2026年8月24日

(受付さんの備忘録)

はじめに
「抜歯をした方がいいと言われたけれど、血液をサラサラにする薬を飲んでいる」
「歯医者を予約するとき、薬のことまで言った方がいい?」
「抜歯する日は、朝の薬を飲まない方がいい?」
「薬の名前を覚えていないけれど、それでも予約できる?」
受付では、このようなご相談をいただくことがあります。
結論からお伝えすると、血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合は、抜歯相談の予約をするときに、そのことをぜひお知らせください。
ただし、とても大切なのが、患者さんご自身の判断で薬を止めたり、飲む時間を変えたりしないことです。
「血液をサラサラにする薬を飲んでいる=抜歯できない」という意味ではありません。
現在は、抜歯による出血だけを避けるために抗血栓薬を安易に中止するのではなく、薬を止めたことで脳梗塞、心筋梗塞、血栓塞栓症などが起こる危険と、抜歯後に出血する危険の両方を考えながら治療を計画します。
日本の「抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン2025年版」でも、薬の種類、抜歯による出血リスク、患者さんの全身状態などに応じて、抗血栓薬を継続するのか、処方医と服用方法を相談するのか、どのような局所止血を行うのかを判断する考え方が示されています。
薬の名前を正確に覚えていなくても大丈夫です。まず予約時に、「血液をサラサラにする薬を飲んでいます」と一言お伝えいただくだけでも、大切な情報になります。
お薬手帳やスマートフォンの服薬情報があれば、受診時にぜひお持ちください。
「血液をサラサラにする薬を飲んでいます」は予約時に伝えてください
抜歯について相談したいとき、受付では「どの歯について相談したいのか」「痛みや腫れがあるのか」などを伺います。
その際、血液をサラサラにする薬を飲んでいることが分かっていれば、ぜひ一緒にお知らせください。
薬の名前が分からなくても予約できます
「何という薬か分からないから、調べてから電話しないといけない」と思われるかもしれません。
しかし、薬名が分からないことだけを理由に、抜歯相談を先延ばしにする必要はありません。
予約時には、「名前は分からないのですが、血液をサラサラにする薬を飲んでいます」と伝えていただければ十分な第一歩です。
そのうえで、お薬手帳、薬局でもらった薬の説明書、薬袋、スマートフォンのお薬手帳アプリ、現在飲んでいる薬の名前が確認できるものなどを受診時にお持ちください。
歯科治療で服薬情報を確認する理由については、歯医者にお薬手帳を持って行く理由でも詳しくご説明しています。
以前に伝えていても、薬が変わったときはもう一度教えてください
以前から同じ歯科医院へ通っている場合でも、「最近、新しい薬が追加された」「入院後に薬が変わった」「1種類だった薬が2種類になった」「量や飲み方が変わった」という場合には、あらためてお知らせください。
歯科治療では、以前の薬歴だけではなく、今現在どの薬を、どのように飲んでいるのかを確認することが大切です。
なぜ「予約するとき」に薬のことを伝えた方がいいの?
血液をサラサラにする薬を飲んでいることを事前にお知らせいただけると、歯科医院側でも診察時に確認したい情報を整理しやすくなります。
実際に抜歯が必要になった場合には、薬の種類や抜歯する歯の状態によって、止血を確認するための時間を十分に確保する、1回に抜く歯の本数を調整する、複数回に分けて処置する、必要に応じて縫合や止血材料を準備する、といった対応を検討することがあります。
つまり、受付で薬のことを伺うのは、「血液をサラサラにする薬を飲んでいる方の予約を断るため」ではありません。
安全に診察し、必要になったときに適切な抜歯計画と止血準備につなげるためです。
「血液をサラサラにする薬」は1種類ではありません
日常会話ではまとめて「血液をサラサラにする薬」と呼ばれていますが、実際には主に抗血小板薬と抗凝固薬があります。
血液そのものを薄くしているわけではなく、血栓ができにくくなるように作用する薬です。
抗血小板薬
代表的な薬には、バイアスピリン、プラビックス、エフィエント、プレタールなどがあります。
心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、冠動脈ステント治療後などで使用されることがあります。
抗凝固薬
代表的な薬には、ワーファリン、プラザキサ、イグザレルト、エリキュース、リクシアナなどがあります。
心房細動、深部静脈血栓症、肺塞栓症、人工弁や一部の心臓弁膜症などで使用されることがあります。
エリキュース、イグザレルト、リクシアナ、プラザキサなどは、まとめてDOAC(直接経口抗凝固薬)と呼ばれます。

