2026年9月11日

(歯科衛生士さんのある日の日誌)

はじめに
「次は歯周外科を予定しています」
そう説明を受けて、仕事や予定を調整して手術の日を待っていたのに、手術前の診察で歯ぐきや歯磨きの状態を確認したあと、
「もう少し歯磨きと歯ぐきの状態を整えてから手術にしましょう」
と言われることがあります。
そんなとき、
- 歯磨きができていなかったから手術をしてもらえないの?
- 昨日もっと頑張って磨けばよかった?
- 何%まできれいになれば手術できるの?
- 一度決まった手術なのに、どうして延期になるの?
と戸惑う方もいらっしゃると思います。
でも、これは「歯磨きテストに不合格だった」という話ではありません。
歯周外科は、歯周ポケットが深い、骨が減っているという理由だけで、予定した日に機械的に行う治療ではありません。
その前に歯周基本治療を行い、歯ぐきの炎症や磨き残し、歯周ポケット、プロービング時の出血などをもう一度確認して、「今、外科治療へ進むことが本当に適切か」を再評価します。
その結果、予定どおり歯周外科へ進む場合もあれば、もう少しブラッシング指導や歯周基本治療を続け、あらためて手術時期を判断する場合もあります。
今回は、歯周外科の前に私たち歯科衛生士が何を確認しているのか、「歯磨きが安定している」とはどういう意味なのか、そしてなぜ手術を少し待つことがあるのかをお話しします。
歯周外科は「予約した日になったから行う」治療ではありません
歯周病の治療は、最初から手術をするところから始まるわけではありません。
一般的には、まず歯周病検査を行い、その後、ブラッシング指導、スケーリング、スケーリング・ルートプレーニング(SRP)などの歯周基本治療を行います。
そして一定の治癒期間を置いてから、もう一度歯周組織を調べます。
これが「再評価」です。
大まかな流れは、次のようになります。
- 歯周病検査
- 歯周基本治療
- 治癒期間
- 再評価
- 必要に応じて再SRP・歯周外科・SPTなどへ進む
2026年に日本歯科医学会がまとめた「歯周病の治療に関する基本的な考え方」でも、SRPを含む歯周基本治療後に治療への反応を再評価し、改善が不十分な部分について、再SRPを行うのか、歯周外科へ進むのか、それともSPTやメインテナンスへ進むのかを検討し、治療計画を修正する流れが示されています。
つまり、「歯周外科の可能性があると説明された」=「その日に必ず手術する」ではありません。

再評価では「まだ本当に手術が必要なのか」も確認しています
最初の検査で6mm、7mmと深い歯周ポケットがあっても、歯周基本治療後には歯ぐきの腫れや炎症が引き、ポケットの深さが変化することがあります。
BOP(Bleeding on Probing:プロービング時の出血)が減ることもあります。
プラークが減り、歯ぐきが引き締まることで、自宅でも清掃しやすい状態になることもあります。
そのため、最初の検査だけを見て「ここは6mmだから必ず手術」と決めるのではなく、歯周基本治療にどのように反応したかを確認してから次の処置を判断します。
以前の「歯周病治療で歯ぐきが下がった!SRP後に歯が長く見えるのは治療失敗?炎症が引くと起こる変化」でもお話ししましたが、SRP後の再評価では、ポケットの深さだけではなく、BOP、歯ぐきの炎症、磨き残し、必要に応じてアタッチメントレベルや歯の動揺なども合わせて確認します。
歯周基本治療への反応がよければ、当初考えていた外科治療の範囲が変わることもあります。場合によっては、外科治療を行わずに経過をみることもあります。
反対に、セルフケアが改善していても、深い残存ポケットや垂直性骨欠損、根分岐部病変などが残っていれば、歯周外科を検討することがあります。
