、BOP、CAL、歯肉退縮、歯の動揺、根分岐部、必要な画像検査、そして患者さん自身のリスク因子。
それぞれに違う意味があります。
そして、それらを前回までの記録と比較することで、
- 変わっていない
- 良くなっている
- 一部分だけ注意が必要になった
という変化が見えてきます。
定期検診で本当に大切なのは、「今日きれいになったか」だけではなく、「前回から歯周組織がどう変化したか」を確認することです。
歯周病は、一度の検査ですべてを予測できる病気ではありません。
だからこそ、検査し、記録し、比べながら長く見ていくことに意味があります。
次に定期検診を受けたときには、
「前回と比べて、歯ぐきはどうですか?」
と聞いてみてください。
その一言が、ご自身の歯周病の状態をより深く知り、これから長く歯を守っていくためのきっかけになると思います。