抜歯相談の予約で伝えていただきたい10項目
全部を電話で完璧に答える必要はありません。
分かるところだけでも構いませんので、次の情報があると、その後の診察や抜歯計画につなげやすくなります。

① 血液をサラサラにする薬を飲んでいること
まずはこれだけでも構いません。
薬の詳しい種類が分からなくても、「血液をサラサラにする薬を飲んでいます」と予約時に伝えてください。
② 薬の正確な名前
薬名が分かれば、より正確に情報を確認できます。
記憶だけに頼るよりも、お薬手帳などで確認できる方が確実です。
特に「血液をサラサラにする薬を2種類飲んでいる」という場合には、2種類とも確認することが大切です。
③ 1日に何回、何時ごろ飲んでいるか
「薬を飲んでいる」という情報だけでなく、1日に何回、何時ごろ服用しているのかも役立つことがあります。
DOACには、通常1日2回服用する薬と、1日1回服用する薬があります。
抜歯による出血リスクが高い場合には、一部のDOACで治療当日の朝の服用や、服用する時刻について処方医と相談することがあります。
ただし、これは患者さんが「では朝だけ飲まないでおこう」と自己判断するという意味ではありません。
服用を止める、遅らせる、時間を変更するといった判断は、歯科医師や処方医と相談して行います。
④ 何の病気・治療のために飲んでいるか
実は、薬の名前と同じくらい大切なのがこの情報です。
たとえば、心房細動、脳梗塞・一過性脳虚血発作、心筋梗塞、狭心症、冠動脈ステント治療後、深部静脈血栓症、肺塞栓症、人工弁や一部の心臓弁膜症など、抗血栓薬が処方される背景はさまざまです。
同じように「血液をサラサラにする薬を飲んでいる」と言っても、薬を中断した場合に考えなければならない血栓・塞栓症の危険は患者さんによって異なります。
そのため受付で、「何のお薬ですか?」だけでなく、「何の病気のために飲んでいますか?」と伺うことがあります。

⑤ いつから飲んでいるか
長年同じ薬を飲んでいるのか、最近治療が始まったばかりなのかも、診療側には大切な情報です。
たとえば、急性の深部静脈血栓症や肺塞栓症では、DOACの治療開始直後に、その後の維持期とは異なる用量で治療される薬があります。
患者さんがその仕組みまで覚えておく必要はありません。
「先週から飲み始めました」「何年も同じ薬です」という程度でも、大切な情報になります。
⑥ 最近、薬が追加・変更されていないか
最近、新しい薬が増えた、2剤併用になった、薬の量が変わった、別の抗血栓薬へ変更された、という場合も教えてください。
特に心臓や脳、血栓症などの治療直後には、複数の抗血栓薬が必要になる場合があります。
⑦ どこの病院・何科から処方されているか
「○○病院の循環器内科です」「脳神経外科から処方されています」「かかりつけの内科です」など、分かる範囲で構いません。
歯科医師が必要と判断した場合には、現在の病状や抗血栓療法について処方医へ確認することがあります。
病院名や診療科を伺うのは、単なる受付上の記録のためだけではなく、必要な医科歯科連携につなげるためでもあります。
⑧ 最近、入院・手術・ステント治療・脳梗塞などがなかったか
「先月、心筋梗塞で入院した」「最近ステントを入れた」「脳梗塞で退院したばかり」「肺塞栓症の治療を始めた」といった最近の治療歴もぜひお知らせください。
薬の名前が同じでも、基礎疾患の状態や治療を受けた時期によって歯科治療の計画が変わることがあります。
退院後や手術後の受診については、退院直後・手術後に歯科受診するときの予約時の伝え方でも詳しくご説明しています。
⑨ 以前の抜歯や手術で血が止まりにくかった経験
「以前の抜歯でかなり長く血が出た」「家に帰ってから再出血して受診した」「手術のあと止血に時間がかかった」といった経験も大切な情報です。
抗血栓薬だけで出血のしやすさが決まるわけではありません。過去の出血歴、抜歯の難しさ、処置範囲、ほかの持病なども含めて確認します。
⑩ ほかの処方薬・市販薬・サプリメント
確認したいのは「血液をサラサラにする薬」だけではありません。
普段飲んでいる処方薬、市販の頭痛薬・痛み止め・風邪薬、サプリメントなども分かればお知らせください。
抜歯後には歯科から鎮痛薬や抗菌薬を処方することもあるため、服薬情報を確認する目的は、抜歯時の出血リスクだけではなく、抜歯後に処方する薬との組み合わせを確認することにもあります。
お薬手帳は、抜歯相談の大切な持ち物です
ここまで読むと、「そんなにいろいろ覚えて電話しないといけないの?」と思われるかもしれません。
その必要はありません。
むしろ、無理に記憶だけで答えようとするより、お薬手帳などで現在の服薬内容を確認できる方が正確です。
電話するときは、お薬手帳を手元に置くと便利です
予約電話の時点でお薬手帳が手元にあれば、「エリキュースという薬でした」「朝と夕方の2回です」「循環器内科から出ています」などを確認しながら伝えられます。
お薬手帳を忘れても、それだけで相談できないわけではありません
忘れた場合も、まず分かる範囲でお伝えください。
スマートフォンに現在の薬の情報がある場合や、薬局の説明書を持っている場合には、それも確認の手がかりになります。