つまり、歯磨きを頑張れば必ず手術をしなくて済む、という意味でもありません。
なぜ歯磨きが安定していないと手術を待つことがあるのでしょうか
歯周病の大きな原因は、歯や歯ぐきの周囲に形成される細菌性プラークです。
歯周基本治療では、このプラークや歯石を減らし、炎症を改善していきます。
ただ、ここで重要なのは、「一度きれいにすること」ではなく、「きれいな状態を維持できること」です。
日本歯科医学会の資料でも、プラークを可能な限り除去し、その状態を維持することが歯周病治療と予防の根幹とされています。
ヨーロッパ歯周病連盟(EFP)のStage I〜III歯周炎に対する診療ガイドラインでも、一度だけ口の中をきれいにできたかではなく、十分なセルフケアによる口腔衛生状態を達成し、それを維持できていることが重視されています。十分なセルフケアが達成・維持できていない状態では、歯周外科へ進まないことが推奨されています。
歯科医院でクリーニングした直後だけきれいでも、数日後に同じ場所へプラークが戻れば、その部分では再び炎症が起こりやすくなります。
歯周外科は「歯石を取って終わり」の治療ではありません
歯周外科では、歯ぐきを切開したり、歯肉弁を開いたり、歯根面や骨欠損部を処置したりしたあと、歯ぐきを戻して縫合します。
つまり、処置後には傷が治っていく過程があります。
特に歯周組織再生療法では、手術部位の炎症をできるだけ落ち着かせ、プラークコントロールを整えてから外科へ進むことが重要です。
歯周組織再生療法に関する資料でも、歯周ポケットや歯根表面に歯周病原細菌やその産生物が存在する環境は、創傷治癒にとって好ましい状態ではないことが指摘されています。
だから私たちは、手術前の歯磨きを「手術を受ける資格があるかを判定するため」に見ているわけではありません。
「手術した場所が治りやすい環境を、手術前からつくれているか」を確認しています。
「歯磨きが安定している」とは、歯がピカピカという意味だけではありません
診療室で「歯磨きが安定してきましたね」とお話しするとき、私たち歯科衛生士が見ているのは単純な見た目だけではありません。
いくつかの要素を重ねて確認しています。
① 磨き残しそのものが減っているか
まずは、プラークがどの程度残っているかです。
必要に応じて染め出しを行い、O’Leary(オレアリー)のPlaque Control Record(PCR)などを使って数値化することがあります。
もちろん、磨き残しが少ないことは大切です。
ただし、PCRだけですべてを決めるわけではありません。
② 毎回、同じ場所にプラークが残っていないか
これはとても重要です。
たとえば全体としてはよく磨けていても、
- 一番奥の歯
- 歯と歯の間
- 歯並びが重なっている場所
- 根分岐部に近い場所
- 手術を予定している歯の周囲
など、毎回同じ場所だけプラークが残ることがあります。
1989年に報告された日本の研究では、PCRを10%以下に維持している非常に良好な患者さんを対象としていても、歯面ごとのプラーク残存には違いがありました。
この研究では、患者さん全体のPCRだけを良好に保つのではなく、部位ごとにプラークが繰り返し残らないよう管理することの重要性が示されています。
ですから、「PCRが低かったから大丈夫」だけではなく、どこに残っているのかも確認します。
③ BOPや歯ぐきの赤み・腫れが減っているか
歯磨きの状態は、プラークの数字だけではなく、歯ぐきが実際にどう反応しているかも確認します。
プローブを入れたときに出血するBOP、歯ぐきの赤み、腫れ、排膿なども重要です。
見た目にはきれいでも、歯周ポケットの中に炎症が残っていることがあります。反対に、以前は出血していた場所が、プラークコントロールの改善とともに出血しにくくなってくることもあります。