なぜ「何の病気のための薬か」まで聞くのでしょうか?
患者さんからすると、「薬の名前が分かれば十分なのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、抗血栓薬はそもそも、血栓ができることで起こる病気を予防したり再発を防いだりするために必要な薬です。
そのため抜歯を考えるときには、薬を飲んでいることで出血しやすくなる可能性だけではなく、薬を止めることで血栓や塞栓症が起こる危険も同時に考えなければなりません。
「血が出そうだから薬を止める」という単純な話ではありません
現在の日本のガイドラインでは、多くの抗血栓薬について「抜歯だから一律に休薬する」という考え方は取られていません。
ワーファリンでは一定のPT-INRの範囲で継続したまま抜歯することが推奨され、DOACでも出血リスクの低い抜歯では中断せずに行うことが提案されています。
より専門的な内容については、院長コラムの「抗血栓療法患者の抜歯マネジメント」第1回・2025年版ガイドラインと抗血栓薬の基礎でも解説しています。
抜歯のために、血液をサラサラにする薬を自己判断で止めないでください
ここは今回の記事で最も大切なところです。
抜歯の予約をしたからといって、前日から薬を止めないでください。
「当日の朝だけ飲まずに行こう」と自己判断しないでください。
薬を2種類飲んでいるからといって、片方だけ止めないでください。

DOACでは「飲む時間」が関係することがあります
エリキュースやプラザキサは通常1日2回、イグザレルトやリクシアナは通常1日1回で使用される薬です。
抜歯の出血リスクが高い場合には、薬の種類や普段の服用時刻を確認したうえで、当日の服用について処方医と相談することがあります。
ここで大切なのは、「DOACなら朝の薬を飲まない」という一律のルールではないということです。
患者さんには、いつもどのように服用しているのかを正確に伝えていただくことが大切です。
すでに自分の判断で薬を止めてしまった場合は、そのことを教えてください
この記事を読む前に、「抜歯するから」とご自身の判断ですでに薬を止めてしまっている方もいるかもしれません。
その場合は、隠さずそのことを歯科医院へお知らせください。
分かれば、「何という薬を」「最後にいつ飲んだか」「どのくらい飲んでいないか」「医師から中止するよう指示されたのか、自分で止めたのか」もお伝えください。
一度止めてしまった場合も、今度は自己判断で飲み直したり、さらに休薬を続けたりせず、歯科医師や処方医の指示を確認してください。
ワーファリンを飲んでいる方は、最近のPT-INRが分かればお知らせください
ワーファリンを服用している方では、PT-INRという検査値を確認することがあります。
PT-INRは、ワーファリンによる抗凝固作用を評価するために使われる指標です。
「抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン2025年版」では、ワーファリンなどのビタミンK拮抗薬について、PT-INRが3以下であれば休薬せず抜歯することが強く推奨されています。
ただし、PT-INRが3以下なら絶対に後出血しないという意味ではありません。抜歯の内容や患者さん側の条件も含めて、局所止血を行う必要があります。
医療者側では、理想的には抜歯前24時間以内、値が安定している患者さんでは72時間以内のPT-INRを確認する考え方が示されています。
PT-INRが分からなくても、抜歯相談の予約はできます
「最近のPT-INRなんて知らない」という方も多いと思います。
その場合でも、まず予約していただいて構いません。
受付で「ワーファリンを飲んでいます。PT-INRは分かりません」と伝えていただければ十分です。
必要な検査値や確認時期は歯科医師が判断します。患者さんご自身がPT-INRの数字だけを見て、「今日は抜歯できる」「できない」と判断するものではありません。
DOACではPT-INRを同じようには使いません
エリキュース、イグザレルト、リクシアナ、プラザキサなどのDOACには、ワーファリンのPT-INRのように、日常診療で抗凝固作用を定量的に管理するための標準的な検査指標はありません。
そのため、薬の名前、1日何回飲んでいるか、何時ごろ飲んでいるか、いつから飲んでいるか、腎臓などの持病があるかといった情報も重要になります。

血液をサラサラにする薬を2種類以上飲んでいる場合も、すべて教えてください
患者さんによっては、抗血小板薬を2種類服用していたり、抗凝固薬と抗血小板薬を併用していたりすることがあります。
特に冠動脈ステント治療後などでは、複数の抗血栓薬を使用することがあります。
複数薬を使用している患者さんでは出血への配慮がより必要になる場合がありますが、それでも「出血しそうだから1種類だけ止めておこう」と患者さん側で調整することは避けてください。
抗凝固薬と抗血小板薬を併用している場合など、患者さんごとの違いが大きいケースでは、処方医への確認や専門医療機関への相談を検討することがあります。
血液をサラサラにする薬以外の持病も教えてください
抜歯後の出血しやすさや治療計画は、抗血栓薬だけで決まるわけではありません。
腎臓の病気
DOACの一部は腎機能も考慮して投与量が決められます。
「腎臓内科に通っている」「透析を受けている」といった場合にはお知らせください。
肝臓の病気・血液の病気
肝疾患や血小板減少など、出血に関係する持病がある場合も大切な情報です。
高血圧・心臓病
抜歯は局所麻酔を使用する外科処置です。普段の血圧や現在の心臓病の状態なども、安全に処置できるかを考える材料になります。
糖尿病
感染や創傷治癒なども含め、全身状態を確認しながら治療計画を立てます。
多くの薬を飲んでいる場合
複数の病院から薬が処方されている場合は、「血液をサラサラにする薬だけ」ではなく、できれば現在の薬がすべて確認できるお薬手帳をお持ちください。
お薬手帳を見るのは「出血」だけが理由ではありません
抜歯後には、痛み止めや抗菌薬を処方することがあります。
そのため歯科医師は、「この患者さんは抜歯すると血が止まりにくいだろうか」だけではなく、「抜歯後に処方する薬と、普段飲んでいる薬を一緒に使って問題がないか」も確認します。
市販の痛み止めも伝えてください
歯が痛くて、すでに市販の鎮痛薬や頭痛薬を飲んでいる場合も、分かる範囲でお知らせください。
商品名、何錠飲んだか、何時ごろ飲んだかが分かると確認しやすくなります。