ただし、「BOPが少ない=必ず炎症が少ない」と単純には判断できません。
特に喫煙している方では、歯周炎があっても歯ぐきからの出血反応が少なく現れることがあります。そのため、出血が少ないことだけで「炎症がない」と判断せず、プラーク、ポケットの深さ、歯ぐきの状態、喫煙歴などを合わせて評価します。
④ 歯間ブラシなどを自分で同じように使えるか
診療室では私たちが清掃するので、かなりきれいな状態にできます。
しかし、それだけでは十分ではありません。
患者さん自身が毎日の生活の中で、歯ブラシをどう当てるのか、歯間ブラシをどこから入れるのか、どのサイズが合っているのか、力を入れすぎていないか、といったことを自分で再現できるかも確認しています。
以前の「歯周ポケットが6mm・7mmある場所はどう磨く?歯ブラシを奥まで押し込まない毛先の当て方」でもお話ししたように、深いポケットがあるからといって、歯ブラシの毛先を6mm、7mmと無理に奥まで押し込むわけではありません。
患者さんごと、部位ごとに、無理なく続けられる清掃方法を探していきます。
⑤ そして何より「その状態を維持できているか」
今回、一番お伝えしたいのはここです。
一度だけ上手に磨けたかではなく、良い状態が続いているかを見ます。
前回はかなりきれいだったのに、次の来院では同じ場所にたくさんプラークが戻っている。その次はまたきれい。さらに次ではまた増えている。
このような場合、「一度はきれいにできた」とは言えても、「セルフケアが安定した」とはまだ言いにくいことがあります。
EFPが重視しているのも、十分な口腔衛生状態を単に一度達成することではなく、達成して維持することです。

PCR20%なら手術OK?21%なら延期?
ここは患者さんからすると、とても気になるところだと思います。
歯周病の治療では、O’LearyのPlaque Control Record、いわゆるPCRを使って口腔清掃状態を評価することがあります。
PCRは、歯の表面のうちプラークが付着している部分の割合を示す指標で、数字が低いほど磨き残しが少ないことを意味します。
日本歯周病学会の「歯周治療のガイドライン2022」では、歯周外科を行うにあたり、O’LearyのPCRを20%程度に維持できていること、歯肉の発赤などの炎症がないこと、喫煙していないことなどが望ましいとされています。
また、歯周組織再生療法に関する研究の中には、全顎プラークスコア(FMPS)20%以下、全顎出血スコア(FMBS)20%以下といった条件を設定しているものもあります。
ただし、ここで注意したいことがあります。
PCRとFMPSなどは、研究や評価方法によって名称や算定法が異なります。どちらにも「20%」という数字が出てくるからといって、すべてを同じ物差しとして単純に横並びで比較するものではありません。
そして、PCRについても、
19%なら手術OK。
21%なら延期。
という判定ではありません。
20%前後という数字は重要な参考になりますが、全国すべての歯科医院で一律に使われる「合格ライン」ではありません。
歯周外科へ進むかどうかは、
- PCRなどのプラークの指標
- 数値がどのように推移しているか
- 手術予定部位にプラークが残っていないか
- BOP
- 歯肉の炎症
- 残っている歯周ポケット
- 骨欠損や根分岐部病変の状態
- 歯周基本治療への反応
- 喫煙
- 糖尿病などの全身状態
- 予定している手術の内容
- セルフケアを継続できているか
などを合わせて判断します。
PCRは大切な判断材料ですが、PCRだけで手術日が決まるわけではありません。

前回18%、今回35%だったらどうなる?