「抜歯相談」で予約した日に、必ずそのまま抜歯するとは限りません
「抜歯の相談で予約したのだから、その日に抜いてもらえる」と思われるかもしれません。
もちろん、診察の結果、その日に抜歯できる場合もあります。
しかし、抜歯相談の予約=必ず当日抜歯を約束する予約ではありません。
まず安全に抜歯できる条件がそろっているかを確認します。
まず、本当に抜歯が必要か確認します
「他院で抜いた方がいいと言われた」という場合でも、当院で診察したうえで現在の歯の状態を確認します。
歯を残せる可能性があるのか、本当に抜歯が適切なのかも含めて判断します。
レントゲンや必要に応じてCTを確認します
抜歯する歯の歯根の形、周囲の骨、神経や血管との位置関係、炎症の状態、埋伏しているか、単純な抜歯か難しい抜歯かなどを確認します。
同じ「1本抜く」でも、処置の侵襲度や予想される出血量は同じではありません。
薬・持病・体調を確認します
ここで、予約時に伝えていただいた服薬情報が役立ちます。
必要なら処方医へ確認します
薬を変更する可能性がある場合だけでなく、「現在の病状は安定しているか」「最近どのような治療を受けたか」「現在の抗血栓療法の内容は何か」などについて、処方医へ情報提供をお願いする場合があります。
止血方法や診療時間を準備して、後日の抜歯にすることもあります
「今日は抜歯せず、次回にしましょう」と言われると、「血液をサラサラにする薬を飲んでいるから断られたのかな」と不安になるかもしれません。
しかし、必ずしもそうではありません。
処置時間を確保したり、止血材料を準備したり、必要な医科情報を確認したりして、より安全に抜歯するために日を改めることがあります。
抜歯前にどのようなことを確認しているかは、抜歯前の確認日に行う薬・血圧・レントゲン・体調確認でも詳しくご説明しています。

より専門的な術前評価や止血方法については、院長コラムの「抗血栓療法患者の抜歯マネジメント」第2回・術前リスク評価と外科的止血戦略でも解説しています。
処方している病院名や診療科を聞くのは、医科と連携するためです
受付で、「その薬はどちらの病院から出ていますか?」「循環器内科ですか?」などと伺うことがあります。
これは、必要な場合に歯科医師が処方医と情報共有できるようにするためです。
歯科から医科へ「薬を止めてください」と聞くだけではありません
医科への問い合わせというと、「抜歯するので薬を止めていいですか?」という連絡を想像するかもしれません。
しかし実際には、それだけではありません。
現在の病気の状態、治療内容、薬の使用目的、最近の治療歴などを確認し、歯科で予定している処置と全身状態を一緒に考えるための情報共有です。
より専門的な医科歯科連携については、院長コラムの「抗血栓療法患者の抜歯マネジメント」第3回・医科連携とプロフェッショナリズムでも詳しく取り上げています。

抜歯後すぐに遠方へ移動する予定がある場合も教えてください
抜歯した当日や翌日に、出張・旅行・帰省などで遠方へ移動する予定がある場合も、診察時にお知らせください。
抗血栓薬を使用している方では、抜歯後に出血した場合に、どこへ連絡し、どの程度の時間で歯科や医療機関を受診できるのかも治療計画を考えるうえで大切です。
つまり、「その日に歯を抜けるか」だけではなく、抜歯したあと安全に経過をみられる環境かどうかも確認したい情報の一つです。
抜歯したあとに血が出たときも、薬を自己判断で止めないでください
抗血栓薬を飲んでいる方では、「抜歯したあと血が出たから、次の薬は飲まない方がいいのでは?」と思うことがあるかもしれません。
ここでも自己判断で中止しないことが大切です。
抜歯後は、少量の血が唾液に混じることがあります。
一方、ガーゼで圧迫しても明らかな出血が続く、口の中に血がたまってくる、何度もガーゼを交換しなければならない、一度止まったのに再びはっきり出血した、翌日以降に明らかな再出血が起きた、といった場合には、抜歯を行った歯科医院へ連絡してください。
その際には、「ワーファリンを飲んでいます」「エリキュースを飲んでいます」など、服用中の抗血栓薬についてもお知らせください。
自宅での圧迫方法や歯科医院へ電話した方がよい出血の目安については、抜歯後に血が止まらないときの自宅での止血方法と歯医者へ電話する目安で詳しくまとめています。
予約時は、これくらい伝えていただければ十分です
ここまでいろいろ書きましたが、実際の予約電話ですべてを長く説明する必要はありません。
薬の名前が分かる場合
「抜歯について相談したいです。エリキュースという血液をサラサラにする薬を飲んでいます。心房細動で循環器内科から処方されています。お薬手帳を持って行きます」
これだけでも、かなり大切な情報が伝わります。
薬の名前が分からない場合
「抜歯相談をしたいです。名前は分からないのですが、血液をサラサラにする薬を飲んでいます。お薬手帳はあります」
これで構いません。
最近治療を受けた場合
「抜歯の相談です。先月心臓の治療で入院して、血液をサラサラにする薬が追加されました」
という伝え方でも十分です。必要に応じて受付から追加で確認します。
WEB・LINEで予約するとき
備考欄などが利用できる場合は、「抜歯相談希望。抗血栓薬服用中。お薬手帳持参予定」程度でも、事前情報として役立ちます。

よくある質問
血液をサラサラにする薬を飲んでいても抜歯できますか?
服用しているという理由だけで、一律に抜歯できないわけではありません。
薬の種類、服用理由、抜歯の難しさ、全身状態、出血リスクなどを確認して判断します。
抜歯する日の朝は、血液をサラサラにする薬を飲まない方がいいですか?
自己判断では止めないでください。
DOACなどでは抜歯の内容によって服用時刻の調整を検討する場合がありますが、必要な場合には歯科医師と処方医で相談します。
薬の名前が分からなくても予約できますか?
できます。「血液をサラサラにする薬を飲んでいる」とお伝えいただき、お薬手帳などをお持ちください。
血液をサラサラにする薬を2種類飲んでいます
2種類ともお知らせください。どちらか一方を患者さんご自身で止めることは避けてください。
ワーファリンを飲んでいますが、PT-INRが分かりません
まずは抜歯相談の予約をしていただいて構いません。必要な検査値や確認時期は歯科医師が判断します。
市販の痛み止めも伝えた方がいいですか?
はい。分かれば商品名、何錠飲んだか、何時ごろ飲んだかもお知らせください。
主治医から「歯医者に薬のことを伝えて」と言われました
薬の名前、何の病気のために飲んでいるか、処方している病院・診療科、最近治療を受けたかなどを、分かる範囲でお知らせください。
すでに自分で薬を止めてしまいました
そのことを歯科医院へお知らせください。
分かれば、薬の名前、最後に飲んだ時刻や日付、何回分飲んでいないか、医療者から休薬を指示されたのか、ご自身で判断して止めたのかもお伝えください。
その後も自己判断で休薬を続けたり、反対に急に飲み直したりせず、歯科医師や処方医の指示を確認してください。
初診の日にそのまま抜歯できますか?
可能な場合もありますが、必ずできるとは限りません。
まず診察、画像検査、全身状態、服薬情報などを確認し、安全に抜歯できる条件がそろっているか判断します。
抜歯した日に出張や旅行へ行っても大丈夫ですか?
抜歯の難しさや全身状態によって異なります。特に抗血栓薬を服用している場合には、抜歯後に出血した際の受診環境も考慮したいため、遠方への移動予定がある場合は事前に歯科医師へお知らせください。
広島市中区・立町で抜歯について相談したい方へ
ブランデンタルクリニックは、広島電鉄「立町」電停から徒歩1分、立町中央ビル4階にあります。4階まではエレベーターをご利用いただけます。
「抜歯が必要と言われたけれど、本当に抜いた方がいいのか相談したい」「親知らずを抜きたい」「血液をサラサラにする薬を飲んでいるけれど、抜歯できるか確認したい」という段階でもご相談いただけます。
通常のご予約はWEB・LINE・電話で受け付けています。
強い痛みや腫れなど急な症状がある場合には、その日の診療状況を確認しながらご案内しますので、お電話でのご連絡をおすすめしています。当日のお電話による受付、急患の同日診療にも可能な範囲で対応しています。
血液をサラサラにする薬を飲んでいるからといって、抜歯について相談すること自体をためらう必要はありません。
大切なのは、「薬を飲んでいることを歯科へ伝えること」、そして「抜歯のために自分の判断で薬を止めないこと」です。
薬の名前を覚えていなければ、お薬手帳をお持ちください。
受付で分かることを伺い、必要な情報を歯科医師へ引き継ぎます。そのうえで、歯の状態、抜歯の難しさ、持病、服薬状況、最近の治療歴、必要な止血方法などを確認し、一人ひとりに合った抜歯計画を考えていきます。
参考資料
・日本有病者歯科医療学会・日本口腔外科学会・日本老年歯科医学会「抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン2025年版」
・日本歯科医師会「抗血栓療法を受けている方―歯医者さんに伝えていただきたい病気と薬」
・日本歯科医師会「歯医者さんに行く前に」