わかりやすく、架空の例で考えてみましょう。
前回18%、今回17%。同じ場所への磨き残しも減っている
手術予定部位のプラークも減り、BOPや歯ぐきの腫れも改善してきた。歯間ブラシも自分で使える。
こうした場合は、セルフケアが安定してきていると評価しやすくなります。
前回18%、今回は40%。しかも手術予定部位に毎回プラークが残る
一度18%になったからといって、「もう条件を満たしたから大丈夫」とは考えません。
なぜ再び増えたのか、どこが難しいのかを確認します。
歯間ブラシのサイズが合っていないのか、歯ブラシの角度が難しいのか、治療によって歯ぐきの形が変化し、以前の磨き方では届きにくくなったのか。
原因を探して、もう一度セルフケアを調整します。
全体のPCRは25%でも、手術予定部位はきれいで炎症も改善している
反対に、「20%を超えたから即延期」とも限りません。
全体の清掃状態、手術予定部位、BOP、炎症、残存病変、予定する術式などを含めて評価します。
大切なのは、数字一つだけではなく、数字の推移や部位ごとのパターンを見ることです。
歯科衛生士が確認し、手術の必要性と時期は歯科医師が総合判断します
ここも誤解のないようにしておきたいところです。
歯科衛生士は、日々のセルフケアの状態、プラークが残りやすい場所、BOP、歯肉の変化などを継続的に確認し、必要に応じてブラッシング方法や補助清掃用具を調整します。
しかし、歯周外科を実施するか、もう少し待つかをPCRだけで歯科衛生士が決めるわけではありません。
そうした情報も含めて、歯科医師が残存する歯周ポケット、BOP、骨欠損、根分岐部病変、歯の予後、全身状態、喫煙、予定している術式などを総合し、歯周外科の必要性と時期を判断します。
手術前日にものすごく丁寧に磨けば大丈夫?
これも、ときどき患者さんから聞かれます。
「手術の前日に徹底的に磨けば、きれいに見えるんですよね?」
確かに手術当日にプラークが少ないこと自体は悪いことではありません。
でも、私たちが見ているのは前日の一回だけではありません。
見ているのは「昨日」よりも「これまで」です。

普段から同じ場所を清掃できているか。無理なく続けられているか。歯ぐきの炎症が改善しているか。
そうした経過を確認しています。
ですから、手術前だからといって急に強い力で長時間磨いたり、出血するほど歯間ブラシを押し込んだりする必要はありません。
普段教わっている方法を、いつもどおり続けることの方が大切です。
歯磨きが安定していなかったら、実際には何をするの?
「今日は手術を待ちましょう」となった場合も、単に何週間か何もしないわけではありません。
どこにプラークが残っているのか確認する
必要に応じて染め出しを行い、「全体的に磨けていない」とまとめて考えるのではなく、どこに、なぜ残っているのかを一緒に確認します。
歯ブラシの当て方を微調整する
全部を最初からやり直す必要があるとは限りません。
奥歯の内側だけ、この歯とこの歯の間だけ、手術予定部位の周囲だけというように、苦手な場所を絞って確認することもあります。
歯間ブラシなどのサイズを見直す
歯周治療によって歯ぐきの腫れが引くと、歯と歯の間の形が変わることがあります。
そのため、以前ちょうどよかった歯間ブラシが合わなくなる場合もあります。
必要に応じて追加の歯周基本治療を行う
プラークだけではなく、歯肉縁下の歯石や炎症、深い歯周ポケットが残っている場合には、再SRPなどを検討することがあります。
そして再び治癒を待ち、もう一度評価します。
「延期」は、治療をしていない時間ではありません。

よりよい条件で次の治療へ進むために、必要な部分を整えている時間です。
歯磨きを整えている間に、手術そのものが必要なくなることはある?
あります。
ただし、すべてのケースではありません。
非外科的歯周治療を行うと、歯周ポケットやBOPなどが改善することがあります。
2024年に746人、16,825歯を対象として報告された研究でも、非外科的歯周治療後には全体として歯周ポケットの深さが改善していました。一方で、もともと深いポケット、臼歯、根分岐部病変などでは深いポケットが残りやすく、追加治療が必要になることがあります。
つまり、最初に6mmや7mmだったからといって、その時点だけで最終的な治療方法を決めるのではなく、歯周基本治療後にもう一度確認する意味があります。
一方で、
- 深い歯周ポケットが残っている
- 垂直性骨欠損がある
- 根分岐部病変がある
- 非外科治療だけでは十分にアクセスしにくい
といった場合には、セルフケアが良好でも歯周外科が必要になることがあります。
歯磨きは「歯周外科の代わり」ではありません。
けれど、歯磨きと歯周基本治療を整えたうえで、本当に必要な外科治療を選ぶための重要な土台になります。
再生療法では、手術前の環境づくりがさらに重要です
エムドゲインやリグロスなどを用いる歯周組織再生療法でも、手術前に炎症を抑え、歯周基本治療を十分に行っておくことが大切です。
日本臨床歯周病学会の資料で紹介されている症例では、初診時のPCRが80%だった患者さんが、ブラッシングの改善と歯周基本治療によって炎症が軽減し、再生療法前にはPCR20%まで改善していました。
ただし、これも「80%では手術不可、20%なら手術可能」という意味ではありません。
あくまで、術前に口腔環境を整えてから再生療法へ進んだ一例です。
エムドゲイン治療前後のセルフケアについては、「エムドゲイン治療の前後に歯磨き・歯石取りが大切なのはなぜ?歯周病の再生療法とメインテナンス」で詳しく解説しています。
歯周組織再生療法の適応についてさらに詳しく知りたい方は、院長の徒然コラム「歯周組織再生療法の適応を考える」も参考にしてください。
「手術を延期された=怒られた・失格」ではありません
ここは、歯科衛生士としてぜひお伝えしたいところです。
歯磨きを何度も確認されると、「また磨けていないと言われた」と落ち込む方がいらっしゃいます。
手術が予定どおり進まなければ、「自分がちゃんとできなかったせいだ」と感じる方もいるかもしれません。
でも、私たちが歯磨きを確認している目的は、患者さんを採点することではありません。
歯周病は、歯科医院で行う治療だけで管理する病気ではないからです。
歯科医師が行うSRPや歯周外科、歯科衛生士が行うブラッシング指導やプロフェッショナルケア、そして患者さん自身が毎日行うセルフケア。
これらがつながって歯周治療が進みます。
ですから、手術を少し待つという判断は、「磨けないから手術をしてもらえない」という意味ではありません。
より正確には、「今、予定だけを優先して手術するより、もう少しよい環境に整えてから行う方が適切」と判断したということです。
手術を急ぐことが、必ずしも患者さんにとって一番よいとは限りません。
歯周外科前に患者さん自身ができること
特別なことを急に始める必要はありません。
普段指導されているセルフケアを、無理なく続けてください。
- 指示された歯ブラシ・歯間ブラシなどを使う
- 同じ場所に磨き残しがないか意識する
- 出血するからといって自己判断でその場所を全部避けない
- 反対に、出血するほど強くこすらない
- 歯間ブラシが入らない、痛い、曲がる場合は無理をせず相談する
- 喫煙について指導を受けている場合は相談する
- 糖尿病などの全身状態や薬に変化があれば伝える
- 手術予定日前だけ特別に強く磨かない
分からないところがあれば、「ここはどう磨けばいいですか?」と聞いていただいて大丈夫です。
むしろ、分からないまま自己流で続けるより、手術前に確認しておくことが大切です。
歯周外科や歯周組織再生療法を相談するときの予約や治療の流れについては、「歯周外科・歯周組織再生療法を相談したいとき|予約時に伝えること・持ち物・初診から手術後までの流れ」もご覧ください。
手術が終わったあとも「維持できること」が大切です
歯周外科が無事に終われば、そこで歯周病治療が完全に終了するわけではありません。
手術後の治癒を確認し、その後は歯周組織の状態に応じてSPTやメインテナンスへ進みます。
術前に「良い状態を維持できるか」を確認するのは、手術当日のためだけではありません。
手術後も、プラークやBOP、歯周ポケットの変化を継続して見ながら、再発を防ぐ必要があるからです。
歯周治療後の管理と一般的な定期検診の違いについては、「歯周病治療後のメインテナンスは普通の定期検診と何が違う?」で詳しく解説しています。
手術予定日前に歯ぐきが腫れた・痛くなった場合は?
今回お話ししているのは、基本的には計画的に行う歯周外科についてです。
手術予定日前に、
- 急に歯ぐきが腫れた
- 強い痛みが出た
- 膿が出る
- 発熱した
- 歯が急に強く動くようになった
などの変化があった場合は、「手術の日まで待てばいい」と自己判断せず、歯科医院へ連絡してください。
広島市中区立町のブランデンタルクリニックは、立町駅徒歩1分、立町中央ビル4階にあり、4階エレベーター利用可です。
急な腫れや強い痛みなどについては当日電話受付可としており、急な症状についても急患同日可で対応しています。すでに歯周外科を予約している場合も、症状が変わったことをそのまま受付へお伝えください。
よくある質問
Q.PCRが20%を超えたら必ず歯周外科は延期ですか?
いいえ。
PCR20%程度は一つの目安になりますが、20%を超えたら自動的に延期、20%以下なら必ず手術という全国共通の合否基準ではありません。
PCR、BOP、歯肉の炎症、残存ポケット、骨欠損、手術予定部位、全身状態、予定する術式、セルフケアの継続性などを総合して判断します。
Q.手術前日の夜に念入りに磨けば大丈夫ですか?
一回だけきれいにすることが目的ではありません。
手術前までの経過の中で、日常的にセルフケアを続けられているかを確認します。前日だからと強く磨きすぎる必要はありません。
Q.歯ぐきから血が出たら手術はできませんか?
一か所BOPがあっただけで必ず手術中止、という単純なものではありません。
どこから出血しているのか、どの程度残っているのか、以前と比べて改善しているのか、喫煙の影響はないかなども含めて評価します。
Q.歯磨きができるまで、ずっと手術してもらえないのでしょうか?
そういう意味ではありません。
患者さんごとに実際に続けられるセルフケア方法を一緒に探し、歯周基本治療への反応や病変の状態をみながら、歯科医師が手術の必要性と時期を判断します。
Q.歯周外科を延期している間に歯周病が悪化しませんか?
「延期=何もしない」という意味ではありません。
必要に応じてブラッシング指導、プロフェッショナルケア、再SRPなどを行い、再評価を続けます。
ただし、急な腫れや痛み、排膿などがある場合や、病状の進行が疑われる場合には別の対応が必要になることがあります。
Q.歯磨きを頑張れば必ず歯周外科を避けられますか?
いいえ。
セルフケアが良好でも、深い残存ポケット、垂直性骨欠損、根分岐部病変などによって歯周外科が必要になることがあります。
歯磨きは外科治療の代わりではなく、歯周治療全体を成功させるための土台です。
まとめ|歯周外科の準備は「手術の日」より前から始まっています
歯周外科の予定が決まっていても、再評価で歯磨きや歯ぐきの炎症がまだ安定していなければ、予定どおり手術へ進まず、もう一度口腔環境を整えてから手術時期を判断することがあります。
だからといって、「PCR20%以下なら合格」という話ではありません。
確認しているのは、
- プラークの量
- 同じ場所への磨き残し
- BOP
- 歯肉の赤みや腫れ
- 残存する歯周ポケット
- 骨欠損や根分岐部病変
- 歯周基本治療への反応
- セルフケアを再現し、維持できているか
- 喫煙や糖尿病などのリスク因子
- 予定している歯周外科の内容
などです。
歯科衛生士は毎日のセルフケアと歯ぐきの変化を継続して確認し、その情報も含め、歯科医師が歯周外科の必要性と時期を総合的に判断します。
手術が少し先になったとしても、それは治療が止まったという意味ではありません。
よりよい条件で外科治療へ進むために必要な準備を続けている時間です。
歯周外科は、メスを入れる日から始まる治療ではありません。
毎日の歯磨きと歯周基本治療で「治りやすい環境」をつくり、それを維持できるようにするところから、すでに歯周外科の準備は始まっています。
参考文献
- 日本歯科医学会.歯周病の治療に関する基本的な考え方.2026年3月.
- 日本歯周病学会 編.歯周治療のガイドライン2022.医歯薬出版,東京,2022.
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